黄泉の行人。ダンジョンに行く。   作:かまくら御前

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 アストレア・レコード
  ―始動。


静寂の恐怖

 

 ふざけんなよ、なんで廃教会でこんな死の気配がするんだよ。それも、今までの比じゃねぇぞ...

 

  「中にいるのは一人か...」

 

 闇派閥イヴィルスか?だが、闇派閥イヴィルスで一番強いのはLv.5...ロキ・ファミリアのLv.5は見たことあるが、ここまで死の気配は濃くなかった、なら最低でもLv.6。都市最強と一緒。そんな奴が闇派閥イヴィルスにいるなら、情報があってもおかしくないはず...

 

  「確認してみるか...」

 

 もしかしたら、過去の最強。ゼウス・ヘラのファミリアの団員が帰ってきてるかもしれない。

 

  「...静かだな」

 

 しかも古いな、下手すると床が抜け、っ...!死の気配!

 

  「子供がこんなところに、何のようだ...」

 

 後ろから声がする。振り向くとそこには()()の黒いドレスを着た女が立っていた。

 まっじか...!音もしねぇし、()()もねぇ。それに速すぎんだろ...さっきまでもっと前にいたぞ。

 

  「答えろ。次第によっては、消してやるぞ」

 

  「っ...!あ、あんた...闇派閥イヴィルスか?」

 

 死の気配が増した。やべぇ...!これは無理だ。絶対勝てねぇ...!

 

  「...そうだと言ったら?」

 

  「な、なんでこんな所にいやがる。あんたが動けば、オラリオなんか壊滅できるだろ」

 

 確信できる、こいつはやれる。今の都市最強なんかより、よっぽど。

 

  「私の強さが分かるか、小僧。そうだな、忌々しいがそう言う()()だ」

 

 ?計画だと...こいつ一人で、オラリオを壊滅できるのにか?話が変わってきたな。ただオラリオを滅ぼすって訳じゃねぇのか。情報を引き出すか...

 

  「あんた...闇派閥イヴィルスなんかに入って、何が目的なんだ。オラリオを滅ぼしたいってんなら一人で出来るだろ」

 

  「それをお前に言う義理は無い」

 

 やっぱりか、答えねぇってことは、少なくともこいつは、オラリオを滅ぼす事が目的ではない。

 

  「喋りすぎたか...」

 

 !気配が、なにか来る...!

 

  「【福音ゴスペル】」 

 

  「避けっ...!」

 

 瞬間、とてつもない衝撃。

 あっぶねぇ!直撃を()()()避けれるように外しやがったな。しかもマジかよ...()()だけでこれか。斬れたから良いが、食らってたら気絶してたな。

 

  「見逃されたか...」

 

 最悪だ...あの女が闇派閥イヴィルスに、動きが活発になってるのはオラリオを滅ぼす手筈が整ったからか。嫌な予感が拭えねぇ、近々何かが起こるぞ。

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「...何時もこんな感じで、街を回っているのか?」

 

 朝から初めて、もう夕方だぞ...一日中こうやって回ってるのか。

 

  「ええ、そうよ。何処で悪が何をしているのか分からないもの。こうやって一日中回ってないと、対処できないでしょ?」

 

  「アリーゼの言う通りだ、私達がやらなければ、民達も安心できないだろう」

 

  「いや、まあそうだが」

 

 まあ、そうか。こいつらのおかげで、守られている笑顔や命がある。そこに俺がチャチを入れるのは間違いか...

 

  「それじゃあ、パトロールを再開しま...」

 

  「あ~~れ〜〜っ!」

 

 なんだ?この声...

 

  「ははっ!いただきだぁ!」

 

  「俺の全財産444ヴァリスがぁぁ!誰か取り返してぇぇんっっ!」

 

 声の方を見ると、男神がチンピラの男に窃盗に遭っている場面だった。――死の気配がする。

 

  「あれって男神様?神から財布をぶんどるなんて世も末ね!というか、所持金が微妙にショボいわ!神なのに!!」

 

  「そんな事を言っている場合ではない!行きますよ、泉さん、アリーゼ!」

 

 あの男神...なんであんなに()()()()が強いんだ。力が強いって訳じゃねぇ、立ち姿が武神の類じゃない。なんなんだ、本当に。っと考えてる場合じゃないな、俺も行かないと。

 

  「ふざけんな、バーカ!」

 

 窃盗をした男はふざけたことを抜かし、その場を去っていく。見ると、薄い水色の髪をした女性。アーディがいた。

 ん?あれはアーディか、おいおい逃がしてるじゃねぇか。

 

  「おい、アリーゼ。どうなってる?」

 

  「あら、泉。遅かったじゃない」

 

  「ああ、すまん。考え事をしていた。それで?」

 

  「あのおじさんなら、アーディが赦しちゃったわ!いい考えね、飴と鞭ですって!」

 

 ...成る程、いつかはやるとは思っていたが、まあ、今リオンとの話を聞いている感じ、自分の信念で考えた末のようだな。お人好しだが、ちゃんと考えてお人好しだをしてやがる。

 

  「いやぁ~お見事お見事!」

 

  「あなたは...先ほどの神...?」

 

  「すごいねぇ、正義の冒険者は。いやぁ、急に後ろからタックルされてさぁ〜。びっくりしちゃったよ」

 

 うっわ胡散臭え、軽薄な顔、吐いてる言葉も軽い。ん、名前を言ったな。エレン...聞いたこともない神だ。くそ、知ってる神ならその神性である程度予測できるんだがな...  

 

  「こんな時代だからこそ、君がどう考え、()()()()()()()。そしてどんな『答え』を出すのか...」

 

 マジでなんだ?敵意もない、悪意もない、純粋にそう聞いてやがる。闇派閥イヴィルスの主神かと思ったが、違うのか...?

 

  「君にも興味があるんだ。鬼人くん」

 

  「あ?俺か...」

 

 男神はリオンにちょっかいをかけた後、俺にも話しかけてきた。

 

  「そう...表面上はとても正義とは思えない。しかし君は悪を倒し、弱気を助けている。それもリオンとは違い確たる“正義“を持ちながら」

 

  「そうだな、俺の正義はこの胸にある“誓い“が消えることがない限り、変わることはないだろう」

 

  「そうか、時間があれば君の誓いを聞いてみたかったけど、そろそろ行かせてもらうよ。用事もあるしね」

 

 帰るのか、できればもう会いたくないがな。

 

  「...お一人で大丈夫ですか?お付きの方もいらっしゃらないようですし、せめて送迎を...」

 

  「そこまでしてもらったら悪いよ。じゃあ、またね」

 

 男神は護衛も付けず一人で去っていく。

 行ったか。後で、イザナミ様にこの神について、聞いてみるか。ん?あれは...ライラか。

 

  「アリーゼ」

 

  「あら、ライラ?そっちの巡回はもう終わったの?」

 

  「ああ、終わった。終わって、別件だ。きな臭ぇ動きがあるから網を張れだとよ」

 

 ここからが本番だな...

 

  「...!指示は誰から?」

 

  「決まってんだろ。アタシ、愛しの勇者からだ」

 

 

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