青い空と赤い星   作:(눈_눈)

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台風が直撃しましたね。おかげで予定が潰れて時間ができました。
駄文になる予感しかしません。生暖かい目で見ていてください。


#1  砂漠を往く赤き翼

アビドス砂漠は静かだった。

天宮彗斗は先ほどまで自分を襲っていたヘルメット団が逃げ去った方向をしばらく見つめていた。

 

「……本当に逃げたんだな」

 

翼を少し動かす。銀色の装甲が陽光を反射した。

先ほどの戦闘は今思い返しても滅茶苦茶だった。

飛ぼうとして突撃し、相手を吹き飛ばし、自分も転がった。

戦闘経験など皆無だ。

バルファルクの力がなければ間違いなく負けていただろう。

 

「これから先、大丈夫か俺……」

 

ため息を吐く。

だが立ち止まっている場合ではない。

喉は渇いているし腹も減っている。

まずは人のいる場所を探さなければならない。

彗斗は周囲を見回した。

砂漠。廃ビル。遠くに見える埋もれた都市。

そして遥か彼方のサンクトゥムタワー。

 

「アビドス高校に行くか」

 

ブルーアーカイブの知識が正しければ、アビドス生と出会えるだろう。

もしかしたら先生と会える可能性もある。

アビドス高等学校。対策委員会。

砂漠化した自治区を守る少女たち。ゲームでは何度も見た。

知り合いはいないが、少なくともヘルメット団よりは信用できる。

そう考えた彗斗は歩き始めた。

 

____________________________________________

 

一時間後。

 

「……景色が変わらん」

 

そもそも彼はアビドスの地理を正確に知っているわけではない。

ゲーム内で見た程度の知識しかない。

しかも現在地も不明だ。目印になるものも少ない。

結果として、ただ砂漠を歩いているだけになっていた。

 

「飛べればなあ……」

 

そう呟く。

実際、翼があるのだから飛べるはずだ。

先ほども一瞬だけ飛んだ。問題は制御だった。

あれは飛行というより事故だった。

 

「練習するか……」

 

周囲に人影はない。

試すなら今しかない。彗斗は翼を広げた。

大きい。

改めて見ると異様なほど大きい。

バルファルク特有の巨大な翼。まるで戦闘機だ。

 

「どうやって飛ぶんだ……?」

 

とりあえず念じてみる。

飛べ。飛べ。飛べ。

しかし、何も起きない。

 

「違うか」

 

今度は翼に力を込めてみる。

その瞬間。

 

キィィィンーー

 

翼内部が赤く発光した。

 

「うおっ!?」

 

身体の中を熱い何かが流れる。

龍気だ。

本能的に理解できた。

翼の各部から赤い光が漏れ始める。まるでエンジンの始動だった。

 

「これか!」

 

次の瞬間。

 

ドンッ!!

 

彗斗の身体が上空へ吹き飛んだ。

 

「ぎゃああああああああ!!」

 

飛んだ。正確には射出された。

景色が一気に遠ざかる。

砂漠の中に所々ある砂に埋もれた家が小さくなる。

ビル群が見える。風圧が顔面を殴る。

怖い。めちゃくちゃ怖い。

 

「速い速い速い速い!!」

 

時速何キロ出ているのか分からない。

だが絶対に人間が出していい速度ではない。

本物のジェット機のような推進力だった。

必死に翼を動かす。すると少しずつ姿勢が安定した。

 

「おお……?」

 

水平飛行。

できた。

なんとか飛べている。

そして見えた。遥か遠方。

砂漠の中にポツンと存在する砂に埋もれていない大きな建物。

 

「……あれか?」

 

距離はかなりある。

だが間違いない。学校だ。

しかも砂に埋もれておらず綺麗にされている。

生徒がいる可能性は高かった。

 

「行ってみるか」

 

そう思った直後だった。

 

ヒュンッ

 

何かが横を通り過ぎた。

 

「え?」

 

続いて二発。三発。四発。

空中で火花が散る。弾丸だ。

 

「は!?」

 

慌てて下を見る。砂漠を走る数台のバイク。そしてその周囲にいるヘルメット団。

 

「逃げたんじゃないのかよ!?」

 

どうやら先ほど逃げた連中が仲間を呼んできたらしい。

しかも今度は人数が多い。二十人近くいる。

 

「いやいやいや!」

 

再び銃弾が飛ぶ。遮蔽物がないため狙いやすい。

非常にまずい。彗斗は慌てて高度を上げた。

しかし…

 

「うわっ!」

 

制御を誤る。

急上昇。急旋回。失速。

ほとんどジェットコースターだった。

地上のヘルメット団たちも驚いている。

 

「なんだあいつ!?」

 

「飛んでるぞ!?」

 

「なんだあの軌道!?」

 

「本当に人間か!?」

 

当然である。

空を飛ぶ人間など普通はいない。ましてや戦闘機の曲芸飛行のような軌道で。

彗斗自身もそう思う。だが今は違う、翼がある。

そして――

 

「クソっ…!やるしかないか!」

 

逃げ続けるだけでは終わらない。

彗斗は深呼吸した。

恐怖はある。だが先ほどよりは冷静だ。

バルファルクの能力。高速飛行。突撃。そして龍気。

ゲームで何度も見てきた。

ならば。

 

「凸るしかないだろ!」

 

翼が赤く輝く。龍気が噴き出す。

加速。さらに加速。

ヘルメット団たちが顔色を変える。

 

「なっ――」

 

彗斗は空高く上昇した。太陽を背に。

そして急降下する。真っ赤な軌跡を描きながら。まるで流星そのもののように。

真紅の軌跡を描きながら。

 

「うおおおおおっ!!」

 

ドォォォォン!!

 

爆音が砂漠に響く。

着弾地点で砂煙が巻き上がった。ヘルメット団たちが悲鳴を上げる。

幸い直撃はしていなかった。

だが衝撃波だけで数人が転倒した。

 

「ひぃっ!?」

 

「なんだ今の!」

 

「逃げろ!!」

 

ヘルメット団たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。バイクを乗り捨てる者までいる。

彗斗は砂煙の中で咳き込んだ。

 

「げほっ……げほっ……」

 

本人も大混乱だった。

何をやったのかよく分からない。だが結果としては勝ったらしい。

周囲には誰も残っていなかった。

 

「……凄まじいな」

 

自分の翼を見る。バルファルク。

ゲームでは古龍だった。

つまりモンスター界でも最上位クラスの存在。

その力の一部を持っているのなら、確かに強くて当然かもしれない。

しかし。

 

「俺が使いこなせてないんだよな……」

 

そこが問題だった。

力だけはある、だが技術がない、経験もない。

今の突撃だって偶然成功しただけだ。

もし相手がもっと強ければ負けていただろう。

 

「練習しないとな」

 

そう呟いた時だった。

風に乗って何かが聞こえてきた。

エンジン音。

今度はヘルメット団ではない。

彗斗が振り向く。

遠くの砂漠を一台の車が走っていた。大型トラックだった。

砂煙を上げながらこちらへ向かってくる。

 

「誰だ?」

 

警戒する。

この世界では誰も彼もが銃を持っている。油断はできない。

しかし。

トラックの側面を見た瞬間、彗斗は目を見開いた。

そこにはどこかで見た覚えのあるマークが描かれていた。

タコをモチーフとした企業ロゴ。

 

「カイザー……?」

 

ブルーアーカイブに存在する巨大な企業。

その関係者だろうか。トラックは徐々に近づいてくる。

彗斗は翼を広げた。いつでも飛べるように。戦えるように。

 

____________________________________________

 

「対象、警戒状態」

 

「予想通りです」

 

無線を持った男が頷く。

 

「プランBへ移行」

 

その瞬間だった。

 

ガチャッ

 

一斉に金属音が響く。カイザーPMCの隊員たちがライフルを構えた。

彗斗の表情が引きつる。

 

「いや待て」

 

保護すると言っていたはずだ。

だが今、自分へ向けられている銃口の数は十を超えている。

どう考えても穏便な話し合いではない。

 

「お前ら、本当に保護する気あるのか?」

 

対象へ警告

 

拡声器越しの声が響く。

 

抵抗行為を確認した場合、武力制圧を実施する

 

「武力制圧って言ったよな今」

 

誰も否定しなかった。むしろ隊員たちは散開し始める。

左右へ展開し、退路を塞ぐように位置取っていく。完全に包囲するつもりだった。

 

(やばいな)

 

彗斗は翼をわずかに開いた。

龍気が体内を巡る。赤い光が翼の隙間から漏れ始めた。

それを見た隊員の一人が叫ぶ。

 

「エネルギー反応増大!」

 

「警戒レベル上昇!」

 

「対象が何かします!」

 

「撃て!」

 

隊長格の男が即座に命令を下した。

次の瞬間。

 

ダダダダダダダッ!!

 

乾いた銃声が砂漠に響いた。

 

「うおっ!?」

 

彗斗は反射的に地面を蹴る。

銃弾が足元の砂を吹き飛ばした。ほんの一瞬遅れていれば直撃していた。

 

「マジで撃ってきた!?」

 

空へ飛び上がる。

その背後を無数の弾丸が追いかける。

隊員たちの怒号が飛び交った。

 

「飛んだぞ!」

 

「対象上昇中!」

 

「逃がすな!」

 

「足を撃て!」

 

彗斗の顔が青ざめる。

 

(捕まったら絶対ろくなことにならないだろこれ!)

 

翼が大きく展開される。龍気が唸る。

 

そしてカイザーPMCはその様子を見上げながら理解した。

報告は本当だった。

ヘイローなし。所属不明。飛行能力あり。

さらに未知のエネルギー反応を有する危険個体。

隊長は無線機を掴む。

 

「こちら回収班!」

 

緊張した声が響く。

 

「対象を確認!」

 

上空で赤い光を纏う彗斗を見上げながら、カイザー兵は続けた。

 

「至急増援を要請します!」

 

「この対象は――想定以上です!」




設定として彗斗君にはヘイローがありません。しかし古龍としての特性があるため対物ライフルを当てない限り流血すらしませんし、四肢だったら1〜2週間くらいで再生します。
前回と今回の話で銃にビビっていましたが、あれはビビり損です。あそこで当たっていてもかすり傷ができる程度です。
普通に考えて人間がマッハで地面に激突して生き残れるわけないだろ!

投稿にミスがないか心配です…ひぃん…
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