EDF 怪獣戦記   作:究極神黎斗

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第11章 「深海」

第11章「深海」

最初の異変は、戦闘ではなかった。

補給船団が消えた。

攻撃の記録はない。通信も途切れていない。ただ、位置情報だけが突然消失している。

同様の報告が短時間で複数上がる。すべて同一海域。偶然ではない。

司令部は即座に調査を決定する。

投入されたのは、三隻の潜水母艦だった。

潜水母艦

セイレーン、パンドラ、エピメテウス。

それぞれ役割を持ち、隊列を組んで問題の海域へ潜航する。

深海。

光の届かない領域で、セイレーンが先行しソナーを展開する。

「反応……なし」

地形に異常はない。大型生体反応も検出されない。数値上は完全に“通常の海”だった。

だが、違和感が残る。

「……流れが揃いすぎている」

自然の海流にしては、均一すぎる。

わずかな揺らぎもなく、すべてが同じ方向へ流れている。

その直後、パンドラ側で異常が発生する。

「推進出力低下!」

機関は正常。

それでも艦は前に進まない。

まるで、水そのものが抵抗しているようだった。

次の瞬間、衝撃が走る。

「接触——いや、違う!」

装甲が削れる。

だが、攻撃の軌跡が見えない。

そこへ、細長い影が突っ込んでくる。

リバースジグラ

高速。

魚雷のような直線軌道で接近し、そのまま艦体へ衝突する。

回避が間に合わない。

直撃。

パンドラの装甲が抉られる。

「複数確認!」

一体ではない。

同時に複数の反応が走る。

その動きは異様だった。

水の流れと完全に一致している。

まるで“海そのものに乗っている”ような機動。

迎撃が開始される。

魚雷、機銃、近接防御。

だが、当たらない。

発射された魚雷は途中で軌道を逸らされ、狙いから外れる。

「……干渉されている」

その時、セイレーンが異常を捉える。

「海流が収束している……一点に」

広域データを重ねると、すべての流れが同じ場所へ集まっていることが分かる。

中心がある。

その直後、別の反応が現れる。

「待て……これは別系統だ!」

水の流れに従っていない。

むしろ、逆らうように動いている。

暗闇の中から、それは現れる。

リヴィジラ

一直線に突っ込む。

そのままリバースジグラを弾き飛ばし、戦場へ乱入する。

衝突。

パンドラの艦体が軋む。

「なんだ……こいつ……!」

ダガーラの影響下にあるはずの海で、それは“自由に動いている”。

戦場が一瞬で混乱する。

だが、その混乱の中で変化が起きる。

水の流れが、わずかに乱れる。

完全ではない。

それでも、確実に“支配が崩れかけている”。

その瞬間、エピメテウスが判断を下す。

「チラン爆雷、準備」

まだ確証はない。

だが、この機会を逃せば次はない。

その時だった。

深海の圧が変わる。

水が歪む。

流れが一斉に変化する。

“来る”。

すべての流れが一点へ収束する。

やがて、それが姿を現す。

ダガーラ

だが、それは一つの個体ではなかった。

海中に広がる“何か”が、ただそこに集まっているように見える。

「……本体じゃない……」

違う。

“海そのものが本体だ”。

その認識と同時に、全艦に負荷がかかる。

推進、通信、武装。

すべてが同時に鈍る。

このままでは接近できない。

その瞬間、別回線が開く。

「……轟天号、到達する」

深海を切り裂くように、巨大な影が現れる。

轟天号

他の艦とは違う動きだった。

水の抵抗を押し切り、一直線に進む。

ドリルが回転を始める。

エピメテウスが即座に命じる。

「今だ、撃て」

チラン爆雷が投下される。

起爆。

衝撃は爆発ではなかった。

流れそのものが断ち切られる。

均一だった海の圧が崩れる。

その瞬間、中心が露出する。

核。

「そこだ——!」

轟天号が突入する。

乱れた水流を突き破り、そのまま一直線に核へ到達する。

貫通。

その瞬間、海の感触が変わる。

抵抗が消える。

圧が抜け、流れが自然に戻る。

ダガーラの支配が、崩壊する。

リバースジグラは動きを止める。

リヴィジラは静かに戦域から離脱する。

やがて、深海は静寂を取り戻す。

■ラスト

完全な勝利ではない。

だが、海は取り戻された。

艦隊は損傷し、補給路はまだ不安定なまま。

それでも一つの戦場は制御下に戻った。

だが、違和感が残る。

“あれは、本当に一体だったのか”。

海の奥には、まだ何かが残っている。

そして地上では、戦いは続いている。

戦場は、さらに広がっていく。

■第11章「深海」 終

 

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