第12章「同時戦域」
海の戦闘が終結した時点で、人類は一つの戦場を取り戻した。
だが、それは終わりではなかった。
むしろ——
“余裕が生まれたことで、他の戦場が動き出す”。
前線。
ガイガン(FW)
ガイガンは依然として戦場に存在している。
だが、その動きはこれまでとわずかに違っていた。
止められている。
完全ではないが、“流れ”を制御されている。
LCが空間を削り、
ヴェスパーが逃げ道を潰し、
レッドガンが押し返す。
そこにイェーガーが加わることで、戦線は維持されていた。
だが、それはあくまで“維持”に過ぎない。
「……削りきれない」
司令部の分析は明確だった。
ガイガンは学習している。
同じ配置、同じ圧力では徐々に対応される。
時間の問題だった。
都市部。
ジラ
こちらも変化していた。
出現頻度が増えている。
そして何より、“行動が連続している”。
単発ではない。
明確に“線として繋がる動き”。
補給拠点が順番に落ちていく。
コンバットフレーム部隊が再投入される。
ウイングダイバーが上空から監視を続ける。
それでも、完全には止められない。
「……増えている可能性」
誰も否定できなかった。
そして海。
潜水母艦
ダガーラの支配は崩壊した。
だが海域は完全には安定していない。
セイレーンが再びソナーを展開する。
「……微弱な異常流、複数確認」
一点ではない。
広がっている。
「残っている……」
ダガーラは“消えた”のではない。
分散した。
ここで初めて、三つの戦場が一つに繋がる。
前線ではガイガンが戦線を削り、
都市ではジラが補給を断ち、
海ではダガーラが再構築を始めている。
どれか一つを止めても、意味がない。
司令部に沈黙が落ちる。
そして、結論が出る。
「……分けている場合じゃない」
全戦力を、同時に動かす。
■再編
ここで人類側の戦力が再構築される。
前線。
レッドガン、ヴェスパーに加え、イェーガー部隊を集中投入。
“止める”から“削る”へ移行する。
都市。
コンバットフレームを主軸に、ウイングダイバー、レンジャー部隊が再配置される。
“維持”から“奪還”へ。
海。
潜水母艦群の再編成。
轟天号は後方待機に下がり、次の突入に備える。
さらに——
ここで、初めて名前が出る。
「……例の機体は?」
短い沈黙。
「まだ安定していません」
「それでもいい。選択肢がない」
その時、別の格納庫で起動音が響く。
ヴァルチャー
完全ではない。
だが、“何かを変えるための戦力”。
■ラスト
戦場は三つに分かれている。
だが——
戦いは、もう一つだ。
それぞれの戦場で起きていることが、すべて繋がっている。
ガイガンは止まらない。
ジラは増え続ける。
ダガーラは形を変えて残る。
そして人類は、
初めて“同時にすべてと戦う”段階に入る。
■第12章「同時戦域」 終