EDF 怪獣戦記   作:究極神黎斗

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第13章 「臨界」

第13章「臨界」

三つの戦場は、同時に動き続けていた。

前線ではガイガンが圧力をかけ続け、都市ではジラが補給線を削り、海ではダガーラの残滓が広がり始めている。

それぞれ単独でも脅威だったが、問題はそれが同時に進行していることだった。

前線。

ガイガン(FW)

ガイガンは依然として止まっていない。

LCが進路を削り、ヴェスパーが逃げ道を潰し、レッドガンが押し返す。そこにイェーガーが重なることで、戦線は辛うじて維持されている。

だが、それ以上にはならない。

「……削り切れません」

報告は短い。

実際、その通りだった。動きは制御できているが、致命打には届かない。

そして、その均衡が崩れ始める。

ガイガンの動きが変わる。

これまでのように突破を狙うのではなく、わずかに間合いを取り、“観察するような動き”に移る。

「……学習している」

同じ配置、同じ圧力は通用しなくなる。

時間が経つほど、不利になる。

都市部。

ジラ

こちらはさらに深刻だった。

出現はすでに“点”ではない。

線として繋がり、面へと広がっている。

コンバットフレームが各所に展開し、ウイングダイバーが上空から追跡を続ける。だが、すべてを押さえきることはできない。

一つ抑えれば、別の場所で発生する。

「数が合わない……」

誰かの呟きが、それを端的に示していた。

増えている。

海。

潜水母艦

ダガーラの支配は崩壊したはずだった。

だが、海域は完全には戻っていない。

セイレーンのソナーが、異常を拾い続ける。

「微弱な流れ……複数。拡散しています」

一点ではない。

広がっている。

消えたのではなく、分散している。

三つの戦場が、同時に悪化する。

前線は押し切られ始め、

都市は維持が崩れかけ、

海は再び侵食されていく。

司令部。

沈黙が続く。

すでに理解されている。

このままでは、どこか一つではなく——“すべてが崩れる”。

その中で、一つの選択肢が提示される。

「……ヴァルチャーを投入しますか」

空気が変わる。

「安定していません」

「稼働時間も不明です」

「実戦投入は——」

「それでもいい」

誰かが遮る。

「このままでは、持たない」

短い沈黙の後、決断が下る。

「……一機のみ投入。前線へ」

格納庫。

ヴァルチャー

静かに起動する。

他の機体とは違う。

過剰なほどに滑らかで、無駄のない動き。

そのまま、発進する。

前線。

ガイガンが再び動き出す。

これまでの戦術を試すように、ゆっくりと防衛線へ圧をかける。

その進路に、ヴァルチャーが入る。

一瞬、空気が変わる。

ガイガンが止まる。

わずかに、距離を取る。

初めての反応だった。

ヴァルチャーが動く。

加速は異様に滑らかで、ほとんど予備動作がない。

接触。

速い。

これまでのどの兵器とも違う軌道で踏み込み、ガイガンへ打撃を入れる。

初めて、明確な“押し込み”が成立する。

だが——

長くは続かない。

出力が不安定になる。

機体の挙動が乱れる。

「制御が——!」

ガイガンが即座に反応する。

崩れた瞬間を狙い、反撃が入る。

直撃。

ヴァルチャーが後退する。

致命傷ではない。

だが、優位も消える。

「……まだ、完成していない」

それでも、その数秒で変わったものがある。

ガイガンが、“警戒している”。

■ラスト

戦場は、限界に近づいていた。

どこも崩れていない。

だが、どこも余裕がない。

ガイガンは適応し、

ジラは増え、

ダガーラは広がる。

そして人類は、初めてそれらすべてに同時に対抗し続けている。

だが——

この均衡は、長くはもたない。

次に崩れるのは、どこか。

それとも——

先に崩れるのは、人類の側か。

■第13章「臨界」 終

 

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