EDF 怪獣戦記   作:究極神黎斗

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第29章「制空回復」

第29章「制空回復」

空の流れは、明らかに変わっていた。

押し込まれていたはずの戦線は崩れず、各所で“詰まり”が生まれている。ラドンの群れは密度を保てず、ギャオスも降りきれないまま旋回を繰り返す。

戦場はまだ動いている。

だが、もう一方的ではない。

それでも——

まだ一つだけ、流れを壊し続ける存在が残っていた。

デルタンダル

高速で戦線を横断し、わずかに残った空間をこじ開ける。ヴァルチャーによって制限された空域の中でも、その“抜け道”だけは見つけ出して通り抜けていく。

速さは、まだ生きている。

その軌道が、不意に途切れる。

何かに当たったわけではない。

ただ、次の瞬間には“進めなくなっている”。

その位置に、

ヴァルチャー がいる。

デルタンダルが軌道を変える。

抜けるための最適解。

それでも、その先も塞がれている。

もう一度変える。

さらに切り返す。

だが、そのたびに同じことが起きる。

進路が、消える。

速さは落ちていない。

それでも意味がない。

通るべき空間が、存在しない。

ほんの一瞬、動きが止まる。

その“止まり方”は、これまでの戦場にはなかったものだった。

ヴァルチャーが動く。

詰める、というより——

もうそこにいる。

衝突。

デルタンダルの外殻が歪み、軌道が大きく崩れる。

そのまま弾かれ、姿勢を失う。

それでも終わらない。

無理やり立て直し、再び加速しようとする。

だが、その先にも同じ位置がある。

二度目は、短い。

完全に捉えられる。

外殻が裂ける。

内部が露出し、空中で分解するように崩れていく。

残骸が燃えながら落ちていく。

それで終わりだった。

あれほど戦場を支配していた“速さ”が、

何事もなかったかのように消える。

流れが、一気に崩れる。

デルタンダルが維持していた突破力が消え、ラドンとギャオスは密度を保てなくなる。群れは散り、軌道は乱れ、互いにぶつかり始める。

その変化を、人類側は逃さない。

ヘリが射線を重ねる。

LCがラインを押し上げる。

エクドロモイが前へ出る。

中央では、

アースガロン Mod.3 が流れを繋いでいる。

止められた空間が、そのまま押し広げられる。

それまで押され続けていた空域が、今度はゆっくりと上へ動く。

ラドンは高度を上げ、

ギャオスは散開しながら離脱する。

遠方では、

ガゾート が旋回を続けていたが、やがて戦場から距離を取るように離れていく。

残る理由が、なくなった。

やがて、空から怪獣の影が消える。

静けさが戻る。

煙はまだ上がり、破片は落ち続けている。

それでも、はっきりと分かる。

もう、この空は押し込まれていない。

「……空域、確保」

誰かの声が、小さく落ちる。

それは勝利の宣言ではない。

ただ、事実をそのまま言葉にしただけだった。

空は、完全に取り戻されたわけではない。

だが——

確実に、人類の側へ戻り始めている。

■第29章「制空回復」終

 

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