第5章「進化」
制圧域の崩壊から、数日。
人類は後退していた。
だが、崩壊は“終わり”ではなかった。
むしろそれは、これまでの戦い方が通用しないことを証明しただけに過ぎない。
バラムは失われた。
制圧域も機能しない。
だが、一つだけ残ったものがある。
戦闘データ。
どこで崩れたのか。
何が通用しなかったのか。
どうすれば通用するのか。
すべてが記録されていた。
そのデータをもとに、新たな戦力が設計される。
従来のような“固定戦力”ではない。
もっと柔軟で、もっと速い。
戦場に適応する兵器。
最初に投入されたのは、小型機動部隊だった。
LC
軽量。
高速。
そして、数が出せる。
戦場に散開する。
これまでのように“止める”のではなく、
“削る”。
怪獣の周囲を取り囲み、動きを制限する。
一点に集中せず、全体を崩す。
その効果は、すぐに現れる。
単体では止められない相手でも、
“動きを制御できる”。
だが、それだけでは足りない。
そこで投入される次の段階。
HC
重装。
高火力。
前線を押し返すための存在。
LCが削り、HCが止める。
その連携によって、戦場の形が変わる。
都市外縁。
現れたのは、
ガボラ
地中からの出現。
だが今回は違う。
出現と同時に、LCが散開する。
動きを追い、位置を固定する。
そこへHCが踏み込む。
火力を集中する。
ガボラの進行が止まる。
完全ではない。
だが、確実に“押し返している”。
この戦い方は、バラムとは違う。
固定しない。
広げる。
そして崩す。
さらに別の計画も進んでいた。
“対怪獣専用機”。
まだ数は少ない。
だが、明らかにこれまでとは違う思想。
その一機が、テスト投入される。
セブンガー
近接戦を前提とした機体。
LCが動きを制限し、HCが押さえ込む。
その隙に、セブンガーが踏み込む。
初めて、“狙って殴る”戦闘。
打撃が直撃する。
怪獣の体勢が崩れる。
これまでとは明らかに違う感触。
人類は理解する。
これは、
“効いている”。
だが同時に、戦場の難易度も上がっていた。
ジラが再び現れる。
ジラ
速い。
そして、戦場を理解している。
LCの動きを読み、
HCの死角を突き、
セブンガーの間合いに入らない。
対応が追いつかない。
これまでの怪獣とは違う。
“戦っている”。
人類は、ここで初めて直面する。
単純な力だけではない敵。
それでも、止まらない。
戦い方は変わった。
そして今も、変わり続けている。
崩壊の先で、人類は進化を始めていた。
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■第5章「進化」 終