EDF 怪獣戦記   作:究極神黎斗

6 / 29
第6章 巨人

第6章「巨人」

崩壊の後、人類は立て直しを進めていた。

LCとHCによる機動戦術は機能し始め、特空機による近接戦も成果を上げている。戦場は不安定ながらも維持され、局地的には押し返す場面すら見られるようになっていた。

だが、それでも決定的な問題は残っている。

怪獣は、大きすぎる。

そして重い。

“止める”ことはできる。

“削る”こともできる。

だが、“押し切る”ことができない。

その差は、想像以上に大きかった。

その差を埋めるために作られた存在が、ついに戦場へ投入される。

巨大な格納庫のハッチが開く。

ゆっくりと現れるのは、人類が初めて作り上げた“対等な存在”。

ジプシー・デンジャー

さらに、別のラインからもう一体が起動する。

ストライカー・エウレカ

同じ巨体。

だが思想は違う。

ジプシーは受け止めるための機体。

ストライカーは攻めるための機体。

二体の巨人が、戦場へと向かう。

都市外縁では、すでに戦闘が続いていた。

LCが散開し、怪獣の動きを制限する。

HCが前に出て、火力で押し返す。

だが、決定打が足りない。

そこに現れているのは、

ゴモラ

そして、

レッドキング

純粋な力で押し潰してくる個体。

その圧力に対し、戦線はじわじわと後退していた。

そのとき、地面が大きく震える。

ジプシー・デンジャーが前に出る。

ゴモラの突進に対し、正面から踏み込み、真正面で受け止める。

衝突の瞬間、空気が揺れた。

だが、次の瞬間——

止まる。

完全にではない。

それでも、確実に進行が抑えられている。

これまでの兵器では起きなかった現象だった。

力と力が、同じ土俵でぶつかっている。

一方で、ストライカー・エウレカはレッドキングへと向かう。

速度を活かし、正面からはぶつからない。側面へ回り込み、打撃を重ね、徐々に体勢を崩していく。

力ではなく、技術で崩す戦い方。

戦場の質が、明らかに変わっていた。

この変化に、周囲の部隊も即座に対応する。

LCが動きを封じ、HCが火力を重ねる。

連携が成立する。

ゴモラの動きが鈍る。

その一瞬を逃さず、ジプシーが踏み込む。

全重量を乗せた一撃が叩き込まれる。

巨体が大きく揺れる。

そのまま、支えを失うように崩れ落ちる。

地面が揺れる。

一方、レッドキングも限界に達していた。

ストライカーの連続攻撃で体勢を崩し、そこへHCの火力が重なる。動きを失った瞬間、最後の一撃が叩き込まれる。

巨体はそのまま地面へと倒れ込み、動かなくなる。

戦場に、静寂が戻る。

二体の怪獣。

二体の巨人。

誰もすぐには言葉を発さなかった。

それが何を意味するのか、理解するのに時間がかかった。

やがて、通信が入る。

「……撃破、確認」

その言葉は、これまでとは違う重さを持っていた。

人類は初めて、真正面から怪獣とぶつかり、押し切った。

止めたのではない。削ったのでもない。

“倒した”。

しかも、同じ大きさで。

それは単なる勝利ではなかった。

戦いの前提そのものが、変わった瞬間だった。

だが、その余韻は長くは続かない。

遠くの空で、何かが動いている。

最初は小さな影にしか見えない。

だが、それはまっすぐ戦場へ向かってくる。

迷いがない。

速度も、軌道も、すべてが“狙っている”。

やがて、その姿がはっきりする。

ガイガン(FW)

これまでの怪獣とは、明らかに違う。

ただ暴れるのではない。

戦場を理解し、選び、そこへ向かってくる。

新しい戦いが、始まろうとしていた。

■第6章「巨人」 終(

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。