入学式当日雄英高校
巨大な校門前には新入生達が集まっていた。
「うわ人多……」
灰斗は少しだけ嫌そうな顔をしていた。
「いましたねぇ!!」
勢いよく現れたのは発目明。朝から元気だ
「おはようございます!!」
「……おはよう」
「受かると思ってました!」
「発目さんも」
「当然です!!」
自信満々で距離が近いが、灰斗は話が合うのでそこまで嫌じゃなかった。
教室に入り待っているとやってきたのはサポート科教室であるパワーローダー 。周囲の新入生達が少し静かになる。パワーローダーは全員を見渡した。
「今日からお前らは雄英サポート科だ。ヒーローを支えるのが仕事だ……だが」
視線が鋭くなる。
「支えるってのは裏方って意味じゃねぇ。現場を変えるのも、ヒーローを生かすのも、時には社会を変えるのも、サポート科だ」
静かになる新入生達。灰斗も少しだけ顔を上げる。
「道具一つで救える命が増える」
パワーローダーは腕を組む。
「だから作れ。壊れるまで考えろ……ケケ」
その後サポート科工房案内。大型設備、加工区画、実験スペース、素材庫………灰斗の目がどんどん輝いていく。
「……広い」
「ここ24時間いたいです!!」
「分かる」
「分かるんですねぇ!!」
完全に同類だった。
「おい分倍河原」
パワーローダーが呼ぶ。
「お前の個性、複製だったな」
「はい」
「設備は複製するなよ」
「怒られるからやりません」
「怒られるから、か……」
発目が急に灰斗の腕を掴む。
「見てください!!あれ最新加工機ですよ!!」
引っ張られ灰斗も普通についていく。その様子を見ながら、パワーローダーは小さく笑った。
「……まぁ、楽しそうで何よりか」
夕方。初日の説明が終わる頃にはサポート科実習棟の一角で既に。バチバチバチ!!!と火花が散っていた。
「出力上げます!!」
「待て発目ェ!!」
「うわ危ない」
灰斗は冷静に消火器を複製した。発目明が巨大な推進器を抱えている。明らかに危ない。灰斗は複製した消火器を持ちながら少し距離を取っていた。
「爆発する」
「しません!!」
ボンッ!!と小爆破
「……しましたねぇ」
「した」
「お前らァ!!」
「パワーローダー先生!新型推進器です!!」
「説明の前に消火しろ!!」
数分後なんとか鎮火。実習棟には焦げ臭い匂いが残っていた。パワーローダーが深いため息を吐く。
「初日から何やってんだお前ら……」
「開発です!!」
「元気に言うな」
「そういえば!!まだベイビー見せてもらってません!!」
「ベイビー?」
「発明品です!!」
発目は胸を張る。
「発明家にとって、作品はベイビーなんですよ!!」
「へぇ」
灰斗は工具箱を開いた。中から出てきたのは小型球体ドローン。四つの補助脚付き。
「索敵用」
「おお!!」
灰斗は起動する。ウィン……と球体が浮遊。周囲を静かに飛び回り始めた。
「障害物感知付き」
「いいですねぇ!!軽い!!しかも制御滑らかです!!」
発目が興奮している。完全に技術オタク同士だった。
「複製前提か?」
パワーローダー が聞く。
「壊れる前提で量産」
「……なるほどな」
軽量、簡略構造、必要最低限。灰斗の設計は、最初から“消耗”を前提にしていた。パワーローダーはそこに少しだけ引っ掛かる。だが今は言わなかった。
「じゃあ次私です!!」
ドンッ!!
巨大外骨格アーム。一年生の作品じゃない。周囲がざわつく
「うわデカ!?」
「何あれ!?」
発目は得意げだった。
「超高出力パワーアームです!!」
発目が装着して起動。
ギュイイイン!!
ベコォッ!!
「壁壊したァ!!」
周囲が叫ぶ。発目は固まる。
「……出力調整ミスです」
パワーローダーが頭を抱えた。
灰斗は壊れた壁より、別の場所を見ていた。
「関節制御すごい」
「分かります!?」
発目が勢いよく食いつく。
「普通なら暴れる出力を、無理やり押さえてる」
「そうなんですよぉ!!」
急に二人で盛り上がり始める。周囲のサポート科生達も少しずつ集まってくる。
「あのドローンすごくね?」
一年生達の視線が灰斗の機体へ向くと、灰斗は少し考えた。そして
ボコッ。
ドローン複製。もう一機。さらにもう一機。
「うわ増えた!?」
周囲がざわつく。三機の球体ドローンが滑らかに空中を巡回する。
「いいですねぇ!!群体制御ロマンあります!!」
「便利」
灰斗は真顔だった。