やはり俺の界境防衛生活は間違っている。 作:RAKU0221
1話完結にしようと思ったんですが、思ったより長くなったので2話に分けます。
基本的には自炊をして生活しているが、たまには外食したるなる気分もあるというのが人間である。
親からの仕送りに加えてボーダーの収入もあるため、懐事情は寒くもなくなんならボーダーに入っていない一般高校生に比べればほどほどに暖かいレベル。
とはいえ、豪遊すると感覚麻痺しちゃうし一回でポンとでかい買い物すると俺の庶民魂が萎縮しちゃうので普段は節約を心がけている。強いて言えば、ネット通販でマッカンを定期的に箱買いする程度である。
「つっても、ここら辺の飯屋まだチェーン店以外開拓してないな」
俺が外食といえば、もっぱらサイゼである。安いし早いし美味い、この三拍子が揃っているのは偉大だ。ミラノ風ドリア最高、最近はイカ墨パスタにハマっている。
「お、なになに比企谷今日外で飯?めずらしー」
「まぁたまには………というかここ3日間連勤で自炊する余裕なんて皆無だし」
ちなみに今俺は個人戦ブースの端でダラダラタイムを満喫している。ボーダーの自販機にはマッカンが無い為普通のコーヒーだ。
そして、先ほどまでランク戦で戦っていた米屋も目の前にいる。米屋は奈良坂と同じ三輪隊の攻撃手で、ボーダー唯一の槍使い。グラスホッパーも装備していないのに、そこら辺の高機動攻撃手よりも縦横無尽に動き回る槍バカである。
個人ポイントも9000を超えている、マスタークラスの中でも本物の強者。当然そんな奴に俺が勝てるはずもなく、10本中4本しか取らせてもらえなかった。後半になって俺の搦手戦略がハマって連勝できただけで、20本やっていたなら勝率はもっと低かっただろう。戦闘狂怖い。
「ならお好み焼きとかどーよ!良い店知ってるぜ、俺も腹減ったし」
「ナチュラルに一緒に行く流れかよ、陽キャめ…………なら行くか」
お好み焼きはなかなか家で作ることもないし、たまには良いだろう。
ーーーーーーーーーーーー
「おい米屋、ここか?」
「おう、味は保証するぜ!」
お好み焼きかげうら、まさかこんな所に飲食店があったとはな。結構住宅街って感じだからか全然知らなかった。中からは人の気配がそこそこするし、割と人気店なのか?
店に入ると、店員のいらっしゃっせー、空いてるお席へどーぞー。という少々投げやりな言葉が響く。客は大体店のキャパの半分を超える程度、思ったより若いやつが居るな。こういう店って地元のおっちゃん達が飲みに来る感じだと思ってたが…………ん?なんか何人か見覚えがある気がするんだが…………まぁ気のせいだろう。
なんとなく見覚えのやる人物から遠のく形で適当に席を見繕おうとしたその時、俺の肩に両手が置かれた。この手の感じは男では無いため米屋では無い、そして謎に力が強え。
「おい、なんで無視すんだよ」
「………無視してねぇよ」
「一瞬目合ったじゃねーか!」
「他人の空似だと思ったんだよ、大体俺は知り合いを見かけたら話しかけに行くほど陽キャじゃねぇ」
「まぁそりゃそうか………でもまぁせっかくなんだし一緒に食おうぜ!米屋も良いよな!」
「おう!いいぜ!」
「俺の意思は…………」
俺の肩を凄まじい力で掴みながら席へ引っ張って行くのは仁礼光、ボーダー所属のオペレーターで確か影浦隊所属だったか?最近なんか隊長さんがやらかして降格したとかなんとか。二ノ宮さんとこもなんかやらかしてB級になったらしいし、今頃B級のランク戦は荒れまくりだろうな。
「というか、チームで飯食いに来てんだろ?俺ら邪魔じゃ………」
「いやいやそんなことないよ、比企谷くん」
「お疲れ、比企谷先輩、米屋先輩も」
仁礼に無理やり座らされた席の真正面には、銃手の先輩である北添先輩と、同年代には敵なしと言って良い天才狙撃手である絵馬が座っており、その2人の隣に仁礼がどかっと腰を下ろす。
こう並ぶと、北添先輩めっちゃ親みたいだな、絵馬が息子で二礼はペットだな。てか、チームで食いにきてんのに隊長の影浦先輩はいねーのな。あの人のことあんま知らんけど、狂犬みたいな人だって話だし、仲間と飯とか行かねータイプか。
あ?でもこの店の名前ってかげうら………あー、なるほどそういうことか…………。
「………ここってまさか、影浦先輩の」
「そ、このお店はカゲの実家だよ。ボーダー隊員の間じゃ結構知られてる話だけど、比企谷くんはこのお店来たの初めて?」
「基本自炊なんで、たまの外食も大体サイゼだし」
あと影浦先輩と関わりほぼねぇし。
二礼は同い年だし、奈良坂先生のスパルタ勉強会に何回か来てたのでそこでそこそこ話すようになった。確かコイツの成績は米屋レベルだったはずだ。女番太刀川さんだな。
北添先輩は俺が万能手になる前に、銃手達の交流会で世話になった。行くつもりはなかったんだが、三上や他知り合い達からそういう集まりにはしっかりと行って少しでも同年代以外の繋がりを作ってこいと言われたのだ。君らは俺の親なの?まぁ結果思ったより繋がり出来て良かったけど。
絵馬は俺が当間先輩にちょっかいかけられた辺りから少しずつ狙撃訓練で会うようになった。最初は互いになんか見たことあんなコイツ、程度だったろうが、いつかの演習で運も味方する形で俺が3位になったことがあった。そこで俺のことを認知したのか、絵馬から話しかけてくるようになり、俺も年下は嫌いではないためちょいちょい一緒に訓練するようになった。
という具合なので、影浦隊で唯一影浦先輩だけイマイチよく分からん。俺が知っているのはなんか感知系のSE持ちってことと、スコーピオンの名人ってこと、後はランク戦データで顔を知ってるくらい。
「多分そろそろくるぜ………あ、来た。おーいカゲ〜!」
「ヒカリ、デケェ声出すんじゃねぇ。まだ他の客もいんだよ」
ランク戦のログで見た通りの荒々しい風貌、そして想像通りの言動だ。この声、俺達が店に入った時に挨拶してたの影浦先輩だったのかよ。
「カゲは今上がり?」
「おう、客も落ち着いてきたからな。てか、頭数多いと思ったら米屋じゃねーか、それと………………誰だ?」
北添先輩と話している時は、鋭さの中にどこか穏やかさを含んだ目だったが、見覚えのない俺を見るや否や一気に警戒の色を含んだ鋭い目へと変わる。まぁ当然だわな。てか、目付きや今の態度含め、猫みたいな人だな、カマクラ、元気にしてっかな。
と、その途端影浦先輩は一層鋭い目付きになって舌打ちをし出した。え、怖い。
「チッ、生ぬるい視線飛ばしてくんじゃねぇよ。誰だって聞いてんだ」
「あ、すんません。えーっと、ひ、比企谷八幡……っす、B級です」
「比企谷先輩どもりすぎ」
「カゲェ!比企谷ビビらせんじゃねーよ!」
二礼、そう言ってはいるがお前なんでちょっとニヤついてんだよ。なんだよ仕方ないだろ、お前んとこの隊長怖えんだよ。
影浦先輩は俺に少しの間ガンを飛ばしていたが、どこか納得したように息を吐き席に腰を下ろした。空いている席は米屋と俺が座っている側、つまり、俺の隣である。自然に少し身が緊張する。
「緊張してんじゃねーよ、飯が不味くなる」
「あ、うっす」
「お前が比企谷か、ウチの奴らが世話んなってるみたいだな」
ヤクザの親分みたいなこと言うなこの人。
だが先ほどまでの鋭さはない、いつのまにか注文していたお好み焼きの素が運ばれてきており、二礼と北添先輩が手際よくお好み焼きを作り始めていた。絵馬はそれを見ながらチビチビと水を飲んでいる。
「世話してる訳じゃないですよ。北添先輩に関しては、こっちが世話になってるまであるんで」
「ランク戦で見ねえ顔って事は、ソロの隊員か」
「ええ、まぁ。チーム組むとか、ぼっちには想像つきません」
「…………比企谷先輩は、別にぼっちじゃないと思う」
水をチビチビ飲んでた絵馬はこちらの話も聞いていたようで、すかさずツッコミを飛ばしてくる。コイツいっつも真顔でツッコミ切り返してくるの面白いんだよな。
「ハッ、話には聞いてたが、卑屈ってのは本当らしいな」
「あはは………いやぁそれほどでも」
「おい比企谷!焼くの手伝えー」
「あいあい」
それからたらふくお好み焼きを食った。
米屋が味は保証すると言っていただけのことはあり、確かにここのお好み焼きは美味かった。また来ようと思う。
まぁそんなことを言えるほどお好み焼きを食ってきたわけでは無いのだが。
それと、影浦先輩に対しての認識が少し変わった。もっとオラオラしたいわゆるヤンキータイプかと思ったが、どっちかと言うとちょっと粗野な父親的なアレだ。
絵馬や二礼が美味そうにお好み焼きが食っているのを見て、たまに信じられないくらい優しい微笑みを浮かべているのを見てそう思った。ただ、やはりSEの影響かこちらが視線を飛ばすとすぐに「あ?んだよ」みたいな視線を飛ばしてくる。そん時だけ怖い。
にしても、この濃い味を食した後はマッカンが美味いだろう。帰ったらキンキンに冷やしてあるヤツを流し込もう。
ーーーーーーーーーーー
「いやー食った食った!カゲさん!また来まーす!」
「じゃ、俺はヒカリちゃん送ってくよぉ。またねカゲ、あと比企谷くんもまた本部でね」
「俺も帰る、じゃあまたね。比企谷先輩、また今度狙撃訓練で」
「おう、またそっちにも顔出すわ」
店前で皆と別れ、俺と影浦先輩の2人だけになった。うわ急に気まずい、思ったより話しやすい人だったが別にすげー仲良くなったわけじゃねぇぞ。
「えーっと、すいません。奢ってもらっちゃって」
「別に構わねぇよ。ゾエはともかく、ユズルとヒカリは世話になってるみてぇだしな………………ファントムババアが言ってたがよ、お前」
「え、なんすか?ファントム?」
「んあー、加古っつったら分かるか?」
「ああ、加古さんっすか」
すげぇなこの人、年上の美人のことファントムババアて。ファントム要素もババア要素もイマイチ分からんし。
「お前結構やるんだってな」
「えーっと、戦闘の事であってます?」
「おう、今度本部で会ったら遊ぼうぜ。んじゃな」
そう言って、影浦先輩は店の中へと戻っていった。遊ぼうって字ズラ可愛いけど、要はランク戦付き合えってことよね?
いや加古さん、あんた何勝手なこと言ってんすか。太刀打ちできるわけないでしょ、あの人A級のエースクラスアタッカーでこちとら社畜ソロB級隊員なんですけど?
まぁでも俺の分の代金奢ってもらっちまったし、実はちょっと影浦先輩の戦いをログで見た時から興味もあったのは事実。やれと言われれば断る理由は特にないんですけども。
なんで最近バケモンみたいな奴らとばっかり戦ってんだ俺。
次回はちょっとガチ戦闘を描きたいですね。
カゲさんとうちのヒッキーのバトルはこの作品始めるに当たって地味に書きたかったマッチアップだったりするので。