映像機画版携帯獣世界転生物語 作:こうすけ増田劇場版
日本人というのがどういう人種なのかと聞かれれば食事に関してイカれた民族だ。
フグは言うまでもなく毒があるし、タコやイカは外国では悪魔として扱われる……だが、それを美味しく食べるのが日本人だ。
スポーツの世界大会が日本で行われると外国人選手は物凄く喜ぶ。色々とあるが一番は日本で食う飯が美味いからだ。スポーツの世界大会が日本開催の際は高確率で日本では当たり前に食べれる飯がSNSをザワつかせる。
俺はこの世界に転生したが望んで転生したわけじゃねえ……そんでもって転生した日がオーキド博士にポケモンを貰う日だった。
ポケモンに関する知識だがゲームをやっとけばそこそこ身につく知識で、マニアックなネタとかは知ったりとか知らなかったりだ。情報アドバンテージはあるにはあるんだが、準備期間が全くと言って無い。
ポケモンに関する知識があるし俺自身も勉強は出来る方だから問題は無いだろうと思えるが1つだけ落とし穴がある。
それは普段の食事だ……冒険をする上での飯をどうにかしなきゃならねえ。ポケモンセンターとか飯屋で飯を食う時は外食だから問題はねえが、どうしても自炊をしなきゃならねえ。
料理に関してだが……覚えなきゃいけないのが料理は料理でもキャンプ料理と呼ばれる料理を覚えなきゃいけない。
例えば日本人と切ることが出来ない米、ご飯を炊く時に大抵の人は炊飯器を利用している。本当に美味い米を食べたければ釜で炊いた米じゃなきゃダメだが、釜でご飯を炊くのにはそれなりに技術が居る。
趣味がお菓子作りなんですよと言う人がいる。
それ自体は割と普通の話だが、クッキーやケーキを焼く時に釜を利用しているか?やチョコ菓子を作る際にチョコをカカオから作るのか?と聞かれればどちらもいいえだ。
色々とあるが言いたいこととして俺はキャンプ料理があんまり出来ない。
ガスコンロとかじゃなくて普通の焚き火を使ってお米を炊くとか学校行事でしかやったことがない。炊飯器を使ってお米を炊くとかそういうのならばまぁ、それなりに出来る。ただキャンプ料理だけは普通の料理とは異なる。
火起こしはリザードに任せることが出来るけれどもそれ以外は難しい。
「ここですね」
普段食べる何気ない食事が不味いってのは食べ物に拘る日本人にとって激しいストレスになる。
インスタント食品も美味しいが、人がちゃんと作ったご飯も普通に食べたいと思える。
「「いらっしゃいませ!」」
「ニュラ!」
「バリバーリ!」
食事に関するストレスは食事でしか発散が出来ない。
サイトウもどちらかと言えば食事に関しては拘る方であり、少しルートを変更して森の中にポツンとある所謂、秘境飯みたいな飯屋にやって来た。双子の姉妹とニューラとバリヤードが出迎えてくれる。
「いや〜よくこの店が分かったね。お客さん、食通かな?」
「ええ、この店の料理はとても絶品だと聞いております」
店に入ったら店主が水を持ってきてくれた。
客はどうやら俺達だけ……こんな森の中にポツンと店を構えてたら見つけるのは難しい。店主が食通かどうかを聞いてくるから完全に秘境飯だろう。
「なんかオススメのメニューとかこの店ならではのメニューってありますか?」
サイトウが選んだ店だから何を扱っている店かは知らない。
オススメのメニューとかこの店独自のメニューとかがあればそれを食べる。次に来る時はそれ以外のメニューを食べる。
どんな料理が出てくるのかが期待しているが……店主が悩んでいる。
「オススメのメニューは無いのですか?」
「いや、あるにはあるんだ……ただ、近い内に店は代替わりをする予定でね。また食べたいと思っても食べられなくなる可能性があって」
「料理は全くと言って同じ物を作るの無理なんじゃ、それこそ材料の関係で毎日限りなくそれに近い料理じゃねえんすか?」
「その通りだ……ただ、うちの店の料理を娘達が引き継げていないんだ……」
物凄い勢いでテンションを下げるおっさん。娘達って事は双子にしか見えないウェイトレスとバリヤードとニューラの事か。
料理を引き継げていない……後継ぎが居ない問題じゃねえのか?
「後継ぎが居ないのは大変ですね」
「いや、後を継ごうという意思はあるんだ。ただお互いに色々と欠点がありまして……そうだ。もしよろしければ娘達の料理を食べてくれませんか?お代は結構です」
「……おっさんはプロの料理人だよな?」
「ええ、腕には自信があります」
「俺さ、冒険で作る料理がそこまで得意じゃ無いしレパートリーも限度があるから素人でも作れるキャンプ料理のレシピ的なのが欲しい……娘達が味を引き継げてないってことは場合によっては不味いものを食べさせられる可能性があるから代金無しだけじゃ無理」
「分かりました……では、なにか食べたいものは?」
「洋食でお願いします!」
プロの料理人が素人でも作れて美味しい料理のレシピを教えてくれる。
コレは割と儲け物だ。ただ……なにが出てくるのかが全くと言って予想出来ねえ。娘達にこの店の味を引き継ぐ事が出来ていないって事は味音痴か、それともシンプルにヘタクソなのか。
なにが出てくるかは分からんがサイトウは洋食が食べたいと注文した。
店主が娘達にお客さんの注文だぞと視線を配ればコクリと頷いて厨房に……今気付いたがこの店、調理してる所が見れるタイプの店なんだな。
「すまんな。俺の料理があんまり美味くなくて」
「いえ、私も自慢出来る程ではありませんので」
普段の飯があんまり美味しくないからこういう寄り道をする。
その事についてサイトウに謝罪をすればサイトウも自慢出来る程に料理が出来る方じゃないので謝られる事じゃないと流す
「料理の上達に関しては繰り返すしかないですからね……」
準備期間があったなら、料理のレパートリーを増やしたりも出来たがそれが出来ない状況だった。
サイトウは料理の腕が上達するには何回も繰り返して頭じゃなくて体で覚えなきゃいけない物だと呟く……一応、バトルフロンティア以外はサトシと同じ感じに冒険をするつもりだからこの問題について先送りすることは出来ねえ。なるべく早くに処理しなきゃならねえ。
「バリヤードとニューラが作るのですか」
娘達に味が継承する事が出来ていないとか言ってたんだが……なんかバリヤードとニューラが料理を作ってやがる。
ポケモンが人間の料理を作ったらどうのこうのの法律については知らねえ……双子は見た感じ俺等ぐらいの年齢だから逆に双子の方が作ったら問題はある。
バリヤードは得意のねんりきを使って調理器具を動かす。ニューラは普通に包丁をトントンと動かす。
今のところ期待する事が出来るのはバリヤードだ……ただ、何かしらの問題があるのは確定だ。
「「出来ました!」」
出てきた料理はパイ包みグラタンとハンバーグだった。
バリヤードが作ったのはグラタンでニューラが作ったのはハンバーグで、見るからに美味そうなのはバリヤードが作ったパイ包みグラタン。ニューラが作ったハンバーグは……質素なハンバーグだ。
「いただきます……グラタンは冷めると不味いですから、先にいただきますね」
「…………」
「うっ……」
グラタンが冷めると不味いと俺とサイトウはグラタンを食べる。
マカロニの上にホワイトソースがかかっていてチーズが乗っていて香ばしい匂いがするんだが……サイトウはマカロニを口にすれば顔を青褪めた。
「言いたかないが不味い」
「シズカ」
「原因はホワイトソースだな」
「シズカ、ハッキリと言うのはやめましょう」
「いいえ、ハッキリと言ったほうがいいわ!バリヤードの料理は美味しくない!」
グラタン自体はシンプルなグラタンだ。
鶏肉、玉ねぎ、マカロニにホワイトソースをかけてチーズをかけてオーブンで焼いている……ここは飲食店だから低品質な素材は扱ってない。グラタンの味の決め手であるホワイトソースが水分が多くてベチョベチョだったり塩気が多かったりでまずい。
サイトウがハッキリと言うのはよくないと指摘するが双子の片割れ、ニューラのトレーナーの方はハッキリと言ってくれた方がありがたいと主張し、バリヤードとバリヤードのトレーナーと睨み合いをする。
バリヤードは不味いと言われて目に見えて落ち込んでいる。バリヤードのトレーナーもお客に対して美味しいでなく不味いと言われたのは心に来るものでなにも言い返せない。
「今度は……質素ですね」
「お姉ちゃんとニューラの料理は地味なのよ!」
「……美味いな」
作っている料理が異なるから審査基準的にどうなのかと思ったがニューラが作ったハンバーグは美味かった。
バリヤードと妹の方が地味と言っているが、味に関しては外で食うならばコレぐらいの美味さがなけりゃ満足しねえって味だ。グラタンに関してはマカロニを一口食べただけだが、ハンバーグに関してはしっかりと俺達は完食した。
「トラン、勝負あったわね。この皿が私達の結果よ!」
「とても美味しかったです……ですが、飲食店の料理としては失格です」
「なぁっ!?」
「見た目が質素過ぎる……バリヤードの料理は見た目はいいが味が悪い。ニューラの料理は味はいいが見た目が悪い」
「バリ……」
「ニュラ……」
お互いの料理の悪い点について指摘すれば落ち込む2体のポケモン。
ここからなにを言おうかと思ったが、先に動いたのは姉の方だった。
「でも、料理は味が大事じゃない!トランの料理は見た目は確かにいいけれど、味は最悪よ!」
「そっちこそ味はいいかもしれないけれど、見た目が悪いじゃない!そんなんじゃ最初のお客が来ないわ!」
「……家で作る飯ならニューラの飯で合格だけど、飲食店になるとバリヤードの美味そうな見た目の料理じゃなきゃアウトだ」
「っ、そんな……」
「そんなではありません。如何にも美味そうな料理はあくまでも如美味そうであり本当に美味しいかどうかは分かりません。如何にも美味そうな料理を見て食べたいと思う。そして実際に口にして本当に美味しくなければ、なりません。ニューラの料理は最初に食べようという気力を沸き立てないのです」
サイトウはハッキリとニューラの料理もダメな事を指摘する。
「変な料理はともかく、出した料理から見てここじゃその気になれば家で作れる料理を扱ってる。もし何かの拍子で雑誌に掲載されるなら如何にも美味そうな見た目をしている。そしたらどれだけ美味いかどうか気になって値段とかから人はコレぐらい美味くなきゃいけないって勝手にハードルを決める。そのハードルを越えられなきゃ次に来ることが無くて……店が潰れんぞ?」
外で飯を食うってことは知らん誰かが美味しいと判断した物を食べるってことだ。
その人と自分の味覚は異なっていて、それでもコレは美味しい料理ですよと言われれば自然と期待度は上がっていく。
「……私達、このままじゃお父さんの店を潰しちゃうのかな……」
「お父さん、腕はとっても良くて料理の大会でも優勝したことがあるのに」
「バリ……」
「ニュラ……」
「はい、ハンバーググラタンお待ち」
このままだと店が潰れると言えば双子は厳しい現実を受け止める。
そんな中で店主のおっさんがハンバーググラタンを持ってきた。まだまだ胃袋は空いているのでパクリと食べれば、滅茶苦茶美味い。
サイトウも気に入ったのかモグモグと食べていく。
「レース、トラン……お父さん、料理は上手だけど経営は下手くそだからお前達に暖簾分けとかそういうのは出来ない。だからこのお店しかお前達には残せない」
「このハンバーググラタンのハンバーグ、ニューラのハンバーグだな」
「マカロニや玉ねぎ、チーズ等はバリヤードのグラタンですね」
双子に店を1つしか残せないことを申し訳無さそうに謝る店主。
ハンバーググラタンのハンバーグはニューラのハンバーグの味でグラタンの部分はバリヤードのグラタンだった。
それを聞いて2人はハッとした顔をして見つめ合った。
「バリヤードとニューラ、2人の力を合わせてくれ……バリヤードの料理は味が悪いが見た目はいい。ニューラの料理は味はいいが見た目は悪い。この2つを合わせるんだ」
「…………バリバーリ」
「ニュラ……」
バリヤードとニューラは協力をするかとお互いに折れた。
新しい一品を作り、バリヤードがパフォーマンスみたいな料理をしようとするがニューラが味付けをしっかりしろと注意し、バリヤードは味を確認するがイマイチなのかニューラに任せてニューラが味を調整し……コロッケが出てきた。
「美味いな……」
「ええ、これならばここぞという時の楽しみに食べに来たいです!」
コロッケは見るからに美味そうであり、本当に美味いコロッケだった。
双子達が協力すれば一流の飲食店と同じレベルの料理を作ることが出来る……別になんてこと無い話だった。
「「これからは私達は協力してこの店を大きくします……もし機会があればまた立ち寄ってください」」
「おう」
「是非寄らせていただきます」
双子達は手を取り合って二人で店を継ぐと決めた。
これならばこの店は絶対に潰れることは無い。俺は店主から素人でも作れるキャンプ料理のレシピを貰ってこれからの食事のレパートリーが増える。誰も損していない良い結果になった。
リザード♂ LV29→30
マンキー♂ LV25
ニドキング LV27
ピカチュウ♂ LV38
ラプラス♀ LV24
イーブイ♀ LV23
ケーシィ♂→ユンゲラー LV18→21
タマゴ