映像機画版携帯獣世界転生物語 作:こうすけ増田劇場版
準々決勝の相手はサトシだ。
決してじゃない、絶対に侮る事が出来ねえ相手だ。
俺の方の選手控室に居るのはサイトウとナツメとお袋だ。
オーキド博士とシゲルは中立……どっちも最高の試合をしてほしいと思っている。だからどっちかに勝ってとは思っていない。
「勝てる自信は?」
「勝つ為にやってるんだ」
「……いいですね」
気持ちは昂ぶらせない。かと言って沈ませない。
ありふれた自然体だ……別に何事もない普段の俺で主人公を快勝だぜ!と言う思考に陥っているわけじゃねえ。勝つ為に入念に準備をしてきた。
ナツメが勝てる自信があるのか?と聞いてくるから俺はハッキリと勝つ為にやってると答える。
その解答を聞いたサイトウが明らかに捕食者の目をしているが俺は気にしない。
「シズカ……勝ちたいの?」
「ああ、勝ちたい」
勝てるかどうかは話は別だが勝ちたいし勝つ為の努力をしているつもりだ。
お袋は少し驚いているが、少なくとも今の俺は勝ちたいと思っている。今までの努力が無駄になるのが怖いからじゃなくて、純粋に勝ちたいからだ。
「努力して強くなって強い相手と戦って勝利する……その快感が少しずつ分かってきた」
ほのぼのとしたエンジョイも悪くはないし、むしろそっちの方が好みだ。
ただここにはポケモンバトルに熱を捧げる奴等ばっかだ……今、良くも悪くも甲子園の魔物みたいなのに取り憑かれている自覚はあるがむしろそれが最高に良い。
コレは期待できるなと俺は歩く。
『さぁ、残す試合も数える程度となってきたポケモンリーグ・セキエイ大会!準々決勝からは使用ポケモンが6体のフルバトルとなります!そして最初の対戦カードですが実に面白い!今年ポケモントレーナーになったマサラタウン出身のトレーナーでの対決となっております!お互いに無名ながらも勝利を重ね、ここまでやって来た!』
「お前とポケモンバトルをするのは久しぶりだな!」
「ああ、そうだな5回戦じゃなくて準々決勝で当たれた事は幸運だと思っている」
フィールドに立てばサトシも闘志を燃やしていた。サトシとは戦ったことがあるがその時はお互いに未熟で今も未熟だ。
血が滾るわけでもない……俺の名前の通り静かになっている。因みにだが俺の名前を漢字で書けば静河である。
「これより準々決勝第一試合を行います!使用ポケモンは6体のフルバトル!入れ替えは無制限!メガシンカ、Zワザ、テラスタルの使用は1度のみ!」
セキエイスタジアムのモニターに俺の顔写真とサトシの顔写真が映る。
ピコンピコンと互いに点滅をしており点灯したのは俺だった……俺から先にポケモンを出せという事だ。
「先攻はシズカ選手から!」
「いけ、ライチュウ!」
「ライラーイ!」
「ライチュウ?……え、ライチュウなのか!?」
この大会で1回も使っていないアローラライチュウを出した。
自分の知っているライチュウとは異なっているのだとサトシは驚いている。
「情報は教えねえ」
「……確かにライチュウっぽい見た目はしている」
「ピカ!」
「ピカチュウ……よし!ピカチュウ、君に決めた!」
「ピィ!!」
アローラライチュウの情報は無いが原種のライチュウと容姿は似ている。
アローラライチュウと原種のライチュウは戦闘スタイルが少し違うがライチュウを実際に倒した実績があるのでピカチュウを選んだ。ただし……やらかしたな。
「試合開始!」
「ピカチュウ、でんこうせっかだ!」
「ライチュウ、しんそくだ!」
「ピ!」
「ラァーイ!」
「なっ!?でんこうせっかより早い!?いや、それよりも……遅くない!?」
でんきタイプのポケモン同士の対決になるので当然と言えば当然だがお互いにでんきタイプの技で攻撃はしない。
まずは先手必勝!とピカチュウはでんこうせっかで攻めるが俺はそれよりも先に動ける性能はでんこうせっかの上位互換であるしんそくを使う。ピカチュウが攻撃をする前にしんそくを受けてピカチュウは体勢を崩すが起き上がる。
サトシは予想外の攻撃や自分の知っているライチュウじゃないと驚いている。
サトシの知っているサトシが実際にピカチュウで倒したライチュウはマチスのライチュウ、マチスのライチュウはピカチュウの頃に覚えれる技を覚えずにライチュウにしていてパワーはあるが小回りは利かない。
「まずい!サトシの奴はクチバジムでの経験で戦っている!アローラライチュウはアローラでしか進化をさせることは出来ない。シズカは修行期間にアローラに行ったってことはピカチュウの間に覚えれる技は大体は覚えている!アローラライチュウの段階で違うのに、マチスのライチュウとの経験を……」
タケシが焦っているのが目に見える。
マチスのライチュウとは根本的に異なるのがアローラライチュウだ。
まずはしんそくで決めた……十八番のでんこうせっかは封じこの頃はまだアイアンテールは使えない。そうなると出てくるのは十中八九
「「10まんボルト!」」
「ピィカ、チュウウウウ!」
「ライラーーーイ!!」
10まんボルトが飛んでくるので10まんボルトをぶつける。
結果はどうなるか?至ってシンプルだ。
「ピィカ!?」
アローラライチュウの方が圧倒的とは言わねえが、ピカチュウよりもパワーがある。
強力な10まんボルトだが俺も妥協をしているつもりは無い。ピカチュウの10まんボルトを押し返してアローラライチュウの10まんボルトを叩き込んだ。狙いは今しかない。
「ライチュウ、アンコールだ!」
「ライラーイ!」
「ピカチュウのでんき攻撃に勝てるのはライチュウだ……10まんボルトでの勝負は避けるしかない。ピカチュウ、こうそくいどうで撹乱だ!」
「ピィ……カチュウウウ!」
「ピカチュウ!?こうそくいどうで撹乱するんだ!10まんボルトじゃない」
「無駄だ」
サトシのトリッキーな戦闘スタイルは非常に厄介だ。
ピカチュウとの阿吽のコンビネーションは嫌でも知っている。だからアンコールで使える技を強制的に制限する……ただしこの状態でもなんか出てくる。
「ライチュウ、10まんボルト!」
ピカチュウは10まんボルトしか使えない状態、10まんボルト同士の純粋なパワー勝負なら確実にライチュウが勝てる。
相手がピカチュウじゃなきゃこの隙に乗じてエレキフィールドを使いてえんだよな……サトシの奴はこの時点ではじめんタイプを持ってねえから一定量のダメージは期待出来る。
「ピカチュウは10まんボルトしか使えない……だったらピカチュウ、10まんボルトを纏って突撃だ!」
「ピィ!」
「ライ!?」
「っ……早速か!」
10まんボルトに固定したが予想通り予想外の動きをしてきた。
10まんボルトの電撃を放ちながら間合いを詰めてきた。電撃に乗って移動するのは予想外の行動で、間合いを完全に詰めて引っ付かれたライチュウは驚きピカチュウは10まんボルトをライチュウに叩き込む。
「ライチュウ、慌てるな!奇策で来たが使っている技は10まんボルトでパワーそのものは変わってない!10まんボルトだ!」
「ライ……ラーイ!」
コレならば決まるとか不利な状況下からひっくり返すのはサトシの十八番で、それに乗っかったり慌てたらアウトだ。
中距離からの10まんボルトから直接体が触れての10まんボルトに切り替わった。技そのものは変化していない。ならばとライチュウに10まんボルトを指示してピカチュウの10まんボルトを押し返し……ピカチュウは倒れた。
「ピィ……」
「ピカチュウ、戦闘不能!ライチュウの勝ち!」
『ピカチュウvsアローラライチュウの勝負、勝敗を決したのはアローラライチュウ!やはり進化しているだけあってパワーに差が出たか?』
「ライ……」
「いけるか?」
「ライ!」
アローラライチュウの売りは圧倒的速度から叩き込むでんきタイプの攻撃だ。
耐久力はそこまで無い。ピカチュウからそれなりに10まんボルトを受けているから大丈夫かと聞けば問題は無いと言う。
「でんきタイプのピカチュウをでんきタイプの技で倒す、アレは相当なパワーだ……だったら、フシギダネ、君に決めた!」
「ダネ!」
アローラライチュウの10まんボルトは強力だなと感じ、出すポケモンを考える。
今のサトシが持っているポケモンはでんきタイプに弱い傾向がある。ここで強力なアローラライチュウを倒さなきゃいけねえと相性の良いフシギダネを出した。
「……ライチュウ、機動力はお前の方にある。動け」
「ライ!」
フシギダネよりもアローラライチュウの方が機動力がある。
アローラライチュウは尻尾をサーフボードに見立ててフィールドを自由自在に突破する。それをサトシはジッと見ている。
「動きが厄介だ……」
「ライチュウ、エレキフィールド!」
「ライラーイ!」
「フシギダネ、つるのムチだ!」
アローラライチュウの動きが厄介であり的を絞れない。
下手に技を使えばアンコールと同じことになりサトシは少し慎重になっているので隙が生まれたとエレキフィールドを使うがエレキフィールドを発生させるのに動きを止めた。そこがライチュウへの攻撃のタイミングだとつるのムチを使ってライチュウの胴体に巻き付ける。
「ライチュウ、10まんボルト!」
「フシギダネ、地面に流せ!同じくさタイプのポケモンなら出来る筈だ!」
「無駄だ!」
「ライラーイ!」
ライチュウの動きを封じることに成功した様に見えるが逆、誘い出したんだ。
10まんボルトを指示すればサトシは四回戦で当たったトレーナーが使っていたマダツボミが電気を地面に流す事が出来ていたのを思い出す。一般的にくさタイプにでんきタイプの技がこうかはいまひとつな理由は地面に電気を流しているからと言われているらしいが……
「ダニャアアアア!?」
「フシギダネ!?……なんで……エレキフィールド……エレキ、フィールド……まさか!」
「このフィールドはよくでんきタイプの技を通すぞ」
フシギダネに10まんボルトを叩き込めば予想外のリアクションを取った。
フシギダネだったらサトシの考えていた結果になっていたが、唯一の見落としている点、フィールドがエレキフィールドになっている事を見落としている。
エレキフィールドの効果をサトシは知らない。
ただ名前で憶測は出来るしフィールドがビリビリと電気を発しているので流石に気付く。本来の使用用途とは異なるがそれでも効果はある
「ライチュウ、10まんボルト!」
「ライ!」
「ダ……ニャ……」
「フシギダネ、戦闘不能!ライチュウの勝ち!」
『シズカ選手のアローラライチュウ!2体抜きだ!』
サトシはポケモンを戻そうとすることすらせずに俺はライチュウで一気に勝負をつける。
物凄いパワーがあるわけではないがエレキフィールド+タイプ一致10まんボルトをフシギダネで1発を耐えたのは流石だ。
「う〜む、ここに来てサトシの弱点が出てきてしまったの」
「経験に偏った知識と圧倒的な攻めのスタイルですね……アローラライチュウは原種のライチュウよりも素早いと聞きます。サトシのポケモンバトルはスピードが重視されていますから」
「うむ!単純に自分よりも速いやつには弱い……とは言え、それ以外のスタイルもある」
オーキド博士とシゲルは冷静に試合を分析する。
サトシの弱点、知識不足が出てきたのとサトシの売りであるスピード重視のポケモンバトルでスピードが上回られてしまったとなるが、オーキド博士はサトシは決してそれだけじゃないとなる。
「スピードじゃ勝てないならパワーだ!ケンタロス、君に決めた!」
「ブモォオオオオ!!」
「……来たか」
サトシのポケモンは未進化なのが多い。進化の意思をポケモンに委ねていて中には拒む個体もいる。
だからサトシは体重が軽くて素早いポケモンでの戦闘が得意になってしまった。進化していないポケモンを使っているからどうしてもパワーが足りない。
だが、ケンタロスは進化そのものをしないポケモンであり進化しているポケモンとスピードとパワーで勝負する事が出来る。
「……ライチュウ、戻れ」
俺はモンスターボールを取り出してライチュウを戻す。
「あの子、今、いい感じじゃないの?」
「確かにこのままライチュウでの戦闘もありといえばありですが、サトシは確実にリザードンを登録しています。もし万が一が起きる場合はリザードンから起きると予測しているのでリザードンを確実に倒せる戦力を残しておきたいのです」
「なるほど……」
俺の持っているポケモンにエレキメイカーのポケモンは居ない。
エレキフィールドを展開するのにどうしても一手使ってしまう。エレキフィールドを展開している間はライチュウで無双した方がいいんじゃないの?と試合を見ているお袋は疑問を抱くのだが、万が一を警戒し俺は戻した。
「いけ、コノヨザル!」
「ブギャア!」
「コノヨザル……オコリザルが進化した感じか?……ってことはかくとうタイプか!」
「コノヨザル、ビルドアップ!」
「ケンタロス、とっしんだ!」
俺の持っているポケモンはシゲルほどにレパートリーがあるわけじゃない。
この大会開催中にゲットした事になるポッチャマを除けば19体でコノヨザルやアローラライチュウの知識を手に入れる機会は確かにあるがサトシはそこを怠った。
ケンタロスはとっしんをかましてくるが、コノヨザルを通過しただけだった。
コノヨザルは深呼吸をして攻撃力と防御力を高めている。
「まさか、ゴーストタイプ!?」
「お前のポケモンの方向性は見えてんだよ」
コノヨザルを選んだのは偶然じゃない。
サトシのポケモンは自分のタイプ+ノーマルタイプの技を覚えている傾向にあり、それ以外のタイプをあまり覚えないしサトシ自身が沢山の技でなく技の精度を意識しているかどうかは知らねえが重点的に鍛えている。
幅広い技のレパートリーより技1個の精度や応用技術に特化している。
だからみずタイプのポケモンならば大抵は覚えていてくさタイプ対策の定番であるれいとうビームとか覚えてないのは普通にある。
自分のタイプとノーマルタイプに偏っているならば、ゴーストタイプであるコノヨザル、ゲンガー、ヒスイゾロアークが刺さる。
「お前のケンタロスは30体居て常に走り回っている。トレーニングを怠ってねえから基本性能は高水準なポケモンだが、お前自身が使いこなせてねえ!」
「いや、まだだ!ケンタロスにはコレがある!じしんだ!」
「ビルドアップ!」
しねんのずつきが飛び出してくると思ったが、ケンタロスはじしんを飛ばした。
それがあんだったらライチュウの時に出せよと思ったが言わずにビルドアップを積ませる。サトシの奴、30体ケンタロスを持ってるからいかく個体といかりのつぼ個体とちからずく個体の3つとも持っているから特性に関する対策が出来ねえ。
こいつはなに個体だ?
「コノヨザル、ドレインパンチだ!」
「ブギャ!」
コノヨザルはケンタロスを殴る。
これでも結構育てていてビルドアップ2回積んでるから通じるか?と思ったが、結構体力があるのかケンタロスは直ぐに起き上がる。
サトシは変化技をあんまり使わねえから、ちょうはつは殆ど意味無い。ケンタロスはノーマルタイプだからふんどのこぶしが通じない。技の枠が2つ開く……となれば……
「コノヨザル、ステルスロック!」
ステルスロックを使う。
「ケンタロス、じしんだ」
「ブモォ!」
「まずい!戦い方が単調になっている!」
コノヨザルがステルスロックを使ったので大きな隙が生まれる。
自慢のノーマルタイプの技は通じない以上はじしんに頼るしかない。しかしそれだととタケシは攻撃が単調になっている事に気付いた。
「ブギャ!」
「アレを受けても倒れないのか!?」
コノヨザルにじしんが直撃したが起き上がる。
今のはいい一撃だとサトシは思っている……実際にいい一撃だ。
「倒れないんじゃなくて、起き上がってるのに気付かないなんて……」
既に2回、じしんを受けている。
ケンタロスのパワーならば倒せる可能性があったが、ビルドアップで防御力を上げた。そして1回目のじしんを受けた後にドレインパンチで攻撃したことでコノヨザルは体力が回復している。普通の状態ならばコノヨザルは倒されていたがビルドアップとドレインパンチに救われた。
「コノヨザル、ドレインパンチ!」
「ブギャア!!」
コノヨザルはケンタロスの額に向かってドレインパンチを叩き込む。
ケンタロスはドレインパンチが直撃すれば倒れた。
「ケンタロス、戦闘不能!コノヨザルの勝ち!……サトシ選手のポケモンが先に3体尽きた為に5分間のインターバルに入ります!」
「審判、俺はコノヨザルで続投するからボールには戻さねえ!大会規約ではステータス上昇系等のボールに戻せば効果が切れる物を継続させたい場合は出しっぱなしはありとなっているからありだよな?」
「はい!可能です!」
「コノヨザル、戻ってこい」
「ブギ」
ビルドアップを2回積んで2回攻撃を受けた状態のコノヨザルは戻したくない……
「磨けば光るが磨いてこなかったツケか」
5分間のインターバルで試合を頭の中でおさらいする。
こっちは未来知識とかゲーム知識を利用してのポケモンバトルをしている……サトシに確実に勝っていると言える部分は知識だからな。それを活かした戦術を取るのは極々普通だ。
俺はライチュウとコノヨザルだけで3体抜きをしたがおそらくはハマッたんだろう。
潜在能力はどうかは知らねえが基礎スペックはアローラライチュウの方が上位互換なのは当然だ。サトシの得意なスピード重視のバトルでサトシを上回った……サトシと真剣勝負の場で戦ったのは初だが、サトシは磨けば光るの段階で止まっている感じだった。
原作知識から考えてサトシが歪な成長をしてきたのは色々とあるからな……とは言え、他人の心配してる暇はねえ。
リザードン♂ LV52
コノヨザル♂ LV49
ニドキング LV51
ライチュウ♂(アローラの姿) LV53
ラプラス♀ LV48
ニンフィア♀ LV50
フーディン♂ LV52
ゾロアーク♂(ヒスイの姿) LV48
ルカリオ♂ LV69
ドサイドン♂ LV49
ゲンガー♂ LV51
ポリゴンZ LV49
メタモン(色違い) LV55
プテラ♂ LV54
トゲキッス♀ LV46
ミュウツー LV72
ラティオス LV60
クワガノン♀ LV48
キュウコン♀(アローラのすがた) LV46
ポッチャマ♀(色違い) LV1