アトリエ人狼2nd   作:綾海しろ

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アトリエ人狼2nd:七日目の昼時間

【あやみ(GM)】

「七日目の朝になりました。広場に出ると、そこにはユーガの無残な死体が発見されました」

 

【レイ】

「リアリィ……?」

 

【あやみ(GM)】

「しかし村の活動を何とか維持しようと、今日もパン屋はパンを焼き、郵便屋は新聞を配達し終えたようです。ちなみに今日のパンはふわっともちもちな米粉パンです。一番いい焼き加減で焼いてあります。村人たちはお互いを信じあい、自分勝手な愛を育む恋人達の言い分に騙されないようにしながら、力を合わせて人狼を探し出しましょう! 七日目スタート!」

 

【ホタルビ】

「今日のパンは米粉パンですか。クロム様の言っていた通りのパンが出てきましたね。これはやはり、クロム様がパン屋という事でしょうか?」

 

【あかすみ】

「チッチッチ。甘い甘~い! がっつり砂糖でコーティングされたクィニーアマンよりも甘いですよ! そのパンを焼いたのは俺ちゃんです。あんまりクロムが米を所望しているようでしたから、仕方なく米粉でパンを焼いてあげただけですよ。どうせ偽物のパン屋はいつか吊られる運命です。餞別に一回ぐらい好物のパンを焼いてあげるぐらいの慈悲は俺ちゃんも持っていますよ」

 

【クロム】

「フッ……偽物は口だけはよく回る。後で夜のログを読んでみろ。俺は一日目の夜から米粉パンを焼こうとしていた男だぞ。あかすみのように昨晩さも思いついたかのように米粉パンを仕立てた訳ではないッ! 村のパン屋を舐めるなよッ!」

 

【ラーヒー】

「しかし現時点でそのログを読むことはかないませんからねぇ。あとは村の皆さんが誰を信じ、誰を裏切るのか……私は神の目線から、高みの見物を決め込もうと思います」

 

【あざらし】

「そや、ラーヒーだけは恋人の正体わかっとるんか。こいつの上から目線、めちゃくちゃ腹立つわぁ……」

 

【あかすみ】

「それだけは同意。マジでムカつきますね。今日はいろいろ考えたんですが俺ちゃんはラーヒー吊りに一票入れようかと思ってますよ」

 

【ホタルビ】

「それに関してなのですが、ホタルビもあかすみ様の意見に同意します。昨日は偽郵便屋であるアザラシ様を吊りたいと思っていましたが、どうやら今日恋人を吊ってしまうと、村人にとって分が悪いようですので」

 

【クロム】

「それは俺も夜時間に考えていた。夜に恋人を吊り、道連れでもう一人恋人がいなくなると、襲撃先によっては明日のメンツが狼一人・村人一人になってしまう可能性があるからな。そうなってしまってはもう、村人達でこの村を守り切るのは無理だ。村の行く末を人外の票に任せる形になるのは俺のプライドが許せん」

 

【アザラシ】

「せやけど今日ラーヒーを吊ったとして、結局のところは狼はんの噛み先次第で結果は変わってきはるのよな」

 

【あかすみ】

「それはそうでしょう。人狼だってここまできたら生き延びる事に必死でしょうからね。ですが俺ちゃんはいつ襲撃されても問題ありませんよ! まだパン屋スキルの襲撃回避が一回分残っていますから。いつでもかかってこいよ人狼」

 

【クロム】

「……フッ。パン屋風情が虚勢を張りおって。本物のパン屋であるならば、むしろ今晩自分が襲われるなんて発想はまず持たないはずだ。狼だってこのタイミングでのGJは怖かろう。今日狙われるのは郵便屋以外にあるまい」

 

【アザラシ】

「クロムはん、この土壇場に来てキレッキレな発言やなそれ。少し白目でみておくわ」

 

【ホタルビ】

「ですがあかすみさんの襲撃懸念のなさも、それはそれでパン屋足りえます。お二人とも大変パン屋としての立ち振る舞いが上手く、ホタルビ目線なかなか見分けがつきませんね……」

 

【あかすみ】

「それを言ったら俺ちゃん目線も同じですよ。ここまで残ったメンバーという事もあって、なかなか郵便屋の真贋はつきません。今もホタルビはアザラシと一緒にクロムの発言に同意するかと思いましたが、ちゃんと対抗が賛同しているものを俯瞰して見て、別の可能性もあるという視野の広さを見せつけました。ここ、ホタルビの白要素ですよ。かといってアザラシの着眼点もけして悪くはありません。俺ちゃんとした事がなかなか判断に苦しみます」

 

【アザラシ】

「まぁワイは本物の郵便屋や。見習い騎士はんのGJスクープは取り損ねてしもたから、せめてこの村が勝利を収めた姿は撮って号外発行したいねん」

 

【ホタルビ】

「いいえ、郵便屋はホタルビです。アザラシ様ではございません」

 

【クライン】

「ボクもいるんだけど、無視しないでくれるかい? 本物の郵便屋はボクだよ。だからこそ偽物であるホタルビさんとアザラシさんのラインはとても怪しいと思うね。二人ともバラバラな所を責めながら、二人一緒に結託して生き残ろうとしてるように見える」

 

【アザラシ】

「クラインはんはスマンの、狼目やから今日はお呼びでないんや」

 

【ホタルビ】

「厳しいことを言うようですが、クライン様は最終日に生きていれば処刑すればいいとホタルビは思っておりますよ」

 

【アザラシ】

「これに関してはワイも同意や」

 

【クライン】

「みんながボクを黒目で見ている事はよくわかってるよ。でも今のホタルビさんの発言、少しおかしくないかい?」

 

【ホタルビ】

「何かホタルビの発言に、可笑しなところがありましたか?」

 

【クライン】

「ボクには凄くおかしなことを言ってるなと思う部分があったよ。皆は本当に気づいてないのかい? この圧倒的に村人が不利なこの状況で、村人の力だけで勝利を勝ち取れるほど環境が整っているわけでもない。そんな中でどうやって村人がいつ「最終日」を認識できるっていうんだい」

 

【クロム】

「ふむ……」

 

【クライン】

「郵便屋であるボクは、今日の吊りでこの村が終わるのか、明日の吊りでこの村が終わるのか、それとも狼からの襲撃でこの村が終わるのかなんて確証が持てない。どれも恋人が吊れるかどうかと、狼の襲撃先によってパターンが細分化されていくからさ。それなのに軽率に「最終日に狼目である所を吊ればいい」と思える、その根拠は一体なんだい? 誰がいつ、今日が、明日が最終日であるとわかるんだい?」

 

【あかすみ】

「なるほど。クラインが言いたいことが少しわかった気がします。最終日を確実に予言できるのは少なくとも村人ではない……人狼かキューピットである、という事ですね?」

 

【クライン】

「ああ、そうさ。現にボクはこの村が今日終わるんじゃないかってずっと手に汗を握っている」

 

【ホタルビ】

「それは言葉の綾です! 村人が勝てる可能性がほんの僅かでもあるパターンを考えた時、どうするのが最善の手かを考える……それがホタルビの人狼騒動の収め方です。正直もう、この村にはほとんど救いがないのかもしれません。それでも、ホタルビはそこにひとかけらの希望が残されているのなら、全力でその道を進みます!」

 

【アザラシ】

「その希望が残されとるっちゅールートだと、自然と狼目を最後に吊るしかないんや。今日が最終日だと思えたその時に。それはワイも一緒やで」

 

【ラーヒー】

「…………なんだかふわっと意見が割れ、ラインが見えたような気がしますねぇ。さぁ、今日の処刑はどうするんですか? 私はこのまま、明日も地上に居ても許されますか?」

 

【クライン】

「ボクは反対だよ。今日はラーヒーさんを吊る日だ。村人が勝つためには、今日恋人だけは吊っちゃいけないからね」

 

【クロム】

「あかすみやホタルビも言っていたな。今日はラーヒー、お前を吊るのが村にとっての最善だ。たとえ狼の噛みに明日の結果を委ねる形になろうとも……だ!」

 

【ラーヒー】

「そうですか。いやぁ~安心しましたよ。これでやっと私も墓下に行って恋人達に加護を使えるというものです」

 

【ホタルビ】

「そういえば加護……そんなものがありましたね」

 

【あかすみ】

「ラーヒーを吊らないでおけば、明日恋人が生きていた場合おそらくパワープレイで村の負けです。ですが今日墓下に落としてしまえば、狼の噛み先次第でGJが出る可能性がある……俺ちゃん達が取れる道は二つに一つです」

 

【アザラシ】

「せやかて今日間違えて恋人を吊ってしまえば、結局ワイたち村は負け確やろ?! 狼を吊っても村の負けやし、今日の村人にはもうラーヒー以外吊り先はない」

 

【クライン】

「苦渋の決断になるけれど、そうするしかないんだ。手数的にも」

 

【ホタルビ】

「そう言う事に、なりますね……」

 

【クロム】

「偽物がいるとわかっているのに吊れぬのは不快ではあるが、致し方あるまい」

 

【ラーヒー】

「ようやく私を吊る決心をしてくださいましたか、嬉しいですねぇ! そうと決まればさぁ! さぁ! さぁ!」

 

【クロム】

「待て、まだ時間はある」

 

【クライン】

「せめて余った時間を使って、もう一度不備がないかだけ確認しておこうよ。今日ラーヒーさんを吊ったら、夜に襲撃が入るはず。おそらくパン屋は狙われないだろうから、ボクかホタルビさんかアザラシさんが襲撃を受けるだろうね」

 

【ホタルビ】

「この三人の中に恋人がいらっしゃれば、今晩はラーヒーさんによる愛の加護を受けている可能性があります。その場合は明日、ラーヒーさんを除いた全員がまたそろっている形になりますね」

 

【あかすみ】

「狼の噛み次第ですがその可能性は高そうですね。その場合、俺ちゃん・ホタルビ・クライン・あざらし・クロムの5人が残る形になりますよ」

 

【クロム】

「奇数ならば投票時票が割れて決戦になったとしても、必ず決着がつく。悪くはないな」

 

【ホタルビ】

「そうですね。もし加護をつかっていなかったり、恋人以外が襲撃された場合は恋人二人と、狼一人、村人一人の4人での戦いになると思います」

 

【アザラシ】

「そっちのほうが厄介やな。恋人は2票まとめて票を入れられるんやろ? しかも村人と狼が手を取り合う事は難しいで。二人で恋人を吊ったとしても、夜の襲撃で村人がやられてジ・エンドや」

 

【あかすみ】

「パン屋を残しておくことも考えましたが、結局生き延びても翌朝には狼一人とパン屋一人で同数になり、村の負けですか……しんどいですねこれ」

 

【クライン】

「狼頼りでしか村に勝機がないのがこれでわかってもらえたかい? だから村人が最終日だと確信してボクを吊ろうとするのは無理だよ。キミ達がボクを人狼だと思っている限り、ボクはもうどんな事があっても吊れない。そう思っておいたほうがいい」

 

【クロム】

「む…………」

 

【クライン】

「……でも、僕は郵便屋だ。もしボクの真目をほんの少しでもいいから考えてもらえたら。その時はボクも前向きに、その人が村人かもしれないと考える事ができる気がするよ。ボクはこの村に勝利をもたらしたいんだ。だから最後まで諦めないよ。どうか本物のパン屋の人だけは、ボクの事をほんの少しだけ、信じてみてほしい。頼むよ」

 

【あやみ(GM)】

「昼会議終了。投票に移るわ」

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