名探偵と怪盗、そして番長   作:猫屋ノン

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プリキットミラールーペ

「悠さん…」

 

「立てるか?二人とも」

 

「う、うん…悠さんも動いて大丈夫なの?」

 

「ああ。もう大丈夫だ」

 

「そっか…その刀は?」

 

「あの時折れた模造刀を、ジェット先輩がプリキットに改造してくれたんだ。ハイカラだろ?」

 

「う、うん…(ハイカラというより、可愛いじゃないかな?)」

 

頭に包帯は巻かれているものの、当の本人は動けるくらいには回復しているようだ。だがそんな悠に対し、ミスティックは未だ罪悪感を拭い切れていないようだった。

 

「悠さん…その…私!」

 

謝罪の言葉を口にしようとしたミスティックだったが、その前に悠がミスティックの口を人差し指でそっと抑える。

 

「謝るのは俺の方だ…ごめん」

 

「そんな!だって悠さんが怪我をしたのは…」

 

「そもそもの原因は、お前の気持ちに気づかずに注意した俺なんだ。だからミスティックが負い目を感じる必要なんかない」

 

そう言って悠はミスティックの頭にそっと手を置き、優しく撫でた

 

「っ…悠さん…悠さぁん…!」

 

オカン級と言っても良い悠の寛容さに触れ、これまで抱えていた気持ちが溢れ出したのか、ミスティックは悠に抱き着いて彼の胸の中で泣きじゃくっていた。

 

「友情ごっこは後でやるんだね!」

 

「ハンニンダァー!!」

 

ハンニンダーが悠とミスティックに攻撃を仕掛けてくる。

 

「アンサーアターーック!!」

 

そんなハンニンダーの攻撃をアンサーが弾き飛ばした。

 

「ば、馬鹿な!もうそんな力は残ってない筈だ!?」

 

「…悠さんとミスティックの邪魔は、絶対に許さない!」

 

そう告げるアンサーからはこれまで蓄積されてきたダメージを感じなかった。

 

すると悠が着ていた上着がゴソゴソと動き始めた。

 

「ポチ!」

 

「「ポチタン!?」」

 

彼の上着から飛び出してきたのはポチタンだ。

 

「ポチタン。二人に渡したい物があるんだよな?」

 

「ポチ!」

 

ポチタンは二人にある物を渡してきた。それはプリキュアの危機を救うという例のプリキットだった。

 

「これって…」

 

「プリキット…?」

 

「それを使えるかどうか…後はお前達次第だ」

 

そう言って悠はニジーとハンニンダーの元まで歩いて行った。

 

「待たせて悪いな…ここからは俺が相手だ」

 

「…いい加減にしてくれないかな?毎度毎度僕の邪魔をして…一人じゃハンニンダーを浄化する力もない癖にさぁっ!!」

 

悠を忌々しそうに睨みながらそう口にするニジーは段々と語彙が強くなっていった。そしてハンニンダーが悠に向かって突っ込んでいった。

 

「僕はねぇ!君の様に綺麗事を吐く奴が!大っ嫌いなんだよぉっ!!

 

悠は取り乱す事もなく、頭に巻いていた包帯を取ってハンニンダーを見据えていた。

 

 

 

 

---------------------

 

 

 

 

時は悠が気を失っていた頃まで遡る。

 

「お待ちしておりました…」

 

眠っていた悠の意識はベルベットルームの中にあった。

 

「あなたにとってはご存じの事だけれど、あなたのワイルドの力は複数のペルソナを使役するだけではないわ」

 

マーガレットが言っている言葉の意味。当然悠にはそれがわかっていた。

 

「ああ…頼む、イゴール」

 

悠がイゴールにそう口にすると、イゴールの目の前に二枚のタロットカードが現れた。一枚は『刑死者』のアルカナ、もう一枚は『正義』のアルカナが描かれていた。

 

 

 

 

 

 

そして、二枚のタロットカードは一つに交わったのだった。

 

 

 

 

---------------------

 

 

 

 

ハンニンダーが地震に向かってくる中、悠の目の前に『女教皇』のアルカナが描かれたタロットカードが降り注いできた。

 

「…もし俺が、この1999年に来た理由があるとすれば」

 

(1999年に来た…!?)

 

悠が口にした『1999年に来た』という単語をニジーは聞き逃さなかった。

 

「それは…怪盗団ファントム(お前達)に奪われた真実を取り戻す為だ!名探偵プリキュアと一緒に!!」

 

そう宣言したと同時に悠はタロットカードが握り潰した。召喚されたペルソナは妖精のような姿をしていた。

 

「行け、ハイピクシー!!

 

悠は女教皇のペルソナ・ハイピクシーをハンニンダーに向かわせた。ハイピクシーのジオダインでハンニンダーはダメージを負った。

 

「負けるなハンニンダー!僕にはもう後がないんだぞ!?」

 

「ハンニン…ダァーーー!!」

 

ハンニンダーは痺れている身体に鞭を打ち、ハイピクシーに攻撃を仕掛けるがそれが当たることはなかった。この間にハイピクシーが自身にスクカジャというバフ技をかけて回避率を上げたのだ。スクカジャによって命中率も上がった為、ハイピクシーはすかさずもう一発ジオダインを命中させた。

 

「…凄いね、悠さんは」

 

「うん…」

 

「…ミスティック」

 

アンサーはミスティックを見る。

 

「さっき、1999年に来て心細い、不安でしょ?って言ってくれたよね?」

 

(なに…!?)

 

アンサーの言葉をニジーは聞き逃さなかった。

 

「だけど私、もう平気だよ!だって…私の中には悠さんとみくる、二人がいるから!」

 

「…えぇ!私の中にも…悠さんとあんながいる!」

 

「「私達は、独りじゃない!!」」

 

そう言って二人は手を繋ぎ、プリキットを掲げた。

 

「「オープン!プリキットミラールーペ!」」

 

「ポチ~!」

 

ポチタンのリボンから二つのマコトジュエルが現れ、アンサーとミスティックははそれを手に取ってミラールーペに装着する。

 

「見て!」

 

「感じて!」

 

「「謎を解く!」」

 

「「これが私達の、アンサーだぁっ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「プリキュア・フライングスペクトル!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人が放ったビームは鳥のような姿になり、ハンニンダーを貫いた。

 

「「キュアっと解決!」」

 

ハンニンダーは浄化され、元のツバメ像に戻った。

 

「ポチポチ!キュアキュア~!」

 

マコトジュエルも無事にポチタンのリボンの中に吸い込まれていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは怪盗団ファントムのアジト。この場にいるのはるるか、マシュタン、アゲセーヌ、ゴウエモン、舞台に立たされているニジー、そして仮面で素顔を隠している男だった。

 

この男こそ怪盗団ファントムの首領、ウソノワールである。

 

「お前の役目は終わった」

 

「ヒィッ!?」

 

ウソノワールの一言でニジーは恐怖で声を漏らしていた。

 

「行くがいい…奈落の底へ…」

 

するとニジーが立っていた舞台が突如堕ち始めた。

 

「ウ、ウソノワール様!お待ちくださいっ!とっておきの情報があります!プリキュアの一人、キュアアンサーとペルソナ使い、鳴上悠は1999年に来たと言っていました!」

 

「なに…?」

 

ニジーを奈落へと堕とそうとしていた舞台は動きを止める。

 

「おそらく、あの二人は違う時代から来たのです!」

 

「…未來自由(ミラージュ)の書にも記されていない…まさか…!」

 

ウソノワールは自身のそばに置かれている書物を見ながら、動揺を隠せていない様子だった。

 

「るるかの推理通りね」

 

そんな中、マシュタンがるるかに小声でそう言っていた。るるかは既に悠本人からタイムスリップしてきたと聞いていたが、ある出来事がキッカケでキュアアンサー…あんなも未来人ではないかという確信を持っていたのだ。

 

ある出来事というのは数日前、悠達がインテリアを買いに行っていた時だ。あの時のやり取りからあんなは悠がいた2012年より更に未来から来たのだと推理していたのだ。

 

ひとまずニジーの処分は不問とされたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、探偵事務所の中庭にあんなとみくるの姿があった。

 

「ごめんねあんな。急に呼び出して…」

 

「いいよ。どうしたの?みくる」

 

「…あの時の答えを、あなたに聞かせたくて…」

 

みくるは少し深呼吸をし、自身の想いをあんなに話した。

 

「私は…悠さんの事が好き。大好きだよ」

 

「…うん、知ってたよ」

 

「えぇっ!?」

 

みくるは自身が抱く悠への恋心をあんなに明かしたが、当のあんなは特に狼狽える様子はなかった。

 

「みくるに自覚がなくても、私にはなんとなくわかってたんだ。みくるは悠さんの事が好きなんだって」

 

「うぅ~…私ってそんなにわかりやすいのかな…?」

 

みくるは顔を真っ赤に染めながらそう呟く。

 

「…あんなは良いの?あんなも悠さんの事が…」

 

「好きだよ。だからこそ、悠さんを譲るつもりはない。ライバルがみくるでもだよ」

 

「わ、私だって、悠さんを譲るつもりはないよ!私の方が悠さんの事が好きなんだから!」

 

「むぅ…私の方がもっと大好きだもん!大大大大好きだよ!」

 

「ぐぅ…私の方が大大大大大好きだもん!」

 

あんなとみくるは頬を膨らませながら睨み合う。

 

「「…アハハ!」」

 

それから二人は同時に笑い合ったのだった。




最後のくだりでみくるに『大大大大大好き』と言わせたかった…それだけです!
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