早く追いつきたいっス…!
『決めつけちゃダメ』…この一言を発したしるくは悠司達に語り掛けていた。
「私ね、今は高校に通いながら芸能活動をしてるの。でも、最初は事務所の社長や両親に凄く心配されたんだ。仕事をしながら高校へ行くのは難しいって…でも、私は両方やりたかったの。大好きな仕事もやりたいし、高校で友達と過ごす時間も大好きだから!」
「しるくさん…」
「確かに両立はすごく大変だけど、頑張ってやってるよ。だからあなた達も、探偵を頑張ってほしいな…ダメかもって決めつけないで。あなた達の助手君も心配しちゃうよ?」
「…決めつけちゃダメ、か」
「…そうだね!諦めたら、事件だって解決しないしね!」
「うん!その意気だよ!」
どうやらあんなとみくるは自信を取り戻したようだ。
「決めつけちゃダメ…良い言葉ですね」
「ありがとう!…さっきはごめんね、悠司君も何か言おうとしてくれてたのに…」
「いえ、しるくさんの言葉の方が二人に効果的でしたから。だから礼を言うのは俺の方です。ありがとうございます」
「…うん。どういたしまして。それとね…」
「はい?」
悠司は自身を手招きしているしるくの元へ行き、彼女から小声である事を言われた。
「…それじゃあ、頑張ってね!」
「は、はい…」
それから悠司達は控室を後にした。
「ねぇ悠司君、さっきしるくさんになんて言われたの?」
「私も気になる!」
「…黙秘する」
「あっ!それズルいです!」
「はなまる気になるよ~!」
二人が反論する中、悠司は先程しるくから言われた言葉の意味を考えていた。
『ちゃんと向き合ってあげてね。あんなさんとみくるさんの気持ちに…』
(あんなとみくるの気持ちと向き合う…どういう意味なんだ)
悠司自身は二人と上手くやっていると思っている。だが、しるくの一言にはちゃんと意味があるのだろうと考えていた。
(二人の気持ち…尊敬…友情…どれも違う気がする…)
思考を巡らせる中、悠司の脳裏にはある少女の顔が浮かび上がってきた。
久慈川りせ。今朝も少し話題に上がった少女だ。
りせは周りが見てもわかるくらいには悠司…悠に好意を抱いており、彼に猛アピールを続けていた。少なからず悠も、彼女が自身に好意を抱いていることに気づいていた。悠が地元に帰る前にも「先輩!愛してるーー!」と、大胆な告白もしているので、あれで気づかないのは無理があるだろう。
ちなみに八十稲羽に居た頃の悠に好意を抱いていたのはりせだけではないが、彼女程アピールをしていなかった為に悠はそれに気づいていなかったりする。
(そういえば、ここ最近の二人はどこか様子が変だった気がするな…急に顔を赤くする時もあるし…もしかして、二人は…)
「悠司君?」
すると悠司の目の前にあんなとみくるが顔を近づけてきた。
「大丈夫ですか?」
「…ああ、大丈夫だ」
「それなら良いんですけど…何か悩みがあったらすぐに相談してくださいね!この名探偵みくるに!」
「あっ!みくるだけはなまるズルい!私にも相談してね、悠司君!」
「…わかった。その時は頼むよ(考えるのは、また今度だな)」
それから三人は教室へと戻っていったのだった。
あれから何日かが経ち、いよいよ新入生歓迎会の日がやって来た。悠司も生徒会の一員として歓迎会の準備を進めていた。
「悠司、お疲れ様」
「ああ、れいもお疲れ」
一通りの準備を終え、一休みしていた悠司にれいが労いの言葉をかけてきた。
「聞いたよ。この前家入さんと話したんだって?」
「ああ。あんなとみくるもな」
「…ねぇ、悠司は家入さんの事、どう思ってるの?」
「どう?…芯が強い人だと思ってるよ」
「芯が強い?」
悠司は先日しるくから言われた事をれいに話した。
「高校に行きながら仕事…確かに芯が強いね。ちょっとだけ羨ましいかも…」
「いや、れいだって芯が強いだろ?」
「そ、そう?…嬉しい」
そう口にするれいの頬はほんのりと赤く染まっていた。
「何か言ったか?」
「う、ううん!何でもない!」
「「悠司君!!」」
そんな中、あんなとみくるが生徒会室へと入ってきた。二人の傍には一人の女子生徒の姿もあった。
「明智さんとみくるさん…それに演劇部の小藤さん?」
「どうかしたのか?」
「「事件だよ(です)!!」」
あれかられいと別れた悠司はあんな達と一緒に演劇部の部室へ行き、そこでなにがあったか聞いていた。
「劇で使うドレスが失くなった…」
「あぁ…私が目を離したばっかりにぃ…!」
「君のせいじゃない」
「そうだよ!小藤さんは何も悪くない!」
「…演劇部の皆さんは劇の準備を!」
「ここは私達、キュアット探偵事務所に任せて!」
「…私にも協力させて!」
悠司達が捜査を始めようとした時、この場にいたしるくが協力させてほしいと頼んできた。
「そんな!しるくさんにご迷惑をかけるわけには…!」
「私も、演劇部の一員として力になりたいの!お願い!」
「…わかりました。二人も良いよな?」
「うん!」
「ありがとうございます、しるくさん!」
こうしてしるくを加え、悠司達はさっそく聞き込みを始めた。
小道具担当の小藤はドレスをハンガーにかけ、5分ほど小道具を取りに外へ行き、戻ったらドレスが消えていたそうだ。りえと部長の大森はその間発声練習をしており、演劇部の部員達には明確なアリバイがあった。
次にスタッフの方だが、ドレス紛失の際にカメラマンの大和田は撮影した映像のチェックをしており、ディレクターの榊原は撮影の段取りを確認、しるくのマネージャーの安藤は仕事の電話をしていたそうだ。
「三人とも、仕事をしていましたね…」
「…だが、部室にいたのはあの三人だけ…演劇部にアリバイがあった以上、あの中に犯人がいる可能性が高い」
「本番開始まで、あと10分です!」
そこへりえと大森が慌てながらやってきて、本番まであと10分と告げてきた。
「もう時間がないな…」
「…ここは私に任せて!」
「え?」
あれからしるくが体育館の舞台上で時間稼ぎをする事になり、その間に悠司達がドレスを探すことになった。
(そもそも犯人はどうやってドレスを持ち出したんだ?そのまま持っていけば誰かに見られるリスクが高すぎる…待てよ?そういえば…)
何かを思い浮かんだのか、悠司はすぐさまあんなに話しかけた。
「あんな、あの三人の近くでやってほしいことがある!」
そう言って悠司はあんなとみくるに耳打ちをする。
「…わかった!オープン!プリキットボイスメモ!」
あんなはボイスメモを取り出し、榊原、大和田、安藤が通りかかったタイミングでボイスメモのボイスチェンジャー機能を起動させる。
『お知らせします。紛失したドレスが無事、見つかりました』
あんなはボイスチェンジャー機能で声を変え、三人の近くで校内放送しているかのようにそう言った。三人が安心している中、一人だけ不自然な動きをしている者がいた。
「「…見えた!これが答えだ!!」」
「…よし、行くぞ!」
「どこへ行くんですか?」
校舎を出た悠司達三人はある人物に話しかけていた。
その人物は、ディレクターの榊原だった。
「…ああ、ちょっとね…もう良いかな?」
「すぐに済むので待っててもらえませんか、榊原さん…いや、怪盗団ファントム」
悠司は榊原…否、ファントムの何者かを指差した。
「私達、見たんです。ドレスが見つかったって放送された時、あなたが咄嗟にズボンの裾を見ていたのを」
「ほら、見えてますよ…ドレスが!」
「あっ…!」
彼は慌てながらドレスを隠していたが、既に手遅れだった。
「ドレスは服の下に着ない!」
「ドレスを着るのは女の子!そんな思い込みを疑っていたら、答えが見えた!」
「しるくさんが教えてくれたんだ!」
「「決めつけちゃダメだって!」」
「さぁ、正体を見せろ」
「…もうっ!マジチョベリバ!」
そう言ってメイクをしながら変装を解き、現れたのはアゲセーヌだった。
「見破られるなんて、マジムカつくんですけど!」
「アゲセーヌ!」
「今回はお前か」
「噓よ覆え!チョベリグにしちゃって、ハンニンダー!」
「ハンニンダァーーー!!」
アゲセーヌは盗んだドレスをハンニンダーへ変えた。
「行くぞ!」
「「うん(はい)!」」
悠司の掛け声と共にあんなとみくるはプリキュアに変身し、悠司もイザナギを召喚した。
「「「ハァーーーッ!!」」」
アンサーとミスティック、イザナギはハンニンダーに攻撃をするが、ハンニンダーが高速回転をして三人諸共吹き飛ばした。そんな中イザナギが地面に落ちる前にアンサーとミスティックを受け止める。
「ありがとう!」
「あの回転、凄く厄介ね…!」
「それなら…チェンジ!」
イザナギはタロットカードへと戻り、その場に『女帝』のアルカナが描かれたタロットカードが現れた。
「スカディ!!」
召喚されたのは女帝のペルソナ、スカディだった。
「ブフダイン!!」
スカディのブフダインでハンニンダーはあっという間に凍り、動かなくなってしまった。
「今だ!」
「「うん(はい)!」」
「「オープン!プリキットミラールーペ!ポチタン!」」
「ポチ~!」
アンサーとミスティックはポチタンからマコトジュエルを受け取り、それをミラールーペにセットした。
「見て!」
「感じて!」
「「謎を解く!」」
「「これが私達の、アンサーだぁっ!!」」
「「プリキュア・フライングスペクトル!!」」
「「キュアっと解決!」」
「ポチポチ!キュアキュア~!」
ハンニンダーは浄化され、ドレスとマコトジュエルを無事取り返すことができた。
「ハァ!?いくら何でも早すぎっしょ!もっとアゲに活躍させなよ!」
「活躍も何も、お前もニジーもあまり戦闘には参加しないじゃないか」
「うぐっ!…これがファントムのやり方だし!マジチョベリバ!!」
悠司の言葉に言葉を詰まらせるも、アゲセーヌは反論をしながらこの場から消えていった。悠司達は演劇部にドレスを返し、演劇も無事成功したのであった。
あれから数日後、しるくがコスメ商品を求めてキュアット探偵事務所を訪ねてきたのだが、それはまた別の話だ。
原作だと次は絵の謎を解くという話ですが、あまり原作と変わらない展開になりそうなのでカットします。
つまり次回、いよいよ彼女が本格的に登場します…!