名探偵と怪盗、そして番長   作:猫屋ノン

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二人のタイムトラベラー

「えぇっ!?悠さんも未来から来たんですか!?」

 

「ああ。厳密には2012年から来たから、明智にとっては15年前の過去からだな」

 

結婚式場を後にし、悠はあんなとみくるに自身が2012年の未来から来た事を打ち明けていた。ちなみに悠達がいるのは『マコトミライタウン開発予定地』と書かれた看板が立っている空き地だった。何でも将来、ここにあんなが住む町とタワーマンションが出来るそうだ。

 

「…」

 

「あんなさん…?」

 

一方話を聞いていたあんなは、ダンマリしていた。

 

「…やっぱり、あなたは鳴上先生だったんですね!」

 

「え?」

 

するとあんなは急に笑顔になり、悠に近づいてきた。

 

「あ、明智…?」

 

「若い頃の鳴上先生に会えちゃうなんて、はなまる奇跡だよ!」

 

「あの、本当に悠さんはあんなさんの先生なんですか?」

 

「うん。私嘘吐かないから!鳴上先生は私のクラスの先生だよ。これ見て!」

 

あんながポケットから取り出したのは一枚の写真で、写真には一人の男性が写っていた。年齢を重ねた雰囲気は感じさせるものの、写真に写っているのは紛れもなく悠だった。

 

「俺だな」

 

「悠さんですね」

 

「…ところで明智、どうやってこの写真を撮ったんだ?」

 

「えっ!?…え~っと、それは…」

 

「…あんなさん、もしかしてこれって隠しど…あっ!」

 

あんなは目にも留まらぬ速さで写真をポケットに戻していった。

 

「さ、さーて、これからどうしよっか!?」

 

「…写真についてはそっとしておこう。明智、君の住む場所だが、良い場所がある」

 

「えっ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここだ」

 

「ここって、キュアット探偵事務所じゃないですか!?」

 

「ここって、私とみくるちゃんが出会った場所だ…」

 

「実は俺、今はここに住んでるんだ」

 

「えぇっ!?じゃあ、悠さんはここの名探偵プリキュアだったんですか!?」

 

「そういう訳じゃないんだ。それに、どうもここに名探偵プリキュアはもう居ないらしい」

 

「えっ…?」

 

「居ない…?」

 

「詳しくは中で話すよ」

 

そう言って悠は事務所のドアを開けた。

 

「ただいま、ジェットさん」

 

「おう、おかえり…って、誰だそいつら?」

 

「子供…?」

 

「子供ですね…」

 

あんなとみくるはジェットを見てそう呟いた。

 

「悠みたいなことを言うな!僕は222歳の大人だ!」

 

「彼はジェットさん。探偵道具を作ってて、明智が連れている生き物と同じ妖精なんだ」

 

「「妖精!?」」

 

「…悠、どういう事か説明してくれ」

 

それから悠達はジェットに今日起こった事を説明したのであった。あんなが悠がいた世界より更に未来から来た事、あんなとみくるが名探偵プリキュアになった事を。

 

「えっ!?あんなさん、14歳なんですか!?私ももうすぐ14歳なんです!」

 

「そうなの!?はなまるビックリ!」

 

「ちなみに俺はもう少しで18歳だ」

 

「同い年なら敬語は無し!あんなで良いよ!」

 

「じゃあ私もみくるで良いよ!あんな!」

 

「うん!先生も私の事、あんなって呼んでください!」

 

「わかったよ。なら、俺の事も下の名前で呼んでくれ。俺はまだ君の先生じゃないしな」

 

「…うん!よろしくね、悠さん!」

 

「…ところで、あんなとみくるだったな?このペンダントはどこで手に入れたんだ?」

 

あんなとみくるに訊ねるジェットの目の前には例の懐中時計があった。あんなとみくるによると『ジュエルキュアウォッチ』と言う名前らしい。

 

「小さい頃にお祖母ちゃんから貰ったの」

 

「私の机の上にそのペンダントが置いてあって…そしたら部屋にポチタンが現れたの」

 

「ポチタン?」

 

「あの妖精の事か…あんな、ポチタンは今どこだ?」

 

「…あれ?いない…」

 

すると突然事務所に警報が鳴り響いた。

 

「警報?」

 

「僕の研究室からだ!」

 

悠達がジェットの研究室に入っていくと、そこにはお菓子の山があった。天井のドアが開いていたので、おそらくそこに詰めていた物が落ちてきたのだろう。

 

「ぼ、僕のおやつが~!!」

 

「「凄い量!?」」

 

「発明で頭を使うから、エネルギーが必要なんだよ!」

 

「ポチ~!」

 

するとお菓子の山からポチタンが出てきた。

 

「ポチタン!そこに居たんだ!」

 

「お前は…時空の妖精!?」

 

「時空の妖精?」

 

ジェットが言うには、ポチタンは時空の妖精というとても珍しい妖精らしく、時間と空間の移動が出来る様だ。ポチタンの力を使えば悠とあんなはそれぞれ元居た時代に帰れるかもしれないらしい。

 

ただ現在のポチタンは力を使い切って赤子になっている為、今のままでは元の時代に帰れないだろうとジェットは判断していた。

 

「マコトジュエルがあればな…」

 

「マコトジュエル…」

 

「真実の力が秘められた宝石だ。だけど、そう簡単に見つけられるものじゃない…」

 

「それならあるぞ」

 

「だろうな。そう簡単には…あるのか!?」

 

「これの事だよね?」

 

あんながジェットに見せたのは先程手に入れたマコトジュエルだった。

 

「ま、間違いない、本物だ…!」

 

「さっき、怪盗からティアラを取り戻した時にあんなが拾ったんだ」

 

「ポチ~!」

 

「あっ…」

 

するとあんなが持っていたマコトジュエルはポチタンの首元にあるリボンに吸い寄せられ、この場から消えてしまった。

 

「ポチポチ、ポチ~!!」

 

「力が、戻る…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ポチ~」

 

ポチタンはミルクを飲んでご満悦の様だ

 

力が戻るかと思われたが、どうやら一個だけでは力を取り戻せなかったようだ。

 

「戻ってな~い!!」

 

「もっとマコトジュエルが必要みたいだな…」

 

「…じゃあ探そう!」

 

「…でも、もうこの事務所に名探偵プリキュアは…」

 

先程悠とジェットから名探偵プリキュアが既に存在していない事を聞いていたみくるはそう口にする。

 

「名探偵プリキュアならいるだろ?」

 

「え…?」

 

「今の名探偵プリキュアはあんなとみくる、お前達二人じゃないか」

 

「そうだよ!私達がいる!ここでやろうよ、名探偵プリキュア!」

 

「俺も、出来る限りの事はするつもりだ」

 

「でも、二人は元の時代に…」

 

「勝手に決めるなよ」

 

そこへ横槍を入れるようにジェットがそう言ってきた。

 

「僕はお前達がプリキュアだって認めてない。悠が見たって言っても、この目で見るまで僕は信じないからな!」

 

「ムッ…じゃあ、プリキュアだっていう証拠を…」

 

みくるは自分達がプリキュアだと証明しようと立ち上がるが、時報がなると急に動きを止めてしまう。

 

「…と思ったけど、学校の寮が門限だから帰る!証拠は明日見せてあげるから!悠さん、あんな、また明日!」

 

そう言ってみくるは事務所から去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから夜になり、悠は八十稲羽で買っていた本を読んでいた。目の前のソファーの上にはあんなとポチタンが一緒に眠っていた。

 

「みくる…やったね~…ムニャ…」

 

(フッ、夢でもみくるが出てるんだな…)

 

「…お母さん」

 

そんな時、あんなの口から『お母さん』という単語が発せられた。あんなの寝言だと思われるが、彼女の目からはほんのりと涙が浮かび上がっていた。

 

「あんな…」

 

そんなあんなの寂しさを少しでも和らげてあけたいのか、悠は彼女の頭を優しく撫でたのだった。

 

「ん…悠さん…?」

 

「悪い、起こしちゃったな…」

 

「ううん、大丈夫だよ…どうしたの?深刻そうな顔してるよ」

 

「…さっき、あんなが寝言でお母さんって言ってるのを聞いたんだ」

 

「えっ?…そ、それは恥ずかしいな~!ハハハ…」

 

あんなはそう言うが、悠の目から見ても無理して笑っているのは明らかだった。

 

「あんな」

 

「えっ?ゆ、悠さん!?」

 

突然悠が近づいてきた為、あんなは驚いてしまっていた。

 

「俺は、お前が感じてる寂しさを全て理解してやる事は出来ない…けど、あんなの側にいる事は出来る。だから、一人で抱え込まないでくれ」

 

「…変わらないね」

 

「え?」

 

「子供だろうと大人だろうと、悠さんは変わってない。私の知ってる悠さんだよ」

 

「そうなのか?」

 

「うん」

 

するとあんなは悠に自身の身体を預けてきた。

 

「お、おい、あんな…?」

 

(おんなじだ…私が好きになった悠さんと…フフッ)

 

悠に身体を預けるあんなの頬は少し赤くなっていた。

 

「おい、お前達まだ起きて…」

 

すると徹夜でジュエルキュアウォッチを解析していたジェットが部屋に入ってきた。ジェットに今の光景を見られるなり、あんなは顔を真っ赤にしながら悠から離れた。

 

「お、おお、お前ら、まさかそういう…!?」

 

「ち、違うから!そういうのじゃないから!」

 

(…良い匂いだった)

 

あんなが慌てて弁解している中、悠は呆然としながら口には出せない事を心の中で呟いていた。やはり彼も思春期男子の様だ。

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