技術試験隊斯ク戦ヘリ   作:ザクスキー2世

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第2章最終話です


第12話

 

 

 宇宙世紀0079年2月27日

 

 

 仮設工廠を覆っていたコロニー外壁の残骸がゆっくりと移動し、漆黒の宇宙へと隠されていた巨体が滑り出していく。

 ルウム暗礁宙域で発見され、我々の手によって再始動と修繕が為された連邦軍のマゼラン級戦艦である。

 遂に現地での可能な限りの修理を終えたその艦は、ジオン本国から差し向けられたムサイ級三隻による厳重な護衛を伴い、周囲に散乱するデブリの海を押し除けるようにして、静かに、そして威風堂々と本国サイド3へ向けて発進していった。

 このマゼラン級は、ジオン軍にとって単なる一隻の鹵獲艦以上の、計り知れない戦略的価値を秘めている。無傷のまま手に入れた連邦軍の火器管制システムや航法装置のOSは、本国の技術本部で徹底的な技術解析が行われた後、そのデータは今後の対連邦戦術に活かすために全軍で利用されるだろう。もちろん、一部はリバースエンジニアリングされて、艦艇やMSにも使用される筈である。そしてこの艦体自体も、圧倒的に戦艦の数が不足している我が軍において、どこかの主力艦隊に配属されるか、あるいはこの艦を旗艦とした新設の戦隊を編成する際に使用されることになるはずだ。

 

 それと同時に、第603技術試験隊の整備兵たちが技巧と知恵を凝らして作り上げ、維持してきたこの仮設工廠も、後続で来る正規の工作部隊へと引き渡されることになった。

 これで、概ね1ヶ月に渡って我々が従事してきた、ルウム暗礁宙域における過酷なサルベージ兼修繕作業は、全て終了となったのである。

 

 そして、このひと月で最も数奇な運命を辿ったあの仮称鹵獲実験艦01号は、技術本部より実戦を経験し、尚且つ単艦で敵巡洋艦二隻を撃破したという確かな実績をもって、技術評価試験の終了が正式に言い渡された。

 オリヴァー・マイ技術中尉が徹夜で技術評価報告書と運用にあたっての詳報をまとめ上げ、ズムシティの技術本部長アルベルト・シャハト少将宛に提出した数日後。遂に鹵獲実験艦01号は、当初の予定通り誰が付けたのか不明である〝第603技術試験隊専属護衛独立戦隊〟という、ひどく仰々しい名前で銘打たれた私の戦隊へと正式に編入されることが通達された。

 

 この独立戦隊と名の付く通り、私が率いることになったこの戦隊の立ち位置は、軍の命令系統において特異なものであるのは間違いない。

 編成上は宇宙攻撃軍司令部直轄の戦隊でありながら、任務の目的は第603技術試験隊の専属護衛に限定されている。しかし、ややこしいことに指揮系統は第603技術試験隊からは完全に独立しているのだ。つまり、宇宙攻撃軍司令部から特段の作戦指示が無ければ、この戦隊は基本的に戦隊長たる私、アスカ・ナカノミヤの独自の指揮の下で行動することになる。

 たとえ第603技術試験隊の母艦であるヨーツンヘイムの艦長、マルティン・プロホノウ中佐相当官であっても、あるいは総帥府からのお目付け役であり部隊の管理官たるモニク・キャディラック特務大尉であっても、我々独立戦隊に対する直接の指揮命令権は一切持っていないということだ。

 なので、今までは両官から私への「命令」として下されていた出撃指示などが、これからは独立戦隊への「要請」という形に変わる。

 

 とはいえ、私の愛機であるヅダ指揮官機は特殊であるため、メンテナンス設備や補給物資はヨーツンヘイムの広大な格納庫に依存している関係で、私は必然的に第603技術試験隊のブリーフィングやミーティングには今まで通り参加することになる。彼らからの要請をわざわざ断る気持ちも、突っぱねる理由も私には全くなく、部隊の運用実態としては今までとなんら変わらずに機能していくことになるだろう。

 

 では、何故わざわざそのような面倒な手続きを踏んでまで、私とこの戦隊を宇宙攻撃軍司令部直轄の独立戦隊という扱いにしたのか。

 それは、宇宙攻撃軍司令官であるドズル・ザビ中将閣下の、私に対する個人的な配慮によるものだった。

 

 第603技術試験隊は、その名の通り表向きは新兵器のデータを収集するための技術屋集団である。しかし、戦局が今後激化するであろう中で、試作兵器の評価試験というものは必然的に実戦を伴うことが多くなると、宇宙攻撃軍の司令部では冷静に予測されていた。

 そんな前線の危険地帯において、軍隊の運用指揮などしたこともない機械オタクの技術本部の高級将校たちに下手な命令を下され、宇宙攻撃軍が手塩にかけて育てた自軍所属の貴重なエースパイロットやクルーを、無駄なデータ取りのために擦り潰されてしまうことをドズル閣下は強く危惧されたらしいのだ。

 何故私がそのような軍中枢の政治的な裏事情を知っているのかと言うと、他でもないドズル閣下御本人からの極秘通信で直接そのようにお聞きしたからである。

 閣下のそのお心遣いを思い出すたび、私の胸の奥は静かに熱くなるのを感じた。

 

 さて、そうした政治的な綱引きの末に、正式に我々のものになった鹵獲実験艦01号であるが、引き渡しの直前になって、技術本部よりオキノトリシマという艦名が与えられた。艦級はこれ以上は作らないと考えているのか、与えられていない。

 01号そのものと指揮権は宇宙攻撃軍に譲るが、艦の命名権はあくまで技術本部にあるという、上層部のつまらない意地の張り合いの結果であろう。

 我々からしてみれば、全くもってどうでも良い。

 

 このオキノトリシマという命名の由来は、私ことナカノミヤ家のルーツがある旧日本国の排他的経済水域を長年の間支えた、本州より南方の絶海に浮かんでいた小さな島嶼の一つから取られている。

 当時の旧日本国は、その極小の島を起点とした広大な排他的経済水域を維持するために、波に浸食されて沈みゆくその島を、何度も何度も周囲から分厚いコンクリートの護岸で固め続けた。結果として、元々あった自然のサンゴ礁の原型は完全に無くなり、人工物によって元の形から逸脱し、現地で強引な改造が加えられ続けた異形の姿を指して、このツギハギのキメラ艦をオキノトリシマと名付けたようだ。

 

 ちなみに、私がナカノミヤ家の書庫で読んだ文献によれば、宇宙世紀へと時代が移行し、地球連邦政府の樹立によって国家間の領海の概念が完全に無くなった後も、その護岸工事だけは何故か伝統行事のように執拗に続けられていたらしい。コロニーが落着して地球環境が激変した現在は、その海域がどうなっているのかは全くの不明だが、それ以前の記録では、止まらない海面上昇に対応するべく行われた狂気的な護岸工事により、なんと島の本来の地面は、そびえ立つコンクリートの壁に囲まれた海面下マイナス3mも下に位置していたという。

 島というには無理があると思う。

 

 当初の予定通りとは言え、技術本部*1が手塩にかけて造り上げ改造を施した実験艦を宇宙攻撃軍に持って行かれるのと同義の扱いを受けたことに対する、技術本部からのせめてもの意趣返しなのかもしれない。名家のルーツを揶揄しつつ、原型を留めない継ぎ接ぎの姿を嗤うひどく趣味の悪いネーミングだ。

 それに付き合わされて、自分の乗る艦をそんな皮肉めいた名で呼ばれることになったガネバン中尉たち旧ダイクン派のクルーの身にもなってほしいものである。

 

「それで、部隊名の通称は決まったの?ナカノミヤ大尉」

 

 モニク・キャディラック特務大尉が、ヨーツンヘイムのブリッジの巨大な防弾ガラスの前に立ち、並走しているオキノトリシマを腕を組んで眺めている私の隣へとやって来て、同じようにオキノトリシマを見下ろしながら問いかけて来た。

 いまだに、モニク大尉はオキノトリシマの姿を正視すると、まるで腐った食べ物でも見たかのように露骨に顔を顰める。ひと月経った今でも、連邦の艦体にムサイの艦橋が乗っているこの冒涜的な形状は、誇り高きジオンの軍人としてどうしても好きになれないらしい。

 

「ああ、特務大尉でしたか。はい、昔の日本に伝えられていた妖怪から、ヌエ隊としました」

 

「ヌエ…それはどんな妖怪だったのかしら?」

 

 モニク大尉が、少し興味を惹かれたように気だるげな視線を私へと向ける。

 

「はい、今で言うところのキメラに近いものです」

 

「キメラ、つまりオキノトリシマと同じか」

 

 モニク大尉は呆れたように短く息を吐き、再びオキノトリシマへと視線を戻した。

 

「そうです。それと、クルーのことも示唆してますよ」

 

「あぁ…そう言えばそうだったわね」

 

「もうここに及んでは、毒を食らわば皿までと言った感じで名付けました」

 

 私の言葉の裏にある意味を察し、モニク大尉は少しだけ声のトーンを落とした。

 旧ダイクン派という理由で本国から放逐され、部品の寄せ集めのキメラ艦に乗せられた日陰者のクルーたち。彼ら自身もまた、あちこちから寄せ集められた愚連隊、まるでキメラのような存在なのだ。

 

「自虐的なネーミングね。でも、あの艦を指すのであれば良い名前かもしれない。それに、連邦のサラミスを二隻も単艦で食い殺したのだから、妖怪の名を冠するだけの資格は十分にある」

 

「ええ。共に戦ったあとなら分かります。彼らは私が背中を預けるに足る、最高の猟犬たちになります。プロホノウ艦長の仰っていた通り、見た目の美しさなど、生き残るための執念の前では何の役にも立ちませんから」

 

 私が微かに笑みを浮かべてそう言うと、モニク大尉は肩をすくめた。

 

「大尉がそう言うなら、信じますか。私たちの命も、貴女と猟犬たちに懸かっているのだから」

 

 私たちはガラス越しに見える、深緑色に塗られた異形の軍艦を見つめながら、これから始まる終わりの見えない戦争の行く末に、静かに思いを馳せていた。

 

 

 宇宙世紀0079年3月1日

 

 

 2月にザビ家の末弟であるガルマ・ザビ大佐*2を司令官として任命し、突撃機動軍第1機動歩兵師団を基幹として大々的に設立された地上攻撃軍が、遂に本日実行される第一次降下作戦をもって、あの青い地球の重力下へと降り立つことになる。

 

 巨大なペイロードと輸送能力を持つ我らがヨーツンヘイムも、本国からの命令により降下用カプセルであるHLVの軌道上への輸送任務に駆り出され、乗組員たちは連日休む暇もないほどの大忙しとなっていた。

 

 現在、私たちの眼下に広がる地球の衛星軌道上は、おびただしい数のジオン軍艦艇によって埋め尽くされている。すでに、月の裏側にあるグラナダ基地からは、マスドライバーによる質量弾の連続射出が行われており、目標となるヨーロッパ方面の連邦軍防空陣地や重要拠点は、文字通り隕石の雨によって念入りに耕されている。

 そして今、軌道上に待機する無数のHLVの分厚い装甲の内部では、これから始まる泥に塗れた重力下の戦闘に向けて、腹を空かせ飢えた獣のように、今か今かと兵士たちが手ぐすねを引いて出撃の時を待っているのだ。

 

「壮観だな」

 

 ヨーツンヘイムのブリッジで、プロホノウ艦長が宙域を埋め尽くさんばかりのパゾクやパプア、HLVの群れを見て呟く。

 

「本当ですね、艦長。計画では、第三次降下作戦まで予定されています。ヨーロッパの資源地帯と北米の穀倉地帯さえ押さえてしまえば、我々はあと十年だって戦える!」

 

 モニク大尉がプロホノウ艦長の隣で、興奮したように頬を紅潮させ、目の前の光景に目を輝かせながら言う。

 

 私は微笑みながら肯定しつつも、心の中では土と泥、そして逃げることのできない重力に囚われた逃げ場のない戦場に、我々は引き摺り込まれたのだと独りごちる。

 

 やがて総帥の命令が下され、次々と赤い尾を引きながらMSと兵士を満載したHLVやHOTOLが、青い星目掛けてさながら隕石の如く墜ちていった。

 

 

 宇宙世紀0079年3月11日

 

 

 第一次降下作戦は成功裏に終わり、その後破竹の勢いで地上侵攻軍はオデッサ方面、中東方面に進出。資源地帯の占領が完了した。

 同月4日に降下した、マ・クベ中将麾下の資源採掘部隊によって採掘が開始されており、良質な鉱物資源が次々と精錬加工されているとの声が聞こえて来ている。

 

 続いて、軍隊を支えるための食糧確保のため北米の穀倉地帯や工業地帯を押さえるべく、第二次降下作戦が本日開始される。

 

 第603技術試験隊も前回と同じく輸送任務に駆り出され、大忙しである。

 我々ヌエ隊は宇宙攻撃軍司令部による命令で、降下部隊の護衛に駆り出されていた。

 

 オキノトリシマはマゼラン級の修復作業の傍ら、MSの運用能力の無いことが問題視されて、突貫工事だが新たなる魔改造を受けていた。

 ミノフスキー粒子散布下ではなんの役にも立たないVLSを全廃し、艦首大型ミサイル発射管を両舷二基ずつ撤去して前方三基の連装メガ粒子砲の位置を前進させ、艦体中程に出来上がった空間にMSデッキを設置した。

 搭載機数はかなり窮屈になるが三機搭載・運用することが出来る。しかし整備性の問題から、通常使用時は二機が妥当なところだろう。

 出撃ハッチは艦底面に元からあった宇宙往還機格納庫を潰して口を広げるように設けられ、MSカタパルトをフラットな艦首底面に新たに設置することで、ムサイでは実現出来なかった運用を可能にした。

 

 艦底の全長を活かした加速距離が100mに近いので、私ですら一瞬失神しかける程の加速性を見せた。

 訓練によりだいぶ慣れたが、その性能は素晴らしく、ヅダの巡航速度とそう変わらない速度まで一気に加速させられたのだ。

 これによって機体側での初期加速の必要が無くなり、推進剤の消費が抑えられた分、戦闘可能時間がかなり伸びるという結果になる。

 この改造結果はすぐに技術本部へと報告され、鹵獲艦の改修や既存艦艇の改修へと繋がっていく。

 

 そうして第603技術試験隊の整備兵たちの活躍によりMS運用能力を得たオキノトリシマは、ルナツー方向の集団外側に配置されて臨時配置のムサイ級ケルンと共に小艦隊を組み、連邦軍の妨害に備えていた。

 現在はケルン搭載のザク二機が哨戒に出ており、私のワッチは2時間後なのでヅダのコックピットで休憩していた。

 

 オキノトリシマの給養員が作ったMSベントウの今日の献立は、私の好物であるイナリ寿司で少しだけテンションが上がる。

 真空パウチされたそれを開けて、食べやすい大きさに作られて四つ入っているイナリ寿司の一つを頬張っていると、強い殺意のようなものを感じた。

 

 心臓が不自然に跳ね上がり、背筋に氷柱を差し込まれたような、強烈で生々しい悪寒が全身を駆け抜けた。

 誰かが、明確な殺意を持ってこちらを睨みつけている。それも、一人や二人ではない。集団の、どす黒く固まった凄まじい怒りと殺意の塊。

 何か来ると思った途端、艦内に警報が鳴り響いた。

 通信端末でブリッジに問いただす。

 

「状況は!」

 

「戦隊長、高熱源体多数が高速で接近中。敵小艦隊と思われます」

 

 ガネバン中尉からすぐに通信が返ってくる。

 

「敵編成は」

 

「現在、ケルン隊のザク二機が迎撃に向かい、確認中です」

 

「わかりました。ヅダの発進準備を急いでください」

 

 急いで残りのイナリ寿司を口に放り込んで飲み下す。本当なら、もっと味わいたかったが仕方ない。

 格納庫は俄かに慌ただしくなっており、急いで計器類をチェックしてミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉を始動させ、ヅダの目を醒ました。

 

『こちらケルン02!敵はレパント四隻にサラミス三隻!03と共同でレパント二隻は撃沈したが、あとは抜けられた!03は被弾して左腕喪失!!』

 

 迎撃に向かったザクから報告が入る。

 弾を肩部シールドで受けたのか、一機は左腕を失ったようだ。

 

「こちらメテオ01、ケルン02と03はそのまま追撃。無理はしないでいい」

 

『ケルン02了解!』

 

「ケルン01と04は戦隊直掩、迎撃にはヅダ一機で行きます。艦長、武装はいつも通りで」

 

『こちらケルン管制了解』

 

「了解しました。御武運を」

 

「ありがとうございます」

 

「こちらオキノトリシマ管制、発進用意宜し」

 

「メテオ01、発進許可受諾。ヅダ出ます」

 

 ヅダを固定していた分厚い拘束アームが解除され、機体は床のレールに沿ってゆっくりと艦底の発進ハッチから宇宙空間へと押し出される。

 底面に設けられたカタパルトにヅダの足を乗っけて、殺人的なスピードで電磁加速される。

 物凄い勢いでシートに体を押し付けられ、操縦桿が激しく揺れる。

 

 視界が艦底の装甲から無限の宇宙空間へと一気に開け、押し出された瞬間。私は休む間もなく、金星エンジンの出力をリミッターギリギリまで噴かし、一気にトップスピードまで加速する。

 

 モニターに小さくバーニアの噴射光と戦闘光が煌めいている。

 ケルン02と03が小艦隊に追いすがりながら戦っている証だ。

 

『クソッ、02被弾02被弾!!脚部損傷、離脱する!!』

 

「無理せず後退しなさい!」

 

『ケルン03、バズーカ残弾なし!や、やった!?…うわぁっ!!』

 

『ニィィィル!!』

 

 最後の弾を最後尾のサラミスの推進器に撃ち込んだケルン03が艦尾の速射砲に捉えられ、連続でビームを被弾して爆散する。

 ケルン03のシグナルが前触れもなく消えた。

 03の無念が物理的な衝撃となって身体を通り抜けて行く。

 

『クソがぁぁ!!』

 

「下がりなさい!!」

 

 推進器を破壊され速度を上げられなくなったサラミスに、左脚部を破損したケルン02が遠方からザクバズーカを連続で叩き込みトドメを刺す。

 爆発と共に強いジオンへの怨嗟が撒き散らされるが、頭を振って無視する。

 

「そこ!」

 

 損傷しているケルン02まで失わないために、機体を一直線に加速させながら、足が速く先頭をいくレパント級に向けてASR-78を連続で射撃する。

 狙い澄ました280mmの大口径弾が艦首に真っ直ぐ着弾し、内部で炸裂した特殊弾頭が前方ミサイル発射管のミサイルに誘爆したのか、一発で大爆発を起こし轟沈する。

 並走していたレパント級が、誘導出来ないミサイルをロケット弾のようにして前方ミサイルを全弾撃ち出してきた。

 その後すぐに280mm特殊弾を艦橋と艦首に二発被弾し、僚艦と同じように爆沈する。

 しかし、六発のミサイルが真っ直ぐに向かってくる。

 リロードしたASR-78を二発撃ち、誘爆を含めてミサイル三発を撃ち落とした。

 しかし、残り三発は誘爆に巻き込めず撃ち漏らし、すれ違いざまに胸部30mmバルカン砲で更に一発を破壊。

 

「そちらに二発ミサイルが行きます!」

 

『了解!こちらで対処する!』

 

 戦隊直掩のケルン01が、04とザクマシンガンで迎撃してくれるようなので信用して任せる。

 残り二隻だけとなったサラミスは、射程内に入ったヅダに向けて狂ったように単装メガ粒子砲を撃ちまくってくる。

 脚部と背部のメインスラスターのサイドにあるバーニアを小刻みに動かして、円運動をしながらメガ粒子を避けつつ残り二発で二隻の艦橋を破壊し、ザクバズーカに持ち替えて内一隻の単装メガ粒子砲のVLSを上から撃ち抜き轟沈させ、もう一隻は推進器を破壊して行き足を止める。

 それからヒートホークですれ違いざまにメガ粒子砲を削ぎ落として武装を奪う。

 

「投降なさい。さもなくばすぐに僚艦の後を追わせる」

 

 残っている副艦橋にザクバズーカを構え、南極条約に則り投降を促した。

 暫しの間沈黙していたが、ついに応答があった。

 

『…こちら第25分隊……サラミス級サラマンカ、投降する。兵達の安全を保証願いたい』

 

「わかりました。私の名に於いて保証致します」

 

 その後、サラミス級サラマンカは追いついてきたオキノトリシマとケルンに砲身を向けられつつ武装解除され、曳航されることになった。

 脚部を破損したことと、敵艦隊追撃で推進剤を使い尽くして漂流したケルン02を無事に回収し、連邦軍の妨害はそれ以上無く第二次降下作戦は無事成功した。

 だが、戦闘でケルン03を失い、またしても私は仲間を助けることが出来なかったと後悔の念に駆られた。

 戦争をしているのだ。早く慣れなくてはならないと思いつつも、なかなか難しい事である。

 私は先行きに暗雲が立ち込めているような気がしてならなかった。

 

*1
正確には第603技術試験隊も含む

*2
コロニー内部制圧の功績を以て、2月1日付けで大佐に昇進




御高覧ありがとうございます。
第二次降下作戦までで第2章は終わりです。

第三次降下作戦と同時か少し後に、第603技術試験隊のメンバーも重力戦線に引き摺り込まれていく感じになると思います。
ヒルドルブの前に、スタッフ達が重力戦線を経験しておくことは、必ずや何かしらの結果をもたらしてくれると確信しています。
一応、降下場所はある程度絞ってはいますが、ここで戦わせてみてくれ!と言うご要望が御座いましたら、ご感想よりお声掛けください。
水中では無く地上でお願いします。(注文の多い西洋料理店並感)
これはと言うものがあれば、是非採用したいと考えています。

あと、この世界のオキノトリシマは江東区砂町とかと同じく海抜マイナスになっています。
国という括りは無くなっても、きっと漁業優先権とかはあるに違いないと考えたからです。
でも、流石にコンクリート壁で固めて島の表面は海抜マイナス3メートルです、は国際社会では通用しないだろ…と思いつつ書いてました笑

ヌエ隊は、本当であればキマイラ隊に肖って…と思ったのですが、キマイラ隊の結成自体が一年戦争後半と言うことが分かったので、オキノトリシマのキメラ艦具合と日系人と言うことから取って、妖怪のヌエにしました。

相変わらず遅筆故に、第3章も書き終わるのに少し時間が掛かると思います。
1ヶ月は掛からないと思いますが、一応7月の後半あたりを目安に見て頂けると幸いです。
引き続き宜しくお願い致します。

最後に、皆様のご感想と評価お待ちしております。
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