技術試験隊斯ク戦ヘリ 作:ザクスキー2世
朝の時点で65件になっていて、バーも全部埋まっていました!
ありがとうございます!!
平原のど真ん中で、私たちは互いに2キロほどの距離を取り、静かに正対した。
私の搭乗するYMS-08Aと、ワシヤ中尉が搭乗するジオニック社のYMS-07A。
武装は、先端に特殊なペイント弾頭を装着し、装薬を減装して威力を機体が傷付かないところまで低下させた模擬弾を装填したザクマシンガンと、刃を持たずゴムのような素材で製造された模擬用のヒートホークのみだ。
向こうもこちらと全く同じ装備をして、機体性能のみを純粋に測るために条件を合わせているようだった。
『第一段階、YMS-07A及びYMS-08Aに於ける対MS戦闘射撃戦想定演習を開始する。両機、準備は宜しいか』
コックピットの通信機から、中型装甲指揮車両でデータ測定を行っているマイ中尉の事務的な声が聞こえてくる。
まずは白兵格闘を行わない、射撃戦のみの模擬戦になるようだ。
『こちらワシヤ。YMS-07A、準備完了ッス!』
「YMS-08A、いつでもどうぞ」
『ナカノミヤ大尉……お、お手柔らかに頼みますよ〜……』
私は敢えてメインモニター上部のサイドモニターに映るワシヤ中尉の顔を見ながらニヤリと笑って、無言で通信機を切った。ワシヤ中尉は全く悪くないが、私を本気にさせたのは向こう側のエメリッヒ技官なのだ。彼には可哀想だが、手加減などしてやるつもりは微塵もない。
『模擬戦闘、開始!』
マイ中尉の合図と同時、私はフットペダルを力強く蹴飛ばし、スラスターを吹かして距離を引き離すために全力で後退した。
その間、こちらに全速力で距離を詰めてこようとするYMS-07Aに向けて、ザクマシンガンを牽制で射撃する。
120mmのペイント弾が空を裂いて飛んでいくが、07Aはスラスターのジャンプを使わず、地を這うようなフットワークだけでひらりと横に避け、そのままこちらにザクマシンガンを向けて応射してくる。
私は弾が飛んでくる軌道を持ち前の勘を頼りに先読みして移動しつつ、軽くスラスターを吹かして数メートルジャンプし、上から弾幕を撃ち下ろした。
流石は腐ってもジオニックの試作機と言ったところだろう。07Aは、ザクよりもかなり俊敏に私の射線から避けると、真っ直ぐと突っ込んでくるのはやめて、ジグザグに動きながら再びこちらから距離を取った。
ワシヤ中尉も、テストパイロットに選ばれるだけあって中々に避けるのが上手い。流石は第603技術試験隊で生き残っているだけはある*1。
私も、こういった対MS戦の訓練は、士官学校のMS課程と、少尉任官して配属された直後の宇宙攻撃軍の原隊で、小隊の連携を強化する目的で行われた小隊同士の模擬戦闘をやったきりなので、もう何ヶ月も前の話になる。
当時私にあてがわれていたのは旧式のザクⅠなので、機体の馬力や重力下でのスラスターの感覚も何もかも違うが、この具合でなら対MS戦闘の感覚をすぐに取り戻せるはずだ。
ワシヤ中尉には個人的な恨みはないが、ジオニック社が全て悪いのだから、テストパイロットになってしまった彼には大人しくサンドバッグになってもらう。
距離が再び2キロほど離れたところで、こちら側が相手の動きを誘うために数発の牽制射撃を加える。
曳光弾の役割も果たしているペイント弾が尾を引いて飛翔し、07Aがそれを避けようとして左に動くのを感じ取った。私はその動きを先読みし、そちら側の空間に弾を「置く」ようにして、あらかじめ予測射撃を行う。
向こう側が気付いた時には、既に弾丸の壁は待ち構えるようにして目の前にあるように見えたはずだ。
そのまま、07Aのコックピット周辺にペイント弾が複数発連続して着弾し、システムが「機体の撃墜」判定を下して、自動的に07Aの機体制御をロックし停止させた。
「起伏が無く、遮蔽の無い平原ならこんな物でしょう」
何故、障害物を設置する等を行わなかったのか不明だが、初日の08Aの醜態を見たジオニック側がこれならば容易く撃破できると踏んだのだろうか。
それにしたって、これでは本来の戦争を再現出来ないではないか。この時点で、この模擬戦闘を行う意味が薄いと思い始めた。
『……状況終了。弾薬補給後、再度射撃戦を実施する』
マイ中尉の驚きを含んだ声が響き、速やかに支援車両からザクマシンガンの弾薬を補給される。
そして再度配置に付くのだが、なにやらジオニック側からの物言いが入ったらしく、お互いのスタート距離が1キロを切る近距離に設定された。
ほぼ至近距離の射撃戦など、行ったところで一体何の意味があるのかわからない。
『模擬戦闘、開始!』
こんな至近距離では、機動性云々よりも先に一瞬で決着が付いてしまう。
そう思いながら、私は機体を素早く屈ませた状態から、横に滑り込むように走りつつザクマシンガンを射撃する。
お互いに近過ぎて完全に避けるのは困難であり、07Aも最初から避けようとしていたが避け切れず、ザクマシンガンを構えていた右腕に被弾し、マシンガンは破壊認定されてシステムにより強制的に機能停止された。
だが、そのまま07Aは左前腕の鋭角的な盾でコックピットを庇いつつ、私に向かってスラスター全開で強引に突っ込んできたのだ。
「射撃戦なのに、突っ込んでくるなんて!」
前傾姿勢で突撃してきたので、私はザクマシンガンを向けるが、メインカメラとコックピットをあの特殊な盾で完全に庇ったままなので、判定で致命打になる射線が通らない。
これが実戦なら、すれ違いざまに装甲の薄い脚を蹴り付けて姿勢を崩してから、ヒートホークを背面に叩きつければいいが、現在の想定が射撃戦と言うことなので、ルール上ザクマシンガンしか使えないのだ。
しかし、向こうのザクマシンガンを破壊したというのに、演習終了のブザーが鳴らずに戦闘が続いているということは、やはりあの異形の左腕は……
距離が完全に詰まってしまったが、私は07Aの盾に向かってザクマシンガンを連射し、相手に防御姿勢を強要させて一時的にメインカメラの視界を奪う。
その間に、私は脚部のスラスター出力をマニュアルで絶妙に調節し、機体をスケートのように滑らせるようにして半円を描き、07Aの後ろ側へと瞬時に回り込んだ。
まだ私が正面にいると思っていたのか、07Aが突き出した左腕の三本の筒状のマニピュレーターから、ペイント弾がかなりの発射速度で連続して撃ち出されては、誰もいない平原に消えていく。
やはり、あの三本のマニピュレーター自体が、内蔵型の射撃武器であったようだ。
極至近距離での格闘戦に持ち込んだ際の弾幕としては威力を発揮するだろうが、用途が限定的すぎる上に、整備や補給の複雑化、そして何よりまるまる左手がマニピュレーターとして使えなくなるというのは、汎用兵器としてかなり不便なはずである。
そこまで固定武装に拘る利点が果たしてあるのだろうかと私は考えながら、ガラ空きになっている07Aの背中のバックパックに向け、残っていたマガジン内のペイント弾を背後から全て叩き込んだ。
背部への連射を終え、被弾判定によって07Aが体勢を崩したのを見計らって、私は撃ち尽くしたザクマシンガンの円形弾倉を平原へ投げ捨てる。
射撃戦のフェーズが終了し、システムから白兵格闘戦への移行を告げる無機質なアラートがコックピットに鳴り響いた。
『第二段階、白兵格闘戦想定演習へ移行する。両機、武装を切り替えよ』
マイ中尉の事務的な通信を合図に、私は腰部のマウントラッチから模擬戦用のヒートホークを引き抜いた。刃の部分が特殊な硬質ゴムのような素材で覆われ、接触時に通電して装甲へのダメージ判定を下す仕組みの代物だ。
対する07Aも、ゆっくりと起き上がってから泥濘を蹴って反転し、指示された配置に付いた。
ワシヤ中尉は右手で腰の模擬ヒートホークを抜き放ち、さらにあの異形な左腕のシールド裏から、もう一つの得物を引き抜いた。それは、マチェットのような形をした分厚い実体剣だった。
右手には斧、左手には剣という二刀流の構えである。
通常のザクであれば、モーション設定がされていないので二刀流などというトリッキーな真似は機体のバランスを崩すだけな上、両方いっぺんには使えずまともに扱えない。だが、07Aはその特異な構えのまま、信じられないほどの踏み込みの深さで、一気に私の懐へと肉薄してきた。
先ほどの射撃戦の時よりも速い。
私はスラスターを吹かして後退しようとするが、07Aはまるで獲物を狙う獣のように姿勢を低くして食らいついてくる。
右手のヒートホークが私のコックピットを狙って横薙ぎに振るわれ、私はそれを自身のヒートホークの刃で受け止める。
激しい衝突と共に、両腕のショックアブソーバーから重い反動がコックピットを揺らした。そのまま鍔迫り合いのような押し合いになるが、07Aの腕部から伝わってくるトルクは、最新型のザクⅡJ型とは比較にならないほど力強い。
白兵戦に特化したというジオニック社の能書きは、どうやらただのハッタリではないらしい。機体の重心移動から関節のトルク配分まで、全てが近接戦闘で相手を叩き潰すために最適化されているのが、刃を交えるだけで肌で理解できた。純粋な格闘性能だけで言えば、間違いなくこの08Aを凌駕している。
だが、それを操っているのは人間だ。
07Aが押し合いの均衡を強引に破り、左手のマチェットを私の首元へ向けて突き出そうとする。
その瞬間、私の脳内にビリリとした焦燥感のようなものが伝わってきた。ワシヤ中尉の焦りと、攻撃を叩き込もうとする明確な感情の波だ。
来る、左からだ。
私は直感に従い、ペダルを踏み込んで右脚側のスラスターを一瞬だけ最大噴射する。
YMS-08Aの巨体がスケートのように横へ滑り、突き出された模擬刀の切っ先が、私のメインカメラの数センチ横を虚しく通り過ぎていった。
私はそのまま07Aの側面に回り込み、反撃の打突を叩き込もうとヒートホークを振り上げる。
勝負あった。私がそう確信した瞬間だった。
不意に、ワシヤ中尉から強烈なしてやったりという高揚感と、先ほどよりもさらに鋭い殺意にも似た攻撃の意思が、針のように私の意識を刺した。
同時に、07Aの右腕の内側に存在するスリット、そこから何か黒い線状の物体が射出されるのが見えた。
私は驚愕で目を見開いた。それは、ムチのようにしなる未知の特殊な武装だった。
模擬戦用とはいえ、質量を持った太い縄の先端が、生き物のような不規則な軌道を描いて私の08Aの脚部に巻き付こうと迫ってくる。あんなものに捕縛されれば、重心を崩されてそのまま引き倒されるか、何らかの判定でシステムを強制停止させられてしまうだろう。
頭で考えるより先に、私の身体が勝手に動いていた。
私は振り下ろそうとしていたヒートホークを強引に引き戻し、機体を後方へ反らすと同時に、両脚のメインスラスターをマニュアル操作で細かく連続して吹かす。
空中で姿勢を捻るような強引な回避行動を取ったことで、ムチの先端は私の膝の装甲表面を鋭く掠め、装甲の塗装をほんの少し削り飛ばすにとどまった。
「こんな隠し玉まで持っているなんて……腐ってもジオニックの底力と言ったところかしら」
間一髪で捕縛を逃れた私は、体勢を崩したまま着地し、思わずホッと息を吐き出した。
あの右腕に組み込まれた内蔵兵器。左腕の三連装機関砲といい、この07Aは完全に既存の汎用MSの枠組みを逸脱した、対MS白兵戦専門の兵器としてデザインされているのだ。ジオニック社の恐ろしいほどの技術力と、機体コンセプトの明確さには、敵ながら関心すら覚える。
だが、初見殺しの奇襲は一度防いでしまえば、ただの隙の大きい攻撃に過ぎない。
右腕のムチを完全に振り抜いてしまい、一瞬だけ硬直して無防備になった07Aの懐へ向け、私は08Aの有り余るジェネレーター出力を脚部に回し、泥濘を抉るような鋭い踏み込みで一気に肉薄した。
「そこっ!」
ワシヤ中尉が慌てて右腕を引き戻して盾を構えようとするが、私の滑るような機動の方が早い。
私はヒートホークの刃を当てるのではなく、柄の末端にある石突の部分を07Aの膝関節の裏側に正確に叩き込み、テコの原理で相手の巨体を強引に払った。
足を払われて、バランスを完全に崩した07Aが平原に仰向けに倒れ込む。私はすかさずその胸部にヒートホークの刃を突きつけ、システムに致命傷の判定を叩き込んだ。
だが、これで模擬戦は終わりではない。システムが機体限界の判定を下すか、オペレーターが止めるまで、この過酷な耐久試験は続くのだ。
私は機体を滑らせて距離を取り、立ち上がろうとする07Aへ向けて再び構えを取る。幾度となく斬り伏せても向かってくるジオニックの試作機とワシヤ中尉の心を、全てへし折ってやる覚悟を決めて。
演習場から数キロ離れた安全圏で模擬戦を観測している中型装甲指揮車両の中には、マイ中尉とモニク大尉、第603技術試験隊のオペレーター並びにツィマットの主任技官、そしてエメリッヒ技官と数人のジオニック社員が詰めていた。
観測モニターには、アスカが操るYMS-08Aが、ワシヤの駆るYMS-07Aを模擬戦で赤子の手を捻るように、一方的に叩きのめす姿が残酷なまでに映し出されている。
「ああっ!まただ!何をしているのですかあのパイロットは!!」
歯軋りをして、ワシヤ中尉の操縦に対して呪詛を飛ばしているエメリッヒ技官に対し、先程の射撃戦までは飛び上がって喜び、ジオニック陣営を煽りまくっていたツィマットの主任技師は、今では不気味なほどに沈黙を保ち、血走った目でモニターに映るYMS-08Aの動きを食い入るように眺めていた。
「しかし……ナカノミヤ大尉は相変わらず素晴らしい動きですね。機体の出せる限界のギリギリまで、性能を発揮しています。あのバランサーが外れたピーキーな機動性を、完全に手足のように制御している」
別モニターに映るテレメトリーデータを閲覧しながら、マイが隣で腕を組みながら観戦しているモニクに対し、感嘆の声を漏らして言う。
一つ頷き、モニクがメインモニターから、マイの前にあるテレメトリーデータが表示されている画面へと視線を移す。
「それがエースパイロットという生きものなのだろうな。ワシヤ中尉も、技術試験科のテストパイロットにしては高い技量を持っていると思うが、大尉と比べるとあまりにも実戦の経験と技量の差が違い過ぎる」
既に平原の模擬戦を兼ねた試験は、射撃戦から白兵格闘試験へと移っており、一度の攻撃で決着を付けず、システムが止めというまで戦い続けるという過酷な耐久試験に切り替えられていた。
モニターでは、刃先を柔らかい素材で作っている模擬戦用のヒートホークによって、固有武装の実体剣を振り回して必死に抵抗しているYMS-07Aが、次々に装甲を模擬戦用ヒートホークで膾切りにされている様子が流れている。07Aの繰り出す決死の攻撃は、08Aの滑るような機動によってどれも往なされるか躱わされて、装甲には掠りもしない。
中には、ヒートホークの峰や持ち手の石突、鎌のようになっている部位に巧みに手脚を引っ掛けられて足を掬われ、無様に地面に転がされていたりする。
第603技術試験隊の面々は、泥臭いMSの殴り合いではなく、まるで達人による武術の演舞でも見ているかのような錯覚に囚われていた。
「それに、一番の驚きが……脚部スラスターの出力をマニュアルで細かく調節して、1Gの重力下で機体をホバー移動のように滑らせて運用しているところです。……良く戦闘中のあの速度域で、あんな器用にペダル操作が可能ですね……」
マイの呟くような言葉に、ツィマットの主任技師の肩がピクリと動き、何かを猛烈な勢いで手元に持っている自社のタブレット端末に打ち込み始めた。
マイとモニクはそれに気付いていたが、敢えて何も言わず泳がせることにした。
エメリッヒに至っては、ワシヤへの不甲斐無さを責める言葉を、通信機を使って本人にヒステリックに怒鳴りつけており、それに夢中でツィマット側の不審な動きに全く気付いていない。
「良いですか!07Aは格闘性能からみたら、08Aのような出来損ないなんかよりも遥かに上なのですよ!?地上での白兵戦では、ジェネレーター出力の多少の高低差など殆ど意味をなさない!一体なにをやっているのですか!!」
『か、勘弁してくださいよ!!こっちだって死に物狂いで精一杯やってるのに!向こうは、こっちが次に何を繰り出すか完全に先読みしているかってくらい、攻撃を全部避けられてボコられてるんすから!!』
指揮車両のスピーカーから、息も絶え絶えなワシヤの悲鳴が響き渡る。
モニクはその悲痛な声にこめかみを押さえながら、顔を顰めて呆れたように首を左右に振る始末である。マイも少し気の毒そうに苦笑いしていた。
「パイロットの技量に差があり過ぎて、これではまともな機体の評価試験になるのか甚だ疑問ですね」
バコンッ!と、モニターの中で08Aによって無慈悲に振るわれたヒートホークの峰が、07Aの頭部に直撃した。
その衝撃でセンサー系が限界を迎えたのか、遂に事切れたようにして07Aのモノアイが消灯し、機体が沈黙して平原に崩れ落ちた。
「YMS-07Aの機体側で、ダメージコントロールのリミッターが作動したようですね。ジェネレーターが度重なる衝撃で、不安定になったようです」
「そんな…まさかそんな!有り得ない!!」
マイの目の前にある計器類のカウンターには、『38』の数字が浮かんでいた。これは07Aが08Aから受けた、実戦であれば致命傷になりうるとシステムが判断した被弾・被撃の回数である。
その絶望的なスコア差を見せつけられ、エメリッヒは綺麗に纏められた髪を振り乱してひとしきり憤慨した後に、発狂でもしてしまったのか薄気味悪い笑い声を上げたと思えば、ブツブツと何かを呟いて、それから暫くして声も出ない茫然自失の状態になってしまった。
「さて、機体性能から見たら08Aの方が高く見えるが……マイ中尉は技術評価科の技術士官として、これをどう見るか?」
おかしくなってしまったエメリッヒを尻目に、モニクがまるで何事も無かったかのようにマイに話を振る。
「そうですね。ナカノミヤ大尉が操縦して機体性能を底上げしていることを除いたとしても、馬力もスラスターを用いた機動性も、08Aの方が確実に上ですからね……。ですが、正直なところ、現状では一機あたりの製造コストが高過ぎると言わざるを得ません」
マイは、冷静に数値を分析しながら答えた。
「仮に量産が叶い、それに伴ってパーツのコストが下がったとしても、07Aが量産されたと仮定した時よりも調達価格が下がるとは到底思えません。それこそ、あの化け物のようなジェネレーターがもっと安価に量産製造されない限りは、軍の財政を圧迫するだけです」
「そうだな……。我が軍の財布は有限だし、地球での重力戦線がこれからどこまで拡大するのか分からない。やはり数を揃えられる即戦力となると……」
そう言いつつ、マイとモニクは、黙り込んでいるツィマットの主任技官の方へと顔を向ける。
だが、当の本人は、何かに取り憑かれたように猛烈にタブレット端末に数式とデータを打ち込み続けており、全くこちらの会話に意識を向ける様子がない。
「……YMS-07Aが限界のため、模擬戦闘は終了で良いと判断しますが…大尉、如何ですか?」
「そうだな。模擬戦闘を終了とする。08Aは07Aの回収に協力すること」
『08A、了解しました。お疲れ様でした』
そして、東アジアの平原で行われた、次期主力機コンペティションにおけるすべての技術評価試験が終了となった。
ご高覧ありがとうございます。
原作でもワシヤ中尉はアバオアクー防衛戦を無傷で生き延びているので、パイロットとしてはかなり優秀なんですよね。
ということで、先読み攻撃されなければ主人公の攻撃を避けれるくらいの回避能力持っている感じにしました。ギレンの野望的だと、反応11〜12とかあたりでしょうかね。
ちなみに、ガトーの反応値が初期で13くらいです。
エメリッヒさんはプライドをかけて設計に携わっていた07Aをケチョンパンにされ、感情が振り切ってしまいました。
まぁ、研究者なんて放っておけば、そのうち治ります。
次回は07Aと08Aの報告書回になりますが、別々に作ったので午前中11時に07A、16時に08Aの報告書を投稿する予定です。
それと、第3章は第17話で最終回になりますので、あと2日ほどお付き合い頂ければと思います。
よろしくお願いします。