技術試験隊斯ク戦ヘリ 作:ザクスキー2世
夕方16時にYMS-08Aの報告書を投稿します。
【機密指定:甲】
報告書番号:U.C.0079-0323-603-03
提出日:宇宙世紀0079年3月23日
宛:ジオン公国軍総司令部 技術本部長 アルベルト・シャハト少将 殿
発:第603技術試験隊 オリヴァー・マイ技術中尉
表題:ジオニック社製「YMS-07A」実証試験及び模擬戦闘に於ける技術評価報告の件
1. 運用概要
本報告書は、宇宙世紀0079年3月18日より第三次降下作戦に随伴して実施せし、次期主力モビルスーツ候補「YMS-07A」(以下、本機と呼称す)の実証試験につき報告するものなり。
試験地域は東アジア方面とし、地球重力下に於ける基本動作、機動及び射撃性能、並びに同月22日に実施せしYMS-08Aとの対MS模擬戦闘を評価の対象とす。
本機の操縦はヒデト・ワシヤ中尉、比較機YMS-08Aの操縦はアスカ・ナカノミヤ大尉が担当せり。
2. 性能評価(各種試験結果)
本機は、重力下に於ける対MS白兵戦闘を主眼に開発されし機体なり。基本動作試験では良好なる応答を示し、対地・対空射撃試験に於いても所定の試験項目を支障なく遂行せり。
機体内部の配置を見直し、新素材たる複合装甲を採用せしことにより、現行のザクIIJ型に対する軽量化を達成す。今回実施せし機動試験の測定項目に於いては、同型を上回る結果を得たり。
装甲の堅牢さに加え、近接格闘時の重心移動の安定性、並びに関節部の発揮トルクにも現行機に対する優位を認む。踏み込みから攻撃姿勢への移行は円滑にして、接触後も姿勢を保持しつつ攻勢を継続し得る点は、本機の長所なり。
【固定武装】
一、左腕部75mm三連装機関砲
標的射撃試験の結果、距離1kmよりザクII用超硬スチール合金装甲を貫徹せり。但し、右は試験に供せし装甲条件に於ける結果なり。
同距離を超える射撃では対装甲威力の低下が明白となり、遠距離の装甲目標に対する効果には制約あり。本武装は、接近時の牽制及び至近距離での補助射撃に適すると評価す。
模擬戦に於いては、携行火器の破壊判定後も本武装による射撃を継続し得たり。独立せる射撃手段を備える利点を認む一方、再装填及び左手部の汎用性については後述の課題を残す。
二、右腕部ヒートロッド(特殊鞭状兵装)
本兵装は敵機へ接触又は巻着し、通電により電装系統へ過負荷を与えるものなり。併せて、敵機の腕部又は脚部を捕縛し、姿勢及び機動を制する用途を想定す。
出力電圧及び電流の計算値から、ザクIIの電装系統に機能障害を生ぜしめ得ると推定す。然れども、同型実機を対象とする無力化試験は未実施につき、現段階で確実なる撃破手段と断定するには至らず。実機条件に於ける通電効果の検証を要す。
また、提示資料によれば、加熱された兵装部を装甲へ接触させ、振り抜くことで、超硬スチール合金装甲の溶断も可能とされる。適用し得る間合いは極近距離に限られ、溶断効果についても確認を要す。
模擬戦では攻撃後の間隙を狙って使用され、YMS-08Aに急な回避を強いる効果を示せり。但し、捕縛には至らず、模擬兵装による接触のみを以て実用時の通電・溶断性能を評価することはできず。
【近接装備】
盾は左前腕の肘部と手首の間に固定され、手部による保持を要せず。その内部には実体剣を収納し、通常のマニピュレーターを備える右手にて抜き取り使用す。
白兵戦試験では右手の模擬実体剣と左前腕の盾を併用し、防御姿勢を保ちつつ攻撃へ移行し得ることを確認せり。左手の機関砲、右腕のヒートロッドと合わせ、近距離で複数の攻撃手段を選択し得る装備構成なり。
右の装備及び基本動作から、白兵戦を重視する設計意図は明確に具現化されていると認む。各固定武装の実用時の効果、並びに継続使用に伴う整備・補給上の制約は、個別に評価するを要す。
3. 対MS模擬戦闘記録及び敗因の分析
【模擬戦闘記録】
同月22日、ツィマット社製YMS-08Aとの比較試験として、射撃戦及び白兵格闘戦を実施す。
第1回の射撃戦は開始距離を約2kmとし、両機とも模擬弾を装填せるザクマシンガンのみを使用せり。本機は接近と回避を試みしものの、移動先を捉えた射撃により胸部へ被弾し、致命判定を受けたり。
第2回は開始距離を1km未満へ短縮し、内蔵射撃兵装の使用も許可す。本機のザクマシンガンは早期に破壊判定を受けしが、左前腕の盾を用いて接近し、左腕部機関砲による射撃を試みたり。然れども、相手の側背面への移動に追従し得ず、背部への被弾により再び致命判定に至る。
続く白兵戦では、射撃戦の損傷判定を解除し、別途、致命判定の累積記録を開始せり。各攻防の終了後に間合いを取り直し、機体及び搭乗員の状態を確認して再開する方式とす。
終了時の致命判定回数は、本機38、YMS-08Aは0なり。右の38回には、前記射撃戦2回の判定を含まず。また、YMS-08Aにも盾への接触及び鞭状兵装による擦過は記録されており、致命判定が皆無なることと、接触・被撃が皆無なることは区別を要す。
【試験中の機体異常】
白兵戦終盤、模擬ヒートホークの峰が本機頭部へ接触した際、主機出力に変動を認め、機体側の保護停止へ移行せり。直ちに演習を終了し、YMS-08Aを離して搭乗員の状態を確認、回収を手配す。
右は模擬損傷の累積による演習上の停止とは異なる、実機の異常なり。補助電源及び通信は使用可能にして、再始動は点検まで見合わせるものとせり。
試験中に反復せる打撃・転倒の負荷は記録されているものの、最後の頭部接触のみを停止原因と断定するには至らず。主機出力の変動が発生せし箇所、及び累積負荷との関係について、機体点検と記録の精査を要す。
【敗因の分析】
右の戦績のみを以て、本機の基本性能がYMS-08Aに劣ると断ずるは早計なり。テレメトリーデータ及び観測映像から、操縦者の技量差が勝敗に大きく影響したと認む。
ナカノミヤ大尉は、本機の攻撃動作に先行して回避を開始し、攻撃後の姿勢変化を捉えて反撃せり。射撃戦に於いても、単に現在位置を狙うに留まらず、本機の回避先を捉える射撃を行っている。実戦で培われし空間把握及び攻撃時機の判断に、卓越せるものあり。
加えて、同大尉は脚部スラスターの噴射を手動にて細かく調節し、接地中の踏み替えと短時間の跳躍を併用せり。地表を滑る如き方向転換によって本機の正面を外し、側背面への進出を反復せしことが、近接戦闘での優位を保つ一因となれり。
右の動作は短い噴射と接地を組み合わせた機動にして、持続的な空中静止又は長時間の滞空を示すものにあらず。その再現に必要な操作精度を考慮すれば、一般操縦者が同等に運用し得るかは別途確認を要す。
対するワシヤ中尉は、試験操縦者として十分なる技量を有し、接近経路の変更、盾と実体剣の併用、ヒートロッドによる反撃を試みたり。白兵戦の接触時にはYMS-08Aを押し込む場面も認められ、本機の姿勢保持及び発揮トルクの長所は、実際の攻防にも表れている。
然れども、攻撃後の動作を捉えられることが多く、相手の方向転換へ追従する間に側背面を露呈せり。結果として、正面での押し合いに於ける優位を、致命判定に至る攻撃へ結び付け得ざりき。
従って、本試験から確認し得るのは、当該操縦者と機体の組合せに於けるYMS-08A側の優勢なり。操縦技量と機体性能の寄与を厳密に分離し、同等技量の操縦者による勝敗まで確定することは困難なりと判断す。
本機の白兵戦能力は一般部隊の運用にも有用と見込まれるが、その操作習熟及び固定武装の戦果への寄与については、操縦条件を揃えた追加試験を以て確認するを要す。
4. 総評及び今後の運用提案
本機は、地球重力下に於ける近接戦闘用MSとして有望なり。基本動作の安定性、関節トルク及び近接装備の充実に、現行機に対する優位を認む。近距離で敵MSの攻撃を受け止め、反撃へ移るための機体構成は、局地戦及び対MS戦を重視する部隊の装備として評価に値す。
また、提示された製造資料及び現時点の見積りに拠れば、YMS-08Aに比して調達費の抑制を見込める設計なり。特に比較機の高出力ジェネレーターに伴う材料・製造上の負担を考慮すれば、数量を確保する上で本機は有利と判断す。
但し、右はザク系よりの生産移行及び前線への補給が容易なることを意味せず、実用化に際しては以下の課題を残す。
第一に、ザクIIとの共通部品率の不足なり。
本機は専用設計部品が構成の6割を占め、共通部品率は4割に留まる。軍の要求値たる5割以上を満たさず、生産ラインの移行及び前線での補給部品の確保に負担を生ずるものと予測す。
共通部品の拡大を進め、要求値を満たす改設計を求む。現状の構成にて採用を求める場合は、右の負担を含め、要求未達の取扱いにつき上級部門の判断を仰ぐべきものと認む。
第二に、左手部の固定武装化に伴う汎用性の低下なり。
右手による携行火器の換装及び実体剣の使用は可能なれど、左手による把持・補助を行い得ず。両手を用いる火器操作、工作、資材運搬等に制約あり、現行ザク系と同等の作業を一律に負担させることは適当ならず。
第三に、腕部内蔵兵装の整備及び再補給の負担なり。
左腕部機関砲は、ザクマシンガンの如きドラムマガジン交換による迅速な再装填を行い得ず。弾薬消費後に火力を回復するまでの手間は、前線での継戦能力を制約する要因となる。
また、ヒートロッドを含む内蔵機構の複雑化は、点検及び修復作業の負担を増すものなり。野戦での整備性を改善するとともに、配備時には兵装に応じた補給・整備手段を備えるを要す。
第四に、白兵戦試験中に発生せし保護停止の原因確認なり。
基本動作及び個別の性能試験で良好なる結果を得たりといえど、反復負荷の下で発生せし異常を未解決のまま、実戦での継続使用に適すと断定することはできず。原因を特定し、必要な是正を施した上で、再試験による確認を行うべきものとす。
右の如く、本機は近接戦闘に於ける明確なる長所を有する一方、現行ザク系を全面的に代替するには、生産、補給及び汎用性の面に課題を残す。
共通部品率の要求未達に対する処置、腕部兵装の整備・補給性の改善、並びに保護停止原因の解明と必要な是正を行い、配備先の任務に即した運用の見通しを得ることを条件として、地上近接戦闘用機としての実用化を推奨す。
採用の可否及び配備規模については、右の諸条件を踏まえ、上級部門の裁定を仰ぐものなり。
右、報告す。
宇宙世紀0079年3月23日
オリヴァー・マイ技術中尉
たくさんのご感想ありがとうございます!!
楽しく読まさせて頂いております!!
お返事書きながら、みなさん08Aに信頼無さすぎて笑いました。
16時にYMS-08Aの報告書を投稿します。
第3章は明日更新の17話で完結いたしますので、引き続き宜しくお願いします。
登場させるとしても大分先になりますが、ジークアクスのキャラを出すのはアリかナシか。(出るならニャアン)
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アリ
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ナシ
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どっちでも良い
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早く書け