技術試験隊斯ク戦ヘリ 作:ザクスキー2世
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(最高速度の件がバレた世界線の)基地警備兵の手記
ツィマットの主任技師が行方不明になった。
前にも似たようなことがあったらしく、これで2度目なんだと。
マジで勘弁してほしいぜ。
とはいえ、MSの機密情報を山ほど知ってる重要人物には違いない。放っておいて、連邦にでも攫われたら笑い話じゃ済まねえ。
そんなわけで、俺たち警備兵だけじゃなく、基地中の兵士を動員して捜すことになった。たった1人のおっさんを捜すのに、この大騒ぎだ。
俺なんか、もうすぐ交代だってところで呼び戻された。飯もまだ食ってねえ。部屋で寝てるだけじゃないのかって言った奴もいたが、そこは真っ先に確認済みだとさ。
仕方なく格納庫から倉庫まで歩き回り、便所も覗いた。行く先々で同じように捜してる奴と鉢合わせする。お互い顔を見て、首を振って、また別の場所へ。これを何回繰り返したことか。
主任技師ってくらいだから、どこかの機械に頭を突っ込んでるんじゃないか。そんな話になって、整備中の車両の下まで覗かされた。いねえよ。いるのは、俺たちと同じくらい不機嫌な整備兵だけだ。
見つけたら一言くらい文句を言ってやろう。そう思ってた。
3時間ほど捜し回って、ようやく見つかった。
見つかったのはいいんだが、現場へ駆けつけた俺は目を疑ったね。
ガントリークレーンのフックに括りつけられて、海に浸かってやがる。海面から出ているのは首から上だけだ。
基地中で捜してたおっさんが、そんなところで波に揺られていた。
……何だよ、これ。
ぐったりしてたもんだから、てっきりもう死んでると思った。
文句どころじゃねえ。俺たちは慌ててクレーンを動かし、どうにか岸へ引き上げた。
近くで見たら、顔面はボコボコに腫れ上がってる。しかも、海から出てきた身体には白いブリーフ1枚しか残ってねえ。その格好でフックに括りつけられてたんだ。
誰がやったんだよ、こんなこと。
ところが、あんな状態でも命に別状はなかったらしい。無事で何よりだが、担架で運ばれていく顔を見ても、とてもそうは思えなかったぜ。
後で憲兵隊が取り調べたそうだが、本人は何も覚えていないと供述したんだと。
あんな目に遭って、何も覚えてねえのかよ。
後で聞いたんだが、犯行があったらしい日の夜、同僚が海辺でナカノミヤ少佐を見掛けていたそうだ。
海を眺めながら笑っていて、それはもう、実に清々しい笑顔だったんだと。
あの人、結構美人だからな。夜に会えた上に、そんな笑顔まで見られたんだろ。
羨ましいぜ。
件名 : YMS-08B 地上実証試験・実戦運用報告
次期陸戦用MS(開発仮称「ドム」)本格開発承認申請
社外秘・開発関係者限り
提出日:宇宙世紀0079年4月27日
宛先:ツィマット社 専務取締役 技術開発本部長 殿
提出部門:第一設計局
提出者:主任技師 ヨーゼフ・アイヒマン
1. 報告の要旨及び承認申請事項
第一設計局は、YMS-08Bによる地上実証試験及びアリゾナ方面での実戦運用の結果を踏まえ、ホバー機動を主たる移動手段とする次期陸戦用MS(開発仮称「ドム」)の本格開発への移行を申請する。「ドム」は社内の開発仮称であり、正式名称は未定である。
今回の試験では、高速移動を継続しながらの射撃、移動方向と機体正面を分けた戦闘機動、ヒートサーベルによる近接戦闘、及びAAMCを利用した動作制御を確認した。実戦後には試験機と機内記録を持ち帰っており、観測範囲外の動作を含む解析が可能となっている。
YMS-08Aにおける課題であった推進剤消費と操縦負担には、ホバー方式への変更及び制御ソフトウェアの整備による改善が認められる。また、後継機への搭載を予定する反応炉についても、定格1200kWを維持しながら製造費を抑える見通しを得た。
以上から、本局は専用試作機の詳細設計及び製作へ進む技術的根拠が得られたと判断する。下記について承認を求める。
(1)「ドム」(仮称)を第一設計局の本格開発案件として立ち上げ、詳細設計及び専用試作機製作の計画策定に着手すること。
(2)機体設計、制御開発及び試験を担当する要員を確保し、試作費及び試験設備費の予算枠を設けること。
(3)生産及び原価管理の各部門を交え、量産を想定した工程、部材調達及び製造原価の検討を開始すること。
(4)軍需営業部門との共同案件として軍側技術窓口との協議を進め、比較審査への参加及び軍による実機評価の機会を求めること。
試作台数、費用総額及び製作日程は、生産部門の見積りと軍側が要求する評価内容を照合して別途提出する。量産設備への本格投資については、専用試作機の評価及び受注見通しを得た段階で改めて決裁を求める。
2. 開発経緯と今回の評価範囲
開発経緯の詳細は、先に提出したYMS-08Aの報告書で説明した通りである。本報告では、同機の試験結果を受けたYMS-08Bへの変更点と、その実証結果を中心に述べる。
YMS-08Bは、YMS-08Aの試験においてナカノミヤ少佐が実施した擬似的なホバー移動を、機体の基本構成として成立させるための実験機である。
従来の歩行を主体とする移動に加え、周囲の大気を利用する熱核ジェットエンジンで浮上と滑走を行う。加速、跳躍及び急激な姿勢変更にはスラスターを併用する構成とし、高出力を維持しながら移動に伴う推進剤消費を抑えることを狙った。
実証を急ぐため、胴体及び反応炉にはグフ系の構成品、腕部にはザク系の構成品を使用した。腰部スカート、脚部カウリング及び推進器配置はホバー運用に合わせて構成している。現行のYMS-08Bは複数機種の構成品を組み合わせた技術実証機であり、量産機の製造原価や整備性は、専用設計に置き換えた上で評価する必要がある。
本報告は、4月20日以降のキャリフォルニアベースでの機動・兵装試験、動作学習、対戦シミュレーション、4月23日の実戦運用、並びに4月25日の搭乗者からの聴取を対象とする。
主たる実機搭乗者はアスカ・ナカノミヤ少佐である。ミア・ブリンクマン技術少尉はシミュレーターによる操縦及び制御検討に参加し、実戦時には補助シートから観測、通信及び記録操作を補助した。
予定した実機同士の対MS模擬戦は、相手機の手配がつかず実施していない。
3. 基本性能と機動試験の結果
3-1. 出力、速度及び行動時間
今回のYMS-08Bに搭載した反応炉の定格出力は1034kWである。後継機向けに製造方法を改良した1200kW級反応炉とは区別する。
試験場では速度計表示で約350km/hへの到達を確認した。250km/hは巡航運用の上限として設定した値であり、両者を同一の「最高速度」として説明しないよう、今後の仕様書では運転条件を明記する。
追加タンク装着前の連続行動時間10時間は、250km/hでの巡航条件に基づく計算値である。アリゾナ派遣前に装着した追加プロペラントタンクについては、250km/hで20時間、350km/hで10時間程度との現地見積りを示した。
戦闘時の行動時間は機動の激しさで大きく変わる。初期試験で搭乗者が示した約3時間との見立ては、連続高速機動中の消費表示に基づくものである。
今回の実戦では移動後も戦闘を継続し、敵MS及び戦車との交戦後も大型陸戦艇への追跡に移れた。追加タンクの有用性は搭乗者からも評価されている。今後は取得した消費記録を運動条件ごとに整理し、行動半径と交戦後の帰投余裕を示せる形にする。
3-2. ホバー機動及び歩行との使い分け
ホバー機動では、機体正面を目標へ向けたまま後退又は横移動できる。実戦においても、射撃姿勢を保ちながら敵との距離と角度を変えられた点が有効に働いた。
歩行試験では、YMS-08Aで問題となった脚部同士の干渉を認めず、歩幅変更にも追従した。ただし歩行速度は高くなく、遮蔽物への接近や狭い場所での位置調整に使う補助的な移動手段として整理するのが妥当である。
ホバー中は推力を戻しても慣性が残り、機体の向きを変えただけでは進行方向は変わらない。初期試験では停止位置を越える動きや、遮蔽物へ寄せる際の過大修正が発生した。通常のMS操縦に習熟した者にも、減速、横移動及び接地への移行について専用の教育が必要となる。
また、急激な切り返しでは搭乗者への横方向の負荷が大きい。一般搭乗者向けには、速度に加えて加減速及び方向転換の強さを段階的に制限できるよう検討する。
3-3. 砂地への対応と放熱
派遣前には関節部へ防塵遮熱用カバーを取り付け、脚部及びバックパックの吸気口へ防塵フィルターを追加した。大型プロペラントタンクの装着に伴い、バックパック上部の放熱フィンは左右へ移設している。
これらを装着した状態で砂地における長時間の移動と戦闘を実施したが、恒久仕様としての耐久性確認は残る。フィルターの目詰まり、吸気量の低下、カバー内部への砂の侵入、放熱経路の変更による影響を帰還機の点検対象とする。
戦闘終盤には脚部の温度表示が上昇しており、高速移動と近接戦闘を続ける場合の放熱余裕も確認する必要がある。取得した温度記録を基に、常用運転と短時間の高負荷運転の範囲を定める。
3-4. 索敵装置と頭部構成
地上では、宇宙と異なり地形、植生及び構造物が視線を遮る。降雨、霧及び砂塵は見通しを奪い、晴天下でも遠方は陽炎に乱れる。先に相手を発見できなければ、遮蔽物に隠れた敵から一方的に射撃を受ける。
このため本機では、頭部にモノアイ及び通信系のほか、姿勢検出、測距、熱源探知等の各装置を集約している。現行のザク及びグフに比して搭載点数は多く、頭部内の容積はほぼ占められている。
実戦では、焼失した拠点の残熱により熱源探知の画面が飽和し、周辺の識別が困難となる事例があった。砂塵の巻き上げ時にも自機周囲の視認性が低下している。地上運用では、装置を増やすだけでなく、環境条件下での判別能力を確認する必要がある。
取得した記録を基に、降雨、砂塵及び高温環境での探知距離と誤検出の傾向を整理し、専用機の装置構成へ反映する。
3-5. 機体各部への荷重と整備負担
帰還後の初期点検では、関節部及び構成品の取付部に強い荷重を受けた痕跡が認められた。機内記録と照合したところ、ナカノミヤ少佐による急加減速及び切り返しの際、一部の計測箇所では瞬間的に10Gを超える加速度が記録されている。各部の質量に応じた慣性荷重が、関節、支持構造及び取付部へ作用したものと判断する。なお、これは機体各部の計測値である。
一方、本機は移動の大半をホバー状態で行うため、歩行主体のMSに見られる着地衝撃や、膝関節を屈伸させながら機体重量を支える反復荷重が少ない。急機動時には大きな荷重が生じるものの、関節の作動回数、荷重の繰り返し及び摩耗を総合すると、今回の運用条件では歩行主体の機体よりも部品への累積的な負担を抑えられている。
特に、ホバー運用に合わせて新造した下半身は、既存機の構成品を用いた上半身に比べ、関節部及び支持部の消耗が少ない傾向を示した。要因として、下半身に重量を集めた低重心の構成により、急機動時の機体の傾きと、それを戻すための姿勢修正に伴う負担が抑えられたことが考えられる。
下半身は上半身と装甲材が異なり、板厚にも余裕を持たせている。その重量及び運動時の荷重に耐えられるよう、関節部には既存の構成品に加えてザクの部材を補強材として組み込んだ。材質と板厚の違いに加え、この補強による剛性及び支持能力の向上も、各部の変形や摩耗を抑える方向に働いたと推察する。
初期点検で確認した摩耗及び損傷は、通常の点検、調整及び消耗部品の交換で対応可能な範囲にある。今回の記録と点検結果から見積もる整備工数及び部品交換頻度も、部隊運用上の許容範囲に収まる。高機動化が直ちに整備負担の増大へ結びついていない点は、本方式の実用上の利点と評価する。長期運用時の交換周期は、継続走行試験で精度を高める。
4. 兵装及び動作制御の評価
4-1. 携行火器
試験ではMS用バズーカB2を使用した。開発中の新型大型バズーカは今回の試験に間に合っておらず、同兵装を搭載した場合の保持、反動、重心変化及び弾薬搭載量は未確認である。
現行兵装による移動射撃は成立しており、発射時の上体の変化を脚部推力で補正する動作も得られた。実戦では120mmザクマシンガンを併用し、敵MS、戦車、歩兵火器陣地及び陸戦艇の副砲へ射撃を行っている。
陸戦艇への射撃では、外板への命中だけでは走行を止められず、砲座等への集中射撃に切り替えている。これは兵装の威力と目標選定による差であり、機体の機動力だけで補える範囲には限りがある。後継機では大型火器の搭載試験を優先し、弾倉交換時の保持と予備弾薬の配置を含めて検証する。
4-2. ヒートサーベル
ヒートサーベルは、滑走中の踏み込みと長い攻撃範囲を組み合わせる上で有効だった。静止標的への試験に加え、実戦ではMS及び戦車の装甲、陸戦艇の砲塔と浮上機構に対する攻撃に使用している。
一方、刀身が装甲へ食い込んだまま機体が移動すると、腕部へ大きな荷重が加わる。試験場では抜き取りの遅れにより次の射撃へ移る時間を失い、陸戦艇上では砲塔の旋回に腕を引かれる状況も生じた。
切り込む動作だけでなく、抜き取り、引き切り及び攻撃を中断して離れる動作までを一連の制御として整備する。長い刀身の取り回しと背部からの抜刀経路についても、専用機の構成で再確認する。
4-3. AAMC及びモーションパターンの蓄積
ナカノミヤ少佐の反復動作を機体側のAAMCと基地側設備で記録し、関節負荷、姿勢及び推力配分を確認しながら制御へ反映した。この作業により、斬撃時の姿勢補正や兵装切り替えに必要な個別操作を減らすことができた。
指揮官型ザクとの実戦では、相手のヒートホークを下方から掬い上げる際、事前に蓄積した動作に沿って腕、腰及び脚が連動している。姿勢を維持する補助が働くことで、搭乗者は相手の武器と接触角度へ注意を向けられた。
攻撃を選ぶ時機、敵の動きを読む判断及び回避先の選択は、なお搭乗者に依存する。
ブリンクマン技術少尉による対戦シミュレーションでは、登録済みの基本動作を用いて操縦に習熟する様子が確認できた。技術少尉からの指摘も制御改善の検討に寄与している。今後は、通常のザク搭乗員を対象とする転換試験も設ける。
08Bで蓄積した動作は、専用機へ移す際に質量配分、関節可動範囲及び推進器位置に合わせて調整する。シミュレーション上で成立した動作についても、実機での負荷と干渉を確認してから使用範囲を広げる。
5. 実戦運用から得た所見
アリゾナでの戦闘では、敵MSと戦車をYMT-05の射界へ誘導し、観測映像及び位置情報を共有した。その後、敵の戦車と歩兵によって足止めされ、これを排除した上でYMT-05への救援に入っている。
救援直前の局面では、機内記録上61式戦車11両を撃破し、残存する歩兵火器を制圧した。高速機であっても、背後に不時着したコムサイを残した状況では敵を単に振り切ることはできず、支援対象と敵の配置に応じて戦う必要があった。
救援時には、YMT-05を攻撃していた指揮官型ザクと近接戦闘を行い、胴体を残したまま両腕及び両脚を切断して無力化した。
補助シートに同乗者がいる場合は、急加減速や方向転換に伴う身体への負荷に配慮を要した。また、YMT-05搭乗者の救出時には負傷者を左手の掌上に収容して退避しており、その間は跳躍及び急加減速を行えなかった。同乗時及び掌上搬送時の許容機動範囲を定め、手部の保持姿勢についても検討する。
続く大型陸戦艇との戦闘では、副砲を射撃で制圧し、上甲板へ跳躍して主砲4門を破壊した。続いて浮上機構を損傷させて停止させたが、敵は降伏に応じず自爆した。
大型目標に対する機動、甲板上での姿勢維持及び近接兵装の使用について、貴重な記録を得た。
本機は被弾による損傷なく実戦を終えて帰還しており、この回避実績は機動と制御の評価に用いる。
初期点検では整備負担が許容範囲に収まる見通しを得たが、量産機の長期信頼性については、帰還機の詳細点検及び今後の継続走行試験によって判断する。
6. ドム(仮称)の設計へ反映する事項
6-1. 反応炉と専用機体構成
機体の大まかな設計は既に進んでおり、今回の実証結果を詳細設計へ反映できる段階にある。YMS-08Aで使用した試作反応炉については、安価な代替素材を用い、定格1200kWを維持したまま安定して製作できる見通しを得た。
この成果を後継機の動力源へ適用する。反応炉単体の製造改善に加え、熱核ジェットエンジン、タービン及び専用装甲を含む機体全体の費用と整備性を、生産部門と共同で詰める。
6-2. 既存機との共用と操作系
現段階のドム(仮称)の設計案では、ザクとの部品共用率は55%に達している。共用品の範囲を部品表で整理し、既存の製造設備、補給及び整備工具を利用できる部分を明確にする。
総原価は、専用品である反応炉、推進器及び装甲の製造負担を加えて算定する。
操縦区画は専用化を検討していたが、搭乗者からはザク系の計器及びスイッチ配置を可能な限り維持するよう意見があった。本局も、転換教育の負担を抑える点で採用価値が高いと判断する。
基本操作の配置を引き継ぎ、ホバー機動に必要な表示及び操作を追加する方向で再検討する。軍への提案では機体性能と併せ、既存搭乗員が習熟するまでの手順を示す。
6-3. 航続能力と兵装
追加プロペラントタンクについては、搭乗者から継戦能力への寄与が明確に指摘された。専用機では重心、放熱及び被弾時の影響を踏まえて搭載方法を定め、着脱と補給の作業性も確認する。08Bで使用する推進剤は陸戦用MS向けの一般的なものであり、後継機でも既存の地上補給網を利用できることを重視する。
ヒートサーベルは継続採用を基本とし、大型バズーカとの組み合わせで評価を進める。
6-4. 固定兵装に関する検討
搭乗者より、グフと同様に頭部へ機関砲を内蔵するよう要望があった。携行火器を持ち替えずに射撃できる手段があれば、初見の敵が手中の兵装のみに注意を向けている間に先手を取れる、との趣旨である。
本局としても、近接時の選択肢が増える意義は認める。ただし、頭部への内蔵は現設計では困難である。
前記3-4に述べた通り、陸戦用として必要な索敵装置を頭部へ集約しているため、砲本体に加えて給弾部及び排莢経路を新規に収める容積がない。いずれかの装置を降ろせば地上での索敵能力を損なう。無理に配置した場合、弾薬の補給ごとに頭部を分解する必要が生じ、前線での整備所要を著しく増大させる。
以上を搭乗者へ説明し、了承を得た。
代替として、ザク用のR6パッケージを装着可能とする方針を提示した。新規開発を伴わず、取付部及び制御系の接続を整えるのみで足りるため、量産工程及び製造原価への影響を生じない。補給系統は既存のものを利用でき、取り扱いに習熟した整備員も部隊に存在する。
搭乗者からは常時装備とする案も示されたが、重量増加及び整備所要を考慮し、部隊が必要に応じて選択する追加装備として整理する旨を説明し、これも了承された。市街地戦と砂漠地帯とでは要求が異なるとの指摘も、搭乗者より示されている。
次段階では、装着時の頭部重心の変化、射撃時の反動が姿勢及び索敵装置へ及ぼす影響、並びに砂塵環境下での作動を確認する。頭部以外の部位への固定兵装については、重量、電力及び配置の検討項目として継続する。
7. 開発体制、費用及び軍への提案
YMS-08Aの段階で問題となった高出力機関の費用と、実用上の操作負担について、08B及び後継機向けの改良で解決に向けた材料が揃いつつある。本局としては、今回の成果を実験機1機の記録に留めず、軍が調達と運用を判断できる専用試作機へまとめることを提案する。
次段階では、現有機を用いた制御及び耐久試験と、専用試作機の設計・製作を並行させる。設計担当者が試験設備の調達や仮設接続を都度処理する状態を改め、専用のシミュレーターと記録解析設備を確保したい。
他の開発案件との要員及び設備の共用範囲は技術開発本部で調整し、本局が継続して使用できる時間を定める。費用の抑制には既存部品と設備の利用を進めるが、制御の検証を実機運転だけに依存する体制では試験期間と機体負担が増す。
軍需営業部門には、広域の地上戦線での増援、部隊間の戦力移動及び高速機動を伴う火力運用を、主な提案用途として示す。最高速度のみを訴求するのではなく、移動後に残る交戦余力、ザクからの転換教育、補給互換性及び整備所要を説明できる資料を整える。
軍側との初期協議は、専用試作機の完成に先行して開始したい。要求条件を把握し、比較審査に必要な試験と実演内容を設計へ戻すことで、完成後の大規模な変更を避けられる。
本局は技術説明及び試験への対応を担い、会社としての提案条件、試験参加及び対外説明の範囲は、技術開発本部と軍需営業部門の調整事項とする。
8. 次段階の試験と移行判断
まず帰還機の点検及び記録整理を行い、関節、脚部推進器、吸気・放熱系並びに兵装保持部の負荷を確認する。実戦で機能した動作と、搭乗者の操作で補った箇所を抽出し、専用機の制御仕様へ反映する。
索敵装置については、降雨、砂塵及び高温環境における探知距離と誤検出の記録を整理し、頭部の装置構成と配置を確定する。R-6パッケージの装着条件も、この構成が定まった段階で確認する。
並行して、通常のザク搭乗員によるシミュレーター試験と段階的な実機転換試験を実施する。停止、横移動、遮蔽物への接近、射撃後の姿勢復帰及び武装の持ち替えを優先し、習熟に要する時間と誤操作が発生する箇所を記録する。
専用試作機では、1200kW級反応炉とホバー機構の組み合わせ、兵装搭載時の安定性、砂塵下の継続運転及び整備作業を確認する。市街地、軟弱地盤等での試験条件も追加する。
実機同士の対MS模擬戦にはペイント弾を使用し、武装を保持した機動と複数機との交戦を検証する。切断能力や兵装の破壊力を調べる実射・斬撃試験は、標的を用いる別の試験として実施する。
これらの結果に製造原価及び部隊運用費の見積りを添え、軍への比較審査用資料をまとめる。制御、耐久性又は費用に大きな問題が残った場合は、出品仕様を見直した上で上申する。
9. 結論
YMS-08Bは、ホバー機動を用いる陸戦用MSの実用化に向け、専用機の開発へ進むだけの成果を示した。高速走行と兵装運用を両立する構成に加え、蓄積した動作を制御へ戻す開発手順にも有効性が認められる。
今後は、ナカノミヤ少佐の操縦で得た成果を一般の搭乗員が使える機体へまとめ、製造と補給を含めて軍に提示する段階となる。そのための専用試作機、試験設備及び関係部門の協力を確保したい。
第一設計局として、次期陸戦用MS(開発仮称「ドム」)の本格開発移行を推奨し、前記申請事項の承認を求める。
以上
ツィマット社 第一設計局
主任技師 ヨーゼフ・アイヒマン
時系列と記載者の今回上、報告書回を分割してお送りました。
冒頭茶番は、IFシナリオです。
登場させるとしても大分先になりますが、ジークアクスのキャラを出すのはアリかナシか。(出るならニャアン)
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アリ
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ナシ
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どっちでも良い
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早く書け