技術試験隊斯ク戦ヘリ   作:ザクスキー2世

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今回は、オリヴァー・マイの報告書会です。

イグルーの報告書のような書体で書き始めたら、気付いたらこんなことに…
校正や誤字訂正などをしていたら、祝勝会の話まで手がおよばなかったので、そちらはまた次回に持ち越しとなります。


試作艦隊決戦砲QCX-76A「ヨルムンガンド」実戦運用及び技術試験報告書

 【機密指定:甲】

 

 報告書番号:U.C.0079-0117-603-01

 提出日:宇宙世紀0079年1月17日

 宛:ジオン公国軍総司令部 技術本部長 アルベルト・シャハト少将 殿

 発:第603技術試験隊 オリヴァー・マイ技術中尉

 

 

表題:試作艦隊決戦砲QCX-76A「ヨルムンガンド」実戦運用及び技術試験報告の件

 

 

 

 1. 運用概要

 

 本報告書は、宇宙世紀0079年1月15日に発生せしルウム宙域に於ける連邦軍との艦隊決戦に際し、当隊が評価試験および実戦投入を行いたる試作艦隊決戦砲QCX-76A(以下、本機と呼称す)の運用結果を詳報するものなり。

 

 ルウムに於ける艦隊決戦に際し、本機は合計十弾を放てり。

 第603技術試験隊配備の艦載機、EMS-04S ヅダを中間地点に配置し、指向性レーザー通信による射撃用観測データリンクを行う観測機として使用せり。

 

 2. 射撃記録及び戦果

 

 会戦に先立ち、ヅダより送られたる観測データにより発射されたる第一射は、射程限界約300km先の目標なりしマゼラン級戦艦一隻を轟沈せしめる。

 その威力、抜群なり。

 

 続く第二射にて、サラミス級巡洋艦を撃沈。

 その抜群なる破壊力はサラミス級一隻にとどまらず、貫通せしプラズマビームにより後方のサラミス級一隻を追加で轟沈せしむ。

 二隻目以降の貫通は観測出来ておらず、不明なり。

 

 第三射にては、マゼラン級戦艦一隻を撃沈せり。

 

 第四射、連邦軍後衛艦隊航空戦隊旗艦と思しきマゼラン級戦艦を、右舷斜め前方より破壊、轟沈。

 続く後方コロンブス級改造空母を過貫通により撃沈せしむ。

 

 第五射、コロンブス級改造空母一隻を撃沈。

 砲弾クリップ内残弾射耗につき、再装填を行えり。

 

 第六射、レパント級ミサイルフリゲート艦一隻を撃沈。

 

 以降、敵連邦軍小規模艦隊(マゼラン級一、サラミス級四、レパント級四)の接近により、本来QCX-76Aの想定戦闘たる敵艦射程外からの超遠距離射撃の要件より外れるため、正規の技術評価試験は是迄とするを妥当なりと思料す。

 然れども、その射撃性能に鑑み、第七射以降を近距離咄嗟射撃及び速射時の砲身耐久試験に変更し、之を実施せり。

 

 第七射、第六射の砲身冷却を待たずに速射、サラミス級一隻を撃沈せり。

 

 第八射、第七射の速射により砲身冷却時間を多く割く。結果、近距離射撃によりサラミス級一隻、レパント級一隻を同時に轟沈せしむ。

 この際、レパント級からのミサイル攻撃により、QCX-76Aは小破せり。

 開放型制御室を採用せしがため、砲術長アレクサンドロ・ヘンメ大尉が負傷せり。

 

 第九射、前述の砲術長負傷により失中せり。

 

 第十射、第603技術試験隊所属、アスカ・ナカノミヤ少尉により中破せしマゼラン級一隻に対し極至近距離にて咄嗟射撃を為す。

 正面より之を轟沈せしめる。

 

 全十射に於いて、敵マゼラン級戦艦四隻、サラミス級巡洋艦四隻、レパント級ミサイルフリゲート艦二隻、コロンブス級改造空母二隻を撃沈せしめたり。

 

 3. 性能評価及び総評

 

 【威力・貫通力】

 プラズマビームの破壊力は戦艦の重装甲を容易に貫徹し、過貫通による複数艦の同時撃沈を幾度も実証せり。威力に関し申し分なきものなり。

 

 【射撃精度及び連携】

 本機単独での長距離照準は困難なるも、EMS-04S ヅダを前衛の観測機として運用し、データリンクを確立せしことで驚異的なる命中精度を誇れり。

 

 【耐久性・構造的欠陥】

 速射時の砲身冷却の課題、及び巨体ゆえの自律機動力の欠如が明白となれり。

 又、開放型制御室は防御力皆無にして、砲術長負傷(後に戦死を確認せり)という重大なる人的損失を招きし点は否めざる事実なり。

 剰え、実戦運用せるアレクサンドロ・ヘンメ大尉を喪いしことは、第603技術試験隊に於いて誠に遺憾なり。

 

 【費用対効果】

 本機より放たれし砲弾一発に要する製造費は、実に主力機たるザクⅡ三機分に相当す。此度の会戦に於いて全十射を射耗せしめれば、即ちザクⅡ三十機分もの莫大なる国費を突如として費やしたる計算なり。一門の砲が挙げし戦果としては絶大なりと雖も、果たして此の劇的なる消費が真に戦果に見合うものなりや、軍備運用の観点より大いに疑問の残る所なり。

 

 【結論】

 想定戦闘たる超遠距離からの先制射撃に於いては比類なき性能を発揮せしが、距離を詰められし状況下に於いては極めて脆弱なり。

 然れども、歴史を覆す破壊力を示せし事実は、その存在意義を存分に証明されたるものと認む。

 

 4. 今後の運用提案

 

 本機の示せし破壊力は得難きものなれば、前項の欠陥及び費用対効果を勘案したる上での次期運用案を左に具申す。

 

 【一、要塞砲への転用案】

 自律機動力の欠如を逆手にとり、宇宙要塞等に据え置き型の防衛砲として転用配備せば、敵艦隊の遠距離からの接近を大いに阻むべし。

 

 【二、小型化に依る敵要塞攻撃兵器への転用案】

 現状の巨体を少しく小型化し、推進器を増強せしむべし。之に依り陣地転換の移動力を向上せしめ、ルナツー等、敵宇宙要塞の堅牢なる装甲を長距離より穿つ侵攻用攻撃兵器として運用する案なり。

 

 【三、制御室の格納及び要所防衛への集中配置案】

 最大の弱点たる開放型制御室を排し、装甲内部に密閉格納せしむることで砲兵の生存性を強固にすべし。その上で、本機を複数門、宇宙航路の要点に集中配置せば、敵の侵略を許さざる強固なる防衛網を構築し得るものと思料す。

 

 右、報告す。

 

 宇宙世紀0079年1月17日

 オリヴァー・マイ技術中尉

 




旧陸軍の戦闘詳報などを参考にしています。
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