ベル・クラネルにペテルギウス・ロマネコンティが憑依転生するのは間違ってるだろうか   作:小さな脳

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声優繋がりで書きました


プロローグ 出会い

 

 「ーナツキ・スバルゥゥ!!!!」 

  

 伸ばした手は届かない

 

 愛も

 

 信仰も

 

 執念も

 

 何もかもが零れ落ちていく

 

 最後に見えたのは、憎むべき少年――ナツキ・スバルの顔だった

 

 憎い怨敵の名を叫んだまま、男の肉体は血と肉がぐちゃぐちゃになったかのような状態になり、その生命活動を停止した。

 

 男の名はペテルギウス・ロマネコンティ。魔女教という嫉妬の魔女『サテラ』を崇拝する危険集団のトップ「大罪司教」の座に君臨しており、自身を「怠惰担当」と名乗りながらサテラへの愛を叫び、誰よりも勤勉に悪辣な行動を繰り返した狂人である。

 

 そんなペテルギウスだが主人公「ナツキ・スバル」の活躍により惨い最期を迎えてしまうのだった。

 

 しかし、幸か不幸かは分からないが、彼はとある人物に憑依する形で再び生を受けることとなった。それもペテルギウスがいた世界とは違う世界にへと。ーー

 

 

 

________________________________________________

 

 冷たい石畳の感触。

 

 鼻を突く酒と汚水の臭い。

 

 遠くから聞こえる喧騒。

 

 ペテルギウス・ロマネコンティはゆっくりと目を開いた。

 

 「――サテラ....私は...は?」

 

 掠れた声が漏れる。

 

 目の前には見知らぬ路地裏。

 

ここは一体何処だろうか。自分はさっきまで怨敵ナツキ・スバルを追いかけて、それでーー。

 

 そう思った瞬間、ペテルギウスは頭を掻きむしり、眼から血涙を流しながら発狂した。

 

 「ああああッ!ああああああ!私は!私はなんという!試練に失敗し

  挙句の果てには敗れるなどという怠惰!サテラよ!どうかお許しを!

  私の怠惰をお許し下さい!あああ愛に愛に愛に愛に!貴方様への愛愛

  愛愛をををを!!」

 

 数十分後ーー

 

 「しかーし、私は死んだ筈です。それなのに肉体が違うといえど私は

  生きているのデス!一体これはどういうことなのでしょうかねぇ?」

 

 ペテルギウスは窓に映った自身の体を舐め回すように見る。

 

 年齢は十四、五歳ほど。

 まだ大人になりきれていない幼さを残した顔立ち。

 だが、その瞳には年齢以上の狂気と真っ直ぐさが宿っていた。

 まず目を引くのは髪だった。

雪のように白い。

月光を編み込んだかのような柔らかな白髪。

癖のある髪は無造作に跳ねており、整えてもすぐ崩れてしまいそうな危うさがある。

 そして瞳。

透き通るような赤。

燃える炎の赤ではない。

夕焼けを映した宝石のような、どこか優しい紅色。

 服装はいかにも村人、といった雰囲気だ。何処かの村人だろうか。

 

 自分の姿を見たペテルギウスはこう呟いた。

 

 「この体...先程までの肉体とは違うのデス!それに私の指先にもこのような人物は居なかった筈......まぁいいでしょう!私は生きている!それ即ち愛に!魔女からの寵愛に報いる事が出来る!なんて素晴らしい事なのでしょうか!...とりあえずは現状把握からデス!一体此処は何処なのでしょう。」

 

 路地裏から出る。

 

すると目の前に広がったのは巨大な都市だった。

 

人。

 

人。

 

人。

 

様々な種族が行き交う。

 

そして、空を貫くような白い塔。バベル

 

 ペテルギウスは口を開けた。

 

「何デスかあれは」

 

 思わず指差す。

 

 通行人が怪訝そうに見る。

 

「観光客か?」

 

「バベル知らねぇのか?」

 

「田舎者だろ」

 

ペテルギウスは聞き返した。

 

「バベル?」

 

「おいおい」

 

 通行人が笑う。

 

「ここはオラリオだぞ」 

 

 

迷宮都市オラリオ。

 

聞いたことがない。

 

魔女教もない。

 

王国もない。

 

魔女もいない。

 

その代わり

 

神という存在がいる。

 

ダンジョンがある。

 

冒険者がいる。

 

その日、ペテルギウスは街を彷徨った。

 

情報を集めるためだ。

 

結果。

 

理解した。

 

自分は異世界にいる。

 

少なくとも知っている世界ではない。

 

魔女教もなければ嫉妬の魔女もいない。 

 

 ペテルギウスは今後の方針を考えた。まず、元の世界へと帰還する事を第一に考えた。

必ず舞い戻り魔女へと愛を報いるために。この世界には魔女は存在しない。従って同志たる魔女教徒を増やす事は難しいだらう。福音書すら存在...福音書!

 

 ペテルギウスは自身の懐を探り福音書と呼ばれる本がある事を確認した。やはり私は魔女に見捨てられてはいなかったのだ!

 

自分が持っている福音書には何の変化も無かった。

 

________________________________________________

 

「困りましたねぇ!行く宛も無ければ福音書の導きも無い!」

 

 ペテルギウスは目を覚ました路地裏で途方に暮れていた。

福音書を開き、何の記述が無い事を確認した後、懐に仕舞い頭を抱えながら思わず声を出してしまう。

 その声は誰にも拾われることの無く路地裏へと消えてーーー

 

 「君、迷子かい?」

 

 いかずに、一人の少女に拾われた。

 

 鮮やかな黒髪をツインテールにした美しい少女だ。

 

 そして彼女を語る上で欠かせないのが、その体躯である。

小柄な身体に対して豊かな胸元。

 純白の衣装の上からでもはっきりと分かる存在感は、彼女の特徴として多くの者の記憶に刻まれている。

 胸元を支える青いリボンはまるで彼女の象徴のようだった。

 

 「貴方は..一体誰なのデス?」

 

 「僕かい?僕の名前はヘスティアさ。ところで、君は迷子だろう。行く宛がないのなら僕のところに来ないかい?」

 

 「ふむ...私は...」

 

 ペテルギウスは考える。このままこの世界で生きるのは難しいだろう。それでは元いた世界に帰る事はできない。ここは彼女の元へと行くべきだろうか。

 

 そうペテルギウスが思案していると、突然ペテルギウスが持っていた福音書に記述が書き込まれる。

 

 『神ヘスティアの眷属になるべし』

 『そして愛を捧げよ』

 

魔女教の象徴。

 

信仰の証。

 

福音書。

 

「福音書が機能した!即ちこの世界でも魔女の寵愛はあるという事!やはり私を見捨ててはいなかったのデスね!」

 

感極まる。

 

涙が止まらない。

 

 「ああああ魔女よ!私は必ずや貴方の前へと舞い戻り、貴方へと愛を注がましょう!純愛に寵愛に敬愛に親愛に愛愛愛に報いるのデス!ああやはり私は見捨てられではいなかったのデス!ああ脳が震える!」

 

 感極まったペテルギウスは彼の異様なテンションにドン引きしたヘスティアへと。

 

 「神よ、どうか私を貴方様の眷属にして頂きたいのデス!」

 

 「え!?いいのかい?いきなり僕の眷属だなんて。それは嬉しいけどさ!」

 

 「私は貴方の眷属になりたいのデス」

 

 「やったー!ついに僕にも眷属ができたんだ!よし、それじゃ早速ファミリアのホームへと行こうか!」

 

 いかにも嬉しそうに言った後、ヘスティアは彼へと名前を聞く事を思い出した。

 

 「そういえば、君の名前はなんだい?」

 

 男はしばらく黙り込む。

 

何かを思い出しているようだった。

 

そして。

 

静かに口を開く。

 

 「私は魔女教大罪司教『怠惰担当』ペテルギウス・ロマネコンティ

  

 

   デス!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




続きます
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