CyberPunk: EDGE CASE   作:エネーロ

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#16 Come Together / 「集いし者たち」

タワー襲撃作戦への参加をヴォイドたちが決めてから、まだ数日と経っていなかった。モーガンを介して正式な要請が上がったのを受け、ミリテク側から連絡が入ったのはその翌日のことだ。回線(ライン)越しに告げられたのは、日時と場所、それだけだった。

 

 

「詳細はこちらの拠点(ベース)で。今後の枠組みについて説明する」

 

 

素っ気ない一文に、交渉の余地は感じられなかった。指定されたのは、ナイトシティ郊外――コーポプラザの一角に構えられたミリテクの前線統合作戦拠点(フォワードベース)。もう後戻りはできない、ということかもしれない。ヴォイドはそう思いながらも、口には出さず、他の四人と共にその社屋へ向かった。

長い廊下を歩きながら、ヴォイドは肌に馴染まない空気の変化を感じ取っていた。酒とスモッグの匂いが染み付いたアトランティスやアフターライフのVIPルームとは何もかもが違う。壁面は継ぎ目すら見えないほど清潔で、光源はホロディスプレイの明滅だけ。人の生活の匂いが、この場所からは徹底的に排除されている。

 

すれ違いざま、重装甲(アーマー)を纏った一団と鉢合わせた。先頭の男がジョニーへ値踏みするような視線を寄越し、鼻を鳴らす。

 

「モーガンのお気に入りとやらか」

 

誰へともなく吐き捨てられた言葉に、ジョニーが片眉を上げる。だが男はそのまま人混みに紛れ、廊下の奥へ消えていった。

 

(……もう他のチームが動いてる、か)

 

その一瞬のすれ違いだけで、ヴォイドは十分に察していた。この拠点(ベース)には既にいくつものチームが個別に呼び出され、動かされている。

案内されたのは大会議室ではなく、拠点(ベース)の一角にある会合(セッション)用の小部屋だった。集められているのはヴォイドたちの五人のみ。他チームの顔ぶれも装備も、この部屋には持ち込まれない。

 

(情報の遮断か。それとも、単なる管理上の都合か)

 

判断材料が足りない。ヴォイドはその違和感を一旦内心のメモに留め、口には出さなかった。

 

ジョニーは腕を組んで壁に背を預け、露骨に居心地の悪さを滲ませている。企業《コーポ》の建物の中にいるというだけで、彼にとっては生理的な屈辱に近いらしい。

 

「趣味悪ィ内装だな」

 

誰に向けたわけでもない呟きに、答える者はいない。

スパイダーは物珍しそうに拠点(ベース)のセキュリティやネットワーク構成を盗み見ながら、小さく口笛を吹く真似をした。

 

「……へえ。末端のわりに、ファイアウォールはそこそこ本気じゃん」

 

ローグは対照的に、慣れた足取りで用意された椅子に腰を下ろす。長年こういう場に出入りしてきた人間の余裕がそこにはあった。ウェイランドはその斜め後ろに控え、必要以上に視線を動かさない。

ヴォイドは部屋の隅、壁際の死角となる位置に立った。誰かに命じられたわけではない。ただ自然と体がそこを選んでいた。人員の数、出口の位置、監視カメラの死角――いつもの手順で、いつもの無表情のまま、室内をざっと洗い出す。

 

 

正面に立ったのは、細身のスーツを纏った男だった。感情の起伏をほとんど感じさせない官僚的な口調で、名乗る。

 

「ミリテク作戦部、管理官(ハンドラー)のクロウだ。今回の枠組みについて説明する」

 

壁面のホロディスプレイに、ヴォイドたちだけに割り振られた符丁(コードネーム)担当領域(セクター)が浮かぶ。

 

「今回の対アラサカ作戦においては、複数の『ストライク・チーム』を個別に編成する。各チームには符丁(コードネーム)担当領域(セクター)を割り振り、装備・情報インフラの支給と引き換えに、作戦部への定期報告義務を課す」

 

クロウは一拍置いて、付け加えた。

 

「……他チームの詳細については、原則として伝達しない。それがこちらの流儀だ」

 

淡々とした説明だったが、ヴォイドの耳にはそれが契約《ディール》であると同時に鎖のようにも響いた。指揮系統の一元化。装備の貸与という名の管理。逐一の報告義務。言葉を変えれば、ミリテクという巨大な機構の駒として組み込まれる、というだけの話だ。

 

ジョニーが小さく舌打ちする。

 

「随分と丁寧な言い回しだな、飼い犬にするって意味だろ、それ」

 

クロウは表情を変えず、「解釈は自由です」とだけ返した。

 

その空気を見計らうように、モーガン・ブラックハンドが口を開く。

 

「これは俺が保証する。お前たちを単なる使い捨ての駒として扱うつもりはない」

 

彼は一度、部屋にいる全員の顔を見渡してから続けた。

 

「だが、組織である以上、最低限の枠組みは必要だ」

 

そう言って重ねた視線は、明らかにローグへ向けられていた。交渉の余地がある、という無言の合図だった。

案の定、クロウの説明が一段落するや否や、ローグが静かに、しかし刃のような声で割って入った。

 

「悪いが、アタシたちはミリテクの駒になるつもりはないよ」

 

室内の空気が一瞬で張り詰める。管理官(ハンドラー)の表情筋がぴくりと動いたが、すぐに営業用の微笑を被り直した。

 

「駒、とは心外ですね。あくまで対等な協力関係のつもりですが」

 

「対等、ね」

 

ローグは煙草に火をつけながら、紫煙越しにクロウを見据える。

 

「逐一の報告義務があって、装備の貸与を盾に行動を縛られて、命令系統は作戦部が握る。それのどこが対等だい」

 

紫煙を燻らせながら、彼女はテーブルの上に条件を一つずつ並べていく。

 

指揮系統はモーガン個人への直属に限定すること。作戦部からの直接命令は受け付けないこと。得た情報や戦果の扱いは、自分たちの裁量(ジャッジ)に任せること。そして、契約(ディール)はこちら側の判断で、いつでも打ち切れること。

 

クロウは渋る。

 

「前例のない条件です。他のチームとの整合性が――」

 

「他のチームの話はどうでもいい」

 

ローグが遮る。

 

「アタシが保証するのは、このチームの実力と、モーガンとの信頼関係だ。港湾の一件、アンタらも耳にしてるだろう? アダム・スマッシャーを相手に生き延びた面子だよ。それだけの働きをする連中を、下っ端と同じ枠に押し込めようって方が無理な相談さ」

 

ジョニーが横から皮肉げに鼻を鳴らす。

 

「聞いた通りだ、スーツ野郎。俺たちはお前らの犬じゃねえ」

 

その一言は交渉の後押しにも、ただの苛立ちの発露にも聞こえた。

スパイダーも便乗し、膝の上のデッキを軽く指先で叩きながら付け加える。

 

「ついでに言っておくけど、ウチが拾ってきたデータをこっちの検閲(フィルター)抜きで作戦部に流すつもりもないから。こっちのネット担当はアタシ。持ち出す情報は、アタシが選ぶ」

 

クロウの眉間に、初めて隠しきれない苛立ちの色が浮かんだ。

モーガンが小さく片手を挙げ、ジョニーとスパイダーを制しながらクロウへ静かに頷く。

 

「ローグの条件を呑め。この件に関しては俺の名前で保証する」

 

モーガン個人の信用――これまでミリテクへ積み上げてきた貢献と実績――が最後の一押しとなった。クロウは渋々ながら条件を受け入れる。端末(ターミナル)に指を滑らせ、契約(ディール)項目を書き換えながら、彼はどこか含みのある声で付け足した。

 

「……承知しました。ただし、これは異例中の異例です。くれぐれもお忘れなく」

 

その言葉の裏に潜む牽制――特別扱いされる部隊への警戒――を、ローグは涼しい顔で聞き流す。

 

(しかし、これほどまでにあっさりと通るものなのか)

 

内心でそう訝しんだのは、クロウ自身だった。指揮系統の独立、命令拒否権、情報の裁量(ジャッジ)――本来であれば作戦部が何より嫌う、制御の効かない駒の条件だ。だが、上層部からの事前の通達にはこうあった。

 

『アルファの独立性については、ある程度の融通を利かせて構わない』

 

その理由までは、クロウ自身にも知らされていない。彼は端末《ターミナル》に指を滑らせながら、その違和感を意識の隅へ追いやり、事務的な微笑みの下に押し込めた。

この一幕を、部屋の隅からヴォイドは黙って見つめていた。

 

(……交渉というのは、こうやるものか)

 

内心でそう呟きながら、企業(コーポ)下請(サブコン)けとして組み込まれることへの警戒――己の持つクロームが、この時代の物差しでは測れないものだと記録に刻まれることへの、根源的な恐怖――が、ローグの交渉によっていくらか和らいだことに、密かな安堵を覚える。

だが、その安堵の底に、ほんの一瞬、冷たい針のような違和感が差し込まれた。

 

(……些細なことだ。だが、望んだ条件が、望んだ通りに通り過ぎている)

 

2077年側の記憶の断片が、警告のように微かに疼く。それが何を指し示しているのか、ヴォイドにもまだ判然としない。ただ、「対等」という言葉の裏にある企業(コーポ)の本音を忘れてはいけないことだけを、内心のメモに深く刻んでおいた。

 

クロウが小さく息を吐き、書き換えを終えた端末(ターミナル)をテーブルに置く。仕切り直すように、彼は新しい画面をホロディスプレイへ投影した。表示されるのは、他チームの名も担当領域(セクター)もない、ヴォイドたちだけの符丁(コードネーム)だった。

 

「――ストライクチーム・アルファ」

 

アルファという符丁(コードネーム)だけが、ぽつんとホロディスプレイに浮かぶ。他に並ぶ情報は何もない。それが優先度の高さを意味するのか、単なる記号の割り振りに過ぎないのか、この部屋にいる誰にも判断のしようがなかった。

 

「で、リーダーは誰にしますか」

 

クロウが事務的に尋ねる。モーガンが答えるより先に、ローグがちらとジョニーへ視線をやり、口を開いた。

 

「ジョニーだ」

「はァ?」

 

ジョニーが目を剥く。

 

「おい、待て。俺は聞いてねえぞ」

「対外的な看板の話だよ、ジョニー」

 

ローグは涼しい顔で続ける。

 

「実務は今まで通り、みんなでやる。だけど交渉相手や他のチームに『誰が頭か』を示す顔は要る。アンタが一番派手で、一番名前が通ってる。適任だろ」

「くだらねえ肩書遊びに付き合う趣味はねえよ」

 

そう吐き捨てながらも、ジョニーの口元には隠しきれない、好戦的な笑みが滲んでいる。伝説を追い求める男にとって、「ストライクチーム・アルファのリーダー」という肩書は、決して悪い響きではないらしい。

 

クロウは端末(ターミナル)から視線を上げないまま、「では、指揮系統の名義はジョニー・シルヴァーハンド氏に」と機械的に読み上げ、編成表(ロースター)へ反映していく。

 

その様子を見つめながら、ヴォイドは内心でわずかに眉をひそめた。

 

(……名目上、とはいえ)

 

これまでの快進撃と、港湾での生還。その二つが、ジョニーの中で少しずつ「自分は倒れない」という感覚へ育ちつつあることを、ヴォイドは薄々感じ取っていた。リーダーという肩書は、その芽をさらに育てる養分になりかねない。

だが、今はまだ、それを言葉にする段階ではない。ヴォイドはそう判断し、視線をわずかに伏せるだけに留めた。

 

クロウは名義変更の入力を終えると、次の項目へと画面を送る手を止め、ふと付け加えた。

 

「……余談ですが、地下データ回収を担当する別動隊にも、既に符丁(コードネーム)が振られています。ベータ、と。それと、モーガン様直属の温存戦力にも」

 

そこで彼は言葉を切り、それ以上は語らなかった。担当領域(セクター)も構成人員も、この部屋には開示されない。ローグが片眉を上げたが、深追いはしなかった。

 

「ふうん。なら、そっちはそっちで好きにやってくれ」

 

その素っ気ない一言で、話題は流れていく。だが、ヴォイドの記憶の隅で、「アルファ」「ベータ」「オメガ」という三つの符丁(コードネーム)が、静かに一つの輪郭を結び始めていた。

 

 

編成の話が一段落したところで、モーガンがふと、独り言のように呟いた。

 

「……そういえば、シャイタンにも声をかけておいた」

 

その名前に、ジョニーが片眉を跳ね上げる。

 

「は? ……あいつ、街に戻ってきてんのか」

「さあな」

 

モーガンは肩をすくめる。

 

「風の噂に流しただけだ。届いてるかどうかも、五分五分だろう」

 

ローグも煙草を挟んだ指を止め、わずかに目を細めた。

 

「あの男が大人しく街をうろついてるとは思えないけどね」

 

そう言いながらも、その口調にはどこか確信めいた響きがあった。

 

「――けど、来るよ、あれは」

「ああ」

 

ジョニーが短く頷く。声には皮肉の代わりに、妙な確かさが滲んでいた。

 

「アラサカ絡みの誘いを、あいつが断ったことは一度もねえ。噂が耳に入ってるなら、来る。理屈じゃねえ、あいつの性分だ」

 

その言い切り方に、迷いはなかった。かつて共に修羅場をくぐった者だけが持つ、根拠のない、しかし揺るがない確信。

ヴォイドは壁際の死角から、その短いやり取りを黙って聞いていた。

 

(……シャイタン)

 

かつてジョニーの口から一度だけ零れたその名を、ヴォイドは記憶の奥から静かに引っ張り出す。

 

 

そんな話も一段落し、クロウが次の議題へ移ろうと端末《ターミナル》に向き直った、その時だった。

 

ふいに、小部屋の扉が乱暴に開け放たれる。

 

足音一つ聞こえなかったことに、室内の面々が一斉に緊張を走らせる。だが、その反応は一瞬で霧散した。

 

「――来たか」

 

ジョニーが真っ先に口の端を歪めた。驚きではなく、答え合わせでも見るような響きだった。

現れたのは、全身を無骨な軍用義体(ボーグ)で覆った、フルボーグの男だった。表情の読めない顔面プレートと、隠しきれない敵意にも似た気配だけが、その存在を雄弁に物語っている。装甲の継ぎ目には、幾度となく修理を重ねた跡と、明らかにアラサカ製と思しき兵装の一部を戦利品のように組み込んだ痕跡が見えた。

彼は誰に断ることもなく、扉の外で制止しようとしたミリテク職員を無視して、ずかずかと部屋の中央まで歩み寄る。そしてクロウの手元のホロディスプレイを一瞥した。

 

「――俺の名前も、そこに入れておけ」

 

低く、錆びついたような声。名乗りもせず、ただそれだけを告げると、彼は踵を返して壁際に寄りかかった。

クロウが気圧されたように一歩後ずさりながらも、辛うじて事務的な態度を保って端末(ターミナル)を確認し、名を読み上げる。

 

「……シャイタン、氏。ストライクチーム・アルファへの編入希望、確認しました。……この部屋は本来、部外者の立ち入りを想定していないのですが」

 

その苦言も、シャイタンの無反応な沈黙にあっさりとかき消される。

 

「ほら見な」

 

ローグが煙草の煙を細く吐きながら、独り言のように呟いた。

 

「言った通りだろ」

 

その声に応じるでもなく、ジョニーがどこか愉快そうに口の端を歪め、シャイタンへ声をかける。

 

「よぉ、久しぶりだな」

 

シャイタンは一瞬だけジョニーへ視線を向けたが、言葉は返さず、再び正面を見据えるだけだった。二人の間に流れる短い沈黙には、かつて共に危うい仕事をこなした者同士だけが持つ、因縁めいた気配がある。

ローグはその空気を感じ取りながらも、煙草を挟んだ指を止め、シャイタンの義体(ボーグ)へ目をやった。継ぎ接ぎだらけの装甲は記憶にあるより幾分か数を増していたが、纏う空気そのものは何一つ変わっていない――そう見て取ったような、どこか懐かしむ視線だった。ウェイランドも小さく口笛を吹く真似をして、「噂通りのイカレっぷりだ」と呟く。

 

ヴォイドはあえて多くを語らせず、ただその存在感だけを静かに観察するに留めた。

 

(……これが、シャイタンか)

 

噂ばかりが先行していた悪名高いソロを、ヴォイドは初めてその目で捉えていた。目的のためなら手続きも礼儀も歯牙にかけない、その振る舞いだけで、伝え聞いていた人物像に相違はないと知れる。

ジョニーとローグの確信もまた、単なる強がりでも希望的観測でもなかったということだ。この男の性分を知る者だけが持てる、根拠のある読みだった。

得体の知れない気配を纏ったまま、シャイタンはただ壁際に佇み続けている。まだ言葉を交わしたわけでもないその男の存在を、ヴォイドは記憶の奥に静かに刻みつけた。

 

やがてクロウが手続きの完了を告げ、ブリーフィングは静かに終わりを迎えた。

 

 

拠点を後にする道すがら、ジョニーは新しい肩書きへの悪態を吐きながらも、どこか浮ついた足取りを隠せずにいた。

スパイダーはシャイタンという新顔に興味津々で話しかけている。返ってくるのはほぼ沈黙だけだったが、それすら気にする様子はなかった。シャイタンは一行から半歩下がった位置を、誰に合わせるでもない歩幅で歩いている。仲間になった、というより、たまたま同じ方向へ歩いている――そんな距離感だった。

 

ローグは涼しい顔で紫煙を吐きながら、満足げに呟く。

 

「思ったより上手くまとまったね」

 

拠点の出口で、ローグがふと足を止めた。数歩前を歩いていたはずのヴォイドが、いつの間にか歩を緩め、どこか思案気にしていることに気づいたからだ。

 

「……ヴォイド。なにか気になることでもあったかい」

 

ヴォイドは我に返ったように視線を上げる。彼女の言う通り、意識のわずかな一部が、まだあの契約(ディール)書の一文――望んだ条件が、望んだ通りに通り過ぎたという些細な違和感――に引っかかったままだった。だが、それを言葉にするだけの輪郭はまだない。ただの気のせいだと切り捨てるには据わりが悪く、かといって警戒だと騒ぐには曖昧すぎる。

 

「……いや。何でもない」

 

ヴォイドは短くそう答え、内心のわずかな引っかかりを振り払うように、いつもの表情へ切り替える。

ローグはしばらくその横顔を探るように見ていたが、やがて肩をすくめた。

 

「ふうん。まあ、アンタがそう言うならいいけどね」

 

それ以上は追及せず、彼女は踵を返して歩き出す。

 

 

 

その輪の少し後ろを歩きながら、ヴォイドは静かに思考を巡らせた。

 

ミリテクという巨大な機構に組み込まれながらも、独立性を勝ち取ったチーム。伝説へと突き進むジョニーの、危うい高揚感。まだ得体の知れない同行者となったシャイタン。そのすべてを内心で冷静に見据えながらも――

 

ヴォイドの表情に浮かぶのは、これまでのような静かな平静さだけではなかった。かすかな、しかし確かな緊張。そして、この仲間たちと共に運命へ挑む、という一つの決意の色だった。

 




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