「何で⋯⋯何でッ!?」
結月はワタルの胸ぐらを掴んで、怒りを露わにしていた。対するワタルは真顔で何も言わず、されるがままになっていた。
「アイツらが私を!!
なのに何でワタルは!?」
「ッ⋯⋯」
何も言わないワタルに結月はとうとう手をあげそうになったが、それは止められた。
「ちょっとちょっと!!何やってんの!?」
「離してよマスター!!!」
「いきなり、義理の息子殴ろうとしてるのは流石に止めるっての!!」
「もう!!」
結月はバイトから返ってきたマスターを振り払うと、店の外へと出て行ってしまった。
「大丈夫か?ワタル」
「⋯⋯ああ、何とか」
「いきなりどうしたんだ?結月ちゃんと殴り合いとは」
「自分は殴ってない⋯ただ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「どういう事?ワタルのお母さんが⋯」
「そんな訳ない⋯⋯何だって母さんが⋯それに、母さんは数年前に死んでるんだぞ!?」
ワタルはパソコンに向き直ると、論文について調べていく。
「誰かが母さんの名前を騙ってる可能性だってあるんだ、そんな簡単に信じられるかよ」
「でも、論文でそんなことする意味って?」
「⋯⋯⋯」
ワタルは結月の言う事を無視する。結月は震えるような声で言った。
「ワタルは⋯私の記憶⋯何とかしてくれるんだよね?」
「それは⋯⋯」
「何とか言ってよ!!?」
そして、冒頭へと戻る。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「流石にワタルもドライだと思うぜ?結月ちゃんだって不安なんだよ」
「分かってるよ、分かってるけど⋯⋯」
「なら、手っ取り早く調べちまえば良いじゃねえか」
確かにマスターの言う事が正しいのが分かっているワタルだが、調べるにしてもどうすれば、と言おうとした所で、マスターがワタルに何かを投げた。
「おっと!!これって⋯」
「お前の実家の鍵、家族について調べたいならそこが一番だと思うぜ?」
「分かった、ちょっと行ってくる。結月は?」
「夜までには帰ってくると思うぞ、その時に仲直りしろよ?」
「分かってるよ、それとこれ結月に渡しといてくれ」
ワタルはマスターにある物を渡すとnacitaを後にして、自身の実家へと走って行ったのだった。
「⋯⋯ただいま」
「お、思ったより早かったな」
ワタルと入れ違いで結月はnacitaに帰ってきていた。バツが悪そうな表情で帰ってきていた。
「わ⋯ワタルは?」
「アイツなら、色々調べる為に実家に行ったよ⋯⋯お袋さんの事を調べるんだと」
「そう⋯⋯マスター、ワタルは私の記憶を取り戻してくれるのかな?」
「それは結月ちゃん次第だろ?そうだ!
これ、先刻ワタルが行く前にこれ渡しといてって言われてよ」
そう言うと、マスターは懐からワタルに渡されたフェニックスフルボトルを取り出して、結月に渡した。
「なんでワタルが⋯」
「お前が心配なんだとよ」
「え?」
「実際には言ってなかったけどよ、そんな顔してたよ」
「そう、ですか」
「それともう一つ!」
「え?」
マスターは結月の目の前にコーヒーを置いた。それを見て、結月は冷や汗をかきはじめる。
「ま、マスター⋯これは?」
「いや、今までのが比にならないレベルの出来のコーヒーが淹れれたんだけどよ、ワタル行っちまったから、結月ちゃんに味見を頼みたくてな」
「いや、私は⋯」
「先刻、飲ませたのよりも出来が良いからよ、なっ!?」
この時、結月は思った。何故、納得できていなかった自分を連れて行かなかったのか。ワタルには見えていたのだ、マスターがコーヒーを淹れていたことを。
「⋯⋯はい」
その後結月は気絶した。案の定、コーヒーが不味かった。まあ、まるでブラックホールみたいな色の時点で気付くべきだったと嘆くのだった。
「ハザードレベル2.6、こっちももうすぐだな」
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ワタルside
「本当に改めて行ってみるとnacitaから実家まで遠いな、あの工業地帯からも結構離れてるし、子供の頃の自分、体力あり過ぎだろ」
自分の目の前にはかなりの大きさの豪邸があった。そのまま自分は実家に入っていく。
玄関、リビング、子供部屋、自分は流れるように見ていくとある部屋の前で止まった。
「ここが、母さんの部屋か⋯⋯さっさと調べよう」
自分はドアノブを捻るが、鍵がかかっていた。
(母さんの部屋は今まで開いてる所見たことないけど、未だに閉まってんのかよ)
「つうか、鍵って何処だよ」
自分は辺りを見るが鍵らしい物は何もない、どうした物かと考えていると、不意に奥の部屋が目に映る。
(確かこっちは父さんの研究室)
「こっちも開いてるとは思えないけどな」
自分は父親の部屋のドアノブに手を掛けた。
意外にも、ノブが限界まで回り、扉が開いた。
驚きながらも、父親の部屋へと入って行った。
「何だこれ?」
自分の目に映ったのは、血飛沫のようなものが飛び散ったラボのような部屋だった。
「これって一体⋯ん?」
困惑する自分の目に入ったのは、机の上に置いてある1枚の紙だった、
「”金庫の中に閉まっておく”⋯か、金庫なんて家にあったか?」
自分は紙の隣に置いてある一冊の本を手に取った。それは、父さんが生きてるときに肌見放さずに持っていた本だった。自分は不意に本棚を見ると、一冊だけ抜けており、本を手に取る。
「謎解きゲームとかだと、ここに本を戻すと、隠された扉が開くとかあるけど⋯⋯まさかな」
誰も思わないだろう、本棚に本を入れたらそれがスライドして、中から金庫が出てくるなんて、
「父さん、何時の間に家を絡繰り屋敷したんだ?まあいいか、これが先刻書いてあった金庫だよな」
自分が金庫を開くと中からボトルのような物が姿を現した。しかも大きさ的にはどう見ても1本分じゃない。
「後、中に入ってるのは⋯服か?
⋯⋯⋯ッ、この服って」
ワタルが見つけたのは2着の服だった。一つは女性向けの服、もう一つは背丈の大きい男性の服。それだけなら何とも思わない、だけど自分が目についたのは服の肩辺りについているマークだ。だってこれは、
「殲滅部隊の第一殲滅支部の隊服だ」
「すみません、三途川博士」
『どうしたァ?月影、お前が俺に連絡なんて珍しいじゃねえか?』
「実は聞きたいことがありまして」
『まあいいか⋯あの研究所についても聞きたいし、今度殲滅部隊に来い』
「え?あ、はい」
『それで?聞きたいことって?』
「雨宮雫って知ってますか?」
空気が変わった。先程のおちゃらけた雰囲気がまるで嘘のように。
『何処でその名前を知った?』
「依頼について調べる中で知りました、そこで殲滅部隊の隊服を2着見つけたんです、それが第一殲滅支部の」
『⋯⋯⋯』
「もう一度聞きます、雨宮雫は何者ですか?」
『俺から言えるのは一つだけだ⋯
「死の科学者⋯」
『それ以上は俺には答えることは出来ない、ハルトにでも聞くんだな』
三途川博士は通話を切ってしまった。だけど、収穫はあった。自分は携帯で死の科学者を検索する。
「これだ、えっと15年前に殲滅部隊の隊員が人間に悪霊を寄生させるという人体実験を起こし、追放された。追放された隊員の名前は”雨宮雫”と”
ここに来て、父さんの本名も登場か⋯。
「やっぱり、人体実験も父さんと母さんの死も、この隊服もすべてが繋がってるのか」
自分は金庫の中にあるボトルを懐に入れると、そのまま家を出ていくことにした。母さんの部屋の鍵が無い以上、これ以上調べても恐らく何も出ない。そして、外に出たタイミングで声を掛けられた。
「先程ぶりかしら?」
「ナイトローグ⋯⋯何でお前がここに」
「あら、貴方をつけていただけよ?」
「なら、先刻のリベンジといこうか」
【ダイヤモンド!ゴリラ!ベストマッチ!】
ナイトローグがこちらに発砲するが、形成された装甲が盾になり、防がれる。
【Are you ready?】
「変身!」
【輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!イェーイ!】
ゴリラモンドフォームに変身すると、足元に落ちていた小石を右手で拾い上げるとダイヤへと変えて、左手でナイトローグに打つ。
「あら、少しは考えられるようになったんじゃない?」
「うるさい!お前には色々と聞きたい事が出来たからな」
「だったら」
【スチームブレード!ライフルモード!】
【フルボトル!スチームショット!ドラゴン!】
ナイトローグが引き金を引くと、青色の炎が龍の形をして、ワタルに発射される。それを左手のFIXマッスルグローブで受けるがふっ飛ばされる。
「クソッ」
「まあ、貴方にはまだやってもらう事があるから、殺しはしないけどね」
「やってもらう事?」
「まあ、それは追々ってところかしら、早く立ちなさい?まだやるのでしょう?」
「当たり前だ!」
(こうなりゃ、戦いながらでもベストマッチ探すしかねえ!!)
【ロック!クジラ!】
「違う!」
【掃除機!タカ!】
「違うッ!!」
【ガトリング!ユニコーン!】
「かすりもしてないじゃない、そろそろ終わりにしましょうか?」
【フルボトル!スチームショット!電車!】
「これならどうだぁァァァ!!!」
【ガトリング!タカ!ベストマッチ!】
電車状のエネルギー弾が自分に向けて発射されていき、着弾する寸前に装甲が形成された。エネルギー弾が全て消滅すると、自分のドライバーから問いかけられた。
【Are you ready?】
「フィクスチェンジ!」
【天空の暴れん坊!ホークガトリング!
イェーイ!】
自分の背中に鷹の翼、ソレスタルウィングが展開された。ドライバーからパイプが伸びてワタルの手に収まった。
【ホークガトリンガー!】
「遠距離武器同士、殺りあおうじゃねえか!?」
「来なさい、仮面ライダーフィクス」
自分は空へと飛び去る、そして上空からホークガトリンガーの鷹の様な弾丸が発射されていく。
【フルボトル!スチームショット!ウルフ!】
ナイトローグの銃口からは、牙のような物が発射される。自分はそれを避けながらも反撃しようとする。
「何だこれ?回せんのか」
【テン!トゥエンティ!サーティ!】
「⋯⋯そういう事か!!」
自分はホークガトリンガーについているリボルマガジンを回しながら、更に上空へと飛び立っていく。
【フォーティ!フィフティ!シックスティ!】
「もう少し!」
【セブンティ!エイティ!ナインティ!
ワンハンドレッド!フルバレット!】
「溜まった!!!」
自分は上空からナイトローグが居る位置に銃口を向ける。そして、引き金を引いた。
「いっけぇぇぇーーー!!!!」
「きゃあぁぁーーー!!!」
そのまま、ナイトローグは弾丸の雨に埋め尽くされていく。そして、爆発のような物が起こると、丁度ホークガトリンガーの弾も切れた。
自分は地面に降り立つと、ドライバーからボトルを抜いて変身を解除した。自分の視線の先には2本程のボトルが落ちていた。これはナイトローグが使っていた物だった。それを拾い上げると辺りを見渡す。
「逃げたのか?」
「ちゃんと居るわよ?」
「ッ!?」
近くの木陰から現れたのは先程逃亡した筈のナイトローグだった。そしてナイトローグは高らかに言った。
「貴方はワタシを少しでも焦らせる事が出来た。ならご褒美を与えないとね」
「どういう意味だ?」
「貴方の両親についてよ」
「やっぱりお前等が!?」
「貴方の両親は生きている!!!それじゃあね」
「ッ!?待て!?」
自分が叫ぶ頃には既に姿を消していた。そして、自分しか居なくなった実家の前でポツリと言った。
「母さんも父さんも⋯生きてる?」
これで一度ストーリー編は中断します。次話がストーリーに関する話の場合は次回予告を。ストーリーに関係のない話をする場合は冒頭の小話を織り交ぜるという感じですかね。それと現段階で主人公が所持しているボトルは下記に
ワタルの所持してるボトル
・タンク
・ラビット
・コミック
・忍者
・ガトリング
・鷹
・ロック
・ドラゴン
・消防車
・ハリネズミ
・ロケット
・パンダ
・ロボット
・フェニックス
・ローズ
・ライト
・ウォッチ
・冷蔵庫
・マイク
・ダイヤモンド
・ゴリラ
・掃除機
・ユニコーン
・クジラ
・スマホ