ワタルは本日、黒神心霊相談所に来ていた。黒神ミレイからnacitaにデリバリーの注文が来たため届けに来ていた。
「すみませーん!喫茶店nacitaのデリバリーでーす!!」
中にはユウマやミレイの他にもハカも中におり、快く家に入れてもらえた。ワタルは相当お腹が減っていたのか、3人ががっついているのを眺めていた。
「そんなにお腹空いてたんですか?」
「まあな」
「実はワタルさんが来る前に闇の仮想現実シュミレーションでミッションをやりまして」
「それで、お姉ちゃんもユウマもハカちゃんもボコボコにやられちゃって」
食べ終わった3人から話を聞くと、どうやら仮想現実シュミレーションで失敗してしまったらしい、
「どんな、ミッションをやったんです?」
「おい、聞かない方が」
ユウマが詳しく聞こうとしたワタルを止めようとしたが、ハカは目をキラキラさせながら高らかに言い始める。
「はい!!私達が今回やったのはSCP-062-JP『生存権』と呼ばれるSCPです!あ、ワタルさんSCPって分かりますか!?」
「まあ、一応知識としては知ってますけど」
ワタルはハカに案内されるがままに、ついて行くと、そこは何かの司令室のような部屋で、何かのロゴマークが映し出されていた。
「ここって⋯」
「私が仮想現実シュミレーションを出来るようにしたシュミレーションルームです」
「何時も俺達はここから、仮想現実シュミレーションをプレイしてるんだ」
ワタルは画面を少し見ると、ハカとユウマ、ミレイを見て言った。
「それで、『生存権』ってどのようなSCP何ですか?」
「はい、ビジュアル表示します」
ハカがキーボードを打ち込むと、画面に現れたのは雲より高くそびえ立っている電波塔だった。雲が濃いため、雲より上空は見えない。
「電波塔、ですか?」
「正確には致死性の認識災害ですね、このSCPの対象になった、SCP-062-JP-2と呼ばれる人達に裁判の判決文のような物が現れるようになります。ですが、今まで発見されたどの判決文も科学的根拠や法的根拠に欠けています。」
「俺達も先刻ミッションやってたけど、中々に理不尽だったからな」
「簡単に言ってしまうと判決文の通りに殺されてしまいます」
「はい!?」
ワタルは驚いたように声を上げると、それを聞いたユウマは死んだ目で言った。
「それのせいで、俺物凄いグロい死に方したんだよ」
「お姉ちゃんも…」
(一体どんな風に死んだんだろう⋯)
ワタルはそんな考えを頭から振り払うと、ハカに言う。
「それで自分は何をすれば?」
「ワタルさんには、仮想現実シュミレーションに慣れてもらうために、このミッションをやってもらいます」
「⋯⋯⋯、後処理やらされてる訳じゃ無いですよね?」
「違いますよ!パパから”お前等の協力者何だからお前等が成長させな"って言われたんです!!」
それを言うと、ハカは再度キーボードに打ち込むと、アナウンスが流れた。
『対象をUser4として登録しました。仮想現実SCP-062-JPが選択されました』
「ワタルくん、任せたわよ」
「オブジェクトクラスはケテルですけど、頑張ってください」
「「いや、ちょっと待て!?」」
ユウマもこのSCPがケテルである事は知らなかったのか、ワタルと一緒にツッコミを入れた。
『10秒後にシュミレーションを開始します』
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クリア難易度:★★★★★
【SCP-062-JP】「生存権」
天空に建つ裁判所から無罪を勝ち取れ!
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ワタルside
「ここは⋯」
気づけば、自分が居たのは先程ハカさんから見せられた電波塔の真下だった。上を向けば、雲より高い電波塔がよく見える。自分はそれを眺めていると不意に声を掛けられる。
「貴方は黒神心霊相談所の方ですか?」
「あなた方は?」
「私達は財団から派遣された特殊部隊です。SCP-062-JPの第3次派遣として来ました」
なる程な、確かに何人もひとが死んでるんだし、財団が行動しない訳ないか。でもそれにしては。
「数が少なくないですか?確かケテルクラス何ですよね?それなのに機動部隊が2人って」
「被害を最小限にする為と言われています」
「いや、それしたって⋯⋯いや、何でも無いです」
「ありがとうございます」
機動部隊の2人が少しだが辛そうな顔をしたのが見えた為、自分はそれ以上言うのを止めた。そして、自分と機動部隊の隊員2人はSCP-062-JPの電波塔へと足を踏み入れた。
行くまでの過程で第一次派遣と第二次派遣で何があったのかを聞いた。それを聞いて、ユウマさんがグロい死に方をしたという意味が分かった。
「この梯子ですか?」
「はい、ここから先は警戒して行きますよ」
自分達はかなり上まで伸びている梯子を登り始める。途中、強い風が吹いていて少し怖いが、このSCPよりはマシか、と思いそのまま登って行った。そして、自分達は一番上まで登れた、だが
「何ですかこれ?鉄格子⋯」
「何ですかこれは、こんな物第一次派遣にも第二次派遣にも報告が上げられていません!!」
「この上に居る存在が封じ込めをしたってことかよ!?」
そして、鉄格子の隙間から、看守のような服を来た男性2人がこちらに気づくと、自分と機動部隊2人を鉄格子を開き、捕らえた。第一次派遣の話から反抗したら碌な事無いなと思ったからしなかった。その後は拘置所の様な場所に連れて行かれて、牢屋にぶち込まれた。機動部隊の2人と一緒に。
「まさか、捕らえられるとは」
「どうする!!このままだと俺達は!!」
「落ち着け!今、ここで我々が暴れれば我々は100%殺される。待つしかないんだ!」
2人の機動部隊がここまで動揺しているのを見ても、自分はいまいち共感出来ていなかった。自分達が普段からやっている事がやっている事の為、死の恐怖というのは余り感じない。
「何で!お前みたいなガキがそんなに落ち着いてるんだよ!?怖くねえのかよ!!」
「⋯⋯どうなんでしょうね?」
「あ゙ァ!?」
「自分は2年前とある奴に救われました、全てがどうでも良いって思ってた自分を救ってくれた厨二病の友達に」
「だったら!!?」
「それでも、そいつのお陰で自分は救われた。なので、せめてそいつに誇れる自分で居たいんですよ」
それを聞いたひどく動揺していた機動部隊の1人は、黙って顔を背けてしまった。すると、牢の外から声を掛けられた。
「裁判の時間だ」
気づけば、先程自分達を捕らえた看守の一人が感情も何も籠もっていない声で言った。自分達は彼らに従い、裁判所へと案内された。
機動部隊の2人は傍聴席に、自分は証言台に立たされると、裁判官の一人が判決文を読み始めた。
「被告人の左心房は、原告の保持する循環器系臓器との同一性保持権を侵害しており、その存在が原告の生存権を脅かしていることは明白であります。また、被告人の右腕および小腸の一部においても同一性保持権を意図的に侵害しており、これを放置されれば今後侵害箇所は増加していくものと見られます。以上のことを踏まえ、被告人の保持する違法箇所を即刻没収ののち、然るべき判決を下すものとします。」
理不尽にも程があるとはまさにこの事だな、人間の臓器等にケチつけ始めたぞ、この裁判。確か、判決通りに死ぬって事は自分は内臓を幾つか失って死ぬって訳か。グロいな。そして、最後に判決文を読み上げていた裁判官が言った。
「何か意見はありますか?」
自分は不意に原告側の席を見ると、そこには自分が居た。この裁判所に来る際に窓から見えた街、ここはある意味パラレルワールドみたいな物か、それなら自分が居ても可笑しくはない。自分はある事が気になり、原告である自分自身に問いかけた。
「そんなに生き残りたいのか?」
「はい」
感情も何も籠もっていない、表情と声でアイツは言った。それが無性に腹が立った。そして思った、どうせなら言い負かしてやろうと、そして自分は主張した。
「自分にはやるべき事がある。自分だけじゃない、この世界のこれからを生きていく為に。危険冒して、この身を賭けて、憑从影共から、何も知らずに平和に過ごしている人達を守らなきゃならない!!生きる権利はこの世界にいる全ての人達が持っているものだ!
だが、生きる目的や意味を持ってる奴は少ない⋯⋯だから自分は命が惜しいと思った事は無い、だけどッ!!憑从影共を殲滅しきる、もしくはされるまで、絶対に死ねない!!例え、誰かに否定されようが、自分が守る人々の愛と平和を守るって決めてんだッ!!!」
気づけば、頬には汗が伝っており、熱くなっていた事が分かる。これで通じないなら、言いたい事は言った。向こうがどう出るか、そんな事を考えて裁判官達を見ると、先程迄の無表情とは違い、驚いたような表情で固まっていた。要するに、向こうにとって予想外の何かが起きたのか?⋯⋯⋯そう言えば、裁判の第二審の結果に対して異議申し立てする場合はこれを言わなくちゃな。
「上告します」
その瞬間、席に座っていた裁判官、書記、弁護士、検察官が全員、銃で乱射されたように血を流したり、大きな打撲痕のような物を受けて床に倒れていった。自分は機動部隊の2人に目を向けたが、2人は首を横に振り、関係していないことが分かる。
「もしかして、第一次派遣と第二次派遣の現象が時間差で現れたのか?」
機動部隊の一人の言葉に、自分は分かった。この打撲痕はミレイさんの攻撃によりついた物だ。自分は、原告の席で血を流して倒れていた自分に駆け寄り、触れた。だが、触れたと同時に霧のように消えていく。そして消えきる直前にどこからともなく『お前は何処に行くんだ?』と聞かれたが、答えられなかった。なぜなら、その瞬間建物の外から爆発音や地面の揺れが起こり始めたからだ。
「何だ、この揺れ」
「逃げますよ!機動部隊のお二人さん!!」
自分はフィクスに変身して、ロケットパンダフォームに変身すると、2人を抱えて自分達が来た封じ込めが行われた梯子が降りている場所へと飛んで行った。飛び交う銃弾や瓦礫の中、飛ぶのは大変だったが、無事にたどり着いた。
「内側から封じ込めをします!手伝ってください!」
「わかった!!」
「任せとけ!!」
自分と機動部隊2人は封じ込めを行うと、先に機動部隊2人を先に梯子から降りさせて、自分は最後に降りる。そして、鉄格子のフタを閉める直前に、今までの比では無いほどの大きな揺れと大爆音が聞こえたが、フタを閉めるとそれは何も無かったかのように消えてしまった。
その後、機動部隊の2人は財団へ報告へと行く寸前に機動部隊の一人が自分に謝罪した。
「すまなかった、あんな状況だったとはいえ、子供に怒鳴っちまうなんて」
「気にしないでください⋯」
「坊主の目的が叶うを願ってるよ」
そう言うと、その男性も財団へと帰って行った。
『やるじゃねえかよ、ワタル』
「その声はルア嬢か」
『まさかケテルクラスのSCPを無力化しちまうとは』
「え?無力化⋯」
『という訳で、MISSIONCLEAR ログアウトしま〜す!!』
上機嫌なのかわからないが、元気のいい声でルア嬢はそう宣言して自分はミッションをクリアし、現実へと戻ったのだった。
ワタルside
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「ワタルさん、クリアしたんですか!?」
「あの理不尽裁判、クリアしたのかよ!?」
「えー、どうやったの!?」
ワタルはクリアしたが、それについてハカ、ユウマ、ミレイに質問攻めにあっていた。だが、ワタルは一言、こう返した。
「彼らを言いくるめました」
そう言うと、ワタルは帰って行った。
タイトル: SCP-062-JP - 生存権
作者: ZeroWinchester
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/scp-062-jp
ライセンス: CC BY-SA 3.0