マ「仕方ないじゃないですか、普通に言ってもついて来てくれなかったですよね?」
ワ「当たり前だろうが、まあ何だかんだで比嘉さんのおかげで話も纏ったし良かった」
マ「そう言えば、ワタルが持っているフルボトル?でしたっけ、あれってどれぐらい持ってるんですか?」
ワ「この時点だと、確か16本だったかな?何かボトルそれぞれに相性の良いものがあるみたいでな」
マ「相性、ですか」
ワ「まあ、相性が良いもの自体、持ってないんだけどな、俺が持ってるのは、兎、消防車、掃除機、ダイヤモンド、錠前、鷹、海賊、忍者、パンダ、ライト、不死鳥、スマホ、薔薇、時計、冷蔵庫、マイク」
マ「こんなのに相性が良いも悪いもあるんですか?」
ワ「まあ、それ自体は今回の話で分かることになる、どうなる第4話!」
マ「話が無理矢理すぎなのです!!」
ワタルside
自分が対憑从影殲滅部隊に連れて行かれてから数ヶ月が経った。今では夏の暑さはどこへやら、代わりに紅葉が見える季節になりました。
「あの後、比嘉さんから聞いた限りだと協力関係ってのは認められたみたいだしな、だけどさ」
自分は、店のカウンターを見た。
「何でお前がここに来てんだチビマキ」
「霞隊長に、貴方の監視を命じられたんです!」
比嘉さんから聞いた話では、殲滅部隊の中だと一番関わりが多かった黒神マキが自分への協力兼監視で上の人に命じられたらしい。
「で?今日はただ監視って訳じゃ無いんだろ?」
「ええ、あれ?そういえばマスターは?」
「マスターはバイト」
「え、喫茶店のマスターがバイトですか?」
「何処でバイトしてんのかは知らねえけどな」
「へー⋯⋯、そういえばマスターと月影さんはどういう関係なんです?」
何を言ってるんだ、このチビはコイツにはマスターと自分にはナマモノ的なものがあるとでも思ってんのか?
「⋯⋯⋯⋯」ジトー
「違いますよ!?ただ、いつも一緒にいるという感じなので」
「はぁ〜、自分とマスターは一応家族だよ」
「え?」
「何だよその反応、似てないとでも思ってんのか?」
「は…はい、マスターの人当たりの良さ的に、月影さんにはそういうのないですし、それにマスターの名前って」
「石動惣一だよ」
「苗字も違いますよね」
まあ、気になるのも無理は無いか。何処かで話さなくちゃ行けないだろうし、
「自分、子供の頃に憑从影に両親殺されてんだよ」
「あ…マスターに聞きました」
「あの人は……まあいいけど。自分あの人の養子なんだよ、姓は自分の両親のものを名乗らせて貰ってるけど戸籍上は石動ワタルだよ」
「なるほど」
「そうだ、お前にも見せといた方がいいよな」
「はい?」
自分は店の奥に行き、ある物を取ってきた。そして、それを黒神マキに見せた。
「何ですかそれ?」
「俺が持ってるボトルとこれについて話しておいた方がいいなと思ってよ」
「これって何かのパネルですか?」
自分はフェニックスフルボトルを懐から取り出して黒神マキに投げ渡す。
「そう、そのフルボトルがそのパネルに嵌まるって感じだな」
「これパネルは何なんですか?」
「ボトル同士の相性を調べるもの…らしい」
「らしい⋯ですか」
「これが届いた時にそういう説明書みたいなのが入ってたけど、実際それに何の意味があるのかもわからんしマスターは相性がいいボトルの事をベストマッチって呼称してたけどな」
実際に相性の良いボトル、つまりベストマッチの組み合わせは今のところ一度も見つかってない。ってか全くわからん、そういえば。
「そういえば先刻から言いかけてた家の店に来た用事って何なんだ?」
「殲滅部隊からの依頼の話です」
「オッケー、お客さん来てないし良いよ…それで?」
「今回は、憑从影が居ると情報があった、月影さんと始めて会ったあの工業地帯です!」
ワタルside─終了─
_______________________
ワタルは店仕舞いをしながら、マキの話を聞いていた。
「ってか、あそこの工業地帯はそんなに憑从影集まんのか?」
「いや、それが殲滅部隊に届いたのは匿名の通報なんですよ」
「匿名?ってことは何かハンドルネーム的なものは書いてあったのか?」
「その、匿名が”ブラッドスターク”なんです」
「ッ!?」
ブラッドスタークは、4年前からワタルにスマッシュスチームガンやフルボトル、パネルを送ってきている謎の人物だった。
「ワタルはその”ブラッドスターク”について知ってることって他に無いんですか?」
「いや、知らない。こっちとして正体を知りたいとは思ってるけど、中々足取りが掴めなくてよ」
「そうですか…」
「殲滅部隊側じゃ調べられなかったのか?」
「はい、調べても特に情報が出なくてですね」
そう言うと、スマッシュスチームガンを懐にしまい込むと、黒い外套を羽織る。
「さっさと行って、ラーメンでも食べ行くか」
「マキは任務が終わったら家で食べます」
それから30分後、ワタルとマキは工業地帯へと到着した。
「おかしいですね、匿名通報によるとこの辺りのはずなんですけど」
「やっぱりデマだったんじゃないのか?」
「いや、月影さんにあの銃やボトルを提供してる時点で普通の人物とは思えませんけど」
2人は通報にあった工業地帯の路地裏に来ていた。だが、人の気配は無い。
「つうか、ここって」
「知ってるんですか?この場所、見てる限りだと普通の路地裏だと思いますけど」
「マスターに俺が拾われた場所だよ」
「え?」
「両親が殺された時、自分は両親を殺したフィクスに似たマスクを着た男から逃げてたんだよ、その時にここでマスターに拾われたんだよ、話によれば買い物の帰り道に蹲ってた自分を見つけたらしい」
「そんなことが」
ワタルは懐かしむように、自分が蹲っていた場所を見ていると、マキは質問する。
「月影さんは…後悔してないんですか?」
「何にだ?」
「お父さんとお母さんを助けられなかったこと」
「⋯⋯⋯してるよ、してない訳が無い」
ワタルは少し震えていた。
それが思い出したくない過去のように。
「今でも、あの夜の出来事は夢に出る。目の前で両親が死んで、自分は見てるだけで何も出来なかった、でも」
「?」
「マスターが拾ってくれた命だからな、あの人には感謝してもしきれない。恐らくあの人が居なかったら自分はとっくに自殺してた、でもしてない、マスターには困った事はあるけど、それでもずっとマスターの事は大切な家族だと思ってるよ」
「月影さん」
「ん?何だ?」
「今度、家にご飯食べに来てください」
「何だよ急に」
「お兄ちゃんとハカちゃんのお母さんのご飯、とても美味しいんです!それにすごく暖かい、だから今度遊びに来てください!!」
「なら、約束でもするか?指切りげんまん」
「いいですね!」
「「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲〜ます、指切った!」」
少しだけだが、ワタルは体が暖かくなったような気がした。そしてワタルはマキにお礼を言おうとしたが、その言葉は別の声に遮られることになった。
「ブラボー!泣かせるじゃねえの」
その声が聞こえたとともに、ワタルはスマッシュスチームガンを取り出し、マキも異能力を発動し、戦闘態勢へと移行する。
「いきなり、警戒してくれちゃって!まあその方がこっちとしてはありがたいがな」
「誰ですか!?貴方は──」
「俺の姿を見れば分かるかな?」
そう言い、そいつは暗闇から足音が聞こえる。そして、月の光に照らされて正体が露わになる。
「ッ!?」
「まずは問題だ、俺の名前は何だと思う?」
「あぁ、コブラ男ォォオオオォォ!!!」
マキは先程までとは明らかに雰囲気が変わったワタルに驚いていた。まるで、親の仇でも見るようなワタルに。
「惜しいッ!!正解はブラッドスターク」
「ブラッドスタークって、殲滅部隊に匿名の情報を送って、ワタルにスマッシュスチームガンやフルボトルを送った」
「!?」
「今度は正解だ!ご褒美に遊んでやるよ!!」
スタークはそう言うと、ワタルが所持しているスマッシュスチームガンに似た銃をワタルとマキに向けた。
「ヤッベ!!」
「異能力『朧火』!」
マキは青炎の翼を広げると、スタークへと飛んでいく。そして、ワタルはスマッシュスチームガンにフィクススパナボトルを装填する。
『fix spanner』
「再生!!」
『spanner in fix all clear』
ワタルは変身すると、タカフルボトルの力を使ってタカの翼を広げ、スタークに突っ込んでいく。
「お前のせいでッ!父さんと母さんがァ!!」
「月影さん!落ち着いてください!!」
「親の仇を見るような目で見やがってよ、まあお前にとっては親の仇なんだろうがな」
マキは青炎をぶつけるが、スタークはスルリと避けて、そのまま発砲する。ワタルはスタークに掴みかかると叫ぶ。
「お前のせいで!お前のせいでッ!!」
「何だ、スチームガンを使ってる割にはハザードレベルは3.1か、面白い」
「何訳のわかんねえ事言ってんだ!?」
「どうだ、驚いたか?お前が人を守る為に使ってた力はお前の両親を殺した奴からの力だったって訳だ。これ程面白い展開は無い!」
「ふざけんなッ!!」
『スチームブレイク!コブラ!』
「頭に血が上りすぎだ」
その音とともに、ワタルはマキを巻き込んで吹き飛ばされる。それにより、ワタルの変身が解除されてしまう。
「ぐあっ!!」
「きゃぁぁ!!」
「期待外れだな、ならお楽しみは増やしておくに限るな」
スタークはゆっくり、ワタルとマキに近づいていく。
「お前の…目的は何だ」
「俺はただのゲームマスターだ、俺の目的の為なら憑从影も憑影も俺の中じゃただの玩具にすぎねえよ、さてそこを退け」
そう言うと、ワタルの髪を引っ張り、マキから引き剥がすと、スチームブレードをマキに向けた。
「待て、ソイツに何する気だ!?」
「まあ、見てろ」
『デビルスチーム』
スチームブレードから蒸気のような物が現れて、マキを包みこんでいく。
「あれ?体が」
「おっ、やっぱり成功か…異能力者は全員適正があんのか?安心しろよ、明日には体調は戻ってるはずだぜ?」
そう言うと、スタークはその場から離れていく。ワタルは動けないマキを支えながらスタークに向かって叫んだ。
「待て!?」
「お前の相手をしてやってもいいが?今、相手をするとその女を殺しちまうかもな?」
「くっ!」
「安心しろ、先刻も言ったが明日にはケロッとしてる筈だぜ…それと、お前にプレゼントをやるよ、いつもは誕生日に渡してんだがな」
スタークは銃から蒸気を出すと、ワタルが変身時にする移動方法と同じように姿を消してしまったのだった。
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「はぁ、はぁ…」
結局、ワタルは携帯を持ってきていなかった為、マキを背負ってnacitaに戻ることにした。どうやら、眠っているだけのようで怪我も特に無いこともわかって安心したのだが。
「30分の距離で人を背負って帰りキツい」
そして、倍の1時間後nacitaに戻ることができた。ワタルも怪我をしている為だ。扉を開くとそこにはマスターがコーヒーを淹れていた。
「お、おかえりさん!⋯⋯え!?マキちゃんじゃねえか、まさかワタル」
「ああ、そうなんだよ実は…前に言ったコブラ野郎が」
「マキちゃん、お持ち帰りしてきたのか?」
「違ぇよバカ!!数年前から見てる夢のコブラ男と戦ってきたんだよ!?」
「マジか!!」
「取り敢えず、布団敷いてくれ!!何がとは言わないが重い!」
マスターは座敷に布団を敷くと、ワタルはマキを寝かせてカウンターに座った。
「ブラッドスターク…ねえ、まさかお前にその銃を渡した奴がお前の仇だとはな」
「色々、複雑だけど俺のやる事は変わらない」
「そういえば、先刻そのブラッドスタークからお前宛てに荷物来てたぞ」
「え!?」
マスターはテーブルを指さすと、そこには4年前にスマッシュスチームガンが入っていた段ボールより一回り大きい段ボールが入っていた。
『お前にプレゼントをやるよ、いつもは誕生日に渡してんだがな』
「そういえばスタークがそんなこと」
「ってことは、前みたいに重要なアイテムとかか?」
「だとしても、俺はそれを使う気にはなれない。あれがスタークの差し金ってことが分かった以上、向こうにどんな思惑があるか分からねえしな」
「じゃあ、フィクスも使うの辞めるのか?」
「それはこれの中身を見てから考える」
そう言い、段ボールのガムテープを剥がすと、黒いゴテゴテとした物体が現れる。
「これって…何かの装置か?」
「お、説明書が入ってるぞ。これは『ビルドドライバー』っていう名前らしいぞ」
「『ビルドドライバー』?」