復讐者と探索者と挑戦者   作:遠山tsun

14 / 18
~救出者~

「行くよ、由美香!」

「うん、来て!」

 

僕は由美香へと走り出した。……さて、ここで皆を裏切らせてもらおう。皆は僕が死闘の末、由美香を助けると予想しているだろう。しかし、現実はこうだ!

 

「チュッ」

「!」

 

由美香の一振りを躱した僕は、由美香の頬に短くキスをした。彼女はその行為に驚き、体を強張らせ、そのショックで《曲刀》を落としてしまった。カラン、と甲高い音がしたと同時に、僕は由美香に抱き付いた。

 

「由美香、ごめん。助けに行けなくて、あのとき守れなくて。でも、もう、大丈夫だから。僕はもう、強くなったから!これからはずっと守るから!穂香も、由美香も!そして、もう絶対に離さないから!……帰ってきてよ、由美香!!」

 

……お姫様の目を覚ますのは、王子様のキスってね。戦闘?女の子に武器を向けれるわけないよ!

 

「……災、禍?」

「!由美香!」

 

先程までとは違う声音に体を遠ざけると、由美香の瞳は光を灯し、綺麗な瞳を僕に向けていた。

 

「災禍、災禍!」

「わわっと。」

「お姉ちゃん!!」

 

突然抱きついてきた由美香を危うく抱き止めて、本当の由美香が帰ってきたことを直感した穂香も駆け寄ってきた。三人でやいやいと盛り上がる中、拍手が僕らを静寂させた。その拍手の主はもちろん……。

 

「素晴らしい!あの洗脳をこうも容易くとくとは!」

「(#^ω^)」

 

こいつ……負けたのに楽しんでやがる……(#^ω^)。まぁいいや。

 

「で、次はどうするの?奪還しに来る?」

「私としてはそうしたいのは山々ですがね……。先程も申した通り、私の戦闘は許可されておりませんので、今日のところは引かせてもらいますよ。」

「みすみす逃がすと思う?」

「ここは逃がしてもらわないと……せめてもの主への顔を立てては貰えませんか?」

「知らんn「そこまでですわ、斬龍災禍。」!?」

 

突如としてかけられたこの場に似つかわしくない高すぎる声に僕は、そして穂香と由美香も振り向くと、そこにはさっき別れたはずの三國先生と漆黒の衣装に身を包んだ、背丈とは不釣り合いの雰囲気の持ち主の学園長、九十九咲夜がそこにいた。

 

「え?何でこんなところに……。」

「これはこれは《操焔の魔女(ブレイズ・デアボリカ)》様。」

「ごきげんよう。……斬龍災禍。改めて言います。そこまでにしなさい。」

「で、でも!……っ。」

 

二度目はない、と言わんばかりの殺気が二人から放たれ、それに気圧されてしまった僕は息をのみ、俯くしかなかった。

 

「お二方も、よろしいですわね?」

「「……はい。」」

 

穂香と由美香にも念を押して、頷いたのを見て改めて《K》を見る理事長。

 

「それでは、《装鋼の技師(エクイプメント・スミス)》様によろしくお伝えくださいね。」

「必ず。……それでは。」

 

そう言って、《K》は影へと消えた。……どういうことだ、本来なら侵入者であるはずの《K》に対して、まるで知っていたかのような口調で会話していた。しかも、あの老人さんによろしく伝えろ、とまで言っていた。《操焔の魔女》という理事長の異名も気になる。

 

「……そろそろ、《新刃戦》も終わります。あとは自由になさい。それと、今回のことは他言無用でお願い致しますわ。その方についてはこちらで手続きをしておきましょう。」

「え、あ、ちょっと待っ――。」

「それでは、ごきげんよう。」

 

有無を言わせぬ勢いで話を終わらせてちょこんとスカートの端をつまんで一礼して去っていく理事長と、ペコリ、と浅く礼して理事長に続く三國先生を、僕らはただ黙って見送ることしかできなかった。……そして。

 

リンゴーン……リンゴーン……。

 

僕らの波乱の《新刃戦》は、幾多の謎を残して終わりを告げたのだった。……あれ?僕ら、他の《絆双刃(デュオ)》と戦ってないよね?と、今更なことを思っていた僕だった。

 

――――

 

「由美香、久しぶり。」

「うん、久しぶり災禍。それと、穂香も。」

「うん。お帰り、お姉ちゃん。」

 

怪我をした人が数名いたということで、まだ少しざわつきの残る校内から、僕と穂香の部屋のある寮へと三人で歩く。

……なるほど、理事長がGWまで《絆双刃》申請を待つと言ったのは、この状況を予測していたからだったのか。そう思うと、尚更理事長は何者なのかと疑問を持つが、そう考えてもきりがないので頭から切り離して二人と会話をする。

 

「三人でこうして会話するのは初めてだね。」

「そうね。穂香は体が弱かったからね。」

「あ、だから見なかったんだ。」

「あはは、面目ない。」

 

この空気……とても心地いい。いつまでも話していたくなる。

 

「あ、そうだ災禍。GWどっか出掛けようよ。」

「そうだね。折角だし。」

「あ、私も行っていい?」

「もちろん。」

「あ、行きたいところたくさんし、お姉ちゃんにも紹介したいところがたくさんあるんだ!」

「へぇ、どこどこ?」

「例えばね~!」

 

……と、早くもGWの予定が着々と決められていくのを見て、こりゃ、GWは退屈しなさそうだなぁと、近未来の苦労に早くも苦笑いを隠せない僕であった……。

 

――――END OF THE EPISODE!!




はい!皆さんの予想を裏切る最終回となって少し申し訳ないと思いかけたがダニィ!?という反応が見えて一人で笑ってしまっている遠山tsunです。
《新刃戦》完結までに14話……かなりかけてしまい申し訳ございませんでした。ここまで長い間付き合ってくださった方、毎回のようにコメントをくださった方、その他の方皆様にお礼とお詫びを申し上げます。
そして、ここでお知らせを。最終回とは言いましたが、本当はもうちょっとだけ続きます。
GWの間をOVAみたいな感じで書こうかな、と思います。
え?本編の続編?あると思う?あると思った?……ごめんなさい、ですが本当に続編は今は未定です。とりあえずは、残りを見ていてください、お願いします!
それでは、じゃあの!!(評価&コメントお待ちしてまぁす♪)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。