復讐者と探索者と挑戦者   作:遠山tsun

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~苦悩者~

その日の夜のこと、窓はきちんと閉めて(何故か本能がそうさせた)、下段のベッドの淵に座ってテレビを見ながら、今朝のことを考えていた。

 

あのとき……穂香は気のせいだと言ったけど、覚醒した頭の今考えてみると、あれは気のせいではない。つまり……穂香は、由美香の妹……それも双子の妹ってことになる。

幻覚を見るくらいだし。だけど、一度もそういうことを聞いたことはなかった。忘れてるだけかも知れないけど。だから、もしかしたらあの場に穂香がいたかもしれない……。

だから、穂香が帰ってきたら聞いてみよう。色々と。

 

そう覚悟を決めたとき、パジャマを着た穂香が部屋に戻ってきた。髪は既に乾かしているようだ。僕は先に入ったからとっくに乾いてるけど。

 

「おかえり、穂香。」

「うん、ただいま、災禍。」

 

そして、タタタ……と可愛らしい後と共にこちらに来て、僕の隣に座った。仄かに女の子らしい匂いがして、さらに風呂上りの血行が良い状態だから嗅覚も過敏で余計僕を緊張させる。

 

「あ、あのさ、穂香。」

「ん?何?」

 

気付いてるのか、それともあえて気付かないふりをしているのか、穂香はいつもの感じで僕を向いて小首を傾げた。

 

「穂香のお姉さん……由美香について、聞きたいんだ。」

「!……流石に、気付いちゃったか。」

「あれだけヒントをくれたんだもの。そりゃ気付くよ。ようやくだけどね。」

 

そう、思い返せば、何度も穂香は自分が由美香と繋がりがあることを指すようなことを言っていた。そして、決定打の今朝の出来事だ。僕もようやく気付けた。

 

「……そっか。うん、わかったよ。話せる限りを話すよ。私は、お姉ちゃんの……冬木由美香の双子の妹です。」

「うん。」

 

予想通りなので、すんなり受け入れられた。

 

「そして、お姉ちゃんは災禍の幼馴染み。さらに……お姉ちゃんは、今行方不明。ここまでは大丈夫?」

「大丈夫。」

 

どうやら、今までのは確認だったらしい。再確認は、大事だから、とてもありがたい。

 

「災禍は、もしかして、お姉ちゃんを探すためにここへ来たの?」

「うん。」

「なら……私と同じ。私も、お姉ちゃんを探すためにここに来たんだ。」

「!!そうだったんだ……。」

「うん。……話を戻すと、お姉ちゃんはある冬の日に、誰だか分からない人に連れられて、何処かへ行っちゃった。その時に、災禍もいたよね。」

「やっぱり、穂香もいたんだ。」

「うん。……で、災禍を大人の人を呼んで助けてもらったの。そして、眠ってる間に災禍の家に帰したんだ。場所はよくお姉ちゃんが話してくれたから、分かったの。」

 

なるほど……だから僕は雪の中に倒れてたはずなのに生きてる訳か。

 

「でも、分からないことがあるの。」

「?」

「災禍と戦ってたあの男の人、誰?それに、あのとき持ってた剣は何?」

「!?」

 

僕が戦ってた?そして、その時に剣を持ってた?一体どういうことなんだ……?

ただ、今の質問で合点がいったことがある。僕が、どうして血を流して倒れていたかだ。

戦闘をしたなら、確かに血を流していてもおかしくない。だけど、その時に僕は剣を持っていたってのは分からない。

 

「あのときの剣と、災禍の《焔牙(ブレイズ)》、同じだよね?」

「え!?それって!?」

「うん。多分だけど……災禍は、あのときから、《超えし者(イクシード)》だったってことだよね。でも、《黎明の星紋(ルキフル)》を投与されてないのに、《超えし者》にはなれないって聞いたけど……。」

「それは、僕もだよ。」

 

明かされる様々な真実に困惑しつつも、僕は今までの話を纏めることにした。

 

まず、雪が降ったあの日。僕は連れ去られそうになる由美香を助けようと謎の老人ではない誰かと何故か《焔牙》を使って戦って、負けたということ。

次に、それを見て由美香は涙を流して、何かを呟いてから、謎の老人が待つヘリの中へと入っていった。誰かは、既にヘリの中に入っていたのだろう。

そして、穂香はそれを見ていた、ってことになる。

 

「ありがとう穂香。色々と分かったよ。ただ、分からないことが二つ出来た。」

「?」

「僕がどうして《焔牙》を使えたのかということ。そして、どうして由美香が拐われなければならなかったのかということ。」

「だねぇ……。……あ。」

「何?何か分かった?」

 

何かが分かったような顔をした穂香に少し口調を早めて問う。

 

「あ、いや。勘違いかもしれないけど……災禍が負けて、《焔牙》が消えたとき、焔が黒かった気が……。」

「焔が、黒かった……?」

 

何かが、僕らの知らない何かがあるような気がしてならない。その何かが、果たして何なのかは分からないけれど。

 

「……あれ?もうこんな時間?」

「あ、本当だ。」

 

時計を見ると、もう消灯時間ギリギリになっていた。校則を守らないと厳しいから、と話を半ばで僕らは会話を切り上げて、眠りに入った。……その日は、頭を使ってたからか、僕はいつもよりも早く眠りについた。

 

――――




どうでしたか?
と、卒業式の日にも関わらず、いつもの決まり文句で後書きを始める、遠山tsunです。

先に謝らなければならないことが。前回、後書きにて正式な《絆双刃(デュオ)》を決めるはずだと言いましたが、ごめんなさい。謎解き回みたくなってしまいました。次回は、きちんと話を進めていきます。
次に、今までに展開した伏線の一つを、このような形で回収したことに異議を申し立てたい方、すみません。どうか、ご容赦を。

ここからは、「貴様、見ているなっ!?」の話になるので見てない人はお手数ですが、お戻りを。今回は、ついに穂香と由美香の関係が明らかになりました。そして、主人公に新たな謎があることも明らかになりました。これが、どういう形で明かされるのかは、今後に期待を。望み通りになるかは分からないので、それなりにしておいてくださると幸いです。

長々と書いてすみません……。何かと喋りたいのです……。
なので、皆様への感謝の言葉を最後とさせて頂きます。
毎回読んでくれている方、お気に入り登録や、コメントを書いてくださっている方、そして、チラリとでもこの作品を見てくださった方、皆様方のお陰で自分は更新をやる気を持って続けられます。これからも、作品完結に向けて誠心誠意頑張って参りますので、お付きあいください。

それでは、また数日後。じゃあの!!
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