「課長!雅課長!!」
「...む、柳か。今は...」
「夢の中の敵と戦っている場合ではありません!!緊急事態です!!!」
「そこまで狼狽えるとは珍しいな。何があった。」
「ニネヴェが...」
「ニネヴェ?ニネヴェがどうしたと...」
「ニネヴェが何者かに戦闘不能に追い込まれました!!ニネヴェの戦闘不能により零号ホロウが大幅に縮小!!ニネヴェも数十年は修復に専念すると思われます!!」
「なっ...なんだと...!?」
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「...と、言うわけなんだよ雅さん。連絡先を教えて居ないはずなのに、この「HUNTER」という人からメッセージが届いていてね...」
「ふむ、『伝説のプロキシパエトーン殿。貴殿のご友人である「星見雅」殿とぜひ手合わせ願いたい。その他にも強者の名を知っていれば、是非連れてきて頂きたい。個人的には無敗のチャンピオン ライト殿、浅羽悠真殿、月城柳殿、ヴィクトリア家政 フォン・ライカン殿、先代チャンピオン ビリー殿、雲嶽山盟主 儀玄殿、
そして新たな虚狩り 葉瞬光殿に興味がある。無論本人達の都合が悪ければ構わない。ぜひ一考されたし。』か。一体どうやってここまでの情報を手に入れたのか....私とアキラ、リンの関係にも気付いているな。」
「フェアリーでもここまでの情報収集は難しいよね?一体何者なんだろう...」
《助手2号の言葉に反論したい所ですが、今回ばかりはできません。私悔しい。》
「丁寧にホロウ内のキャロットまで送られてきているね。しかもこの座標...どうする?いくかい?」
「これがただのハッカー程度なら無視しただろう。しかしここまでの情報収集。到底無視はできない。座標からして、ニネヴェを戦闘不能にしたのもこの者の可能性が高い。」
「ニネヴェが戦闘不能!?雅さんでも撤退させるのに苦労したのにかい!?一体なにが...これはなるべく指名された人を集めるしかないだろうね...」
「しかし、要注意人物とはいえこの者と手合せをするのであれば少し高揚するな。」
「はは、雅さんらしいね。」
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「みんな忙しいのもあってあまり集められなかったね、大丈夫だろうか...」
「アキラ様、どうか警戒なさいますよう。あなたの身柄を狙っている可能性も否めません。」
「ありがとうライカンさん。そうではないといいけれど...」
「失礼だニャ、ご主人を見くびらないで欲しいニャ。」
「うわっ!?...びっくりした...猫が...喋っている..!?どういう生物なんだ?可愛いけれど...」
「アキラ!!早くソイツから離れろ!!」
「ど、どうしてだい?雅さん...確かに喋るという特徴的な猫だけれど、そんなに警戒するほどじゃ...」
「ここにいる誰も、その者の接近に気付かなった...警戒態勢にあるのにも関わらずだ...!!」
「っ!!!」
「お、やっと気付いたようだにゃ。まあ接近に気付かなくても仕方ないにゃ。地面を進んできたしにゃ。」
「地面を...?まあ、それは後回しで。それよりも君がHUNTERさんかい?」
「にゃあは違うにゃ。あくまでオトモってやつにゃあね。」
「(課長でも気付かない隠密術をもつ存在がオトモ...?HUNTERという存在は一体...)」
「みんな不安だろうから先に言っとくと、みんなの情報を集めたのはにゃあにゃ。猫の真似しとけば入れる所もあるし、それがダメなら地面なりなんなりにゃ〜。」
「つまり自らの肉体を動かし情報収集を?一体どれだけの時間を...」
「時間?そんなにかかってないにゃ。今日の朝くらいからかにゃ?」
「なんだって?メッセージが来たのは今日の正午くらいだ!そんな短時間で...」
「それが事実だとしたなら、その肉体も変だ。私が全力で駆けようが到底そんな短時間ではできない。」
「まあにゃあはそういう方面に鍛えてるからにゃぁ、ご主人にはできないことをしているにゃ。ブレインも情報収集もサポートもにゃあの分野にゃ。」
「つまり君の主人...HUNTERさんか。HUNTERさんの得意とする事は...」
「まあ、正面からの戦闘。狩りにゃね。あのお花みたいなのをちゃっと動けなくしたのもご主人にゃ。ニネヴェっていったっけにゃ。」
「ニネヴェを...ちゃっと...!?しかも単独で...!?」
「お話もいいけれど、いつまで続けるつもりにゃ?一応こっちは依頼主。足を運んでもらったとはいえ考えて欲しいにゃ。」
「あ、ああすまない...今から向かおう。」
「わかったニャ。ああ一応星見雅さんを先頭にすることをオススメするにゃ。ブレインのにゃあとは正反対なのもあってご主人は脳筋にゃから。」
「(この子結構言いますね...)」
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「HUNTERさーん!!連れてきたにゃあよーー!!あ、ご主人っていうの忘れてたにゃ。まあいいか」
「(適当ですね...)」
「あの人が...?赤い爬虫類の鱗を付けた鎧のような物を着ているね。見る限りでは強そうではあるけれど、本当にニネヴェを」
ガキィィィィンッ!!
「くぅぅっっ!!」
「課長!!」「雅様!!」
「おっと、手出し無用にゃ。雅さんもしっかり防いでいるし、依頼も元々は手合せのはずにゃ。」
「...そう、ですね。」
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「得物は太刀か...!?まるで切れない金属で作られた柱を思いっきりぶつけられている様な衝撃だ..!!」
パッ
「何も無いところから大剣を...!?」
「...!!」
ブンッ
ずるっ グォン
「大剣の大振り...単純な動きながら洗練され尽くされている。加えてその膂力...いなすのは容易くとも衝撃を逃しきれない...!!だが、ハアッ」
ガガガガガガッ
「!!」
「速度は私に分があるようだ...しかし恐ろしく頑強な鎧だ。かすり傷しか付かぬとは...衝撃は伝わっているはず。このまま攻めさせてもらうぞ!!」
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「さすがは雅さんだ。ニネヴェを打ち倒したであろう人に優勢に立ち回っている!!」
「あのHUNTER...失礼、HUNTER様は人の領域を超えた剛力と頑強さを持つようですが、速度は雅様が上回っているご様子ですね。」
「このまま距離を詰め過ぎず一撃離脱で立ち回れば課長の勝ちの目も見えてくるかも知れませんね。それにしてもあの力は本当に人間なの...?」
「ちっちっち、ご主人を甘く見てるニャ。」
「そんなことはないさ、現にあの力を...」
「確かにあのイカれた力も大きいけど、ご主人の真髄はそこじゃないにゃ。ほら、雅さんの攻撃も当たらなくなって来たにゃあよ」
「なんだって!?」
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「(信じられん...まさかその大きさの大剣で私の剣をイナスとは...しかもまるで身体をすり抜けたかのような恐るべき技量!!)」
スゥッ
「またイナシ!!」
ブォンッ
「しまっ...!!」
ガキィィィィンッッ!!
...ビキッ
「!?無尾が...!!まずいっ!受けるしか...!!」
ガォンッッッ!!
「ぐぁぁっっ!!」
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「まずい!雅さんがまともに食らった!!」
「課長──ッ!!」
「勝負ありにゃあね。」
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「...ま、まさか無尾が折られかけるとは...なんたる剛力...」
「わっ!?驚いたにゃ!!旦那の一撃をまともに食らって立ち上がるなんて!!あ、旦那。おかえりにゃ。」
「(この子はころころ呼び方が変わるな...」
「...」
「ん?なんにゃ旦那。...ふむふむ、『今回はお互い知らぬことが多かった。不意を突くことは狩人にとって基本。許して欲しい。』らしいにゃ』
「...HUNTER様は何も言っていない様でしたが、わかるのですか?」
「当然にゃ、それだけ長い間一緒にいたからにゃ。」
「なるほど...ん?それはそれとして、なぜHUNTERさんは喋らないんだい?なにか事情でも?」
「HUNTERさんはコレでも昔は人の子でニャ、「ガツンっ」いだっ!ぶつことにゃいでしょ!!続けるけど、まだ人間の範疇だった頃、ギルドっていうモンスターを狩れって仕事を斡旋する奴らのミスで、想定の何十倍もヤバいやつに出くわしてにゃ。体は瀕死、武器も道具も壊されてしまったにゃ。」
「そ、そんな状況から一体どうやって生還を?いくら課長でも、無尾なしにその状況から危険なエーテリアスから退避できるとは思いませんが...」
「簡単にゃ。大声を出してモンスターを気絶させたニャ。」
「「「...は?」」」 「なんと、大声で...大声を出す修行も必要か...」
「相手は大声で生き物の命を奪えるほど大音量の咆哮をする竜でニャ、そいつの真似をして喉を壊す勢いで叫んだらしいにゃ。それで良くも悪くも、喉を犠牲に生還したって訳にゃ。」
「...情報が処理できない、武器が無くなって瀕死なのに大声で敵を倒す?しかも竜だって?何から何までまるでファンタジーだ...」
「言ってなかったにゃ?あっちの敵というか主な相手は竜、こっちの言葉でいうならドラゴンにゃ。」
「とても信じられないですが、あの力を見ると信用せざるを得ませんね...まさかこの世にドラゴンが実在したとは...」
「あぁ〜、ま、いいかめんどくさいし。まあそういうことにゃ。だから旦那は喋れないにゃ。」
「そうだったのか、申し訳ない。配慮に欠けたことを...」
「いいにゃいいにゃ、身体壊すなんてあっちじゃ当たり前にゃ。生きて帰ったなら無傷にゃ。」
「はは、想像を絶するほど過酷な場所なのでしょうね...」
「喋らぬ理由はわかった。だが最後の急成長はなんだ?まるでこちらの動きを読まれていたかのようだった。まさか最初は手加減を?」
「侮られちゃ困るにゃ。旦那は最初から本気だったにゃあよ。ただ戦いの仕方が違うだけにゃ。」
「戦いの仕方?」
「そうにゃ。さっき言った生きて帰れば無傷、これはあながち冗談でもなくてにゃ。負けて負けて、切り裂かれて噛まれて、殴られて吹っ飛ばされて。相手の強さによるからわざとじゃない場合もあるけど、基本はわざと攻撃を受けるにゃ。」
「あえて攻撃を?なぜです?」
「旦那は狩人。生物のスペシャリストにゃ。相手を見ただけで骨格や筋肉から大抵の予備動作や動きを見抜いちゃうにゃ。でも相手には野生で生きていくために身につけた技術というものがあるにゃ。人間に限った話ではなくてにゃ。だからわざと受けて角度を覚え、動きを覚え、パターンを覚える。すべて終わらせた旦那に攻撃なんて当たらないにゃ。だから耐久力も折り紙付きにゃあよ。自由落下程度なら例え宇宙ほどの高さからでも無傷にゃ。」
「はは、宇宙から落ちても無事なんてそんなご冗談を...」
「...」フルフル
「...事実のようですね。なんという...」
「なるほど。相手の攻撃を受けてこそ真の動きが完成すると言うことか...なんという勇猛果敢、いや、蛮勇か...すまない、礼儀にかけていた。」
「あっはっはっ!言われてるにゃ旦那。」
「...」コクコク
「蛮勇、間違いでもないにゃ。死ぬ時は死ぬにゃ。でもそれは相手も同じ。生き物と生き物の殺し合いってのはそういうもんにゃ。」
「HUNTERさんは文字通り命をかけて戦ってきたということか...あの強さにも納得だね...」
「超長話はこれでおしまいにゃ!お腹減ったにゃ?にゃあが作ってあげるにゃ。」
「料理をつくれるのですか!?」
「当然にゃ。狩人たるもの、飯は基本のキにゃ。ぱぱっと作るから待っててにゃ〜」
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「「「「ご馳走様でした。」」」」
「お粗末様にゃ〜」
「恐ろしく早い提供でしたね...」 「1分もかかっていませんでした。どういう技術なんでしょう...」 「謎だね...」 「ああ、謎だ。」
「「「それにしても、美味しかった...」」」 「ああ、美味しかった。」