良ければ見てやって下さい。
第5話 3年生
「フォフォフォ 皆にも一応紹介しておこう――新年度から正式に本校の英語科教員となる
ネギ・スプリングフィールド先生じゃ。ネギ先生には4月から『3-A』を担任して貰う予定じゃ」
朝の朝礼でそう紹介される。あのガキが正式な教員と担任……ねぇ。まだ早いんじゃねーの、と思う。
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「という訳で2-Aの皆さん。3年になってからもよろしくお願いしまーーす」
おーおー張り切ってるな。私はそんなガキ教師を冷めた目で見ていた。……まあ期末テストで
最下位を脱出したのは評価される事かな。高畑先生でも出来なかった事だもんな。それについては頑張ったと思うぜ。
「ハイッ先生ちょっと意見が!」
「はい鳴滝さん」
「先生は10歳なのに先生だなんてやっぱり普通じゃないと思います」
い、今更。最初に赴任して来た時に言えよ!
「えーと……」
「それで史伽と考えたんですけど――……今日 これから全員で『学年最下位脱出おめでとう
パーティー』やりませんか!?」
前フリと関係ないだろ、それはっ。何 みんなで大喜びしてんだ!? 私はこのクラスの
こーゆー所にもついて行けねーんだよっ。
「――ん? どーしたんですか長谷川さん寒気でも……?」
怒りで震えていたらそんな心配をされてしまった。
「いえ、別に」
私に構うな。私はどちらかと言えばあんたの事が嫌いなんだよ。……まあ、あんたが善良な人間だってのは認めるよ。
「ちょっとおなかが痛いので帰宅します」
こういう日はサボるに限る。さっさと帰っちまおう。
そもそもこのクラスちょっとおかしいんだよな……。一年の頃から思ってたけど……。異様に
留学生が多いし、全く次から次へと。何かデカいのやら幼稚園みたいのやら。大体 何だあのロボはっ!? 何で誰も突っ込まないんだよーどー見てもロボだろ!? ロボ!! 魔法生徒の数も
多いし……ああイライラする。極めつけはあの子供教師!! 10歳ってなんだよ~~!?
私は学生寮に誰の邪魔もされる事なく帰ってくる事が出来た。サボるのは悪い事だが実際に頭が痛いのだ。早退という事で許して貰うか。
私は制服を楽な部屋着に着替えると、ベッドに横になった。こういう時、暇な時間が出来ると
思う。私って趣味とかねーよなぁ、と。小学生の頃に両親をなくし、それ以降の学校生活は放課後全てを風術の鍛錬に当ててきた。故に趣味というものを何一つ持っていないのだ。
なーんか、虚しいよなぁ。そうやって休んでいると部屋のドアがノックされた。
「長谷川さーん。いませんかー」
あのガキ教師の声。くそっ。部屋まで押しかけるんじゃねーよくそガキが。それでも担任が様子を見に来たのに無視する訳にもいかず、ベッドから起き上がり応対する。
「何か用ですか?」
「あ……あの……さっきおなか痛いって言ってたので。これ おじいちゃんから貰った超効く腹痛薬です。おひとついかがですか……? 効きますよーー」
「確かにおなかは痛いですがストレス性のものだと思うので効かないと思います。なのでいらないです」
っていうかその薬、ドクロマークじゃねーか! 殺す気か!
「あ あのパーティーに来ないんですか……?」
「私 ああいう変人の集団とはなじめないんです。部屋で休むのでもー帰って下さい」
「そ そうですか、皆普通だと思うけど……」
そこでドアを閉じた。すぐさま鍵をかけて閉じこもる。何か言ってきてるけど無視だ無視。
「行きましょう長谷川さん。皆すぐ下の芝生でやってますよパーティー♪」
無視だ無視!
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新学期になろうかと言う夜、学生寮でガキ教師が日本にパートナーを探しに来たと噂になった。くそが。パートナーってあれだろ、魔法使いのパートナーだろ。
ところ変わって学校で朝のHRだ。
「3年! A組!! ネギ先生―っ♡」
わあああ。とクラスの奴らが騒ぐ。バカどもが。
「えと……改めまして3年A組担任になりましたネギ・スプリングフィールドです。これから来年の3月までの一年間よろしくお願いします」
ん? 殺気? 右を向くとエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルがガキ教師の方に厳しい
視線を向けていた。そういやあいつ、ガキ教師の父親と因縁があるんだっけか? 学園長から
そんな話を聞いた事がある気がする。
「ネギ先生。今日は身体測定ですよ。3-Aの皆もすぐ準備して下さいね」
「あ そうでした。ここでですか!? わかりましたしずな先生。で では皆さん身体測定ですので……えと あのっ今すぐ脱いで準備して下さい」
アホか。急に言われて慌てているんだろうが、慌てすぎだ。
「ネギ先生のエッチ~~ッ♡」
「うわ~~ん。間違えましたー」
まあ、まだまだガキで、大人の仕事をやるのは早いって事だろ。……そう考えるとあのガキも
大人の都合に振り回された被害者なのかもな。
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「あれーー? 今日まきちゃんは?」
「さあ?」
「まき絵は今日身体測定アルからズル休みしたと違うか?」
佐々木の奴休みなのか。そんな会話が身体測定の着替え中に聞こえてきた。
「ねえねえところでさ、最近寮で流行ってるあの噂どう思う?」
「え……何よソレ柿崎」
「ああ あの桜通りの吸血鬼ね」
吸血鬼?
「知らないの? しばらく前からある噂だけど……何かねー満月の夜になると出るんだって。寮の桜並木に……真っ黒なボロ布に包まれた……血まみれの吸血鬼が……」
吸血鬼……ね。噂を聞いているあいつらは知るまい。私達のクラスメイトに同じ吸血鬼が居る事を。
「もーーそんな噂デタラメに決まってるでしょ。アホな事言ってないで早く並びなさいよ」
「そんなこと言ってアスナもちょっと怖いんでしょ~」
「違うわよ! あんなの日本に居るわけないでしょ!」
神楽坂は黒板に書かれた謎のチュパカブラとやらを指さして否定する。
「その通りだな神楽坂 明日菜。噂の吸血鬼はお前のような元気でイキのいい女が好きらしい。
十分気をつける事だ」
マクダウェル本人がそう言ってもな。まさかホントに神楽坂を狙ってるわけじゃねーよな?
「先生ーーっ大変やーーっ。まき絵が……まき絵がーー」
何だ? 佐々木の奴がどうかしたのか?
佐々木 まき絵が桜通りで寝てる所を見つかったらしい。
「なんだ大した事ないじゃん」
「甘酒飲んで寝てたんじゃないかなーー?」
「昨日暑かったし、涼んでたら 気を失ったとか」
クラスメイト達はそんな心配(?)するような言葉を口々に話す。
まあ確かに昨日は暑かったもんな。寝こけていてもおかしくはない……のか? 私はかすかに
感じた違和感を無視した。その裏であんな出来事が起きているとは思いもしないで。
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翌朝、佐々木は元気に登校してきた。昨日の事は何も覚えていないらしい。
(妙だな。眠りこけていたとしてもその事を忘れるなんて事があるのか?)
「セ センセー 読み終わりましたーー」
授業中、だというのにあのガキ教師はかなりぼーっとしてる。
「えっ!? は はい。ご苦労様です。和泉さん。えーと……あのつかぬことをお伺いしますが……和泉さんはパ……パートナーを選ぶとして 10歳の年下の男の子なんてイヤですよねーー……」
「なっ……」
「えええ。そ そんなセンセ ややわ急に……。ウ ウチ困ります。まだ中3になったばっかやし……。で でもあのその……今は特にその……そういう特定の男子はいないっていうか……」
あのガキ急に何言い出しやがる! 話を振られた和泉が動揺してるじゃねーか。
「はあ……。――宮崎さんはどうですか?」
だから! 生徒にそんなこと聞くんじゃねーよ! 魔法使いのパートナーだろうがそれとは違うパートナーだろうが!
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その日の夕方、ネギ先生を元気づける会とかいう名目で大浴場で逆セクハラが行われた。私は
必死になって止めたが、クラスの奴らの大半が騒ぎ出したので止められなかった。すまんネギ
先生。さすがにこんな事に風術を使う訳にもいかねーしな。
ん? なんだこの気配? 小動物のような気配がクラスの女子の間を動いている? 風術で……いや、ただの小動物が紛れ込んだだけなら風術を使うのはダメだ。
「キャー ネズミーッ」
「イタチだよ」
「ネズミが出たーー」
どうやらただのネズミだったらしい。なら見逃しても大丈夫か。いや見逃しちゃダメだけどさ。
最終的に逃げ回ったネズミは神楽坂に撃退されて外に出て行った。
ネズミの正体はオコジョだったようで、しかもガキ教師のペットにするらしい。おい、それって
使い魔とかいうのじゃねーだろうな。そんなもん一般人の学生寮に持ち込むなよ。……はぁ。また学園長に報告する事が増えた。
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「おはようございますっ。エヴァンジェリンさんいますかっ!?」
「あー―ネギ君おはよーー」
「エヴァンジェリンさんなら まだ来てないですが」
何だ何だ。担任がドアを開けて入って来たと思ったら、いきなりマクダウェルを呼びつけた。
「へ……あ……そうですか……」
「何やカゼでお休みするて連絡が……」
カゼか、ならしょーがねーよな。確かあいつには登校させる呪いがかかっている筈だ。仮病で
呪いは突破できないだろうからマジもんのカゼだろうな。
「よーーし」
「あっ ネギ。どこ行くのよ」
そんなことを考えているとガキ教師は教室を出て行ってしまった。……なんか嫌な予感がするぞ。
結論から言うと私の嫌な予感は的中した。あのガキその後のHRや授業をボイコットしやがった。ホントにさぁ、教師の自覚全然ねーよなあのガキは。私も心の中で色々と酷い事いってるが、あのガキは「ガキ」で十分な気がしてきた。
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「う うわあっ。エ エヴァンジェリンさん~~!? な 何ですか果たし状のコトなら今はダメですよっ放課後ならいつでも……」
「ネ ネギ先生どうなさったんですの」
「落ち着きなって何わからん事を」
何だぁ? あのガキ、マクダウェルと諍いでも起こしたのか?
「……昨日 世話になったからな。授業くらいは受けてやろうと思っただけだ。どーせ校内には
いるんだし」
昨日はやっぱマクダウェルの家に行っていたのか。だからと言って教師の仕事を放り投げた事に変わりはないが。
その後、ガキ教師はちゃんと授業を行い、マクダウェルも宣言通りサボる事なく授業を受けた。
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ん? 何だコレは?
その事に気づいたのは学園全体が停電作業を行っている最中だった。
「フランス・エクサルマティオー」
!? あのガキ、また学校内で魔法を……ッ!? その時風の精霊で魔法を使ったガキの周囲を探査して気づいた。
明石 裕奈
和泉 亜子
大河内 アキラ
佐々木 まき絵
この4名がガキの周囲で戦闘を行っていた。んなバカな。あいつらは魔法生徒でも何でもない
ただの生徒だぞ!
……仕方ない。これをやるのは禁じ手だが、状況を知るにはやむを得ない。私は風の精霊を
操り、現場の音声を聞き取った。
…………!? …………!!
「あっの、クソ野郎! ふざけやがって!!」
私は風術で体を覆い、空気密度を変えて光の屈折などを利用して自分の姿を見えなくさせると、窓を開けて外に飛び出した!
この千雨は小学生時代を風術の鍛錬で過ごしたのでコスプレ趣味をもっていません。
ネギがもってきた腹痛薬がドクロマークなのは原作準拠です。そんなもん持ってくんな。
佐々木 まき絵が倒れているシーン。普通のオリ主であれば気づく所ですが、この千雨は精霊術(魔法の大元である精霊を直接動かせる力)があるだけなので魔法の力にはとんとうとく、気づかないのでした。
千雨は4話の期末テスト時のように、風術の知覚範囲での魔法の行使(精霊の行使)があれば気づけます。ですが範囲外で起きている事までは分かりません。なのでネギとエヴァの最初の激突や茶々丸への襲撃も感知出来ませんでした。
そしてやっちゃいました。エヴァ。千雨の逆鱗に触れる一般人の巻き込み。ここからエヴァの
アンチ展開が始まります。苦手な方はご注意下さい。