「刃牙」の「ジャック・ハンマー」が登場する
ChatGPTで作成した創作短編小説です。
独自要素やジャック贔屓が含まれます。
独自の解釈や世界観の変更が苦手な方は、
ご注意いただくかご一読をお控えください。
胡蝶しのぶ と ジャックハンマーの邂逅。
「刃牙」の「ジャック・ハンマー」が登場する
ChatGPTで作成した創作短編小説です。
独自要素やジャック贔屓が含まれます。
独自の解釈や世界観の変更が苦手な方は、
ご注意いただくかご一読をお控えください。
胡蝶しのぶ と ジャックハンマーの邂逅。
満月は慈悲深いほど静かだった。
蝶屋敷の庭先に風はなかった。
夜露に濡れた白砂が淡く光り羽化したばかりの蝶が
どこへ行くでもなく漂っている。
胡蝶しのぶは、その光景を硝子越しに見つめながら試験管を静かに置いた。
失敗。否、成功ではある。
だが“成功してはならない”種類のそれだった。
対鬼薬。
マウスに投与した結果はあまりにも残酷だった。
初期段階では野良猫。
次に大型の野犬。
野生の猪。
そして、ツキノワグマ。
本州最大の哺乳類を歯と爪だけで殺したマウスは、
その直後、1分も経たずに絶命した。
鬼を殺す薬は人をも殺す。
当然の帰結だった。
「……人には、使えない」
自分自身の身体に毒を蓄積し鬼に吸収させるという
“自己犠牲型の臨床”は既に成立している。
だが、それは彼女一人で完結する狂気だ。
一般隊士というより人に投与するなど研究者以前に人として
越えてはならない線だった。
だからこそ、しのぶは後悔していた。
この薬を“完成させてしまった”ことを。
その夜、蝶屋敷の門が、軋むように開いた。
鬼と見紛う影。
月光を遮る、異様な巨体。
身の丈八尺を超え骨格は人のそれを逸脱している。
体重二百キロを優に超える肉体は鎧のようでありながら、
どこか破綻の気配を孕んでいた。
「夜分に悪いな」
低く、だが妙に落ち着いた声。
「ジャック・ハンマーというもんだ」
その男は頭を下げた。
礼儀正しい所作が、かえって異様だった。
しのぶは、即座に理解した。
この男は――人間だ。
だが、人間であり続けることを、とうに捨てている。
「用件を伺います」
彼女の声は、冷静だった。
しのぶの鼻腔を突く異様な匂い。
無数の薬物、筋肉増強剤、代謝促進薬、神経刺激物質。ステロイド。
“人が人であるために拒絶すべきもの”の匂い。
ジャックは単刀直入に言った。
「あんたが薬で鬼に対抗する研究をしてるって聞いた。」
「だが人体での臨床が出来ずに困ってる、ともな」
しのぶの目が僅かに細まる。
「……どこでそれを?」
「ある伝手だ。それよりも本題だ。」
それ以上は語らない。
「俺を使ってくれ。被験体として思う存分にな」
沈黙が落ちた。
蝶の羽音すら遠い。
「出来ません」
即答だった。
「あなたの身体は既に限界に近い。」
「それ以上の薬物投与は人体崩壊を早めるだけです。」
「対鬼薬は人に投与すれば“人を鬼にする”のと同義。」
「諦めてください」
ジャックは、鼻で笑った。
「初対面の女に言うのも失礼だがな」
「あんたからも女の匂いはしねえ。」
「服や部屋に染み付いたもんじゃない。」
「身体そのものから毒の匂いがする」
しのぶの指が僅かに震えた。
「あんた自身が毒袋だ」
沈黙が別の形で重くなる。
「俺の身体にはダメであんたの身体はいい?」
「そりゃ通らねえ」
ジャックは胸を叩いた。
「薬も毒も同じだ。」
「自分で納得して摂ってるかどうか、それだけだろ」
月光の下、その眼は澄んでいた。
死を恐れていない。
否――死を消費してきた者の眼。
「俺の行動は全部、強さを得るためだ。」
「明日なんざ、とっくに捨ててる」
「……あなたは、“フランケン・シュタイン”になるおつもり?」
「ああ」
即答だった。
「俺の理想像だ」
しのぶは拒む言葉を探す。
倫理。
人道。
医の矜持。
しのぶの胸にジャックの言葉がそれらを先に切り刻む。
「あんた、本当は見たいだろ」
「自分の薬を人体に投与した結果を生で」
――図星だった。
「あんたが人道的、倫理的に胸が痛むなら、こう考えろ」
指差す先は自分自身。
「目の前の男は、重度の栄養失調で瀕死だ。」
「これから打つのは“ただのビタミン剤”だ」
しのぶの呼吸が浅くなる。
「それで死んだなら栄養状態が悪かっただけ。」
「薬のせいじゃねえ」
狂気の論理。
「そしてこの男は死んで自らを検体として差し出した。」
「あんたにだ、胡蝶しのぶ」
名を呼ばれ心臓が跳ねた。
「もうこの男は死んでいるのだから自分に非はない。」
「罪もない。これは臨床だ。」
「鬼から人を守り未来に繋がる尊い臨床だ。」
最後に囁くように言う。
「それに俺はあんた”ら”の仲間でもないんだ。」
「そのくらい気軽な感覚で使ってくれ」
責任の切断。
免罪符。
沈黙。
長い、長い沈黙の末――
しのぶは、理解した。
この男は倫理を壊しに来たのではない。
彼女の中に既にある狂気を。
“研究者としての、純粋な探究心”という名のそれを。
肯定しに来たのだ。
月下。
蝶屋敷の庭で狂気の蝶が羽化する。
「……立会人を用意します」
しのぶは微笑んだ。
それは蟲柱としてではない。
薬学研究者としての歪んだ微笑だった。
満月は何も語らない。
ただ静かに倫理と狂気の境界が溶けていく夜を照らしていた。