境界線PCU~多様性ワールドへようこそ~   作:トナカイ粉砕

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消えないタトゥー編(中編)

「リルたそ、今回はドローンはいらないっしょ。そろそろ準備したほうがいいよ。合図は私がインカムで送るよー」

外で待機しているメイコが指示を出す。

 

「うん! スタンガンだけ持っていくね。ドアの外で合図を待ってるね!」

リルが元気よく答える。

 

「……で。その突入の合図の言葉はなんなの?」

マリアが呆れながら尋ねる。

 

「……マシンガン偵子。……何なのこれ?」

モニカが、インカムに共有された文字列を見て頭を抱える。

「あのC級……いや、D級映画に出てきたモンスターじゃないの……。ある意味、誰も使わない言葉だから、合図ってわかりやすいけど」

 

「私たちが考えました!」

リルとメイコが、胸を張って答える。(何とも緊張感のない2名)

 

 

――ホテルBの301号室。

 

ホテルに入っていく山田中年部下とパパ活女B。

『ちょっと、気になることがあるのよね』

モニカがインカムで呟く。

 

『どうしたの、モニカ?』

マリアが聞き直す。

 

『……あのパパ活女Bだけど。歩き方や表情を見る限り、どうも男たちとグルって感じじゃないのよ。どこか怯えているというか……』

モニカのプロファイリングが、違和感を捉えていた。

 

パパ活女B「本当に助かります。……こんなに頂いてしまって」

山田中年部下「では、先にシャワーを浴びてくるよ」

 

山田中年部下は、マニュアル通りにそういってシャワー室に消えた。

シャワー室の暗がりには、すでにスレイが息を潜めて待機している。先ほどと全く同じ展開だ。

 

『例の二人組がホテルに入っていったよ、リルたそ!』

『OK〜!』

メイコの報告を受け、リルもホテルBの中へと入っていく。

例のゴロツキ二人組が、301号室へと入っていくのを確認し、リルはドアのすぐ外で待機する。

 

『ターゲット(ゴロツキ)が入室。ドアの前に待機中』

『合図を待ってて、リル』

マリアが監視カメラの映像を見ながら言う。

 

『シャワー音が止んだわ。……そろそろよ』

モニカがタイミングを計る。

 

ガチャリ。

山田中年部下が、バスタオル姿でシャワー室から出てくる。

 

「な、何だね君たちは!!」

山田中年部下が、部屋に勝手に上がり込んでいるゴロツキ2名を見て、わざとらしく驚くフリをする。

 

「いやー、旦那さん。まずいことになったなぁ」

ゴロツキAが、ニヤニヤしながら近づいてくる。

 

「この女は、俺たちの組織のお偉いさんの愛人なんだよねぇ」

ゴロツキBが、パパ活女Bの肩を抱き寄せる。女は怯えて下を向き、震えている。

 

「いいのかなぁ? こんなこと(不倫)バレたら、旦那さんの命はないよ?」

「あんたの家族のとこにも、色々と被害があるかもしれないぞ?」

 

『……最初はやはり、典型的な美人局ね』

マリアが吐き捨てる。

 

『しょうもないお約束ね、ほんと』

モニカが呆れる。

 

『ここから、脅迫用のタトゥー(動画)を要求するんだろうね』

メイコが次の展開を予想する。

 

「そ、それは困ったなぁ〜。どうすればいいんだろう」

山田中年部下が、あまり気持ちのこもっていない棒読みの声で返す。

そして、そのままバスタオル姿から、ゆっくりと服に着替えようとする。

 

シャワー室の少し開いたドアの隙間。

スレイは既にそこから出て、物陰に完全に身を隠しながら、冷徹な目で状況を見極めていた。

パパ活女Bは、ずっと下を見てうつむいている。

 

(……そろそろか)

 

「単純にここはさ、穏便に解決したいわけよ!」

ゴロツキAが、指を擦り合わせて金の要求をする。

 

「でも、それには色々とコスト(慰謝料)がかかるって訳。わかる?」

ゴロツキBが脅す。

 

「……そうか、それは仕方ないな」

山田中年部下が財布を出そうとする。

 

「おっと。現金だけじゃダメだ。保険が必要なんだよ」

ゴロツキAが、スマホのカメラを起動する。

「すぐ逃げられちゃ困るんでね。……ちょっとそのバスタオル取って、カメラに向かって謝罪してもらうか」

 

その言葉を聞いた瞬間。

「……その保険というのは、マシンガン偵子のことかね?」

山田中年部下が、真顔で合図の言葉を口にした。

 

「……はっ?」

ゴロツキAとBが、意味不明な言葉にポカンとする。

 

『ビンゴ! 二人ともGO!!』

インカム越しにメイコが叫ぶ。例の反社集団だと完全に確定したのだ。

 

バンッ!!

 

【挿絵表示】

 

301号室のドアを豪快に蹴りあけて、リルが飛び込んでくる!

「じゃじゃ〜ん! 妻活中(?)の、リルでーす!!」

 

「な、なんだお前!?」

ゴロツキA・Bは何が起こったのか全く把握できていない。パパ活女Bも何事かと口をぱくぱくさせている。

そこへ、背後の物陰から、スッーっと巨大な漆黒の影(スレイ)が音もなく姿を現した。

 

「……それで、保険の内容を教えてくれないか?」

スレイの地を這うような低い声に、ゴロツキたちがビクッと振り返る。

 

「裸の写真を撮って、ネットにバラまくって保険で合っている〜?」

リルが、手にしたスタンガンをバチバチと鳴らす。

 

「何ッ! 知ってやがったのか、最初からハメやがったな!」

ゴロツキAが懐からナイフを抜く。

 

「何だお前ら! 警察じゃないだろ!」

ゴロツキBが叫ぶ。どう見ても、リルとスレイの狂暴なオーラは警察のそれではない。

 

「……私は警察だがな」

いつのまにか服を着替え終わった山田中年部下が、本物の警察手帳をドヤ顔で見せる。

「ちょっとホテルに迷惑がかかりそうなので、表でパトカーを手配してくる」

そういって、彼はさっさと安全な部屋へ退室していった。

 

「この野郎ッ!」

ゴロツキAが、一番弱そうなリルにナイフで襲い掛かってくる。

 

「はーい、遅すぎまーす!」

リルが、ひらりと身をかわし、スタンガンを男の股間にフルパワーで押し当てる。

 

バチバチバチッ!!

「ぎゃああああああああああッ!!!」

男の急所を焼く恐ろしい悲鳴が上がる。

 

「てめぇ!」

ゴロツキBがリルに殴りかかろうとした、その瞬間。

スレイの重い回し蹴りが、男の鳩尾に深々と突き刺さる。

「ぐはぁッ……!」

くの字に折れ曲がったゴロツキBに、続けてスレイは容赦なく鋼鉄の拳を顔面に叩き込む。

「アベブッ!」

ゴロツキBが鼻血を噴き出して、白目を剥いて倒れた。

 

パパ活女Bは、一瞬の出来事に唖然として座り込んでいる。

 

『さて、私達もいこうか!』

外で待機していたマリア、モニカ、メイコも部屋へと向かう。

 

「……」

スレイが、横たわって痙攣しているゴロツキAの腹に追い打ちの蹴りを入れる。

「えいっ!」

リルが、倒れているゴロツキBの背中にダメ押しのスタンガンを入れる。

ついでにスレイが、ゴロツキAとBの顔面に1発ずつ、オマケ(制裁)の拳を追加した。

二人は完全に失神し、もう抵抗する気力もないようだ。

 

部屋に入ってきたマリアとメイコが、手慣れた様子で結束バンドを使い、ゴロツキたちを縛り上げる。

モニカは、部屋の隅でガタガタと怯え切っているパパ活女Bの元へとゆっくりと向かった。

 

「……安心しなさい。あなたを逮捕する気はないわ。……ちゃんと、知っていることを全て喋ればね」

モニカが、優しく、しかし逃げ場のない声で微笑む。

 

一方、マリアは気絶したゴロツキたちのポケットからスマホを回収する。

そして、持ち込んだ小型端末に接続し、慣れた手つきでパスコードを突破して中身をハッキングし始めた。

 

「どう? 組織の元締め(トップ)の元に辿りつけそう?」

メイコが覗き込む。

 

「……難しいかもしれないわね。やり取りは全て秘匿性の高いアプリ(テレグラム等)で、相手の足がつかないようになっているわ」

マリアが舌打ちをする。

 

「スレイ、一応こいつらを物理的に尋問して」

「……あぁ」

スレイは頷き、ゴロツキ二人の襟首を掴んで、防音性の高いシャワー室へと引きずっていった。

 

「やっぱ、こいつらただの下っ端か何か?」

リルもマリアのモニターを覗き込む。

「たぶん、現場の回収担当レベルね。暴力ありのね」

 

「やっぱり、元締めまで一筋縄とはいかないよね〜」

メイコが腕を組む。

 

 

数分後。

シャワー室から、少しだけ血の匂いを漂わせたスレイが戻ってくる。(中は凄惨なことになっているだろう)

 

「……吐いた?」

マリアが尋ねる。

「あぁ。だが、こいつらはただの武闘派系の回収・運び屋程度だ。組織のトップの顔も、居場所も知らないらしい」

スレイが、期待外れだったと首を振る。

 

そこに、モニカがメンバーたちを呼んだ。

 

「……マリア、スレイ。私の予想通りよ。最初のパパ活女Bの怯えた表情から、彼女は男たちと完全なグルじゃないとは思ったけれど」

 

「えっ? なんで一緒に悪いことしているの?」

リルが不思議そうに女を見る。

 

「……女性側も、同じだったのよ。この子も……デジタルタトゥーのせいで脅されていたのよ」

モニカが、痛ましげに言う。

 

「……同じように、昔ハメられて裸の写真を撮られていたってこと? それをネタに、美人局の餌として無理やりやらされてた系っしょ?」

メイコが事情を察する。

 

「ええ。言うことを聞かなければ、動画を親や会社にばらまくと脅されて……」

パパ活女Bが、両手で顔を覆って泣き崩れた。

 

「……これは単なるパパ活や売春じゃないわね。立派な強制労働(人身売買)よ」

マリアが、底知れぬ怒りを込めて言う。

 

「……ターゲット(探すべき敵)は決まった。次の掃除の時間だ」

スレイの漆黒の瞳に、悪党どもをこの世から完全に消し去るための、絶対的な殺意が灯った。

 

縛りあげたゴロツキを山田相姦の部隊に引き渡し、PCUのメンバーは首相感貞の作戦室へと戻ることにした。

ただし、保護したパパ活女Bを連れてだ。

そして、彼女から詳しい事情聴取を行うことにした。

 

「……私は、通常通りパパ活を行っていただけだったんです。でも、ある日、すごく金払いのいい優しい客(オジサン)に当たって……」

パパ活女Bが、震える声で語り出す。

「気づかないうちに行為を盗撮されており、出された飲み物に睡眠薬を入れられて……眠っている間に、裸の写真を何枚も撮られていたんです。その間に、財布から免許証などの個人情報もすべて抜かれていました」

 

「うわ……最低なクズだね」

メイコが顔をしかめる。

 

「そして……仕事(美人局の餌)を手伝わないと、親や会社に写真をバラまくと脅され……更に、要求を拒否すれば、動画や免許証つきの画像を世界中にバラまくと脅してきたんです」

 

「世界中?」

モニカが首を傾げる。

 

「はい。……海外サーバーを経由した、悪質な暴露サイトに掲載すると言われました。日本の警察が動いても、サーバーが海外(治外法権)だから手出しできないと、彼らは高を括っているんです」

「……なるほど。削除費用という名目で法外な借金を背負わされ、美人局の実行犯として奴隷のように働かされているというのが、今回の事件の顛末か」

マリアが全てを理解し、ギリッと奥歯を噛む。

 

「わっるい奴だ!! 絶対に許さない!!」

リルが、ぷんすかと怒る。

 

「パパ活している男女両方から脅迫して搾り取るなんて、えぐー! 悪夢の二毛作じゃん!」

メイコが言う。

 

「……私が言えたことではないですが。あいつらを、どうか潰してください。……私の知り合いの女の子は、美人局の実行犯を拒否した結果、本当にそのサイトに動画や画像をばらまかれて、人生を終わらせてしまったんです……」

パパ活女Bが、涙ながらに懇願する。

 

「……あぁ、わかった。だが、お前はまだ若い。……これからは、まっとうな道をいくんだ」

スレイが、静かに、だが力強く彼女の未来を諭すように言った。

 

「その暴露サイトのURLはどこかわかる?」

マリアの問いに、女が頷いてメモを渡す。

 

「おそらく、海外のサイトで足がつかないようにしているはずね。……どうする、マリア?」

モニカが尋ねる。

 

そこに、海外出張から戻ってきたばかりの環萌美総理が、作戦室に入ってきた。

「いやー疲れたわー!、そして話は大物議員Aからおおかた聞いたわよ」

 

「わー、総理お帰りー! お土産は〜?」

リルが駆け寄る。

 

「たぶん、治外法権の国にサーバーがあるっぽいんだー」

メイコが状況を説明する。

 

「なるほどね。日本政府が直接手を出せないようなところにね」

萌美総理が目を細める。

 

「とりあえず、私が逆探知して調べるわね」

マリアがキーボードを叩くが、やはり結果は予想通りだった。

「……パナマのサーバーに辿り着いたわ」

 

「14眼同盟などの監視網外ってことだね」

メイコが言う。

 

「つまり、どういうこと?」

リルが首を傾げる。

 

「アメリカ、イギリス、カナダなどの5眼同盟(ファイブ・アイズ)や14眼同盟といった、西側諸国の国際的な諜報ネットワーク・データ共有協定の管轄外の場所ということね」

モニカが説明する。

 

「簡単に言えば、日本の政府や警察から何か法的な要請を出しても、相手の国が無視する(法的に手を出せない)ということだ」

スレイが要約する。

 

「……じゃー、マリアが前に言ってた作戦だね! えーっと、賢者タイムを隠すならお通夜の中!」

リルが、元気よくことわざ(?)を放つ。

 

「……何か違うわよそれ! 罰当たりな諺に聞こえるわね。。。」

モニカが頭を抱える。

 

「浮気を隠すなら修羅場の中のほうが、しっくりくるっしょ!」

メイコが謎の修正を入れる。

 

「それも何か違う!! 何でわざわざ修羅場に突っ込んでいくのよ!」

マリアが絶叫する。

 

「……大人の玩具を隠すなら、ドン〇ホーテの中ね!」

萌美総理が、自信満々にドヤ顔で言い放った。

 

(((…………)))

 

「(……トップが一番酷いギャグ言ってるわね)……まぁいいわ。要するに、暴露サイトを大量のダミーデータで飽和させて埋め尽くすのよ」

マリアが本来の作戦を説明する。

 

「そこで総理の変態コレクションの出番っしょ!」

メイコがニシシと笑う。

 

「あの、ゴブリンとかトロルとかエルフとか、ムキムキの男達のやつです!」

リルが補足する。

 

「あら! 私の神聖なコレクションに興味を持ってくれるなんて嬉しいわ♡」

萌美総理が頬を赤くする。

 

「任務のダミーデータとしてです! 興味は一切ありません!!」

モニカが即座に(音速で)否定する。

 

幾つかのURLを示してくれる萌美総理。それは政府専用回線で保護されたドメインだった。

「……『 www.moemi1.com 』だって」

リルが読み上げる。

 

「そこは、エルフとゴブリンとトロルの神聖なエリアよ」

「じゃあ、『 www.moemi2.com 』は?」

メイコがクリックする。

「そこは、ホモ雑誌と、惜しくもコレクションから落ちたボツ同人誌の保管庫よ」

 

「まぁいいわ、容量(ゴミデータ)さえあれば何でも。……まさか、総理の変態コレクションを、正義の任務で自ら使うことになろうとは」

マリアが遠い目をする。

 

「しかし……このドメインはいったいなんなの?」

「私専用の多様性保管庫ドメインを、血税でこっそり用意したのよ。姫騎士が蹂躙される『moemi3』も、近々新しく用意する予定よ」

 

((……国民が知ったら、暴動が起きるんじゃないだろうか……))

PCUの面々が、日本の未来を憂いた。

 

「でも、ここの暴露サイトを潰す(パンクさせる)だけじゃ、元締めの正体には辿り着けないよね?」

リルが素朴な疑問を投げる。

 

「そうだね。脅し用のサイトを一時的に機能不全にしても、別の新しいサイトを作って、また同じことするよね」

メイコも同意する。

 

「そうでしょうね。おそらく、機能不全に陥る前の状態のバックアップデータから復帰させて、違うサイトを立ち上げるだけね」

マリアがハッカーとしての敵の思考を読む。

 

「……つまり。私たちの真の狙いは、次のサイトを立ち上げる瞬間ね」

モニカがプロファイリングで罠を仕掛ける。

 

「違うドメインを新しく取得するでしょう。……そこが、奴らのIPや資金源を特定する最大のチャンスよ」

マリアがニヤリと笑う。

 

「新しいドメインを食いつかせるのね。そこで必ずボロ(尻尾)が出るはずだわ」

モニカも同意する。

 

「今の暴露サイトのドメインが『 siroutosukebe.pa 』ね。……パナマのドメインよ。敵は、似たような文字列のドメインを探して購入する算段よ」

マリアが説明する。

 

「素人助平だって! マジあからさまだね! 後ろのpaってのがパナマなんだね!」

リルが言う。

 

「じゃあ、パナマ(pa)から、アイスランド(is)のほうに釣るのはどうかな? つまり、敵が『 siroutosukebe.is 』しか選択肢がない感じに追い込むの〜」

メイコが提案する。

 

「なるほど。先に『他の同名のドメイン(siroutosukebe)』を、私たちが買い占めてしまえばいいのよね」

モニカが頷く。

 

「総理、お願いできるかしら。政府の裏金で」

マリアが頼む。

 

「えぇ、問題ないわよ」

萌美総理がどこかへ連絡する。

 

数分後。

『.vg(英領バージン諸島)』、『.ro(ルーマニア)』、『.sc(セーシェル)』、『.my(マレーシア)』、『.ch(スイス)』などの、治外法権に近い各国の同名ドメインを、すべて総理権限(裏金)で買い占めたようだ。

これで今の暴露サイトが機能不全になった場合、敵は必ず『siroutosukebe.is(アイスランド)』を取得するしかない状況に追い込まれた。

 

(……デジタル空間の中での誘導作戦か。おもしろい)

スレイが、銃による物理戦闘とは違う、頭脳戦の罠に口角を上げた。

 

「しかしまずは、今のサイトを大量のゴミデータで潰す準備をするわよ! 私が自動投稿スクリプトを組むから、少し待ってなさい。その間に、皆は投稿するダミーの画像や動画を、ありったけ用意してちょうだい!」

マリアが、ついに反撃の号令をかける。

「総理のコレクション以外にもアップロードしまくって、サーバーを完全にカオスな状況にしてやるわよ!」

 

「風景画でも、旅行案内でもいいし、他人の個人情報とか営利を妨害しないフリー素材なら何でもいいわ。この共有フォルダに、どんどんデータを入れていって」

モニカが指示を出す。

「はーい!」

「わかった〜!」

 

「よいっしょと。この前、交番の前でウンチしている野良犬の動画撮ったから入れるねー」

リルが無邪気にゴミデータを放り込む。

 

「アタシは、最新のAIで適当な意味不明な画像を大量生成してみよー!」

メイコがスマホを高速でタップする。

 

そこへ、別の用事を済ませた大物議員Aが作戦室に戻ってきて、事情を説明された。

 

「おー! それなら宣伝という手もあるんじゃないか? 私の愛する多様性坂69のライブ映像や宣伝画像で、サイトを埋め尽くしてしまおう!」

大物議員Aが、推し活の布教を兼ねた提案をする。

 

「確かにそれはいい案ね! 日本の魅力(多様性)を、ついでに世界中に発信してしまいましょ♡」

萌美総理も賛同する。

 

【挿絵表示】

 

「……ホモ雑誌に、ゴブリンの同人誌。そして風景画やら犬のウンチやら、アイドルのライブ映像に、日本の観光宣伝……。カオスにはもってこいね」

モニカが、完成しつつある地獄の共有フォルダを見て呆れている。

 

かくして。

天才ハッカーと、変態総理大臣と、最強の暗殺者チームによる。

パパ活美人局バラまきサイト・完全機能不全(デジタル飽和)計画が、カオスと共に開始されたのである。

 

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