「よし、大量投稿のスクリプトは出来たわ! サーバーのセキュリティ(アクセス制限や画像認証)をすり抜けるように、ジワジワと少しずつ、かつ確実に投稿していく算段よ」
作戦室のモニター前で、マリアがキーボードから手を離してニヤリと笑う。
「マリア。いつ頃から、その爆弾(ゴミデータ)を仕掛けていくの?」
モニカが尋ねる。
「深夜帯からね。暴露サイト自体は夜中も活気があるけれど、おそらく運営側(反社組織)が寝静まっていて、すぐには対応できないタイミングを狙うわ」
「この投稿のペースだと、1時間に200〜300投稿あれば、サイトのトップページは結構カオスで埋まるね!」
メイコが計算する。
「ねぇねぇ、犯人がサイトの異常に気づいたら、さっき言ってた新しいドメインっていうのを買いにいくんだよね? どうやってその犯人の場所を見つけるの?」
リルが首を傾げる。
「……連中はプロだ。足がつくクレジットカードや口座振り込みは絶対に避ける。おそらく、現金か使い捨てのプリペイドカードを使ったコンビニ決済だろうな」
スレイが、裏社会の常識を語る。
「えぇ。犯人がネット上で接触……つまり『siroutosukebe.is』が買い取られる瞬間を待って、決済の情報をハッキングで特定するのよ」
マリアが説明する。
「クレジットカードやpaypalでは足がつく、銀行振り込みや何とかpayは問題外。……だから、身元を隠せるコンビニ現金払いよ」
モニカも同意する。
「何となくわかった! じゃあ、この後に集めた変な画像たちを、どっかーんと投下だね!」
軽食をとって軽く仮眠をとることにした一行。
そして、深夜2時。
「……そろそろいいわね!」
マリアがPCの前に座る。運営はおそらく寝ているはずだ。
「仮にすぐ異変に気づいて動く可能性もある。ドメインの売買状況(罠)は、常に監視しておこう」
スレイが言う。
カチャッ。
マリアが投稿スクリプトの実行キーを叩いた。
画面をのぞき込むリルとメイコ。
「うわー! いきなりゴブリンの変なの(総理のコレクション)出てきた!」
「次は何これ? 旅行案内だ! 京都の魅力だって。癒やされる〜」
「次はライブ動画のようね? 何これ、アイドルの……だから大物議員Aが仕込んだやつね」
10秒ごとに、1つずつポンポンと投稿されていく。
1時間に360枚。朝までには、数千件以上のゴミデータになる計算だ。
もちろん、投稿ごとのIPアドレスを偽装し変更しながら行うため、大量アクセスで怪しまれることもない。
「よし! いい感じで動いているわね。……自分達で言うのも何だけど、マジでカオスねこれ」
マリアが、自らの手で生み出した地獄のようなタイムラインを見て呟く。
ムキムキのゴブリンの同人誌から、美しい京都の旅行案内、多様性坂69のアイドルライブ映像。
ホモ雑誌の切り抜きや風景画、D級映画の切り抜き、交番の前でウンチする犬。
メイコがAIで生成した意味不明な動画。そして、マシンガンを放つ偵子。
いつのまにか、暴露サイトの本来の目的である素人の投稿や盗撮・脅迫といった画像は、雪崩のように押し寄せるカオスな情報に埋もれ、どんどん見えなくなっていった。
一行は、交代で『siroutosukebe.is』のドメイン購入状況と投稿内容を確認しながら、静かに眠りについた。
――翌朝。新宿某所(反社アジト)。
「うい〜。今日も何もしないで稼いでくれる家畜(脅されている女たち)のおかげでいい日だぜ」
明らかに人相の悪い、パパ活詐欺の元締めのボス。
彼は葉巻に火をつけて、朝から酒を飲んだくれている。
そこに、部下が血相を変えて駆け込んできた。
「た、大変ですボス! 例の暴露サイトですが、何者かに荒らされています!」
「何だと! 今いく!」
焦って作業部屋に向かうボス。
「朝気づいた時には、既にこの状況です。……関係のない画像や動画ばかりで埋め尽くされています」
部下Aが震える手でモニターを指差す。
「なんだこりゃ! 検索のハッシュタグはどうなってる!?」
「ええと、例えば『#素人』『#ハメ撮り』なんかで検索してみます」
部下Bがキーボードを叩く。
「……ゴフゥッ!?」
なぜか『#素人』で検索したのに、凶悪なトロルの巨大なチン〇が画面いっぱいに表示される。
『#ハメ撮り』のタグなのに、舞妓さんが優雅に歩く『京都の魅力いっぱいの宣伝動画』が流れてくる。
「どこのどいつだ、こんなふざけたことしやがるのは! 脅した女か、ハメられた男か知らねーが、そいつらの誰かの仕業だろうな!」
ボスが激怒して机を叩く。
「ライバルサイトからのサイバー攻撃の可能性もあります。しかし、これでは完全に機能不全です。脅しの材料にもなりません。何とかしないと!」
部下Cが焦る。
「……しかたねー。そこ(今のサイト)は捨ててしまえ。バックアップデータを使って、すぐに新しいサイトを立ち上げるんだ!」
「えぇ、1日前のバックアップから拾って、別サーバーに戻します」
「畜生が!」
ボスは椅子を蹴り飛ばして部屋を出ていく。
「おうふ! なんだこれは! ぐはぁッ!」
部屋に残った部下Bが、萌美総理の仕込んだ変態トラップ(姫騎士ゴブリン)に引っかかって奇声を上げる。
「……仕方ない、いったんここは1日前のバックアップに戻すぞ。新しいサイト(ドメイン)に変えよう」
急いで復旧作業をする部下達。
「とりあえず、今と同じドメイン名(siroutosukebe)で考えよう。英領バージン諸島(.vg)、ルーマニア(.ro)、セーシェル(.sc)、マレーシア(.my)、スイス(.ch)……くそっ! 全部もう誰か(萌美総理)に使われているな!」
部下Aが舌打ちする。
「おい、1つだけ空きが残ってるぞ。……アイスランド(.is)か」
部下Bが、PCUの仕掛けた罠(クモの糸)を見つける。
「そこも治外法権の場所だ、丁度いい。……よし、そこでいいだろう」
部下Cが、迷わずそのドメインをカートに入れた。
――首相感貞・極秘地下作戦室。昼。
適当に交代しながら見張っているPCUメンバー。
「あー! 猫ちゃんののウンチ動画出てきたー!」
「あーこれ、私が生成した金属バットを持つシンデレラ!」
そんな風に、呑気に自作のゴミデータを監視していると。
「……あれ? なんか、更新されないみたい?」
リルが首を傾げる。
「あっ! 今までのカオスな画像がなくなった! 奴ら、攻撃に気づいたんじゃない!?」
メイコが、寝ているマリアとモニカを慌てて起こす。
「……元に戻ったが、投稿の日付を見ると1日前のデータだな」
スレイが、冷静に画面を分析する。
「気づいたようね。汚染されたデータベースを捨てて、バックアップから無理やり1日前に戻した様子ね」
モニカが目を擦る。
「でも、自動投稿スクリプトはやめないけどね! 今のサイトはもう使えないと、完全に示さないと」
マリアの指図で、投稿スクリプトは止めることなく動き続ける。
「……『siroutosukebe.is』のドメインが動くかどうか。……購入手続きで動いた瞬間、マリア以外は散らばるぞ」
スレイがコートを羽織る。
マリアが、アイスランドのドメイン管理会社の決済システムをハッキングして監視する。
「おそらく、連中のアジトは、パパ活の餌場エリアから近い新宿周辺だよね」
リルがスタンガンを握る。
「ええ。都庁のほうで商売してたから、新宿駅西口のほうを意識しておこう」
メイコが頷く。
しかし、その時。
「……『siroutosukebe.is』が売れた!! 今まさに決済手続きに入ったわ!!」
マリアが鋭く叫んだ。
「よし行くぞ! 俺とリルは新宿駅西口側。モニカとメイコは東口を意識してくれ。連絡が入り次第、現場へ急行する」
スレイの指示で、全員がインカムを装着し、マリアを残して颯爽と首相感貞の作戦室から出撃していった。
そうしていると、海外出張の疲れをとっていた萌美総理と大物議員Aが、作戦室に戻ってきた。
「なるほど。着実に追い詰めているようだな。流石は我が娘とPCUだな」
大物議員Aが、作戦の進捗を聞いて満足そうに頷く。
「えぇ、本当ね。……しかしマリアさん。どうやって、ドメインを買った人物の現在地を特定するの?」
萌美総理が尋ねる。
「……アイスランドのドメインは、現地のレジストラであるISNICまたは、海外のNamecheapでしか購入できないのです。……つまり、犯人が身元を隠すためにコンビニ払いでどちらかの代行業者に支払う瞬間を監視します」
マリアが、複数のモニターを睨みつけながら答える。
「なるほど。大量のコンビニ払いの中から、電気代やガス代、税金などの日常的な決済を除外して、海外への支払いを特定するのだな」
大物議員Aが理解を示す。
「ええ。監視カメラも、まず間違いなくコンビニの店内やレジにはあるでしょうしね。そこから犯人のツラを拝めるわ」
萌美総理が妖しく笑う。
スレイとリルは新宿西口、メイコとモニカは東口で待機している。
作戦室では、マリアが全神経を集中させて、都内のコンビニ払いの決済ネットワークを監視している。
コンビニ決済サービスのリアルタイム監視は、政府特権(萌美総理の権限)のおかげで、面倒なハッキングをする必要もない。
しかし、都内のコンビニ決済は一分一秒に大量に行われるため、マリアが組んだオリジナルのフィルターソフトをかけて、海外決済だけを炙り出す。
そして。
14時48分。
「……来た! Namecheapへの海外決済!! ……場所、特定!!」
マリアがバンッと机を叩く。
「……どこのコンビニ!? 各自、動きありよ!!」
インカム越しに、スレイたちに緊急連絡を入れる。
「……決済場所は、ローション中野本町一丁目店ね!」
画面を見た萌美総理が、さも当然のように読み上げた。
「……えっ? ローション!?」
マリアが、思わず耳を疑って総理の顔を見る。
「ふっ。……コンビニエンスストアの名称も、最近は多様性化が進んでいるからね」
大物議員Aが、葉巻を燻らせながら遠い目で呟いた。
「((……ローソ○じゃなくて!? 絶対にこの総理のせいじゃん!!))」
マリアは、日本のインフラがまた一つ、変態総理の毒牙にかかっている事実に絶望しつつも、スレイたちに急いで正確な位置情報を送るのだった。
正確な住所を受信したスレイ達は、それぞれの配置からコンビニへと急行する。
「やっぱり、新宿中央公園から近い西新宿のほうだったね」
東口から向かうメイコが言う。
「最寄り駅なら、丸の内線の西新宿駅のほうだね」
モニカが土地勘を頼りに補足する。
作戦室では、マリアが監視カメラの映像にアクセスしていた。
「さて、コンビニの監視カメラの様子を拝見……」
「……なかなか、警戒しているようだな」
大物議員Aが、モニターを見て唸る。
レジで決済を現金払いしている人物は、カーキ色の服に黒いパーカーを深く被り、さらにサングラスで完全に顔を隠していた。
「顔がおがめないようにとは、念入りね」
萌美総理が目を細める。
監視カメラを追うマリア。男が決済を終えて店を出ていくのを確認する。
「コンビニを出たわ! 急いで! カーキ色の服に黒いパーカーにサングラス! 東(新宿方面)にむかったわ!」
スレイとリルは颯爽と動いており、既に西新宿駅を通過し、青梅街道沿いを西へ向かって進んでいた。
「スレイ! あいつじゃない!?」
リルが、人混みの中から、マリアが指定した特徴に完全に一致する人物を発見する。
男は正面から歩いてくる。
「……よし、ここからは尾行だ」
スレイが、すれ違いざまに気配を完全に消す。
こいつをここでブチのめすのは簡単なことであるが、反社組織アジトの居場所を突き止めないと、意味がない。
決済をしたカーキ色黒パーカーの男とすれ違う瞬間。
「ねー、スレイ! アイス食べたいなー!」
リルが、わざとらしく明るい声を出す。
「……そうか。じゃ、駅に戻ろうか」
スレイが、自然な動作で振り返り、男の後ろを歩く形(尾行の体勢)をとる。
「昨日見た映画はねー、偵子がロケットランチャー打ってたんだよ!」
「そうか、それは面白い映画だな」
リルとスレイが、自然な会話を装って尾行を続ける。
通信を聞いていたマリア、モニカ、メイコ。
『よし、ターゲットに接触したようね』
『とりあえず、意味不明な合図は接触のことね』
『今回の任務、偵子ちゃん活躍しすぎっしょ!』
カーキ色黒パーカーの男が、西新宿駅に着く前の路地に入る。
こっそりと着いていくリルとスレイ。
やがて男は、古びた雑居ビルに入っていくことを確認した。
スレイがビルの外から見上げ、エレベーターのランプが2階に止まった個所を確認する。
「……拠点と思われる場所を発見した」
スレイがインカムで報告する。
「このまま、制圧しちゃうの?」
リルがスタンガンを握る。
通信が入る。
『いや、まだ早い。というか、デジタル犯罪の面でも余罪をつけたい』
大物議員Aが制止する。
『その通りよ。奴らが新しいドメイン(siroutosukebe.is)にアップロードする時に……生IP(なまアイピー)にさせたいのよ』
萌美総理が、極悪な企みを口にする。
「生IP?」
リルが、いつの間にか買っていたアイスを頬張りながら首をかしげる。
「自分の本当のIPアドレスのことよ。つまり、自分の家(アジト)の住所を晒すということね」
モニカが説明する。
「今は、VPNやTORなど、匿名性の高い形で運用しているのは間違いないわ」
マリアが言う。
「つまり、余罪もつけちゃいましょー作戦だね!」
メイコもアイスを頬張る。
「つまり、何らかの形で匿名条件を解除すればいいんだな」
スレイが確認する。
『おおむねその認識で間違いない』
大物議員Aが頷く。
『生IPでアップロードした(決定的な証拠を残した)瞬間に、乗り込んで逮捕ね』
萌美総理が言う。
しかし、物理的にルーターやPCを操作しなければならないため、マリアがいないとこれは出来ない。
「……距離は遠くないし、今から私がそっちに向かうわ」
マリアが立ち上がる。
「ついでだけど! スズメバチ駆除業者の作業着を持ってきて!」
メイコが、意味不明な要求を追加した。
数十分後。PCUメンバー全員が合流する。
「俺とリルは、尾行の時に見られている可能性があるから外で待機する」
スレイが言う。
スズメバチ駆除業者の作業着に着替えた、メイコ、モニカ、マリア。
「よし、いくわよ。スレイ、投げ込んでいいわよ!」
モニカの合図で。スレイが、どこからか調達してきたハチの巣(※実は安全なハチの巣)を、力技で2階のベランダへと投げ込んだ。
――雑居ビル2階。
ピンポンを何回も鳴らし、ドアをドンドンと叩く。
「すいません! 誰かいらっしゃいますかー!」
「こちら、業者のものです! あけてください!」
何事かと、パパ活詐欺の部下が出てくる。
ドアを開けた男は、モニカ達の作業着を見てギョっとする。
「……いったい、なんですか!?」
「スズメバチ駆除業者のモエミンラブラブ隊です!!区のNPOだよ♡」
メイコが、元気に名乗りを上げる。
((……何なのこの業者名は!! しかも、なんで作業着にしっかり刺繍まで入っているのよ!!))
マリアが、総理の仕込みの細かさに内心で絶叫する。
「お宅のベランダに、スズメバチの巣が落ちています! 危険ですので、今すぐ立ち退きを!」
モニカが、深刻そうな顔で警告する。
「いや、しかし! 今はそういう訳にも……!」
男が渋る。
そこへ、パパ活詐欺ボスがやってくる。
「なんだ〜いったい! 何の騒ぎだ!」
そのタイミングで。
追加のハチの巣を、スレイがベランダに投げ込んだ。
「……あちらを御覧になってください」
メイコが指差す。
パパ活詐欺のボスと部下は、ベランダを見て目を丸くする!
ブンブンと、大きいハチが飛び回っているではないか。
「……ご安心ください。15分程あれば駆除できますので。勿論料金はかかりません。」
モニカが頼もしく言う。
「おお……そうか。それは助かる」
ボスが青ざめる。
「危険ですので、退去頂くか、ドアのついた部屋に避難していてください」
メイコが念を押す。
流石に状況が状況なのか、疑いもせず彼らは無人の部屋へと引っ込んでいった。
「よし! じゃあ私はPCを見るから、メイコは見張りね。モニカはベランダ(庭)を何とかして」
マリアが、急いでノートPCに向かう。
モニカはベランダに出て、ハチの巣をスレイに向かって投げ返す。
「わー、ハチさん! 怒ってない? 大丈夫〜?」
リルが下で受け止める。
メイコは、奥の部屋のドアの前をかんぬきのようなもので固定し、万が一見られないように監視している。
マリアはPCを操作する。
(……やはり、VPNでの接続ね。これを無効にするだけだと、バレる可能性があるわね。……VPNに実は接続していないトラップに変えましょう)
マリアの神がかったタイピングにより、あっという間にトラップは完成した。
――15分後。
メイコが、部屋をノックする。
「すいませーん! 駆除が終わりましたので、ご安心ください!」
「どうもお騒がせいたしました。もう問題ございませんので」
モニカが優雅に一礼する。
そうして、彼女たちは雑居ビルを後にした。
――首相感貞・極秘地下作戦室。
「ご苦労である諸君! 娘が言うように、アイスは頼んでおいたぞ!」
大物議員Aが、高級アイスの箱を広げる。
「わーい! 議員さんありがとう!」
リルが喜ぶ。
「色々動いたら、暑くなっちゃったね!」
メイコがアイスを頬張る。
「……新しいドメインを知っているのは、犯人と私達だけね」
モニカがコーヒーを飲むながら呟く。
「そう。だから監視はしやすいわね」
マリアがモニターを睨む。
そして、夜になる。
「……例のサイトが動き出したわ!」
マリアがキーボードを叩く。
「なんか、エッチな画像がどんどん増えていっている!」
メイコが画面を見る。
「生IPでのアップロード……これなら、もう制圧してもよさそうね」
萌美総理が冷たく笑う。
「山田相姦の部隊にも、連絡しておきます」
大物議員Aが電話を取る。
「じゃー、皆行こう!」
リルが立ち上がる。
「……ああ」
スレイが、絶対的な殺意と共にコートを翻した。
雑居ビルに到着したPCUメンバーと、山田相姦の部隊。
当たり前のように、先陣を切っていくのはリルだ。
昼間のようにノックなどはせず、物理的な力業でドアを破壊して侵入していく。
「な、何だお前らは!!」
アジトの奥から、パパ活詐欺の部下たちが武器を手に次々と飛び出してくる。
「はーい! 妊活中(?)の、リルちゃーんです!!」
名乗りと共に、リルが先頭の男の首筋にスタンガンをバチバチと叩き込む。
「ぎゃあああっ!?」
「ふざけんな! ぶっ殺せ!!」
別の武闘派の男数人が、金属バットやナイフを振りかざして一斉に襲い掛かってくる。
「はーい、遅すぎまーす!」
リルは小柄な体を活かしてバットのフルスイングを軽々と潜り抜けると、すれ違いざまに男の股間へ強烈な蹴りを叩き込む。
「ぐふぅッ!」と白目を剥いて崩れ落ちた男の背中に、楽しそうにダメ押しの電撃をお見舞いした。
その横では、スレイが圧倒的な蹂躙を開始していた。
向かってきた1人の顔面を鋼鉄の拳で粉砕し、相手が倒れるよりも早く、鳩尾へ容赦のない前蹴りを突き刺す。
『――ドゴォッ!!』
吹き飛んだ男は、後ろから向かってきていた連中をボウリングのピンのように巻き込んで壁に激突した。
「ば、化け物かこいつ……!」
怯みながらも、ナイフを構えて死角から襲い掛かってきた別の男。
だが、スレイは振り向きもせずにその手首を掴むと、無造作にへし折った。
「ギャアアアッ!」
そのまま男の脛を蹴り砕き、悲鳴を上げる顎にアッパーカットを叩き込んで天井まで跳ね飛ばす。
「まだまだ行くよー!」
恐怖で逃げ出そうとする残りの雑魚どもに、リルが楽しそうにステップを踏みながら次々とスタンガンを押し当てていく。
スレイもまた、腰を抜かした男の首根っこを掴み上げると、そのままゴミのように床へ叩きつけて沈めた。
湧き出た部下たちへ、二人は息もつかせぬ連携で、容赦なく暴力という芸術を浴びせ続けた。
――ものの5分足らず。
血と悲鳴が入り混じる惨劇が終わり、部屋の奥には、あまりの一方的さに震え上がり、脅えることしか出来ないボスだけが残った。
「す、すまん! 助けてくれ! 何でもする!」
ボスは、絶対に勝てないとわかったのか、床に額をこすりつけて謝る。
そこへ、メイコがやってくる。
「さてさて〜。それじゃあ全部脱いで、カメラに向かって自白するっしょ!」
「なっ!? 冗談じゃねえ!」
ボスが躊躇する。
「……散々人を脅してきたんだから、自分がされる側になるのもいい勉強よ」
モニカが、冷たい声で見下ろす。
「大丈夫、ネットにアップしたり悪用したりしないから。安心しなさい(大嘘)」
マリアが嘘をつく。
「はーい! 早く脱がないと丸焦げにしまーす!(バチバチ)」
リルがスタンガンをバチバチ鳴らす。
恐怖に完全に観念したボスは、全裸で涙ながらに自白を開始した。
「はいどーも! 全裸自白でしたー! マリア、データ送るね」
メイコが、撮り終わった動画データをマリアに渡す。
「いや、ちょっと待ってくれ! アップロードはしないんじゃないのか! お前ら警察じゃないのか!」
ボスが抗議する。
「私たちは、警察じゃないよーん!」
リルが笑う。
「そうよ、私たちはPCU……いや、スズメバチの駆除業者よ!」
モニカが微笑む。
「はい、VPNを有効にして……海外経由でアップロード完了、っと」
マリアが、エンターキーを叩く。
「免許証の画像もバッチリ添えといたよ!」
メイコが悪魔のように笑う。
「酷い! アップしないって約束と違うじゃないか!!」
ボスが絶叫する。
「……お前が言えたことか
スレイの容赦ない鉄拳がボスの顔面にめり込み、すべての抗議を物理的に黙らせた
鼻骨が折れ、歯が何本か抜ける。
こうして、遅れてやってきた山田相姦の部隊が突入し、全員を連行していったのである。
――後日。首相感貞・極秘地下作戦室。
「なかなか、社会的には深い任務ではあったかもしれない」
大物議員Aが、葉巻を燻らせながら言う。
「えぇ、そうね。どうしても、貧富の差というのは難しい問題だわ」
萌美総理が同意する。
「結局あのアイスランドの暴露サイトはどうするの?」
リルが尋ねる。
「なんか、総理の権限で色々ドメイン買ってたしね」
メイコが言う。
「何か、宣伝にでも使えばいいんじゃないかしら」
モニカが提案する。
「そうね。一旦全てのゴミデータを削除して、新しくしたほうがよさそうね。……素人助平っていうドメイン名が、ちょっと酷いけど」
マリアが頭を抱える。
「やっぱ、日本の美味しい料理とか!」
リルが目を輝かせる。
「観光地とかの紹介もいいっしょ!」
メイコが言う。
「……それなら、ゴブリンとトロルとオークに〜、姫騎士とエルフに悪役令嬢と、触手もいいわね!色々なハードコアなカップリングで日本の魅力を発信しようかしら♡」
萌美総理が、恍惚とした表情で恐ろしい提案をする。
「「それは、日本の恥のほうだ!! そんなデジタルタトゥー(黒歴史)、未来永劫残すなぁ!!」」
モニカとマリアの絶叫が、作戦室に空しく響き渡った。