剣と魔法の世界から提督(?)が着任しました。   作:ラバウルユーザー

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その日のことを私は、一生忘れないと思います。
                  
                   とある古参艦娘の言葉


おっさんが空から着任しました②

―――状況は最悪だった。

 

羅針盤妖精の機嫌が悪かったのか、道中余計な戦闘が増えてしまった。

 

その為、燃料、弾薬がギリギリの状態でこの海域の中核部隊と戦う羽目に。

 

味方の正規空母は中破で、索敵と開幕の発艦以降は十分な戦闘を行えない。

 

旗艦の私は、妹のおかげもあって無傷でいられるが、その負担が全て彼女へ圧し掛かってしまっている。

 

司令官は撤退を認めてくれない。

 

功績の為に必死すぎて、大破進軍は当たり前。

 

私たち艦娘は代わりの利く兵器、沈んでも敵を倒せといつも言っている。

 

沈んだらそこまで、でも命令は絶対。

 

(最低の状況だわ。・・・でも、やるしかないわね)

 

悔しいけれど、やっぱり私たちは軍艦を模した兵器なのだ。

 

敵である深海凄艦を倒して安全を守らなければならない。

 

それが私たちの存在理由なのだから。

 

そんなことを考えていると、偵察機を発艦させた正規空母から、敵機動艦隊発見の報告。

 

物思いに耽るのもここまでのようだ。

 

「敵艦隊を補足。・・・全艦攻撃態勢!・・・主砲、副砲、撃てぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

―――敵艦隊と戦闘開始してからどれ位経っただろう。

 

弾薬は残り僅か。

 

燃料に至っては、第一戦速維持なんてとっくに不可能。

 

もはや、回避行動も満足に出来ない。

 

あの子は、妹は、私を最後まで庇って大破した。

 

辛うじて轟沈はしていないようだけれど、それも時間の問題。

 

正規空母の2人はどうなったのだろう。

 

敵戦艦タ級の集中砲撃を受けてから連絡が途絶えている。

 

重巡の2人は、あのお騒がせ者の姉と苦労人の妹のコンビは、囮となると言って敵の正面へと向かっていた。

 

彼女たちが稼いでくれた貴重な時間、その間に私の主砲が命中した敵のタ級1隻は撃沈したけれど、あの2人は戻って来ていない。

 

敵は、まだ2隻のタ級が残っている。

 

もう逃げることも不可能。

 

いえ、あの子を置いて逃げるなんて選択が出来ようはずも無い。

 

(いよいよ私も・・・やっぱり私、沈むのね。あの子ともう一度逢えるといいのだけれど)

 

空はあんなに青いのに、やっぱり私、

 

「・・・不幸だわ」

 

タ級の砲撃が迫る。

 

観念した私は、目を閉じてその時を待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・?)

 

いつまで経っても、敵の砲撃が着弾しない。

 

不思議に思ってそっと目を明けると、目の前になんともおかしな格好をした男の人が居た。

 

ボロボロのマントを着けて、大きな剣のような物を片手で持ち、海面に立っている。

 

そう、この人は海面に立っている。

 

艦娘でも、深海凄艦でもない、男の人が、だ。

 

先ほどまで轟沈を覚悟していた私は、その心境のまま、不思議な状況と、このおかしな人に、とても穏やかな気持ちで尋ねた。

 

「貴方は・・・どなた?」

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