剣と魔法の世界から提督(?)が着任しました。   作:ラバウルユーザー

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久々に書いてみる。
如月さんェ・・・


おっさんが空から着任しました③

転移魔法で、白く塗り潰された視界が元に戻る。

 

次の瞬間、ほんの僅かな浮遊感とともに、俺の身体は落下していた。

 

「...っ!?」

 

シールド魔法は張ってあったが、流石に空に放り出されるのは想定外だった。

 

たが、慌てることもない。

 

俺の魔法スキルは陸海空すべてを網羅している。

 

「“レビテーション”!」

 

その言葉とともに、身体の落下スピードが緩やかになる。

この風魔法は、魔力を供給し続ける限り発動し続ける。落下速度も自在だし、咄嗟のときは使い勝手がいい。

とりあえず、当面の心配事はなくなったから現状把握といこう。

 

「・・・“ステータス”確認」

 

小さく呟くと、視界の端に、

 

 

|ユート 迷宮冒険者(異世界漂流者)|

|LV ---             |

|HP ---             |

|MP ---             |

|                 |

|現在の経験地 ∞         |

|次のLVまで  0         |

 

こんな文字が映る。

これは俺が、異世界に移動して出来るようになった技能の一つ。

まるで昔のゲームみたいだと思ったのは懐かしい。

まぁ、色々やって現状自分のステータスはバグみたいになってるんだが。異常なのが通常なので、これで良し。

 

「さて、次は・・・っと?」

 

『ダンジョン・シーカー』と戦った時から持ちっぱなしの剣を背中に背負い直す。

このまま、ただ落下してても仕方ないので、どこかに移動しようかと思ったが、

 

「なんだりゃ・・・?」

 

ステータスの一部に不可解な文字。

 

『仲間が追加されました。』

 

仲間?・・・転送前は単独だったし、こんな空中で仲間とはこれ如何に。

ふと、右肩に何か居るのがわかった。

視線を向ける。

 

「・・・」(ニコニコ)

 

なんかちっさい女の子?みたいなのがめっちゃニコニコしながら乗っている。

更にもっと小さい猫みたいなのを、両手でぶら下げていた。

 

「君・・・何?」

 

「・・・」(ニコニコ)

 

問いかけてみるがニコニコしたままこちらを見ているだけだ。

これはどうしたものか。

その瞬間、ステータスの別の機能を思い出す。PT(パーティ)機能だ。

これはゲームのように仲間の状態を表示する機能。仲間になったならここに名前や職業なんかも表示される。

 

「・・・“パーティ”表示」

 

案の定、そこにはこの少女(?)の名前が載っていた。

 

 

|パーティ 1         |

|LV1   妖精さん エラー猫 |

|               |

 

どうやら彼女(?)は、妖精さんというらしい。

職業は「エラー猫」?・・・そんな職業は聞いたことがない。

そもそも、職業「エラー猫」とは一体何なのか。謎は深まるばかり。

 

「ま、考えても仕方ないな・・・」

 

仲間になってしまったなら仕方がない。

とりあえず、よろしくと言いつつ人差し指を差し出してみる。

 

「・・・♪」(ニコニコ)

 

どうやら俺の言葉は分かっているのか、頷いて指先に触れた。ぶら下がった猫の腹で。

猫はビクッっとしているが、大丈夫なのだろうか?・・・俺には判断出来ない。

まぁ、挨拶も済んだことだし、いい加減ここから移動しようかと思った矢先、

 

「・・・」(クイッ)

 

妖精さんがこちらの襟を引っ張る。

俺が視線を向けると、何やら下の方を見ているようだ。

そちらを見ると、どうやらここは海の上空らしく、見える範囲は一面の海だ。

チラホラ島の影は見えるが、少し遠い。

妖精さんが見ているのは、海面の上。

何かが動いている。

 

「・・・“千里眼”発動」

 

狩人という職業で使えるようになる、遠視スキルを使う。

これも『ステータス』で使えるようになったものだ。

様々な職業を経験することで、その職業のスキルが使えるようになる。

今回は、その中で狩人のスキルを使った訳だ。

 

「なんだ?・・・砲台みたいなの背負った女と・・・魔物か?」

 

『千里眼』で強化された視界に映るのは、真っ黒な謎の魔物らしきヤツと戦う巫女みたいな格好をした女だ。

その女はあろうことか、砲台らしき物を背負い、海の上をまるでスケートするかのように動いている。

周囲には同じ格好をした女がもう一人いるが、そっちは仰向けになって海に浮いている。やられてしまったのだろうか?・・・動く様子はない。

いくつかの黒煙を上げる魔物の死骸、それと他にも砲台を背負った女の子らしき姿が見える。

どの子もやられて海に浮いているようだが。

 

「アレを助けろって?」

 

妖精さんにそう言うと、

 

「・・・!」(コクコク)

 

勢いよく頷く。

まぁ、目の前で女性がやられるのをただ見ている趣味はない。

少し距離があるが、何とかなるだろう。

 

「しっかりくっ付いて居ろよ?・・・“ゲイル”!」

 

そう妖精さんに言って、強風の風魔法を発動させる。

『レビテーション』と併せて、すっ飛んだように俺の身体は動く。

風の抵抗は、事前に張った『シールド』で相殺されているので、ぶれたりすることもない。

一直線に巫女の女の前へ飛び込む。

丁度、間一髪だったのだろう。

諦めたように動きを止めた巫女の女に、対峙していた魔物(驚いたことに女のような外見をしている)が砲撃を放つ。

その砲弾が届く寸前、

 

「“ストップ”!」

 

俺の身体を空間魔法で強制的に女の前で止め、砲弾を『シールド』で弾く。

 

―――キャィン!

 

そんな音を残して弾かれる砲撃。

突然現れた俺に、驚いたように目を見開く魔物。

油断なく、背負っていた剣を抜いて構え、

 

「まだ戦うなら相手になるぞ・・・?」

 

相手が人型の魔物のようなので、言葉にしてみる。

人型のヤツは例外を除いて、それなりに言葉を理解したりするからな。

俺には、常時発動型のスキル『異世界言語』もあるし、通じないこともないだろう。

 

「・・・」

 

無言で睨み合うこと数秒。

相手は、こちらから視線を外すことなく、そのまま後退して行く。

どうやら引いてくれるようだ。

『シールド』を突破できないような攻撃なら心配ないとは思うが、後ろに庇った女も居るからな。

それに、この女の仲間らしき子たちの回収もしなきゃならんだろうし。

魔物の姿が見えなくなって、とりあえず気を抜くと、

 

「貴方は・・・どなた?」

 

そんな言葉が後ろから聞こえてきた。

振り向くと、呆然とこちらを見つめる女。

さて、何と言ったものか。とりあえず、

 

「俺の名はユート。・・・お節介なおっさんだよ」

 

そう自己紹介するのだった。

肩の上で、妖精さんがどや顔で猫を吊るしているようだが、それは全力でスルーした。

 

 

 

 

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