剣と魔法の世界から提督(?)が着任しました。   作:ラバウルユーザー

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空からおっさんが着任しました④

さて、自己紹介したのはいいが、やらなきゃならんこともある。

とりあえず、

 

「君の名前を教えてもらってもいいか?」

 

そう言うと彼女は慌てたように、

 

「あっ・・・申し訳ありません。・・・私は、扶桑(ふそう)と申します。」

 

扶桑?・・・扶桑ねぇ・・・。   ・・・・

なんか日本チックな名前だな。この世界では聞かないタイプの。

 

「ん・・・?」

 

「どうかしましたか?」

 

頭の片隅に引っかかった疑問が脳裏を過るが、先にやるべきことをやろう。

 

「・・・!」(グイグイ)

 

さっきから妖精さんも催促しているし。

 

「あ~、・・・何でもない。それよりも、君の仲間を早く救助しないと不味そうだからな」

 

「・・・っ!そうだわ・・・山城!」

 

扶桑が慌てて視線を向けた先には、ゆっくりと海に沈みそうになっている女がいた。

あれが山城(やましろ)だろう。

似たような格好をしているのは姉妹か何かなのか?

 

「あ・・・あぁ・・・山城・・・そんな・・・!」

 

扶桑がはらはらと涙を流して山城を見ている。姉妹が海に沈むのは辛いだろう。

こっちとしても、流石に沈まれると救助に手間が掛かる。

 

「“フロート”!」

 

最低限海中に沈まないように、風魔法で浮かせる。

ついでに、

 

「“サーチ”“魔力強制開放”“術式強化”発動!・・・“フロート”!“フィジカル・ドレイン”!」

 

次々と対応するスキルを発動させ、周囲の仲間と思われる子らを確保する。

『サーチ』は狩人のスキルで、自身から任意(LVや技量による)の範囲を索敵する。

『魔力強制開放』は魔術師のスキルで、指定の魔法の威力を上昇させる(デメリットもあるが俺には関係ない)

『術式強化』は魔法職ならどれでも取得できるスキルで、文字通り魔法やらなんやらの威力や射程を強化する。

『フロート』は浮かせる魔法。で、『フィジカル・ドレイン』は見えない腕のようなもので対象を掴んで引き寄せる魔法。

これが一気に発動すると、

 

「これは・・・一体、どうなっているのでしょう・・・?」

 

扶桑が驚くのも無理はない。

俺の周囲にはちょっと浮いた山城の他に、赤色の袴を着たヤツやら青色の袴を着たヤツ、妖精さんの服と似たセーラー服を着たポニーテールのヤツ、それと同じセーラー服でツインテールなヤツ、どれも少し浮いたまま色々集まってきたからな。

さて、事情を聞いたりするにも無事っぽいのは扶桑だけだし、他のヤツは洩れなく気絶中。

このまま海の上で、さっきの魔物らしきものとまた戦うのは億劫だし、陸地に動きたい。

 

「扶桑・・・でよかったな?・・・とにかくここから一度離れたいんだが・・・」

 

「あっ・・・あの…それはこちらとしてもそうしたいのは山々なのですが、山城たちはご覧の状態ですし、私も艤装の調子が悪く・・・燃料もありませんし」

 

扶桑に移動を促すが、彼女が何やら後ろに背負ってる物が宜しくないらしい。

艤装ねぇ・・・?船ってことか。

燃料はいくら俺でもホイホイ出せるもんじゃないし、まぁ、仕方ない。

 

「海の上に浮いているのは問題ないんだな?」

 

「はい。・・・それでしたら大丈夫だと思います」

 

「なら・・・移動はこっちで何とかするから。とりあえず、そのまま立っててくれ」

 

扶桑が頷いたので、魔法を使う。

 

「“トレース・トラッキング”!」

 

この魔法は術者の後を対象が追跡する魔法だ。

気絶した仲間に掛けると、後ろを勝手に着いてくるので地味に便利。

 

「あら・・・これは・・・?」

 

俺が動くと勝手に後ろを追跡するので扶桑がおっかなびっくり状態。

ちょっと可愛いと思ったのは内緒だ。

 

「さて、近くの島に行くのがいいか。道中襲われてもつまらん・・・“リムーヴ・バリアー”!“ハイディング”!」

 

『リムーヴ・バリアー』はいわゆる敵除け。さっきの魔物らしきヤツに効くかは未知数だが、『ハインディング』でこちらの隠蔽をしているので大丈夫だと思いたい。

『ステルス』なんていう完全に姿を消すのもあるが、大人数には使えないし、何故か水の上では使えないんだよな。海の上も勿論ダメ。

ま、なんとかなるだろう。

 

「じゃ、移動するとしよう。そっちのお仲間も一緒に連れて行くから安心してくれ。あー、それと一応、襲われないように細工したが警戒はしといてくれ」

 

「はい。・・・あの、何から何までありがとうございます」

 

そう言って頭を下げる扶桑。

そんな彼女に俺は照れ隠しに頭を掻きながら、

 

「言っただろう?・・・ただのお節介なおっさんの世話焼きだよ」

 

「・・・」(ニコニコ)

 

妖精さんが笑いながら頬を突いてくるが、断固としてスルーした。

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