剣と魔法の世界から提督(?)が着任しました。 作:ラバウルユーザー
「さて、何とか何事もなく来れたな」
扶桑と仲間たち(仮)を引き連れて一番近くの島へ移動。島の浜辺に到着した。
道中、扶桑にも警戒してもらったが、あの魔物モドキは襲ってこなかった。何かしら魔法が効いたと思う。まぁ、後日にでも実験しようとは考えている。
扶桑にはおおまかに俺の技能(魔法とか)を伝えた。流石になんの説明も無しには出来ないことが多すぎたからな。
扶桑は何やら目を回して俺の説明を聞いていたが、現実に起こっていることだからと、何とか受け入れてくれたようである。良かった。
島に着いた時点でトレースは解除されているので、近くで山城や他の仲間をせっせと運んでいる扶桑に声を掛ける。
「とりあえず、君たちの装備やら何やらを直さなきゃならん。・・・拠点が要るな」
「そうですね。・・・私たちはもう戦える状態ではありませんし、せめて燃料を補給しないと帰ることもできそうにないです」
扶桑がどんよりとした雰囲気を纏う。
小声で「不幸だわ・・・」とか呟いている。
この島に来るまでにも何度か呟いていたので口癖みたいなものだろうか。
まぁ、深くは聞くまい。
「さて、拠点作成だが・・・扶桑、君たちの拠点、本拠地はどんな風になっているんだ?」
俺一人なら深くは考えず、適当な小屋でも良いんだが、扶桑たちがいる。
女性、しかも艤装やらのことを考えれば、適当な拠点では良くないだろう。
ここは、彼女たちが居た本拠地をそれなりに再現して利便性を図るべきだ。
「私たちの本拠地ですか。・・・部外者の方に詳しく説明するのは軍規違反になってしまいますが、今は非常事態ですし。仕方ないですよね?」
「疑問系で言われても俺には何とも言えないな」
軍規ときたか。扶桑たちは軍属になるのか。
こりゃ思ったより面倒なことになるかもしれんな。
「なんにせよ、拠点は必要だ。・・・適当なのではそっちも困るだろ?」
俺がそう言うと、扶桑も困った顔になり、
「そうですね。・・・幸い起きているのは私だけ。いざとなればこの責任は私が負います」
「あまり気負いすぎるなよ。・・・作るのは俺だし、内容は他言しないと誓おう」
「ありがとうございます。・・・私たちの本拠地は鎮守府と言います。元は軍事基地だったのを、深海凄艦と戦うために改装したものです」
「深海凄艦ってのがあの魔物モドキか・・・で、その鎮守府って建物の内装はどうなってる?」
「魔物?あ、ええ・・・鎮守府の内装は・・・」
扶桑の語る内容は、中々難儀なものだった。
寮やら食堂はなんとかなるとしても、工廠やら入渠施設となると、どんなものか想像がつかない。
しかも話を聞いているうちに、前に感じた疑問が確信に変わった。
どうやらこの世界は俺の元の世界とも違う、所謂、パラレルワールド的な所らしい。
異世界から異世界へ。まるでどこかの勇者のようである。
おっさんは適当な冒険しながらのんびり過ごしたかったんだが。
「えっと、ユートさん・・・でしたよね?・・・以上で説明できるところは大体お話したのですけれど」
思い悩んでいるうちに、扶桑の説明は終わっていたらしい。
「あぁ、すまない。説明ありがとう。・・・とりあえず、寮や食堂に関してはなんとかなると思う。だが、工廠と入渠施設となると俺では作れないかもしれない。・・・そもそも、そういう施設は誰が作るんだ?」
普通の人間に作れるとは思えない施設について疑問を伝える。
すると扶桑は笑って、
「工廠などは、妖精という方々が手を貸して作ってくれます。・・・私たちの艤装にも居るんですよ」
そう言って、彼女は背負っている艤装を見せる。
だいぶダメージを受けて、砲身など折れ曲がっているものもあるが、その脇にちょこんと座っているのが居る。
というか、うちの妖精さんの顔違いな感じだな。
その子は少し困った顔をしながら、こっちを見ている。
思わず、肩の妖精さんを見る。
「・・・」(ムー!)
妖精さんは頬を膨らませ何だか怒った様子である。
これはアレか。修理もされず放置されてて不憫だからご立腹か。
直してやりたいのは山々だが、とにかく施設を作らないことにはお話にならない。
さて、こりゃ久々に“職業変更”の出番だな。
会話シーン難しす