這いつくばって   作:へうげもの

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嘘つき

ハワイ沖の上空で一機のラファール・リヴァイヴを6機のISが周りを固めその内の1機のISとラファール・リヴァイヴが会話をしている。

 

「浩太!?バカな事はやめろ」

 

「バカな事は一夏だろ。本当にあのISの意味解ってる?あれはこの世にあってはいけないんだよ!?」

 

「あれは箒のだろ。何で浩太が決めるんだよ。殺そうとするんだよ。」

 

「彼女が篠ノ之束の妹だからさ。彼女から確認したんだけどあのIS電話して貰ったそうだよね?さらに一夏が怪我した時はもう乗らないと言ったり最後にはあの暴走したISと一夏が来るまで一人で相手してエネルギー回復だよ。無尽蔵に動けるISがたった一人の精神状態で動けるのは危険じゃない?」

 

「箒は暴走なんかしない。俺は箒を信じる!!!」

 

その言葉を聞いた桐生が笑ったのを誰も気づかず。

 

「確かに一夏が居たら会話しないかも知れない。だけど・・一夏。君が暴走するかもしれない。学年別トーナメントの時みたいに。あの時、一夏は言ったよね?『千冬姉のデータは千冬姉の物。俺が殴りたいから殴る。』一夏はあの時皆を危険から守ろうとしたけでも無い。ただ一夏は自分のしたいようにしか。自分の好きな者しか守らない。普通の人ならそれでいいと思う。けどISに乗れる人は。ましてや専用機持ちがそれじゃ独裁じゃない。誰も一夏に逆らえないよ。」

 

「そんな事ない。俺は独裁なんかしない。」

 

「現にあの時は教師の制止振り切ったよね。少なくとも一夏の隣にいる皆は一夏の言う通りにすると思うよ。気この時点で専用機6機、しかも篠ノ之さんがいるからエネルギー無限で一国落とせそうだよね。白騎士だけで世界の空母の4割を一瞬で減らせたんだから。」

 

桐生は大きく息を吐き。確認するように一夏に語りかけ。

 

「・・・僕はね。一夏も僕と一緒の用に女尊男卑を壊し男性の地位を回復する為に頑張っていると勝手に思っていたんだ。少なくとも僕はそうだった。だから、どんなにバカにされようと。蔑まれようと頑張った。ISに乗れると解った時から誰よりも早くおきて誰よりも遅く寝て努力したし参考書や教科書。この学園にいるIS搭乗者の戦闘ビデオ等を誰よりも見て勉強した。それも全部この世界を変えたいと思ったから。なのに。何で・・・何で僕じゃなく一夏なのかな!?どんなに努力しても一向に上手くならず、それでも変えようと・・けどね、一夏は違ったんだね。一夏は今の世界に満足しているんだよね。だって僕に言ったもんね。『このISで千冬姉や箒、鈴。俺が守りたい人を守れるって』一夏と僕は守りたいものが違うんだよ。僕が守りたいのは男性が媚びた笑いをしなくていい普通に笑える世界だ。」

 

そういって桐生は距離を取る。そして。

 

「あああああああ!!!!」

 

叫び声を上げながらラファール・リヴァイヴの装甲が溶けていく。そう、桐生は最初から自分が勝てるとは思っていなかった。自分の才能に絶望し。それでも、何とかしようとした彼はVTシステムを乗せる事を思いつく。

学年別トーナメント以降彼は首相に連絡しドイツからVTシステムのデータを貰う。表向き日本は白騎士事件以降某国に圧力掛けられてIS学園を作らされ世界に良い様にされているが白騎士一機であれだけの戦力、ましてや人類最強の織斑千冬。人類最狂の篠ノ之束等がいる日本を世界が無碍に出来るわけもなくVTシステムのデータを手に入れた。さらには完全にデータ通りに動かせるように自分の脳の神経を弄り起動と同時に脳のリミッターを切る手術も受け。こうして彼の唯一の切り札を手に入れた。だが彼はこれを今すぐ使うつもりは無く。一夏の才能と考え方に勝手に絶望した彼が3年間でも追い付けずに居た時に最後に使おうとしていた。

 

だが臨海学校での暴走ISとの戦闘でみせた篠ノ之箒のみせたIS。

攻撃・防御・機動のあらゆる状況に即応することが出来る展開装甲。そして、紅椿の単一仕様能力、少ない残量のエネルギーを増幅して一気にフル状態。更には接触するだけでエネルギー提供出来るというこの性能に彼は恐怖した。もしこの機体を複数作られれば。男性の立場は完全に今よりも低くなる。搭乗者の疲労以外止められない兵器等どうしようもない。

故に彼はたった一人でISを破壊しようとVTシステムを起動させた。自分の命をっ捨てる覚悟でもう一つの切り札も平行して切った・・・

 

 

 

 

 

「彼が起動させたみたいです。」

 

電話を受けた秘書官と思わしき男性が振り返りながら男性に報告をすると。

 

「現場に向かわせろ。それと、連絡していつでも流せるように準備さしとくんだ」

 

「解りました。しかし、いいのですか?最初のシナリオとは違いますが」

 

「織斑 一夏・・彼の『守る』を読み間違えたな。あれでは旗頭にはならん。だが彼次第ではこのままでもいい。後は・・・立ち上がるか、膝を屈するか」

 

椅子に深々と座り疲れの篭った溜息を吐きながら彼はこのまま成功するのか失敗するのか後は世界に投げ掛けた。自分の読みが外れた事で一人の少年の命を使ってしまった事を後悔しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

桐生はすぐに自分の意識が無くなっていた。脳のリミッターが切れた事により筋断裂等を起こしながら一夏達に迫り、常人では出せない筋力と反射神経により6人を相手していた。更には一夏達は当初、データは織斑千冬だと思っていたが。データは山田真耶だった。そのデータも学園で常に教えて貰っていたデータを送り更には学園時代から彼女のことを知り今も学園に居て彼女のデータを送れる人物、鈴木幸恵も協力していた。こうして。射撃、格闘と両方いける彼女により連携を狂わされた一夏達は苦戦していた。だが元々。短期決戦じゃないと桐生本体の体がもたず。

 

「くそ。何だよこれ。このままじゃ。ラウラ!!」

 

「任せろ!」

 

距離を取っていたラウラ・ボーデヴィッヒが発射した80口径レールカノンが直撃するが逆にアサルトカノンで狙われるも

 

「させないよ!」

 

《ガーデン・カーテン》シャルル・デュノアが守り。さらに桐生の背中に衝撃が走る

 

「舐めるんじゃないわよ!!」

 

凰鈴音の衝撃砲で体勢を崩し。

 

「逃がしませんわ」

 

4基のビット攻撃で足止めされ。

 

「一夏。受け取れ」

 

篠ノ之箒からエネルギーを受け取った一夏が。零落白夜を構え。

白式第二形態移行からの4基のウィングスラスターからの二段階瞬時加速を使い一気に間合いを詰め

 

「うおおぉぉ!!!」

 

叫び声を上げ大きく振り被った零落白夜を一気に振り下ろし綺麗に桐生の乗っていたISを切り桐生はVTシステムからでてきた。

だが彼は全身が軽度の差はあれ筋断裂を起こしておりこのまま墜落しそうになるのを一夏が支え地上に降ろした。

地上に居りるとすぐに鈴木先生が現れ彼の症状を見ると同時に首を横に振り一夏達も何かを言う前に。

 

「せ・・せん・・せい・・かえれた・・・・かな・・・?」

 

「君には無理だと言ったろ?才能が無いと」

 

「さ・・・さっき「さっきの会話と戦闘なら中継されてあるさ。君の負ける所も全部ね。勝たないと駄目だよ。」そですね・・」

 

「君が危惧した気持ちは解る。だけど、変わる確率は五分だ。ISを危険と理解し。IS搭乗者達に首輪がつく確立はね。」

 

「そ・・それでも・・・むだじゃ・・ない・・・はんぶんも・・かく・・りつが・・ある・・せんせい・・・せかいが・かわったら・・・おしえてくれますか・?」

 

「面倒なんだけどね。」

 

「そ・・う「だけど、特別にそのときは報告してやろう」あり・・がとう・・・ござい・・ます」

 

「やれることはやったのに悔しさしかありません・・・」

 

「なら、もう寝ろ」

 

「・・・・はい」

 

桐生と鈴木幸恵の会話に誰一人会話を挟めず織斑千冬すら彼のもう一つの切り札を聞きそこまでするのかと黙って自体を眺めていた。

彼のもう一つの切り札。脳の手術をする時に体内にマイクを埋め込み片目を義眼にし彼の見て聞いた物を録音しようとした。

彼がいきなりこんな風に全世界に対して発信しようと使うとは思わず。情報目的からかけ離れた使用方法となり全世界では彼と一夏達の全会話が世界に流れ、IS戦闘も流れた。全世界はISがここまで進化しているとは思わず。どこかスポーツ感覚で見ていた人達は本気でISが数機揃えば国を落とせると理解した。彼が自分の命を使ってまでISの危険性を訴え、世界が変われと願った結果。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~墓地~

 

 

一人20代半ばの女性が黒い服に身を包みたった一つしか無い墓の前で語りかける。

 

「約束だったな。世界は変わったよ。君の言うとおり世の男性は死んでいなかった。ISの危険性を理解し。男性も女性もISには敏感になりIS搭乗者を管理することに賛成したよ。」

 

「鈴木先生か。」

 

「織斑先生ですか。先生もここに?」

 

「もう、先生じゃないので先生をつけなくていい。また、嘘を?」

 

「はい。約束しましたから。世界が変われば報告をすると」

 

「なら、変わってないのに、来なくてもいいんでは?」

 

「私は、嘘つきですから。・・・解っていた事なのに・・・私が気に入る子は死んで行くと・・」

 

「それは、ISに乗るのをやめた事と関係が?」

 

織斑千冬はずっと不思議だった。あの事件以降世界は変わらずいや、逆に世の女性達がより一層権力を求めて桐生の行動を弾圧した。今世紀最大のテロリストと。逆に一夏達6人はテロから世界を救った英雄と。世の男性達はそれに声を上げず膝を屈した。少しでも反対すれば逮捕され刑務所行きになるからだ。世の女性政治家達は逸早く動くことで首輪を付けられる前に行動して世界を掴んだ。

今やこの墓に来る人等いない。墓をここに作られた当初は落書きや卵等を放り投げられ最低だったのを彼女がやめさしたのだ。彼女は学園をやめ。ISとは関わりの無い生活を始めた。学園を辞める時止められたが、弟が好きな事をすればいいと言った事でやめる事ができ。弟の発言は今や彼女の発言力以上の物を持つようになった。

そう、世界は変わってないのに、何故彼女は世界が変わったなどと

 

「昔、いたんです。もう一人、世界を変えたいと言った人が。その人は当時、自衛隊に居ました。ISが出てきてからも自衛隊を辞めず。いつか自衛隊の力が必要になる。ISが全てじゃないと。

織斑先生。IS出てきてから増えた物知っていますか?」

 

「いや。何だ?」

 

「某A国に対するテロです。、戦闘機207機、巡洋艦7隻、空母5隻、監視衛星8基。これだけの戦力を一気に無くした状態をテロが見逃すと思いますか?確実にテロは活発になります。なのに、防衛費はほとんどIS開発費へ持っていかれる。困った某A国はこんなマッチポンプを起こした人物のいる国に責任を取らす事を思いつく。」

 

「ま・・・まさか・・・」

 

「その人は殺されました。いつか世界は元に戻る。俺達が必要な時はくる。今はみんなISが珍しいだけだと言って大多数の人を守っている本人達が蔑ろにされ蔑まれても誇りを持って守っていました。私はそんな事を知らず。IS適正が高いからと喜んで乗っていました。自分の好きな人が死ぬ原因になった物を。」

 

「だが。それは・・」

 

「え~。完璧な八つ当たりです。だから私はこの話を誰にもした事は無いし。これからもしません。だけど、それでもISは許せない。そして、彼を応援してしまった自分も許せない。余りにも真っ直ぐだったから。努力をし。挫折をし。才能を呪い。最後にはVTシステムまで使うとは」

 

「だが、死んでは意味など無い。大ばか者だ」

 

「彼に取っては死んだ方がいいですよ。生きてたら壊れてしまう。皆が彼を恨む。だから死んだ方がゆっくりできる。もう何もしなくていいと。だから私だけは毎日彼に嘘をつくんですよ。・・・・世界は変わったと。織斑さんは何故ここに?」

 

「解らない・・・ここに来るまではいつも言いたい事がある。何故あんな事を?私に何故相談しなかった?私を恨んでいるか?等・・・だがここに来るとそんな事が消える。私は間違っていたのだろうか・・・桐生の命の為に絶望させようとしたが私にはあいつの気持ちも少し解る。だから3年間の努力なら手伝おうとしたがその結果死んだ。何も変わらないままに」

 

「だから、彼の努力は無駄だったと?」

 

「そんな事は無い!?少なくとも私は認める。誰よりも努力したのを見ていた。だからこそなお才能が無いのが良かったのか悪かったのか。」

 

「そうですね。それは私にも解りません。才能が無いから努力したのか。あったら努力しないのか。けど、ただ解るのはあの彼だったから私は今、彼に嘘をつく。織斑さんも彼の事気に入ってるなら大変ですね。」

 

「何故だ?」

 

「彼ほどの男居ませんよ?あれほど目的のためだけに走る男いませんよ。文字通り命がけで頑張りますから。この時代の男ではいませんね」

 

そう少しだけ泣き声で鈴木が告げ。彼女はこの墓を後にしようと

 

「では、私は先に帰りますので、後は二人でどうぞ。」

 

織斑千冬に声をかけさっていった。残された彼女は

 

「女二人に思われるなど男冥利に尽きるな」

 

また、寂しそうにそう告げ

 

「世界は変わったぞ・・・ばか者」

 

彼女もまた、明日来るとさっていった


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