グルメ界で、鹿でしかない 作:トリコ世界の料理食べたい
鹿になってから結構経った。
大体1000年くらいだろうか。…なるほど、1099年経っていたらしい。
なぜ分かったのかと言えば、それは私の背中に生えているニュースが関係している。
”ニュース”
アカシアのフルコース、あるいは地球のフルコースと呼ばれるもののうち、肉料理に属する食材。
これには
ーーー人間は樹木を食材とは認識できない。なぜなら樹木に含まれるセルロースを分解できないからだ。栄養とできないがゆえに、食材としての味が理解できず、樹木をご馳走と理解できない。
ーーーしかし、シロアリはセルロースを消化できるゆえに、樹木はご馳走なのだ。
アナザはそのような違う”味”を教えてくれる。この世に食べられないものはない、と教えてくれるのだ。
裏のチャンネルについての説明の際、作中においては”魚宝”と呼ばれるエリア6の”アナザ”を食することで、理解できるようになると言われていた。
さて、裏のチャンネルを展開するのに必要となる”ニュース”なのだが、これは私の背中にコブのような形で生えている。
地球のフルコースの一つであり、肉料理と評されてはいるのだが、その実体は肉ですらない。
これは地球という”一つの生命体の記録体”だ。
私の種族そのものが、地球から直接生まれた精霊みたいなもので、そこから生えた地球の記憶を貯蔵する図書館。
それが地球のフルコースが肉料理。
"NEWS"
しかし、結局のところ地球の図書館なので私には検索権限くらいしかない。
とは言え結構便利。
私、ハンバーガー食べたいです。
『名称不在』
クソAIがよぉ!
ふーんだ。いいもんね。いつかはジャンクフードを食べてやる。
こんな感じに情報の塊なのだが、常人には食べても理解できない。
そこでアナザという、”もう一つの世界”を味わえる舌を手に入れて初めて味わえるのだ。ただし、その本質まで理解できるのはほぼ居ないだろうけどね。
たまに地面に足を下ろし、地球と接続する。
そして私を中間接続機のような形で、”地球の記憶”をニュースへと送ることで、次第に成熟していく。
色艶は輝き、血筋は活発に動き、新鮮な血の香りも漂い出す。
それが100年に一度、大体今の時期。
ここら辺の時期になってくると、グルメ界は夜になる。
他の八王も活発的に動き出し、そしてアイツらも行動を開始するのだ。
それに向けてなのだが、私もしっかり戦力は用意してある。
「グルルゥ」
「ギャシャアアァアア‼︎」
「カロロロ‼︎」
生まれた時は静かだった私の背中、”食域の森”も賑やかになってきた。
ワイワイガヤガヤケンケンゴウゴウと煩いこと煩いこと。
静かになる時間が少しもないけど、慣れました。
背中の上にいつも何かいるって『慣れるのか?』って思ってたけど、案外人間慣れるもんやね。
あ、私鹿か。
原作に出ていた
『デビルオロチ(原種)』『火グマ』『アシュラサウルス(原種)』『オクトパスマンモス』など勢揃い。
他にも先代鹿王の背中に乗っていた、準八王級と呼べる奴らも何体か乗っている。
しかも私、必殺技覚えました!
こりゃあ勝ったな!がはは*1
さて、私がなぜこんなにも戦力補充を頑張っているのかというと、盗人対策だ。
ニュースを毎度毎度盗まれているのだ。
少しぐらいなら、まぁ許せる。
例えば5パーセントくらいなら。
しかし、奴は違う。
鹿王スカイディアは激怒した。必ず、あの邪智暴虐なトカゲを裁かなければならぬと決意した。
スカイディアには策謀がわからぬ。彼らにもネオという大悪を倒すという、何百年と続けてきた計画があるのだろう。
けれどもスカイディアは一つの大陸の頂点にいる一つの王だった。
自分のものを奪われるのだけは、人。いや、鹿一倍に敏感だったのだ!
ニュースを奪う盗人どもめ…。許さん、許さんぞ!末代まで祟り、足の小指がタンスの角にぶつかる呪いをかけてやる!
殺してやるぞ、ゾンゲ!!
ブルーニトロ。
この”赤の世界”とは違う”青の世界”から来た食欲の悪魔。
グルメ貴族とまで呼ばれるほど、高い調理技術と高い知能で”青の世界”を支配していた。
そんな彼らがなぜ”赤の世界”まで来たかを話すには、おおよそ384話から389話分の説明が必要なのでここでは省くとしよう。
今、必要となってくる情報は二つ。
『彼らブルーニトロは地球のフルコースを全て狙っていること』
『地球そのものを侵略しに来た、とも言える敵であること』
それだけ理解すればいいのだ。
ーーーズドンッ‼︎
空から一つの巨体がやってくる。
彼の名前はブルーニトロの”ニュース”。
エリア5担当であり、100年経ったことで熟し切った地球の肉料理”ニュース”を収穫しにきたのだ。
「…ふぅ。こんな辺鄙なとこに何度も来たかねえが、ニュースは今どうなってるんだ?前回見に来た時は品質・状態ともに良好だったが」
ブルーニトロ”ニュース”はグルメ細胞の悪魔であるとともに、最高峰の料理人でもある。
ゆえに、視察や仕込みは完璧だ。
肉料理”ニュース”が眠っている場所、そこへの行き方。そして調理方法も熟知している。
食域の森 ”万象の庭”
常に獣たちによる生存のための戦闘が行われる食域の森において、最も美しく最も静かな庭。
とある花園とはまた違う、森の中の美しさが見れる”グルメ百景”の一つ。
その庭の中央に位置する切り株、”慈樹の洞”。
洞にみっちりと詰まっているのが地球のフルコース、そして”慈王”とも呼ばれるのが”ニュース”なのだ。
「スゥーーーーーーーー、ふぅ。匂いも完璧だ」
ブルーニトロ”ニュース”が深呼吸すれば新鮮な肉の香りが漂ってくる。
本来であれば
そして肉料理”ニュース”だが、エリア7における”ゼロ山脈”やエリア4における”老いの洞窟”のように面倒臭い環境はない。
あるのはただ一つ。
「さて、今回も肥料がノコノコとやってきやがった…‼︎」
血を捧げる祭場のみ。
そもそもこの”万象の庭”を守る番人や食域の森に潜む獣を倒さなければ、慈王を見ることさえ叶わない。
よく見ればブルーニトロ”ニュース”が落下地点からここにくるまで、無数の獣の死骸が散乱していた。
彼もまた、料理人であるとともに、戦う美食家なのだ。
「お前らなんざ、ニュースの前菜にもなりやしねえよ。さっさと死ぬんだな!この”金の調理道具”で相手してやるよ‼︎」
しかし、彼もこの森の少しの違和感を感じ始めていた。
「(前回見にきた時よりも大分顔が違ぇな…。王陸鮫に
しかもなんだ?1100年前の先代鹿王の時を最後に、これまで姿を見せなかった奴らの気配もある。森の奥と…上空。あと一つはわからん。コイツら、ニュースの視察に来た時には隠れてたのか?
くそ、今までと全く違いやがる‼︎今の鹿王はまだ1000年ちょいしか生きてねぇ若造だっていうのによぉ!)」
腰には”金のエプロン”、右手には”金のコルクスクリュー”、頭には”金のバンダナ”。
そして腰蓑と髪にはいくつもの”命玉”が括り付けられていた。
”命玉”とはいわば残機のようなもの。
死んでもこの”命玉”が代わりになる。
…とはいえこの時代には量産体制は整っていない。整うのはとある人間の料理人が来る頃になるのだが。
少し嫌な予感がして行った万全の装備。
これもまた彼の食運なのだろう。
とはいえ、彼もまだ余裕がある。
すでに幾星霜を生きてきた長生きトカゲ。こんな複数の獣に囲まれる程度の修羅場は何度も潜ってきた。
「全員挽肉にしてやるよ‼︎マントルショッーーーーー」
ぞわり
全身の毛が逆立つ。
前兆があるようなものではない。空気も震えない。ただただ
「最初からガチギレかよ…!」
ブルーニトロ”ニュース”が空を見れば二つの巨大な双眸と目が合った。
ーーー星の触覚として生まれ落ち、背中に地球の肉料理”ニュース”を携える世界最大の鹿。
ーーー種族名は”ユグドラディル”。世界に一体しかいない孤独にして孤高の種。
ーーー個体としての名前は母から子に受け継がれ、その名前は恐れられ続けている。
「鹿王スカイディア…‼︎」
捕獲レベル6450。
一つの大陸を統べる、王者である。
「キュラララララララララララ!!」
鹿王スカイディア「 マ ヂ ギ レ 」
ブルーニトロ”ニュース”「死ぬわ、こんなもん‼︎」