グルメ界で、鹿でしかない   作:トリコ世界の料理食べたい

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仕方ないけど森の鹿

 

 

鹿になってから結構経った。

大体2000年くらいだろうか。…なるほど、1998年ほど経っていたらしい。

 

なぜ分かったのかと言えば、それは私の背中に生えているニュースが関係している。

 

“ニュース”

アカシアのフルコース、あるいは地球のフルコースと呼ばれるもののうち、肉料理に属する食材。

これには()()()()。いや、正確に表現するならば()()()()()()()()()()

 

 

ーーー人間は樹木を食材とは認識できない。なぜなら樹木に含まれるセルロースを分解できないからだ。栄養とできないがゆえに、食材としての味が理解できず、樹木をご馳走と理解できない。

 

ーーーしかし、シロアリはセルロースを消化できるゆえに、樹木はご馳走なのだ。

   アナザはそのような違う“味”を教えてくれる。この世に食べられないものはない、と教えてくれるのだ。

 

 

裏のチャンネルについての説明の際、作中においては“魚宝”と呼ばれるエリア6の”アナザ”を食することで、理解できるようになると言われていた。

 

さて、裏のチャンネルを展開するのに必要となる“ニュース”なのだが、これは私の背中にコブのような形で生えている。

 

地球のフルコースの一つであり、肉料理と評されてはいるのだが、その実体は肉ですらない。

 

これは地球という“一つの生命体の記録体”だ。

私の種族そのものが、地球から直接生まれた精霊みたいなもので、そこから生えた地球の記憶を貯蔵する図書館となっている肉のコブ。

それが地球のフルコースが肉料理。

 

 

  "NEWS"

 

 

しかし、結局のところ地球の図書館なので私には検索権限くらいしかない。

とは言え結構便利。

 

私、ハンバーガー食べたいです。

 

『名称不在』

 

クソAIがよぉ!

ふーんだ。いいもんね。いつかはジャンクフードを食べてやる。

 

こんな感じに情報の塊なのだが、常人には食べても理解できない。

そこでアナザという、“もう一つの世界”を味わえる舌を手に入れて初めて味わえるのだ。ただし、その本質まで理解できるのはほぼ居ないだろうけどね。

 

たまに地面に足を下ろし、地球と接続する。

そして私を中間接続機のように用いることで、“地球の記憶”をニュースへと送ることで次第に成熟させていく。

 

色艶は輝き、血筋は活発に動き、新鮮な血の香りも漂い出す。

それが数百年に一度、大体今の時期。

 

ここら辺の時期になってくると、グルメ界は夜になる。

他の八王も活発的に動き出し、そしてアイツらも行動を開始するのだ。

 

それに向けてなのだが、私もしっかり戦力は用意してある。

 

 

「グルルゥ」

 

「ギャシャアアァアア‼︎」

 

「カロロロ‼︎」

 

 

生まれた時は静かだった私の背中、“食域の森”も賑やかになってきた。

 

ワイワイガヤガヤケンケンゴウゴウと煩いこと煩いこと。

静かになる時間が少しもないけど、慣れました。

背中の上にいつも何かいるって『慣れるのか?』って思ってたけど、案外人間慣れるもんやね。

あ、私鹿か。

 

原作に出ていた

『デビルオロチ(原種)』『火グマ』『アシュラサウルス(原種)』『オクトパスマンモス』など勢揃い。

他にも先代鹿王の背中に乗っていた、準八王級と呼べる奴らも何体か乗っている。

 

しかも私、必殺技覚えました!

こりゃあ勝ったな!がはは*1

 

さて、私がなぜこんなにも戦力補充を頑張っているのかというと、盗人対策だ。

ニュースを毎度毎度盗まれているのだ。

 

少しぐらいなら、まぁ許せる。

例えば5パーセントくらいなら。

 

しかし、奴は違う。

 

鹿王スカイディアは激怒した。必ず、あの邪智暴虐なトカゲを裁かなければならぬと決意した。

スカイディアには策謀がわからぬ。彼らにもネオという大悪を倒すという、何百年と続けてきた計画があるのだろう。

けれどもスカイディアは一つの大陸の頂点にいる一つの王だった。

 

自分のものを奪われるのだけは、人。いや、鹿一倍に敏感だったのだ!

 

ニュースを奪う盗人どもめ…。許さん、許さんぞ!末代まで祟り、足の小指がタンスの角にぶつかる呪いをかけてやる!

 

殺してやるぞ、ゾンゲ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブルーニトロ。

 

この“赤の世界”とは違う“青の世界”から来た食欲の悪魔。

 

グルメ貴族とまで呼ばれるほど、高い調理技術と高い知能で“青の世界”を支配していた。

そんな彼らがなぜ“赤の世界”まで来たかを話すには、おおよそ384話から389話分の説明が必要なのでここでは省くとしよう。

 

今、必要となってくる情報は二つ。

 

『彼らブルーニトロは地球のフルコースを全て狙っていること』

 

『地球そのものを侵略しに来た、とも言える敵であること』

 

それだけ理解すればいいのだ。

 

 

ーーーズドンッ‼︎

 

空から一つの巨体がやってくる。

彼の名前はブルーニトロの“ニュース”。

 

エリア5担当であり、前回から数百年経ったことで熟し切った地球の肉料理“ニュース”を収穫しにきたのだ。

 

「…ふぅ。こんな辺鄙なとこに何度も来たかねえが、ニュースは今どうなってるんだ?前回見に来た時は品質・状態ともに良好だったが」

 

ブルーニトロ“ニュース”はグルメ細胞の悪魔であるとともに、最高峰の料理人でもある。

ゆえに、視察や仕込みは完璧だ。

肉料理“ニュース”が眠っている場所、そこへの行き方。そして調理方法も熟知している。

 

食域の森 “万象の庭”

 

常に獣たちによる生存のための戦闘が行われる食域の森において、最も美しく最も静かな庭。

とある花園とはまた違う、森の中の美しさが見れる“グルメ百景”の一つ。

 

その庭の中央に位置する切り株、“慈樹の洞”。

洞にみっちりと詰まっているのが地球のフルコース、そして“慈王”とも呼ばれるのが“ニュース”なのだ。

 

「スゥーーーーーーーー、ふぅ。匂いも完璧だ」

 

ブルーニトロ“ニュース”が深呼吸すれば新鮮な肉の香りが漂ってくる。

本来であれば()()()()()()()()()()()が、彼もまたブルーニトロ。当然地球のフルコースは完食しており、味覚を覚醒させる“アナザ”や知覚を覚醒させる“アトム”も食べている。

 

そして肉料理“ニュース”だが、エリア7における“ゼロ山脈”やエリア4における“老いの洞窟”のように面倒臭い環境はない。

 

あるのはただ一つ。

 

「さて、今回も肥料がノコノコとやってきやがった…‼︎」

 

血を捧げる祭場のみ。

 

そもそもこの“万象の庭”を守る番人や食域の森に潜む獣を倒さなければ、慈王を見ることさえ叶わない。

よく見ればブルーニトロ“ニュース”が落下地点からここにくるまで、無数の獣の死骸が散乱していた。

 

彼もまた、料理人であるとともに、戦う美食家なのだ。

 

「お前らなんざ、ニュースの前菜にもなりやしねえよ。さっさと死ぬんだな!この“金の調理道具”で相手してやるよ‼︎」

 

しかし、彼もこの森の少しの違和感を覚え始めていた。

 

「(前回見にきた時よりも大分顔が違ぇな…。王陸鮫に()()()()()()まで大勢揃っていやがる。

 しかもなんだ?2000年前の先代鹿王の時を最後に、これまで姿を見せなかった奴らの気配もある。森の奥と…上空。あと一つはわからん。コイツら、ニュースの視察に来た時には隠れてたのか?

 くそ、今までと全く違いやがる‼︎今の鹿王はまだ2000年ちょいしか生きてねぇ若造だっていうのによぉ!)」

 

 腰には“金のエプロン”、右手には“金のコルクスクリュー”、頭には“金のバンダナ”。

 そして腰蓑と髪にはいくつもの“命玉”が括り付けられていた。

 

 “命玉”とはいわば残機のようなもの。

 死んでもこの“命玉”が代わりになる。

 …とはいえこの時代には量産体制は整っていない。整うのはとある人間の料理人が来る頃になるのだが。

 少し嫌な予感がして行った万全の装備。

 

 これもまた彼の食運なのだろう。

 

 とはいえ、彼もまだ余裕がある。

 すでに幾星霜を生きてきた長生きトカゲ。こんな複数の獣に囲まれる程度の修羅場は何度も潜ってきた。

 

 「全員挽肉にしてやるよ‼︎マントルショッーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 ぞわり

 

 

 

 

 

 

 全身の毛が逆立つ。

 前兆があるようなものではない。空気も震えない。ただただ()()()()()()

 

 「最初からガチギレかよ…!」

 

 ブルーニトロ“ニュース”が空を見れば二つの巨大な双眸と目が合った。

 

 

ーーー星の触覚として生まれ落ち、背中に地球の肉料理“ニュース”を携える世界最大の鹿。

 

ーーー種族名は“ユグドラディル”。世界に一体しかいない孤独にして孤高の種。

 

ーーー個体としての名前は母から子に受け継がれ、その名前は恐れられ続けている。

 

 

 「鹿王スカイディア…‼︎」

 

 捕獲レベル6450。

 一つの大陸を統べる、王者である。

 

 

 

 「キュラララララララララララ!!」

 

 

 

*1
言っちゃいけないお約束




鹿王スカイディア「   マ   ヂ   ギ   レ   」

ブルーニトロ”ニュース”「死ぬわ、こんなもん‼︎」
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