D-Gray Man -The Metal Exocist in 2031   作:zwart

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この話でtv版ベースになる方針にしました。でもティモシー出したい。


眠れる命をどう使うか

 

ー医療班フロアー

 

そこで「エリン・フォートレス」は目を覚ました。

そこは直前までいた生命維持装置のカプセルの中ではなく、病人/怪我人のために用意されている医療用ベッドの上だった。そしてその横に椅子を置いて自分を見下ろしている青年から、声を掛けられて初めてようやくそれらの事柄を認識するに至った。

「起きたか。おはようエリン・フォートレス。身体の具合は問題ないか?無いならお互いに自己紹介でも始めるべきだと思うんだが、此処が何処かもアンタは知らないんだろ?」

しかし自分を現実に戻したおはその言葉ではなく、青年の存在そのものだった。肉体/精神を外と内から聖遺物に侵食されて尚、安定して自我を保ち、その力をコントロールする「化物」ーーー自分と同じ存在。但し自分よりも遥かに暴力的な力を宿している。それを「認識」したことで心が覚醒し、全身に緊張が走った。何故ならーーー

「何緊張してんだ?ひょっとして同類を見るのは初めてか?」

まったくそのとうりだった。と、そこで新しい事実が発覚した。今自分の手元には聖遺物が無い。恐らく没収されているわけで、つまり目の前の青年は敵である可能性が高い。覚醒早々に捕虜にされたという事だろうか。違った。

「まあいいや。俺の名前はクレイヴ・ダウン。黒の教団のエクソシストだ。まあ正式にエクソシストになったのはつい先日だけどな。ところで、アンタは向こう側か、それともこっち側か?」

瞬間、アクマの軍団もかくやという程の殺気が押し寄せてきた。正直に吐け、と。もう死に物狂いで頭を縦に振った。青年は自分の回答を確認して、殺気を仕舞った。

「そうか。そりゃ良かった。此処は黒の教団の本部だ、欧州のな。多分お前も室長がエクソシスト認定するだろうから、これから俺らは同僚だ。よろしくな、エリン・フォートレス。」

声を出して返事や質問をしたかったが、覚醒直後で上手く声が出なかったのとりあえずもう一度頭を縦に振ることにした。

・・・あんなに殺気で脅しながら質問したら、例え自分が敵でも首を縦に振っただろうと思った。

 

 

エリン・フォートレスのいる病室を出ると、室長が待ち構えていて物凄く何か言いたそうな顔をしていた。

「安心しろ。アイツはこちら側の人間だった。」

「そうかい。ところで、少し話をしたいんだけれど、付き合ってくれるかい?」

どうやらまだ何かあるらしい。うん、当たり前か。

「ハッキリ室長命令だと言わないのか?」

「任意同行というヤツだよ。色々と説明しては欲しいんだけどね。」

「了解了解。大人しく連行されましょう。」

あーメンドクセ。

「何考えてるのかバレバレだよクレイヴ君。」

 

 

場所は変わって、本部の外縁部分の一角。

「で、彼女「エリン・フォートレス」は何者なんだい?」

開口一番にコムイはそんなことを聞いて来た。

「俺と同じセフィロト理論のエクソシストだろう。俺が入っていたのと同型の生命維持装置に入っていたからな。第一、そうでもなければ俺が発見出来た説明がつかない。」

「どういうことだ?」

「聖遺物は常に気配みたいな物も辺りに撒き散らしている。そいつは聖遺物を体内に宿した俺らにとって、ノイズなんかみたいになって感じ取れるんだ。ソイツは俺らセカンドなんかに融合するとパターンが一定になってそれでその発信源の同類が誰なのか、或いは知り合いでは無いのかが判断できるんだな。」

「随分とアッサリ言ったけどそれはつまり、報告にあった伯爵側のセカンドも同じようなことが出来るということだよね。」

「流石に頭の回転が早いな。その通りだ。奴はそれを利用して伯爵側の聖遺物を宿したセカンドを見つけて仲間にしてるだろうし、或いは新しく聖遺物を発見して仲間を増やしているかもな。」

「・・・洒落になってないね。アレン君の話では、君は恐らく元帥達と同等程度の力は持っているという話だし。敵側にそんな存在が複数有るかも知れないなんて。既に確認されているセカンドは君を圧倒したんだろう?」

「確かに。でも悪い話ばかりじゃない。要は聖遺物がこちら側の物であれば良いだけの話だ。」

「!だが、彼らが戦いを望むとは限らない。僕は無理に君達を前線に投じる気は無いんだ。それにそもそも何処に眠っているかも分からない彼らを探す余裕は伯爵側にはあっても僕らには無い。君達でないと見つけられないのなら尚更だ。」

クレイヴは今すぐに使える戦力として自らとその同胞を使えと言っている。敵と同じように。コムイはセカンドを強制的に覚醒させて戦いに投じることに抵抗を抱いている。既にイノセンス適合者を強制的に最前線で戦わせている現状で、更にもっと多くの人間を当人の意思に関係無く戦わせろというのだ。

「抵抗を覚えていても今更仕方が無いだろう。確かに聖遺物の適合者はイノセンスと同じで当人の意思は関係ナシだ。だがそんなのは言ってしまえば単にイノセンスの数が増えたのと同じだ。」

「しかし資料によれば、聖遺物はイノセンスの様に率先して適合者を選んで伯爵と戦おうとはしないんだろう!?人為的に虱潰しに適合実験を行ったのだから。」

「それが何だ!第一俺らはもう融合しちまってンだよ。今更戦いに巻き込まれ様がそうで無かろうが既に遅えんだよ!」

「例えそうだとしても君達を、わざわざ眠りから覚ましてまで戦わせる気は無い!今医療班が看てる彼女だって、何で覚醒させたんだ、クレイヴ!!」

激情のあまりにコムイはクレイヴの胸ぐらを掴んでいた。

「違う!彼女は既に起きていたんだ。生命維持装置にガタが来ていて、異常を探知したシステムが彼女を覚醒させたんだ!!あのカプセルの中に眠っている間俺たちの聖遺物も停止して一切気配も出さねェンだ。放っておいたらそのまま衰弱死か、それ以前に溺死だったんだ!!」

「だから他の君達も覚醒させろと?なぜなんだクレイヴ、君だってセカンドだろうに。」

クレイヴの弁明を聞いて少し落ち着いたコムイは、手を放しつつ問い詰めた。

「・・・推測だが、俺のいた所の様に軍人から、いや普通の人間から適合実験の被検体を集めたケースは少ないかもしれない。俺のいたラボは計画初期から実験をしていたが、成功例は僅か3人だ。なのに後から出来た研究室での成功例は、それより多い。多い所で10人は成功したそうだ。まあ、実のところ俺のいた所は余程の重傷か、志願した軍人しか受け入れてなかったらしいからその違いかもしれないがーーー」

「つまり、何が言いたいんだ。」

薄々気づいているコムイの言葉は最早疑問系では無い。

「エリン・フォートレス。名前から察するに人造人間かそれに近い存在だろう。いや、聖遺物から読み取った何らかの情報を元にしたデザインベビーも方が可能性はあるか。何にせよ俺の言いたいことは今何処かで眠っているだろう俺らの同類は、最初から戦う為に産まれた可能性が高い。だとしたら、そいつ等にとってお前の優しさは多分、存在そのものを否定する事になる。」

僅かに狼狽したコムイは、しかし納得はしなかった。

「ーーーだけどそれは彼等を戦わせる理由にはならない。人間である限り、彼等には産まれた理由以前に選ぶ権利がある筈だ。それにもしデザインベビなら彼等はまだ成人すらしていないだろう。被検体にするのに成長が終わるまでそんな事をする研究者が待つ理由は無いからね。むしろコスト的に出来なかったと考えるのが自然だろう。まさかそんな理由で君は彼等を戦わせるのか?」

「分かっている。だが彼等が何を選ぶにせよまずは覚醒させなければ始まらない。そして恐らくそれは急がなければならないと思う。」

「何故?」

「俺の入っていたカプセルも大分ガタが来てた。エリン・フォートレスのはもう壊れてた。他のが無事である保証は無い。」

「生命維持装置の限界か!」

クレイヴは最早何も語ることは無いというように、首肯した。

しかし問題点もあると、コムイは考えた。

「・・・だが、さっきの君の発言どうりならば、彼等を探し様が無い。」

「そうだな。それに計画中止された時に多分結構な人数が処分されているだろうからな。だが生き残って生命維持装置の中にいる奴らは、生命維持装置の稼働出来る場所にいるわけだから、案外イノセンスより見つけるのは簡単かも知れないぞ?」

「成る程ね。でもまだだよ。例え見つける事が出来ても、その子の中の聖遺物がもし伯爵側の物だったらどうするつもりだい?」

コムイ個人としては子供を狭いカプセルの中で、それも教団が原因で死なせるなどしたくは無かったが、彼の室長という立場が、そしてそれ以上に子供達を捜す仲間達を危険に晒すかもしれないという事が、彼に即断を許さなかった。見つけた子供が伯爵側の聖遺物を宿していたら、もう敵とみなすしか無い。資料を読む限り、聖遺物は一度適合者と融合したら、適合者と再び分離しるのは不可能に等しかった。例え物理的に強制切除しても、呪いの様に力は相手から離れない。寧ろ拒絶すれば適合者の自我を乗っ取る可能性がある。そしてクレイヴもその事を理解していた。

「もしそのガキが伯爵側の聖遺物を持っていたら、その時はーーー」

 

『緊急連絡!エクソシスト二名が現在千年伯爵とその協力者と思われる人間一名、複数アクマと郊外で交戦中、支給応援を求む!!繰り返す現在エクソシスト二名が・・・』

クレイヴの言葉を遮る様に本部中のスピーカーから炸裂した報告は、コムイとクレイヴだけでなく全ての本部団員に戦慄を走らせるのに十分すぎる内容だった。

「クレイヴ!」

「出撃する!!」

コムイに言われる間でもなくクレイヴは駆けていた。




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