D-Gray Man -The Metal Exocist in 2031 作:zwart
厄日だ・・・
任務帰りに知り合いになったジャンの事が心配で、教団を抜け出して来てみたら、ジャンの親友らしいレオはアクマになってるし。体の大きいジャンの家のお手伝いさんに押し潰されるし。
・・・まあ、勝手に教団を抜け出した僕の自業自得でもあるんだけど。
でも何より、この男が此処にいるのは予想外だった。
「こんばんわ、伯爵」
「あなた、誰(だーれ)?」
「あなたの、敵です・・・」
言いつつ、アレンは左腕を発動させる。
「エクソシストですカ。始めまして・・・?」
その縦長の頭で千年伯爵は器用に首を傾げてみせた。
「はじめましテ?」
千年伯爵は思い出そうとしている。
待ってやるつもりなど、アレンには毛頭ない。
「十字架よ、アクマを破壊!魂を救済せよ」
言いつつ左腕の爪を「レオ」に突き立てるべく疾走する。
そこにフラリ、と割り込む影があった。
「・・・っ!」
ギリギリで、アレンは左手を止める事に成功した。そして割り込んだ影に問いかける。
「ジャン?」
彼は親友を背中に庇いながら訴える。
「何でなんだよ、アレン。レオがアクマな訳無いじゃん。ぱ、パトロールだってコイツと一緒にやってたんだぜ・・・?それなのに、何を証拠に言ってるんだよ!」
ジャコン、と音をたてながら、ソレは照準をジャンに向けた
「ジャン!」
ああもう、本当に厄日だ・・・
「勇敢ですねェ、弾丸に躊躇なく飛び込んでくるなんテ。」
「そうですか」
目を開けると、いつの間にかアレンが俺の前にいた。あれ?俺アクマに撃たれたんじゃなかったのか・・・?
「・・・っ」
振り返ると、アレンの腕あたりがボロボロになっていた。そしてその顔に見覚えのある、黒い五芒星が次々に浮かんでいく。
「あ、アレン!」
やばい、アレンが撃たれた。アクマの弾丸にはダークマターのウイルスが入っていて、ソレが撃たれたところから急速に侵食していって、最後は体が砕けて死ぬ・・・!
「ジャン君、気分はどうです?」
千年伯爵が語る。
「キミはねェ、むかつくんですよ。力も無いのに正義にばーっか燃えて、我輩を悪者悪者って。―――我輩はただ皆の為にアクマを作っているだけなのに。」
皆の、為?
「どうですこのアクマ、醜いでしょウ?」
そういって千年伯爵は、「レオ」を指差す。
「これは人の心が招いた罪の結晶でス。これはね、ただの兵器じゃないんですよ。アクマは人の心が造(う)むものなんですよ。―――このアクマもそう。これはキミの親友レオが作り出したアクマなのですよ。」
レオ・・・?
「死んだレオのお母さん」
唐突に今まで無言だったアレンがしゃべりだす。
「レオは伯爵の力を借りてお母さんの魂を呼び戻したんだ。そしてお母さんをアクマにしてしまった。」
もう、殆ど全身が五芒星で黒く染められているが、アレンの目は絶望していない。そしてそのままレオのアクマを見据える。
「僕には見える、アクマにされて苦しんでいる彼の母親の魂が」
「何を言ってるんでスこの死に損ないガ」
「この程度で僕は死にませんよ、伯爵」
その言葉が合図となったかの様に、アレンの手の甲が強烈な光を発する。
「僕は対アクマ武器を宿した人間です。体内のウイルスなら浄化できる・・・!」
不敵に笑うアレンの全身から、五芒星が急速に消えていった。ただ一つを除いて。
「アレン。おまえのソレ、何?」
「呪い。・・・僕は昔、大事な人をアクマにした。その呪いでこの左目にはアクマに内臓された魂が見えるんだ。」
「あああーーーッ!思い出しました。オマエはアレン・ウォーカー、父親をアクマにしたあの時のガキですねェ!」
「へえお前、千年伯爵と面識があったんだ。」
「え・・・?」
唐突に頭上から声がした。アレンの知っている声だ。しかし、あの人外は空を飛べただろうか?
ズドン・・・・・!!
そんなアレンの推測などお構いなしに、アレンの右前にクレイヴ・ダウンは降り立った。大量の瓦礫と粉塵を墓地の地面で生み出しながら。
「わざわざ敵の正面に下りる理由を説明して下さい。」
もう一つ、今度はもう少し幼い、というか少女の声が頭上から聞こえた。
ズガァァァン・・・!
先ほどより凶悪な音をたてて、一人の少女が瓦礫と粉塵を撒き散らした上で一帯の地面に亀裂を走らせながら、今度はアレンの左前に墜落した。
「墜落ではありません。着地です」
「勝手に心を読まないで下さい。あとクレイヴさん!この子誰ですか!?ついでにどうしてこんなハデに頭の上から降ってくるような登場をしたんですか!?」
クレイヴはさも当然の様に。
「屋根を伝ってきただけだが?」
反対側では少女が無表情でうなずいている。
「いやおかしいです」
そういいながらアレンの後ろ―――キチンと墓地の門から入ってきたのは黒い靴(ダークブーツ)を発動したリナリーだった。
「・・・で、じゃあこっちの女の子は誰なんですか。」
なかば諦めの境地に達したがまともな人間(リナリー)が来て少し心に余裕ができたアレン。
「ああメンドイから後でコムイあたりから聞いとけ。」
「はぁ!?」
「落ち着けよアレン・・・分かった分かった。コイツは俺と同じで、新人エクソシストだよ。これでいいか?いいな。「え?ちょ待ッ」さて・・・オイ千年伯爵の隣の。オマエ、名前は?」
アレン、ジャン、リナリーは固まって動けなくなった。千年伯爵の隣にずっと空中に立っていた人間(?)がいるのは見えていた。しかし何故か今まで敵として認識できていなかったからだ。
「誰だと思う?」
「敵です」
答えたのは少女のほうだった。そこにクレイヴがツッコミを入れる。
「いやそうじゃなくて・・・オマエ『鴉』だろ。その気配遮断の技は人間臭いし、少なくともアクマじゃないだろ。」
「正解」
「あの、我輩を無視してませン?」
「知るかよ伯爵。アレン、リナリー、アクマは任せた。多分後詰めがいるが纏めて相手してくれると助かる。エリン、あの『鴉』の相手を頼んだ。でも病み上がりだから無理はしないでいい。」
教団側最年長のクレイヴが指示をだす。
「「「クレイヴ(さん)は」」」
三人の視線を受けるクレイヴは、空中でわざとらしく怒ったような仕草をする敵を見据える。
「俺は千年伯爵(ラスボス)の相手でするさ」
それぞれの戦いはすぐに始まった。
アレンとリナリーは伯爵の「下手な鉄砲も数撃ちゃアタル」という台詞と共に出現した大量のレベル1アクマの砲撃を巧みにかわし、次々と爪で切り裂き、両足で蹴り倒している。
エリン、フォートレスは手首から銀の十字架のロザリオを取り出すと、それは一気に巨大化して本人の身長より大きくなった。そしてその上部からは、巨大なガトリング砲の銃身が覗いている。そして十字架の横棒の両端にはスパイクが出現した。それを右脇に横向きに両手で抱える。ガトリング砲が正面にくる構えだ。
第二世代型の聖遺物タイプの対アクマ武器だ。
第一世代型は、クレイヴの大剣のように、元の形に近い形状で復元した物を指す。あの大剣は、元々は十字架の形をしていた物を、同じ大きさの剣に加工したものだ。ちなみに携帯時に小さな十字架(ドイツ軍の鉄十字)程の大きさになれるのは、製作者の魔術によるものだ。
第二世代型は聖遺物の力だけを残して、装備方イノセンスの様に製作者の意思で形状を決定して製作するものだ。形状はより適合者に合った形になり、現代兵器と同じ能力を発揮することも可能だ。そしてエリン・フォートレスの十字架の場合は銃器・鈍器の形をしており、当然銃弾を撃ちだすことも可能だ。
「掃射」
ズダダダダダダダダダダダダダダッ・・・!!
空中に立つ男に向かって弾丸の嵐が飛翔していく。それを男は札を使った防御で弾いた。否、弾こうとした。
「馬鹿ですかあなたは。」
全ての弾丸は空中に整列した札を貫いて『鴉』の男の体に突き刺さった。
「な、なぜ」
血を吐きながら蜂の巣になった男は問う。
「当然でしょう。我々の使う聖遺物の力の正体は神かその僕たる天使の力です。そしてこれはかつて二つの都市を消し去ったとある天使の矢です。そのような紙切れで防げるとでも?」
「く、クソッ」
男は今度は攻撃用の呪符をとりだして、お返しとばかりにエリンに投げつけた。
しかしエリンは避けようともしない。そして全ての呪符はエリンの至近距離で爆発を起こした。
殺った、と男は思った。しかし
「あなたはもしかして、聖遺物所持者同士での戦いを経験した事がありませんね?」
爆煙の晴れた向こうには、無傷の少女が無表情で立っていた。
「私聖遺物の適合者はその加護で、神の力以外では傷つきません。」
ちなみに神の力にはイノセンス、聖遺物、ダークマター等がある。
そしてこの短い間に、新米エクソシストは敵の戦力を完全に把握していた。
「その靴があなたの聖遺物ですか。見たところ飛ぶことしか出来ていないようですが、単に適合者が未熟なだけですか」
言いつつ、再びガトリング砲を標的にむけた。
「うっわーなんだよアイツ、敵に対してはスゲー毒舌じゃねーか。」
そんな事を言いながら後輩を眺めて一人だけサボっているのは、ラスボスを相手にするとか言っていたクレイヴ・ダウンである。
「ちょっと、こっち無視しないでくれませン?」
そんな事をいいながら空中でクレイヴが戦う気になるのを待っている千年伯爵は、意外と律儀だ。
「へいへい、じゃ適当殺るか。」
「生意気ナ」
クレイヴは黒光りする左手の義手=もう一つの聖遺物を発動させた。
先ずは義手の五本の指が一つに纏まり、続いて肘下もそれに習うように形をかえていく。
そして最終的に肘下は長いガントレットの様な形になり、腕全体としての長さは1.5倍くらいには伸びたそしてその先には簡略化されたような手がついており、その手は細い棒を掴んでいる。それは棒では無い。ほぼ反りの無い、長さ90センチくらいの日本刀だった。
「おやおや、随分と貧相な武器ですねェ。そんなモノで我輩の相手をするト?」
「生憎とメインの武装(ブレード)は修理中でな。」
言いながらクレイヴは千年伯爵へ突進して、左手に持つ刀で容易く音速を超えて斬りつけた。
「ほォ、雑魚にしては中々やりますねェ」
千年伯爵はフラリと刃を避けて、適当に手に持つカボチャ傘の先端をクレイヴに向けた。
その先端から紫色の弾幕が伯爵のコミカルな挙動に合わせて出現する。
「チッ」
全ての弾幕はライフル弾並のスピードで飛来する。しかもそれは直線では無い。それぞれバラバラの微妙に湾曲したコースを描いている。中にはクレイヴの近くで自爆するものまでいる。
クソ、予想外に強えーなコイツ。しかも向こうは未だ全然本気じゃねーだろう。つーかゲームじゃねーんだしラスボス=最強って芸無さすぎだろチクショウ。
クレイヴは弾幕を避けたり剣で切り裂いたりしながら考える。
さて、どうしたものかね・・・?
意外と一番苦戦しているのはクレイヴだった。
アクマの銃弾の嵐にエリンのガトリング砲に最後は伯爵の弾幕、お墓大丈夫でしょうか・・・