窓際に2人、ライフルを持った狙撃手と、スコープを覗く観測手がいます。
そして私は、ただ私室で爆睡した後、自惚れでしている忍び足でリビングに降りただけです。
簡潔に言うと、私の家に狙撃手がいるのです。
昨日の夜に、勧告はありました。
『ここは軍事作戦に使われるので、直ちに避難してください』
しかし。
読んでいた小説から目が離せなかったのです。
しかも狙撃手の話でした。
……情けない……。
後悔しても仕方ないので、現実を見ましょう。
立ち直りは早いのです。
味方だったら、保護してもらえるでしょう。
しかし敵だった場合のリスクが大きすぎます。
かと言って外に出るのも危険です。
安全な場所がわからないですし、こういう狙撃手に頭を撃ち抜かれる可能性は十分にあります。
この二人を縛り上げて従わせるのは?
馬鹿ですか。
一人は不意打ちでやったとしても二人目に真剣勝負でボコられます。
そもそも健康診断の結果が「痩せすぎ」だった人間にそんなことはできません。
うーん、詰んでますねぇ。
判断を先送りにしましょうか。
そう思った直後。
視界が一気に眩しくなり、爆音が脳に響きました。
何が起きたのですか!?
次に目を開けると目の前に高校生ぐらいの女性が居ました。
て、私じゃないですか。
鏡……。しかし、なんで目を瞑っているのでしょう。すごく違和感があります。
とりあえず辺りを見渡すと、異常性に気づきました。
家の屋根がぶっ壊れているのです。
借金までして買ったというのに。
「ジョナサン、生きてるか」
声の方向を見ると、カーキ色の服を着た細マッチョがいました。
もしかして狙撃手さんか、観測者さんですか?
「おーい返事してくれー」
リビングの白い床は瓦礫まみれになっています。
掃除ロボくんもこれは掃除できなさそうです。
心配になって見てみると、瓦礫に潰されていました。
ああ、なんて無残な。
「ジョナサン!」
男がそこに駆け寄っていきます。
ジョナサンじゃなくて、ロボくんです。間違えないでください。
何真剣な顔してるんですか。
男は瓦礫を腰を入れてどかします。
「ジョナサン、起きろ。目を開けてくれぇ」
その瓦礫の下部は真っ赤に染まっていました。
ジョナサンという人が、あの下に居るのでしょう。
「一緒に新作のゲームしようって、約束したじゃねぇか……」
そして恐らく死んでいます。
一歩間違えれば、ああなっていたのは私かもしれません。
そう思うと、ぞくりときます。
「お前の仇は、打ってやるからな」
こちらを向きそうです。
慌てて洗面所に隠れました。
「ん? 誰だ?」
バレましたか? まったく音を出さなかったはずです。
「気絶している……。逃げ遅れた民間人か」
私は逃げ遅れた民間人だけれど、気絶はしていませんよ?
リビングに顔を少しだけ出しました。
「わ、私がいる!」
すぐに口を塞ぎます。絶対にバレました。
なんで私が臥せっているんですか。
私はここですよ?