「ルーカス、また会うとは思わなかったよ。だからこの際はっきり言おう。俺はお前のことが大嫌いだ。任務中に殴りまくろうと思うくらいには」
何故俺の名前を? 適当に言ったら当たったのだろう。
あのことを怒っているのだろうか。
しかし積極的に触ってはいない。あくまで
だが、罪悪感はある。
「背負ったときにエッチなことを想像したことは、本当にすまなかった」
彼女は驚いたようにどこかを見た。一体何なんだ。
「もうそれ以上その話はするな。わかったな?」
「ああ」
「お前、俺が大事にしていた愛用の箸を誰かにあげただろ」
「な、なんの話だ?」
「〇〇〇〇の銀色の箸だよ! 知ってただろ? 俺が彼女と初めて旅行行った思い出のだって」
〇〇〇〇の銀色の箸――もしかして。
「ジョナサン。しかし彼女にふられたんじゃ……」
ならば違うか。
「ふられても大事だっつーの! お前のそういうところ大嫌いだよ! で、誰になんであげたの?」
本当にジョナサンなのか?
涙で視界が歪んだ。
側頭部に衝撃がきて、鈍い痛みをじわじわと感じる。
「泣くな! 答えろ!」
「う、いや嬉しいな」
「殺すぞ」
軍人のそれはシャレにならない。
「俺の甥にあげたんだ。ジョナサンが全くその箸を使ってなかったし。別れたから無い方がいいだろ?」
「だ、か、ら、別れても大事だって! 大事だから保管してるんだよ! なんで了承得ないんだ! 行動の理由がさっぱりだ!」
顔を真っ赤にして怒っている。
「そもそも人の家の物を盗むな! 謝れよ!」
なんで謝らないといけないんだ。気づかなかったそっちも悪いだろ?
「はいはい、ごめんなさい。甥から戻してもらえばいいんだろ?」
「小6の鼻水たらし少年に箸の処女を奪われたんだよ!」
「お前それ病気やで」
「は? お前自分がやったことわかってんの」
胸倉を掴まれた。可愛いお顔が目の前だ。
「笑ってんじゃねーよ! ああそうか。死にたいなら手伝ってやるよ! …………くそ、夏目さんが安全になるまでは生かしといてやる」
彼女は俺の顔に唾を吐いて、そっぽを向いた。
そして、どこかを見て謝る。
「すみません。気を付けます」
彼女はまた振り返る。
「さぁ、歩け。駐屯地まで行くんだろ?」
「ああ。それが俺に借金してるやつの態度かよ」
「黙れ。次言ったら殺す」
「お前立場わ――」
視点変わります。
二人は歩きながらも喧嘩を続行しました。それは終わりそうにありません。
夏目はその後ろで気まずそうに視線を下げるのでした。