幽霊になるなら殺せばいい   作:機関銃手へ弾薬を運ぶ人

10 / 11
喧嘩

「ルーカス、また会うとは思わなかったよ。だからこの際はっきり言おう。俺はお前のことが大嫌いだ。任務中に殴りまくろうと思うくらいには」

 

 何故俺の名前を? 適当に言ったら当たったのだろう。

 

 あのことを怒っているのだろうか。

 

 しかし積極的に触ってはいない。あくまで()()()()を重視したはずだ。

 

 だが、罪悪感はある。

 

「背負ったときにエッチなことを想像したことは、本当にすまなかった」

 

 彼女は驚いたようにどこかを見た。一体何なんだ。

 

「もうそれ以上その話はするな。わかったな?」

「ああ」

 

「お前、俺が大事にしていた愛用の箸を誰かにあげただろ」

「な、なんの話だ?」

「〇〇〇〇の銀色の箸だよ! 知ってただろ? 俺が彼女と初めて旅行行った思い出のだって」

 

 〇〇〇〇の銀色の箸――もしかして。

 

「ジョナサン。しかし彼女にふられたんじゃ……」

 

 ならば違うか。

 

「ふられても大事だっつーの! お前のそういうところ大嫌いだよ! で、誰になんであげたの?」

 

 本当にジョナサンなのか?

 

 涙で視界が歪んだ。

 

 側頭部に衝撃がきて、鈍い痛みをじわじわと感じる。

 

「泣くな! 答えろ!」

「う、いや嬉しいな」

「殺すぞ」

 

 軍人のそれはシャレにならない。

 

「俺の甥にあげたんだ。ジョナサンが全くその箸を使ってなかったし。別れたから無い方がいいだろ?」

「だ、か、ら、別れても大事だって! 大事だから保管してるんだよ! なんで了承得ないんだ! 行動の理由がさっぱりだ!」

 

 顔を真っ赤にして怒っている。

 

「そもそも人の家の物を盗むな! 謝れよ!」

 

 なんで謝らないといけないんだ。気づかなかったそっちも悪いだろ?

 

「はいはい、ごめんなさい。甥から戻してもらえばいいんだろ?」

「小6の鼻水たらし少年に箸の処女を奪われたんだよ!」

「お前それ病気やで」

「は? お前自分がやったことわかってんの」

 

 胸倉を掴まれた。可愛いお顔が目の前だ。

 

「笑ってんじゃねーよ! ああそうか。死にたいなら手伝ってやるよ! …………くそ、夏目さんが安全になるまでは生かしといてやる」

 

 彼女は俺の顔に唾を吐いて、そっぽを向いた。

 

 そして、どこかを見て謝る。

 

「すみません。気を付けます」

 

 彼女はまた振り返る。

 

「さぁ、歩け。駐屯地まで行くんだろ?」

「ああ。それが俺に借金してるやつの態度かよ」

「黙れ。次言ったら殺す」

「お前立場わ――」

 

 

 

 

 

 視点変わります。

 

 

 

 

 

 

 二人は歩きながらも喧嘩を続行しました。それは終わりそうにありません。

 

 夏目はその後ろで気まずそうに視線を下げるのでした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。