一方その頃、某研究施設では。
「マウスの幽体の消滅を確認。やりました!」
興奮する研究員に反して、エリスの心情は変わりません。
ただ、自分の研究成果で人を殺したくないのです。
「そう。その弾丸をできるだけ多く生産。ウィリアム将校にばれないよう隠蔽して。軍事会社から質のいい部隊編成を頼むわ」
「……わかりました」
喜びを分かち合いたかった研究員はしょんぼりです。
「2日以内に消滅させるわよ」
あまりの速さに研究員の顔が真っ青になりました。
夏目視点に変わります。
「ジョナサンさん、気まずいのですが」
「夏目さん。だってこいつくそなんですよ?」
「そこは私の命がかかってるんですから」
歩きながら、私? ジョナサンに話しかけます。
一度幽霊になれば、幽霊が見える設定なのでしょう。
そしてすごく気まずいです。あそこまで仲が悪いとは。
ジョナサンがルーカスさんのことを心配していなかった訳はこれですね。信頼の証かと思っていました。
ルーカスさんが怪訝な顔になります。
「ジョナサン、さっきから誰と話してるんだ?」
「幽霊」
「はっ、阿保にも程があるだろ」
「では、なんで俺は少女の身体になっている? 阿保はお前だよ間抜け」
「うっ、言われてみればそうだな。じゃあ、近くに夏目さん? がいるのか?」
「ああ、俺らの後ろにな」
「まじかよ。背後とか幽霊じゃん」
お道化た顔でこちらを凝視します。
「それ思っても言わないでください」
「思っても言うなって。夏目さん曰く」
「はは。それはすまない」
「はは。夏目さんはパンチすればお前を殺せるんだぜ。攻めてきた敵のように。馴れ馴れしいんだよ」
ルーカスは口をあんぐりと開けます。
それも言わないでくださいよ。
「そんなに怖い人なの?」
「安心しろ。全部俺が殺したから」
ジョナサンは胸を張ります。
人を殺して胸を張るってどうなんです? 彼の心情がわかりません。
それと思ったより仲良くないですか? 喧嘩するほど仲がいいというやつなのでしょう。
でも、任務中にぼこぼこにしようというのは異常だと思います。命掛かってるんですから。
実際死んでますし。
そんなこんなで民家で夜を明かし、民家の食料を食べて、沢山歩いて。繰り返して。
2日が立ちました。何事もなく、です。
いや、ジョナサンが服を変えて何かに目覚めましたね。
視点変わります。
某研究施設。ではなく、司令室で。
数人のオペレーターが各モニターと睨めっこしています。
「幽霊を探知。座標送ります」
「座標確認。部隊を向かわせろ」
「了解」
その背後には、仁王立ちするエリスがいました。
徹夜なので、目の下にはクマがあります。
研究員さんは夢の中です。
おつかれさまです!