死んだ後はどうしたいですか   作:機関銃手へ弾薬を運ぶ人

6 / 10
幽霊は強いのでは 2

 担架に乗せられて、痛みが少し和らいだ。

 

 しかし振動が来るたびにさすような痛みがする。

 

「ゆっくり。ゆっくり頼むぞ」

 

 周りが灰色の壁に囲まれて、拠点に入ったことを理解する。

 

 こもった声が壁越しに聞こえた。

 

「第一班からの通信途絶」

「……。第二班を向かわせろ」

「了解」

 

 第一班って俺らだよな。

 

 てことは、3人は。

 

「なぁ、衛生兵。いったい何があったんだ」

「はぁ、お前もあの声を聴いただろう?」

 

 衛生兵が止血帯を俺の足に巻き付ける。

 

「ああっ! ふ、ふぅ。こ、声ってなんだ?」

「2人の大声が、2秒くらいで急に途切れたんだ。1人は、目の前で倒れたよ……」

 

 衛生兵は思い出したのか、顔を顰めた。

 

「アルムは、ぶ、無事なのか」

「わからない。……知らない」

 

 衛生兵は、俺の腕を持ち上げて、注射器を刺してくる。

 

 注射器の痛みは怪我の痛みに負けた。

 

 もう、アルムに会えないのか。

 

 だけど決まったわけじゃない。

 

 最後まで、信じよう。

 

 またこもった声がした。

 

「第二班が目標施設を確保。目標は排除できず。第一班の生存者なし。外傷がなかったようです」

 

 ――え?

 

「外傷がない? ……了解した。第二、第三班に目標を探させろ。絶対に逃がすな」

「了解しました」

 

 さっきまで、アルムとしゃべってたじゃないか。

 

 そんなすぐ、いなくなるわけが……。

 

「うっ、うっ」

 

 気づけば、嗚咽が出ていた。

 

「分隊長が倒れた! 敵襲!」

 

 だけど一気にあたりが騒がしくなって、弔うこともさせてくれない。

 

「拠点が強襲を受けています! 指示を!」

「わかってる! 敵の居場所は!」

 

「ジェームズ、敵はどこから――」

「わ、あ、わぁあああ!」

 

 発狂しながら、よく知らない味方が部屋に入ってくる。何だ!?

 

 だが躓いたのか、うつ伏せにばたりと倒れる。

 

 びくとも動かなくなった。

 

「こいつ、死んでないか?」

 

 横を見ると、衛生兵はいなかった。

 

 こもった声がする。

 

「ノア、外の確認を」

「了解しました。隊長は逃げてくだ――」

 

 バタッ、ガシャーン。ガタ。

 

 誰かが転んだような音がした。

 

 拠点に静寂が訪れる。

 

 俺はただ理解ができず、動けずにいた。

 

 

 

 

 

 エリス視点に変わります。

 

 

 

 (私は、なんてことをしてしまったんだろうか)

 

 簡易死検室で、エリスは目じりを震わせました。

 

 

 エリスは、顔見知りの将校から連絡を受けてここに来ました。

 

『もしかしたら、君にしかわからない事案かもしれない』

 

 将校――ウィリアムは、エリスの実験中止に反対した人です。

 

 彼がいなければ、実験はすぐに中止できたといっていいでしょう。

 

 しかし彼は、自分のせいで死者が出たにもかかわらず、反省する素振りも実験を中止することもありませんでした。

 

 だからエリスは考えに考え抜いて、ある考えに達しました。

 

(幽霊を消滅させればいいんだ)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。