ジョナサンは建物を出て、私の本体のところへ向かいます。
建物の周辺には、いくつもの遺体が臥せっていました。
私たちの命を狩ろうとしていた人たちです。
狙撃手さんが助っ人だから、仕方ないのでしょうか。
『答えがない』という答えがすぐに出ました。
あの人たちは、幽霊に……。
「あ」
低い声が出て、血の気が引きました。
幽霊なら、私の本体を殺せます。
ジョナサンが私を一瞥して、口火を切りました。
「死後、空に吸い込まれるのは高速で。そして降りてくるには1分はかかるんです。つまり俺が殺したとはわからないはずです」
「そ、そうなんですか」
「そうです。しかも敵が来る前にあいつは、夏目さんの本体を地下に隠しましたし」
大丈夫なら、本当にいいですけれど。
私の本体がある建物につきました。
物音ひとつしない、普通の家です。
でも、玄関から人が出てきます。
カーキ色の誰かさんです。
つまり、敵の幽霊さんです。
やばいじゃないですか。
慌てて路地に隠れました。
「どうゆうことですか」
「……そこまで考えていませんでした」
「もしかして馬鹿なんですか?」
あ、言い過ぎた。
私を守ってくれているのに、私が怒る権利など微塵もないです。
「すみません」
「いや、こんなピンチなんだから仕方ないよ。それに自分が死んだら、敵に殺されたと思うのが普通で。そこに赴くのは当たり前で。もう少し考えればわかったことです」
状況を知らなかった私は、何を言っているのかよくわかりません。
ジョナサンは続けます。
「今すぐ行動しましょう。地下の入口はカーペットの下です。まだ間に合います。説明をするのでよく聞いてください――」
「いきますよ」
「ん? そのあとはなんです?」
「3,2――」
「まって!」
ジョナサンが路地から出て、真っ直ぐに玄関に向かいます。
毎回時間なさすぎません?
彼は建物に入りました。
「お前らを殺ったのは俺だぁ!」
少しの間の後。
「おぉ前かぁ!」
多数の狂った声音が空気を揺らしました。
ジョナサンが玄関から躍り出て、こちらに一直線で向かってきます。
そうでした。この間に逃げるんです。
だけど、それでいいのでしょうか。
いつも助けてもらってばかりで、申し訳なくないですか?
ジョナサンが通り過ぎます。
彼の顔は引き攣っていて、私のことなど見ていませんでした。
相当怖いのでしょう。
視線を戻すと、カーキ色の服を着た敵たちが押し合いながら。
玄関から飛び出してきます。
彼らの顔は狂気に歪んでいました。
今までで断トツで恐ろしいです。
何ぼーっとしてるんですか!
逃げましょう!
ジョナサンの背中を追いました。