ジョナサンの背中を追いかけました。
背後から物凄い圧を感じます。
「俺は! 書籍化したかったんだ!」
「セックスしてないんだ! なんで!」
「お前がぁ! ぶっ壊したんだ!」
どの叫びも、筋が通っていました。
やりたいことがまだ沢山あったのです。
それが私のせいだったら、どうですか?
一気に胸が締め付けられます。
「ごめんなさい……」
だけれど、彼らに捕まる方が嫌です。
彼らに囲まれながら、永遠と恨みを言われ続けて、精神崩壊するに決まっているから。
全力で走りました。
ジョナサンに追いつきます。
「なんで夏目さんがいるんですか!」
「え、なりゆきで」
「おい聞いてんのか!」
敵は、涙声になっていました。
どうしようもない、解決策がない人の叫び声です。
生存本能が私の脳をフル回転させます。
「私に良い案があります。次の角を曲がったら――」
「そんな簡単にいきます?」
角を曲がりました。
ジョナサンと手をつないで、平垣と道の継ぎ目に飛び込みます。
「なぁ! なぁ――」
思った通り、視界が真っ暗になり、恐ろしい声が聞こえなくなりました。
ゲームでは角にぶつかって進むと、どっちに押し返せば良いかわからなくなり、結果的に落下するのです。
創造主はイレギュラーな幽霊設定をサボったのでしょうか。
しかしどうやって地上に戻りましょう。
こう、上に上がりたいと思えばいいんですか?
何も起きません。
魔法は想像が大事と言いますよね?
階段を上る感じで、足を動かしました。
肌触りが変わっていくので、上っていると思います。
ジョナサンは……引きずられてません?
数分後、地上に出れました。
目の前にはさっきの八百屋があります。
幸いにも、走っていた方向とは反対の位置です。
手首だけが出たジョナサンを引っ張り出します。
「うおっ!」
びっくり顔のジョナサンが出現しました。
彼は首を振って周りを確認すると、安堵の溜息を吐きました。
「助かったよぉ。まじで死ぬかと思いました」
死んでるだろ、とはつっこみません。ありきたりすぎです。
「戻りましょう」
「そうですね」
私の本体のところへ向けて歩き出しました。
「やっぱり家と家の間を通っていきません?」
ジョナサンの発案により、家と家の間を通ることになりました。
発見リスクが大幅に減ったと思います。
「なんで、ジョナサンさんは助けてくださるのですか?」
「俺はもう死んでるし、やることないから、男らしく女の子助けようかなって思っただけだよ。彼女いなかったし……」
最後の方は小さくて聞き取れませんでした。
でも、女の方が便利だということはわかりました。
青色の家を通り過ぎます。
幼馴染の家です。
エリスは元気にしているでしょうか。