ダンガンロンパ:P   作:海苔子

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【希望ヶ峰学園P】:5

 

「なるほど、癖のある人たちを最後の方に回したということですか……。それでどうして私が最後の方に回されているのでしょうか?」

 

 白い制服に白いマスク、全身白づくめって感じの男の人でロボットみたいな雰囲気のある不思議な人

 この人の前に来てからなぜか道頓堀さんは一切目を合わせようとしない

 

「超高校級の幸運。芽吹苗香です、よろしく? でいいのかな?」

 

「ええ、その挨拶で問題はないでしょうし適切な表現かと思われます」

 

 じっと目を見つめて話されているからなんだか射貫かれているような見透かされているような気分になってしまう。

 

「私は超高校級の選挙管理委員、清木一と申します。どうぞお見知りおきを」

 

 

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「自己紹介終わった? ほなもう行こやー、ウチなんかこの人どうも苦手なんよなあ……」

 

 道頓堀さんにも苦手な人っているんだ。なんだかちょっと意外かも……

 

「苦手……とはいうのは嫌いという事と同義とみて構いませんか? 

 となりますと、この短時間のうちに嫌悪を抱かれるような振る舞いをしていると想定するのが一般的ですが、私と貴方の接触時間は今現時点を含めて20分程しかありません

 そのなかで私が話した内容を一言一句思い返してみましたが──」

 

 あ、なるほど。こういうとこだ

 失礼というか私が嫌な奴なだけかもしれないけどなんとなーく私は道頓堀さんが清木君が苦手な理由を理解できたかもしれない。

 

「ちゃうねん!!! そういうとこやねん!!!」

 

「そういうとこ……というのは?」

 

「なんかこう.なんやろ、全部に理由を求めてくんなぁ! 関西人なんて空気感でしか生きてへんねんぞ!!」

 

 それは違うと思うんだけど……。

 

「関西人……京都、大阪、和歌山、滋賀、三重。これらの地域で出生した人間を関西人と定義していますか? それともこれらの地域で一定期間過ごした人間を関西人と定義していますか?」

 

「嫌やぁ! そこは主語がでかいですね! とか言えやぁ!! なんで真面目に関西人の定義を論じなあかんねん!!」

 

「いえ、本当に関西人が空気感でしか生きていないのかという所が気になりまして……」

 

 うん。この二人は多分水と油なんだな、油は……道頓堀さんの方かな、なんか水みたいにさらっとしてるイメージはないし……

 でも会話の内容的には清木君の方が油って感じも否めないかな……。

 

「ちなみに私の祖母が関西の出身で結婚までは関西で過ごしていたらしいのですが、どうして祖母はあのように厳格だったのでしょうか?」

 

「知らん!!! お前のおばあちゃんの事なんか分かるかぁ!!!」

 

「ですが先ほどの話の内容的に関西人という定義に分類されるかと思われますので、その理由を何かご存じかと……」

 

「行こ!! このまんまやとウチの頭がパンクして死ぬ!!!」

 

 清木君は真面目な性格でお婆ちゃんが関西の人ってことはよくわかった、あとはあんまり私も得意じゃないタイプの人ってことも。

 悪い人じゃなさそうなんだけど……。

 

 

「はぁい、お疲れさまですっ!」

 

 道頓堀さんから引っ張られるようにして清木君から遠い所へ連れて来られた私の前に差し出されたお菓子の入った可愛い袋

 中には多分クッキーみたいな焼き菓子が入っているみたいで、軽く食べるにはちょうど良さそうだった。

 

「お……おぉ。ここでアンタか……」

 

 勝手な偏見だけど、こういうお菓子の類には道頓堀さんはすぐに飛びつきそうなのになぜか顔が引きつって体を一歩後ろに引いている。

 

「はぁい。超高校級のパティシエール、甘野砂糖ちゃんです」

 

 

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 パティシエール……ってことはお菓子作りが得意な人ってことだよね? ますます差し出された袋の中身がおいしそうに思えてくる。

 

「う……ウチはええかなぁ、さっきの飴ちゃんでおなか一杯やし……ほら。ソーダ味の」

 

 確かさっき安藤君が喉に詰めて大変なことになりかけた飴のことかな? あれも甘野さんのお手製だったんだ。

 

「あっ! 食べてくれたんだぁ、ちょっと失敗しちゃったけど……。お口にあったかなぁ?」

 

「うん……めっちゃ美味しかった……。ほんまに」

 

 嘘だ、明らかに嘘をついてる顔をしてる、というより目を合わせようとすらもしていない。

 けどどうして食べなかったんだろう? 

 

「ソーダ味にするためにねぇ、苛性ソーダを隠し味に入れてみたんだけどね、それが美味しくしてくれたのかなぁ?」

 

 火星……ソーダって.なに? 火星の飲み物ってこと? どっかで聞いたこともある気がしたけど……上手く思い出せない、

 

「あ、えっと……これ。お近づきのしるしに、ぜひ食べてほしいなぁって」

 

「わざわざありがとう。私は芽吹苗香、甘野さんだっけ? よろしくね」

 

 比較的普通のほんわかした女の子にしか見えないけどなぁ

 何なら女子力も高めで結構羨ましかったりするんだけど……。

 

「ちなみにそのクッキーは……何で作られてるん?」

 

「えっとぉ……これ実はちょっと味付けに失敗しちゃって……砂糖ちゃんのココが……ちょっと入っちゃってるかもで……。お口に合わなかったら残してね?」

 

 恥ずかしそうに左手を私たちに見せてくる甘野さんの小指にはピンクの絆創膏が貼られていた。

 指を切っちゃったってことなのかな? でもクッキーで切る工程なんてあったっけ? 

 

「指……怪我しちゃったの?」

 

「ううん。クッキーこねる力が強すぎちゃったみたいで、小指の爪がねぇ、剝がれちゃったの」

 

 ん? 小指の爪全入りクッキーってこと?? 

 え、ダメじゃん。そんなの人に渡したら

 

「ま.まあ! 小指の爪くらいな! ようあるよ!! ハムスターの遺灰と砂糖間違えへんかっただけまだマシやん!!!」

 

 え? もうそれ調味料ですらないけど……。

 

「あ……ありがとう、あー.いまお腹いっぱいだからあとで頂くね!」

 

 道頓堀さんがあんな顔になってしまうわけもよーく理解できた、

 とりあえずこのクッキーは……安藤君にでもあげよう、多分、喜んで食べそうだし。

 

 

「コイツはなぁ、最初に紹介しようと思ったんやけどな、考え抜いた結果な甘野の後にしたんよ」

 

 そういって紹介されたのは、いかにも人生楽しんでます! みたいな雰囲気の男の子。

 うちの中学とかにもこんな雰囲気の男の子は居たけど、それよりもかなり群を抜いているというか突き抜けているというか。

 

「寂しかったぜ~? オレもしかして死んじまったんじゃねーかなんて思っちまうくらいにはよ!」

 

「なはは。すまんすまん、いやぁ、やっぱほら大門は考えに考え抜いてこの順番にしたんよ」

 

「主役はオオトリってことかぁ? ふぃ~! 分かってんじゃねーか! 道頓堀ちゃんよぉ!」

 

「まあ大体そやな、オオトリみたいなもんやな」

 

「んじゃあ改めて自己紹介! オレが超高校級のDJ! 大門上太。仲良くしてくれよなー? な?」

 

 

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「超高校級の幸運。芽吹苗香です、よろしくね」

 

「ラッキーガールってことか?? オレも地元じゃあハッピーボーイなんて呼ばれてたからなーんか親近感でぶち上がってきそうだぜ」

 

 意味はちょっと違うと思うけど……。まあそんな感じのニュアンスであってるのかな? 

 

「んで? なんか聞きてえことあるなら特別大出血サービスNGなしのレス返すけど、何から聞いちゃう系?」

 

「いや、ちゃうねん。今回はな、お近づきのしるしにな、お菓子持ってきてんねん」

 

 え、お菓子なんて持ってきてない──―

 まって? もしかして大門君を最後の方に回したのって.それが目的なの?! 

 

「あー.うん、そうなんだよね、クッキー。クッキー持ってきたんだけど、美味しく食べてほしいなぁって」

 

「せやで! これは特別なクッキーや、誰にも言わんと秘密に、こっそり、味の感想すら黙ってなアカントップシークレットクッキーや」

 

 ごめん、甘野さんに大門君。多分私今生きてきて五本の指に入りそうな悪いことをしている自覚はあるよ

 

「おい、つまりそれってよ? オレにことが好きとかそーいう、バレンタイン的な……」

 

「そーかもしれんし! そーじゃないかもしれん! とりあえず黙ってこれを受け取って誰にも見れへんように食え!」

 

 さっきまでのテンションとは打って変わって、私から静かにクッキーを受け取ってくれた大門君。

 ごめんね、多分大門君がおもっているような展開は一切ないんだけど、けど私も自分の身を守りたいから……。

 

「あ……あとでよ、その連絡先とか……」

 

「うん、あとでね!」

 

 満面の笑みでそんなことを言えるようになっている自分に少し驚いてしまった、いつからこんな悪い女になってしまったんだろう……私は。

 

 

 

「ほんで最後は……この子や……」

 

 あの面々の中で最後に回されるってことは……結構身構えちゃうよね

 けど見た感じはちよっと個性的な見た目の……気の弱そうな女の子なんだけどなぁ

 

「野田さん、超高校級のオカルト部……の子なんやけど」

 

 

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「目がさめたら閉鎖空間.前後の記憶がおぼろげ……これは! 祟りです!! あるいはキャトルミューティレーション!!」

 

「こういう子や……」

 

「陰謀です!! 超高校級を一堂に集めて蟲毒をしようとしているのかも……いえ、スピリチュアルアセンション超高校級にしようとしているのかも……」

 

 あー.これは確かに、なるほどなるほど

 うん、なんかこうカロリーが段違いというか、今までの人とはレベルが違いすぎるというか……

 

「初めまして? えっと。芽吹苗香っていうの、よろしくね?」

 

「なんだか……嫌な予感がします……から……」

 

 野田さんは制服からボロボロのお札を一枚はがして私の手に握らせた。

 

「野田。野田呪子、呪いから身を守る方法なら……得意だから……何でも聞いて……ね?」

 

 このボロボロのお札、いったい何の役にたつんだろう.

 けどこんな状況だとちょっとオカルトチックに考えちゃうのもわかる気がするかも……

 

「悪い子じゃなさそうなんやけど……基本的に何でも祟りのせいにするからどうもやりにくいんよなぁ……」

 

「あ!!! いいんですか!? そんなことを言っていると……祟られますよ!!? 3章であっけなく付け合わせのように退場になってしまいますよ!!!」

 

「なんやねん……三章って」

 

「なんかそんな言葉がふっと降りて来たので……」

 

 そんな時だった。

 聞きなれた始業のチャイムが鳴り響いたのは

 

「あー。あー。マイクテストマイクテスト。オマエラ聞こえてる??」

 

 体育館のスピーカーから鳴り響いている声は、これまで聞いてきた人の声とは違ったもので

 ダミダミでしゃがれているのに愛嬌がある感じの不思議な声だった。

 

「反応を見る限りは聞こえてるみたいだね、うん……。それに16人ちゃんと居るみたいだし」

 

 体育館をぐるっと見回してみると、いつのまにか枯山くんも戻ってきていたみたいで、ざっと数えてみるとアナウンス通りの人数が揃っているみたい。

 

「そうあよねー、びっくりするよね。だってオマエラって急にここに連れて来られましたって感じだもんね」

 

 重々しい機械音と一緒にゆっくりと体育館の壇上の幕がゆっくりとあげられていく、

 

「よいしょ。ボクです! ボクがしゃべっているのです!」

 

 上がり切った幕の向こう、朝礼などで校長先生などがマイクを置いて喋る壇の上にあるのは無数のマイクと白黒のクマ? のぬいぐるみ

 

「オマエラのこれからの華々しい学園生活を一緒に彩り楽しむ存在、それがこのボク。希望ヶ峰学園の学園長でもあるモノクマです!!」

 

 数名が「は?」なんて声を漏らしていた、かくいう私も多分同じ様な声は出ていたかもしれない。

 やっとなんとかなれてきたこの状況なのに、さらに訳が分からなくなってきてしまう

 

「じゃあこれからサクッとここで行う()()()()()()()()()の説明を今からするから、オマエラはきちんと聞いててね、質疑応答は一通り説明したあとでね!」

 

 コロシアイ? 学園生活? 

 駄目だ、50くらいまで飲みこめていた状況がまた一気に0に戻されてしまった──―

 

「それじゃあ説明を始めます! ご静粛にねー。うぷぷぷぷ」

 

 まさかここからさらに混乱してしまうことになるなんて、この時の私はまだ全然想像すらしていなかった──―

 

 

 

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