ダンガンロンパ:P   作:海苔子

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1日目:2

【1F 保健室】

 

「っていうことなの! 今日の夜からなんだけど、ぜひ参加してほしいなって」

 

 あのと食堂を出た私と虹咲さんは二手に分かれた

 虹咲さんは食堂のあるエリアを、私は保健室のある方のエリアを担当することに

 

「やだよ。めんどくせぇ」

 

 だよね、絶対そういわれると思った、千場君そういうタイプじゃなさそうだもんね

 けどここで引き下がるわけにもいかない、言い出しっぺだし、これ失敗したら多分蝶ヶ崎さんにまた怒られる気がする

 

「そこをなんとか……。やっぱりこういう状況だからみんな親睦を深めて少しでも協力して外に出る方法を見つけたり、安全とかを確認し合った方が良いと思うの」

 

「はぁ? んじゃあもしそのみんなで美味しく食べる御飯に毒でも盛られたらどぉすんだよ? 一網打尽で一発アウト」

 

「毒なんて.──―」

 

 毒なんて学校にあるわけないじゃんといいかけて言葉に詰まってしまう。

 現に私はピストルを渡されてるわけだし、希望ヶ峰学園だからこそそういった危険な薬が置いてあるかもしれない

 

「めんどくせぇ……。そういうとこ考えてから話して来いよな、マジで」

 

「じゃあみんなで調理すればいいと思うんだけど!」

 

「はぁ? 林間合宿じゃねーんだぞ、何が楽しくてそんなことしなきゃなんねぇんだよ」

 

「楽しいからやるんじゃなくて、安全のため! 安全の為なの」

 

「はぁ……。ま、そういう監視系はお前らでやってくれよな、俺は決まった時間に食堂で飯食うだけな」

 

「うんうん! もちろんもちろんだよ──って、え!? オッケー出してくれた感じ!?」

 

「でけぇよ声が。だってこれ断った方がめんどくせぇことになんだろ、後々」

 

「なるかなぁ?」

 

「蝶ヶ崎とか道頓堀とか温井あたりが部屋まで押しかけてくる未来が見えてんだよ、既に」

 

 言われてみれば確かにそうかもしれない、温井君のことはまだよくわからないけど、道頓堀さんなら絶対にやる。

 蝶ヶ崎さんもなんだかんだ言って顔を合わせるたびに食堂に来なかったことをチクチクチクチク言ってきそうな気もする

 

「確かに……。道頓堀さんは絶対に部屋から出てくるまでドアノックするタイプだね」

 

「だろ? つーか出てくるまで部屋の前で張り込むぞあのタイプ」

 

「あ、なんかすっごい今その絵面想像出来ちゃった」

 

 多分道頓堀さんは出てくるまで部屋の前で煩いし、多分部屋の前でごはんとか食べそうな気配すらある

 ……意外と千場君って人のこと見てるだな

 

「んで? 今日のメニュー何」

 

「え、まだ未定だけど……」

 

「俺蕎麦アレルギーだからそこんとこだけよろしくな、死ぬからマジで」

 

「わかった、皆に伝えとくね」

 

「つーかみんなで飯食う必要あんの? 別に俺カロリーメイトとかでいいから、要は決まった時間に決まった場所で皆安全でしたねーって確認できればいいんだろ?」

 

「それはそうだけど……。せっかくなんだしみんなで一緒のもの食べたくない?」

 

「……別に」

 

 とにかく千場君は乗り気じゃないけど、勧誘には成功したってことでいいよね

 あとは千場君がそばが食べれないってことだけ伝え忘れないようにしないとな.蕎麦アレルギーって大変だって聞くし。

 

「とにかく来てね! 今日の夜からだから忘れないでね!!」

 

 

【1F 正面玄関】

 

 保健室から出てみると、一際頑丈に施錠された正面玄関の鉄の扉の前で書庫屋敷さんがボーっと佇んでいた

 時折ため息を漏らしながら、鉄の扉を見上げたりしていて、なんだか悩んでいるように見えた。

 

「書庫屋敷さん、どうしたの?」

 

「あらぁ。こんにちは芽吹さん。どうもこうも、ただ本当に閉じ込められてしまったんだなぁとお姉さんは落ち込んでいただけですよぉ」

 

 銀行の金庫みたいな分厚い鉄の扉、マシンガンくらいなら簡単に防いでくれそうなその鉄の扉はなんとなく見ているだけで心が重たくなるような気がした

 

「うん……。なんだか大変なことに巻き込まれちゃったみたいだね」

 

「それなのに皆様ときたらとても賑やかに順応しているご様子で……。危機感の欠如もここまで来てしまうと芸術的ですよねぇ」

 

「あはは……皆もそれなりに頑張ってるんだよ、力を合わせて外に出ようって」

 

「力を合わせて……ですかぁ。あまりそういうのは過信しすぎると後で辛くなっちゃうこともありますからねぇ」

 

 ふわふわとした雰囲気だけど、今までのだれよりも言葉の節々に棘があるっていうか、話すたびにメンタル削られるっていうか……

 さっさと本題切り出してこの場を切り抜けなきゃ。

 

「それでね、安否確認とか親睦を深めるのも兼ねて朝と夜はみんなでご飯でも食べないかって話になってるんだけど……書庫屋敷さんも一緒にどうかな?」

 

「え~……どうしましょう。賑やかな中で夕飯などをいただくなどあまりお姉さん経験が無いので……」

 

「食堂にいてくれて無事なこと確認できるだけでも大丈夫だからさっ。だから……だめかな?」

 

「まあ……そういうことならいいですよぉ? あ。けど蝶ヶ崎さんや大門君とは席を離してくれると嬉しいですぅ」

 

「もしかしてその二人と仲悪かったりする? なんかあった感じ?」

 

「いいえ? お二人はとっても賑やかな方達で素敵な人だとは思うんですけど、お食事時にあんな華やかな香りを漂わせられると、お姉さん散漫だからどうしてもお食事に集中できない気がするのでぇ」

 

 確かにあの二人は香水の匂いがひときわ強い気はするけど……。

 これってもしかしなくても嫌味ってやつなのかな? うん。ぜったいそうだよね

 

「じゃあその条件さえ守ったら書庫屋敷さんも特に参加には問題ないってことでいいかな?」

 

「はぁい、それにこの件に関してはあまり拒否権もなさそうですので、問題ございませんよぉ」

 

 とりあえずは勧誘成功ってことで、あと何か話すこととかあったっけ……

 頭の中で二度手間になるようなことが無いかもう一回ゆっくり考えてみる。

 ──大丈夫。ない

 

「それじゃあまた夜ね! 」

 

「は~い。お気をつけてくださいね~……どこに行くかは興味ないですけど~」

 

 ひらひらと手を振っているであろう書庫屋敷さん置いて、私はそのまま視聴覚室の方へと向かった。

 

 

【視聴覚室】

 

「なんだ、こんな何もない部屋に何の用だ、もしかしてボク様にあいに来たのか?」

 

 だれかいるかなーtなんて軽い気持ちでチラッと覗いた視聴覚室にいたのは安藤君

 最初見た時に乗っていた機械とは別で、今はゴーカートのような機械に乗っているから自然と私の目線が下に下がる。

 

「いまちょっといろんな人に伝達事項をね……──」

 

 気になる、あのカニみたいなクモみたいな機械に乗っているイメージしかなかったから、どこからこの機械を持ってきたのか

 それにこの状態だと玩具の車に乗っている小学生みたいにしか見えなくて可愛すぎる。

 

「コホン……。あの形態では小回りが利かないからな、移動するときは基本足は収納してるのだよ」

 

「めちゃくちゃ気になってたのバレてた?」

 

「ボク様は天才だぞ? 低IQが何を考えているのかくらいは目を見ればわかるのだよ!」

 

 安藤君には何を言われてもイラっとしないっていうか、なんかこう.弟が必死で頑張っているような背伸びしているような気持ちになる

 まあ私には弟なんて存在は居ないけど。

 私のお姉ちゃんも私のことこういう目線で見てたのかななんてふと思ってしまう。

 

「じーっ」

 

「なんだね! そんなにボク様をじっと見つめて! 乗せないぞ! これはボク様専用だからな!」

 

「んー? 違うよ、目を見たら何考えてるのかわかるっていうから、伝達事項を頑張って目で伝えてるの」

 

「んなっ!?」

 

 ちょっとだけからかってしまった、あからさまに何も言えなくなっている様子は何かのマスコットみたいで本当にかわいい

 もうちょっとだけからかったら夜の事伝えてあげよう。

 

「サインか!? ボク様のサインを大量に貰ってここから出た時に転売をするつもりだな!?」

 

「ぶっぶー。違います」

 

「ならあれだ! この機械はレーザー砲を打てるのか……とかだな? 残念だが日本の法律に合わせて作った特別機だから何かを直接的に傷つける機能は搭載してないぞ!!」

 

「それも違うんだなー」

 

「力は強いぞ! フォークリフトくらいの力は出せるぞ!」

 

「それも聞きたいことじゃないでーす、それに安藤君、伝達事項だよ、私は安藤君に何かを伝えに来たの」

 

「何か……。女子が実はボク様に惚れてるとかか?! まだ早いと伝えておいてくれたまえ!」

 

「違うよ、小学生に手を出したらそれこそきっちり犯罪だよ」

 

「なら一体何なんだ!」

 

「これから朝と夜は安否確認も兼ねて皆でご飯食べよーねってこと」

 

「はっ! そんなことだと思ったぞ、ボク様も思いついてはいたんだがな~。まあボク様よりは遅かったけど、それが思いつける頭があるっていうのは及第点だな」

 

「目を見れば何考えてるかわかるんじゃなかったの?」

 

「ボク様はあえて外してやったのだよ、貴重な会話を楽しめるようにな!」

 

「ふぅん……。あ、ちなみにアレルギーとかはない?」

 

「ない……。いや、ピーマンと玉ねぎとパクチーと人参アレルギーだ、食べたら身体にいっぱいぶつぶつが出て死んでしまう」

 

「それ好き嫌いじゃなくて?」

 

「違う!! ボク様が好き嫌いなんてするはずないだろう!!!」

 

 一応本当にアレルギーだったら可哀そうだし、ちゃんと頭の片隅には入れておこうっと

 って、さっき書庫屋敷さんにアレルギー聞いたっけ? 聞いてないような気がするんだけど……

 ま、いっか。また夜あった時にでも聞こう、今もまだ正面玄関に居るってわけじゃないだろうし。

 

「それではボク様は失礼するぞ! 断じて好き嫌いじゃないからな! アレルギーなんだからな!! 本当だぞ!!!」

 

 安藤君はそうとだけ言ってブゥンと機械を走らせて視聴覚室から出て行ってしまった

 ……あの反応から見るに、アレルギーじゃあないんだろうな.ぁ……。

 

 

【1F:体育館】

 

 とりあえずもう一回だけこっちのエリアに人が残っていないか確かめるためにグルーッと回ってみた

 保健室に正面玄関、視聴覚室にシャッターの降りた二回への階段まで。

 けどもう私しかいないらしくて、他に見回ってない場所が無いかだけ確かめるために電子生徒手帳のマップ機能を開いてみた。

 

 そういえば体育館は昨日以来一切立ち入ってないなと、誰もいないだろうとは思いつつも重たいスライド式の鉄の扉を開けたら、そこにいたのは道頓堀さんだった

 

「うわあああっ! なんや! 誰や!?」

 

 予想以上に大きな音が鳴ってしまって、中にいた道頓堀さんがすごい顔でこっちを見ていた。

 

「ごめん……。驚かせるつもりはなかったんだけど」

 

「はぁ……もうほんまに心臓口から飛び出るかと思ったわ……。なにしてんのこんなとこで」

 

「ちょっとみんなに伝えなきゃいけない事あってね、そういう道頓堀さんこそ何してるの?」

 

「ん!? いや、ウチはほら。あれや……そのぉ……なんやろ、お散歩的なな、体動かしてただけや」

 

「食堂には結局行かなかったんだ?」

 

「急に体動かしたくなってな? ほんまやったら食堂行くはずやってんけど、なんか食べる前にも運動しとかななーって」

 

 それにしてはなんか妙に焦ってるような……。気のせいかな? 

 

「ほんで? ウチに伝えとかなアカン事って何? なんか悪いニュースとかか?」

 

「いや、今日の夜からご飯はみんなで一緒に食べないかなーと思って、朝と夜一回みんなで集まれば安否確認もできると思うし」

 

「ええやんそれ、それにこんな状況下やからこそみんなと仲良くしときたいしなあ! 任せとき、めっちゃ美味しいたこ焼き作ったるわ」

 

 本場の人のタコ焼きか……。それはそれでちょっと楽しみだな.

 人生でたこ焼きなんて早々食べる機会ないし……

 

「あ、それとアレルギー。何か食べれないものとかある?」

 

「ウチは何でも食べれるで、強いて言うならパクチー! アレはめっちゃ苦手、もうほんまに無理。ゲー出る」

 

「おっけー、アレルギーは無くてパクチーが食べれないんだね!」

 

 これで一通りこっちのフロアは回ったし、ある程度の人には声かけれたかな? 

 あとは食堂に戻って虹咲さんと声かけれてない人がいないとチェックしないと……。こんな状況だしもしかしてがあるかも──

 

 ──って、さすがに考えすぎか。

 

「じゃあ私は食堂戻るけど……道頓堀さんはどうする?」

 

「ん? あー.ウチはもうちょっと残るわ、特に他意はないんやけど!!」

 

「分かった。じゃあまた夜ね」

 

 なんか絶対他意はあるよなぁ……なんて思っちゃうけど、別にそこまで深く掘り下げる必要もないだろうし……。

 でもやっぱり気になるな、なんか隠し事してそうなんだよな.なんてもやもやした気持ちを抱えながらも私は食堂へと戻ることにした。

 

 

【生活エリア:食堂前】

 

 食堂のドアの前にはすでに虹咲さんが立っていた

 こっちに気付くと手を振りながら小走りで駆け寄ってきてくれた

 多分虹咲さんの方も勧誘が上手く行ったんだろうな、この様子から察するに。

 

「おつかれさまーっ! こっちは5人全員OK出たよ! 芽吹ちゃんの方は? 会えてない人とかいる?」

 

「ううん。こっちも大成功」

 

 まだ出会って一日なのになぜかハイタッチをしてしまった、いつも画面の向こう側にいる人とこんなことしてるなんて……

 多分一週間前の私は想像もしていないんだろうなとふと思う。

 

 しかも誘拐されて閉じ込められている最悪の状況下で

 

「あー.あとこれ。誰もいないよね? ちょ……ちょっとこっち来て……」

 

 虹咲さんが表情を一気に曇らせながら、ズンッと私に近寄ってくる。

 高いファンデーションの甘い匂いが分かるくらいに近寄ってきて、スッと拳を私に差し出してきた。

 

「なに? 何かあった──―」

 

 開かれた拳の中にあったのは……。人生で絶対に見ることはないと思っていた物。

 形から何かは分かるけど、本来ならば私の人生とは無縁だったはずの物

 

「……これって」

 

「だよね? ……。やっぱりそう思うよね?」

 

「でもどこでこんなの……。売り物とかじゃないよね? 売店に無かったよね?」

 

 虹咲さんの掌の中にあるのはおそらく()()()、私だってドラマとかでしか見たことないけど、形的にそう。

 

 ひやっと背中に汗のしずくが伝うのが分かる、一気にこの生活が危険なものだと認識できてしまったから

 それに自分の部屋に置かれていた拳銃のことを思い出してしまったから。

 

 部屋の鍵は閉めたっけ? もしかして誰かが私の部屋に入って拳銃を見つけて、それから弾を抜き出してなんてことまで考えてしまう。

 

「トラッシュルームでねおっきい音が鳴って、気になって見に行ってみると焼却炉の前に落ちてたんだ…最初はボタンか何かかなと思ったんだけど……」

 

「え……。おっきい音ってもしかして誰かが撃ったってこと? それって虹咲さん危なくない?」

 

「ううんそれは大丈夫、あの時トラッシュルームには私以外居なかったから……。それに形が似てるだけで全く別の物って可能性もあるし……」

 

「確かになんか長細くないもんね……」

 

 一度は見間違いって方向で私たちは話をまとめた、無理やりなのはわかってる。

 けどどうしようもなく不安で、もし誰かが拳銃を撃っていたのだとしたら、もし、私以外に拳銃を持っている人がいたら

 そんなことを考えたくないからこそ私は全力で話をそらした。

 

「……考えすぎ……だよねっ、うん。そうだよ」

 

 そのあとは他愛もない話をした気もするけど、話の内容は頭に入ってきていない。

 

 それよりも早く。一刻も早く、自分の部屋の扉の施錠をきちんとしているか、銃はきちんと置いた場所にあるか

 本当に虹咲さんが見つけたのは銃弾だったのか、私の拳銃に弾が入っていてそれと同じ形なのか。

 

 そんな事ばかりぐるぐるぐるぐると頭の中で考えてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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