「そういえばソラって戦えるの?」
「...多分無理ですね。戦った記憶もありませんし、武器なんかも持っていません。」
宴の星、ピノコニーへの道中、移動にはかなりの時間がかかる。
その道中で私たちは色々なことをして過ごしていた。
私はこれから宇宙を旅するにあたっての様々な知識を身につけたり、ベルと色々なことを話したりだ。
「やっぱそうだよねぇ、いや別にいいんだけどこの船ってそこまで大きくないじゃない?たまーに"壊滅"の邪魔が入ったり、他にも向かった先で"壊滅"やらなにやらと戦闘になったりするのよ。」
「壊滅...反物質レギオンでしたね。
...そういえばこの船は調べた限りだとほかの宇宙船や星穹列車と比べてとても小さいですが、どうやって星間旅行を可能にしているんですか?」
「あら意外と勉強熱心。感情は無くても知識欲はあるのかしら?
そしていい質問ね!それは私がハッピー・トラベルだからよ!本来だったらカンパニーとかが所有する大型の宇宙船が必要なんだけど、私は特別にアッハから賜ったこの小型宇宙船で旅ができるのよ!」
「アッハ...
アッハとは"愉悦"の星神のことである。星神とは本来、運命の行人に対して目を向けることはしないものなのだが、そんな星神から宇宙船を賜るとは、もしかしたらこの人は私が思っていた以上にすごい人なのかもしれない。
「其は割と面白いと思ったらなんでもやるのよ。私のこれも、私がもっと自由に宇宙旅行したーいって大型船から外に飛び出そうとした時にくれたんだもの。」
星神が個人に宇宙船をプレゼントしたという事実にもびっくりだが、その前段階が明らかにおかしいのは触れないでおいた。多分だけど、仮面の愚者とはそういうものなんだろう。
まあそういう事をしたからこそ、というのも有り得る。
自分がハッピー・トラベルだから、というベルのセリフもあながち間違っていないのかもしれない。
「私は元々、ただのパブの飲んだくれだったんだけどね。行人の友達が旅行の思い出を楽しそーに話すもんだから、私も行きたーいってなっちゃってね。それからもうハマっちゃってハマっちゃって、今では愚者1のツーリストになっちゃったのよ。」
「色んなところに行っていたんですね。」
「そうよ。そんな私でも今向かってるピノコニーは初めてなんだから、ソラも楽しみにしてなさい?ま、観光名所としてはすっごく有名なんだけど。」
あれから1ヶ月が経った。ベルが言うには今日ピノコニーに到着するらしい。
1ヶ月と少しの間、一度も補給とかはしなかったが、食糧とかはどうなっているんだろうか。この宇宙船の大きさを考えるにそこまで大量の荷物は詰めないと思うのだが...
まあ考えるだけ無駄だろうと思考を放棄した。
これ以外にも、ベルの食事風景など、疑問に思うことは多いのだが、考えても分からないので思考を放棄することが癖になっている気がする。気を付けないと。
ちなみにベルは食事中も仮面をつけている。口元まで仮面で覆われているのに、何故か仮面を貫通して食べ物がベルの口に運ばれていくのだ。どうやっているのかを聞いても「ひゅっと持って行ってパクッと食べたら行ける!」と言われる。私も真似をしようとしたら普通に仮面にスプーンがぶち当たったため、私は食事中は仮面を外している。
「ソラ!もう少しで到着よ!準備しなさい!」
「はい。」
準備と言っても、私の私物はほとんど無いため準備するものもない。
そうしてやることもなく待っているとやがて大きな振動の後にベルがやってきた。
「待たせたわね!それじゃあ行くわよ、夢の世界!」
「おー。」
「そう!それよ!」
今回は合っていたらしい。まだよく分からないけど。
宇宙船の外に出るとそこにあったのは巨大なホテルだった。思わずその大きさに息を飲み、圧倒された。
...されたのだが。
「ホテルしかない...宴の星?」
そう、辺りを見回しても見えるのはホテルだけ。それ以外は平地が広がるばかりで宴の星と聞いていた割にはアトラクションはおろか、お店や道路すら見当たらなかった。宴の星とは。
「あぁ、ピノコニーのことは調べてないのね。宴の星ってのはね、夢の中にあるのよ。」
「夢の中...」
まだよくわからなかったが、「詳しくは体験した方が早い」との事だったので大人しくベルの後について行くのだった。
「ホテルレバリーへようこそ!予約はお済みですか?」
「えぇ、ハッピー・トラベルとソラよ。」
「...はい、確認が取れました。お客様の部屋はVIPルームの3号室になります。こちらが部屋の鍵です。
「事前に調べているから知っているわ。
それじゃあソラ、行くわよ。」
ベルに手を引かれながら後を着いていく。私はベルに身を任せながらも疑問を口にした。
「...VIPルーム?」
「ふっふーん、これ次第ではVIPなんて簡単よ。」
ベルが右手でお金を表す形を作りながら得意げに言った。調べた限りだと普通の部屋を取るだけでも相当な金額が必要だったはずだけど...
やっぱりベルは私が思っていた以上にすごい人なのかもしれない。
「せっかくの宴の星なんだからとことん贅沢して愉しんで、最高の思い出にしたいじゃない?そのためならこんなの端金よ。」
「...ベルはお金持ちなんだ?」
「ま、それなりには持ってるわよ。っと、ここね。」
部屋の鍵を開けて中に入っていくと、確かにVIPルームらしい豪華な装飾が施された家具の数々があった。ホテルとはいいつつ、ベッドが無いのは気になったが、ベルは何も言わないし、これが普通なのだろうか?
そして何より、1番に目を引くのは水の張ってある貝殻のような形のお風呂(?)。張ってある水は微かに青い光を放っており、かなり神秘的な印象を受ける。
とはいえ部屋のど真ん中にお風呂、かつ仕切りも一切なしとはさすがにびっくりだ。VIPルームならではなのか、もしくはそういう文化なのか。
「気になるわよね。それはドリームプール。
そこに入って眠ることで、夢境に入ることができるのよ。」
さっき言っていた夢の中というのはそういう事かと納得した。おそらくは夢の内容を操作して、真の宴の星へと導くのがこのホテルということなのだろう。
「よいしょ、ほらソラも来なさいよ。」
ベルが服を着たままドリームプールの中へと横たわって言った。
「...服は?濡れないの?」
「特殊な液体だから濡れないし、むしろ着てなきゃダメよ。裸で夢に入ったら、向こうでそのまま裸で過ごすことになっちゃうわよ?
...ふわぁ、眠くなってきちゃった。ほら、早くしなさい。」
あくびを噛み殺しながら手招きをするベルに促されるままに、私もドリームプールへと入っていった。
浸かってみるとすぐに眠気が襲ってきてまぶたが重くなる。
沈んでいく意識の中で、私はふと疑問に思った。
(あれ、自滅者って夢を見るのかな?)
疑問は解消されることなく、私は抗えない眠気に身を任せるのだった。
目を開ければ、暗い世界。
手元を見れば、黒い液体。
あの時と同じだった。
1番最初、この世界での私のいちばん古い記憶。
後ろを振り向けば、あの時のように光を飲み込む黒い半球があった。
あの時は気がつけば荒野にたっていたから、今回も少し待てば良いかなと待ってみるも、なかなか景色が変わらなかったため、私は痺れを切らして歩き出した。
黒い半球の方向へと。
なんだか、呼ばれているような気がした。
歩みを進める度に、体が軽くなっている気がする。思考がクリアになっていくような気がする。
「...ラ?」
私はどんどん歩いていく。
私はどんどん軽くなる。
「おー...ソ...!」
歩みを止める理由はない。引き返す理由もない。
私は黒い半球に近づいていく。半球はどんどん大きくなる。
...あれ、■の■■は...■■■■■■?
「ソラ!!」
気がつけばベルが目の前にいた。私はさっきまでいたドリームプールに寝ていたらしく、ベルはしゃがみこんで私の肩を両手で掴んでいる。
「やっと起きた。全く、夢の中で眠るなんて、初めて聞いたわよ?」
「私、寝てたの?」
起き上がって辺りを見回してみると、さっきの部屋と似たような部屋。
同じ部屋、だと思わなかったのは、そこがさっきよりも広く、テーブルに置かれていたはずのティーカップやポット、そして装飾が何故か浮き上がっていたからだ。
「おはようソラ。ここはもう夢境の中よ。」
「夢の中ってこと?だから家具が浮き上がってるんだ。」
「夢の中、っていうのを表す最初の演出としては粋だと思わない?さ、行きましょ。
時間はたっぷりとあるけれど、それでも足りないくらいこの世界は広いって言われてるんだから!」
ホテル各所の扉は近づけば勝手に開くし、ところどころに飛んでいる泡や液体のクジラなど、それら一つ一つが私にここは夢の中であると自覚させた。
「こんなにも非現実的な世界だっていうのに、広いホテルの中を飛んで移動している人はいないし、エレベーターは混み合っている。なんとも
...さあ、行くわよ!」
「うっ、わっ!」
ベルはそういうと、私の手を掴んでロビーの受付がある反対側、1階のフロントまで空いている大穴の中へと飛び込んで行った。
私たちが高層から落下している最中、背中の方から悲鳴が聞こえた。
私が想像していた以上に高いところらしく、なかなか地面が見えてこない。
そのまま数秒間の間自由落下をしていると、やがて地面が見えてくると同時に私の身体をベルが抱き寄せる。
「よいしょっと!」
そのままベルは空中で一回転し、あの高さから落下したとは思えないほど、ふわりと着地するのだった。
瞑っていた目を開けてベルの方を見ると、ベルは仮面を被っているところだった。
「今のは...夢の中だから?」
「いや?夢の中とはいえ、ここでは現実でできる以上のことは出来ないみたいね。今のは私ができることよ。」
「お客様!ご無事ですか!?」
フロントにいたスタッフが必死な様子で駆け寄ってくるが、ベルは「なんでもないわよ。騒がせたわね。」と言ってホテルの入口まで歩いていった。
私も被害者だが、一応スタッフの人に会釈だけしてベルの後について行く。
ホテルを出た私たちの前に広がっていたのは、立ち並ぶ高層ビル群、空中に敷かれたレールとそこを走るカプセルのような乗り物、巨大な広告やそれらを着飾るネオンライト、そして微かに星々の輝きが顔を覗かせる夜空だった。
「着いたわね!宴の星、夢の国、ピノコニー!
さあソラ!思う存分、楽しむわよ!!」
「おー。」
ベルは満足そうに私の手を引っ張った。どうやらタイミングはあっていたらしかった。
色々調べててもわからないことが多すぎる...
虚無周り出てないこと多すぎ...愉悦は二相楽園で深掘り期待...
混沌医師も出てるキャラいなくて扱いにくいし、虚無には原始博士も一枚嚙んでるっぽいんよな...
原始博士っていったい何なの...
既知の輪を狭めようとしてる知恵の使令(原始博士とポルカ・カカム?)と知識の特異点を飛び越えようとする知恵の使令(ヘルタ)が同時に存在してるのヌースくんの演算バグってんだろ...